オープンドア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オープンドア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プライム市場上場。国内外の旅行商品を一括検索できる比較サイト「トラベルコ」を運営。2025年3月期の連結業績は、旅行費用の高止まりによる需要停滞等の影響を受け、売上高は前期比6.1%減の24億円、各利益段階で損失を計上し、減収減益(赤字継続)となりました。


※本記事は、株式会社オープンドアの有価証券報告書(第28期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オープンドアってどんな会社?


旅行比較サイト「トラベルコ」の運営を軸に、1,500以上の旅行サイトの商品を一括検索・比較できるサービスを展開する企業です。

(1) 会社概要


1997年に設立され、同年より旅行比較サイト「トラベルコちゃん(現トラベルコ)」を開始しました。2015年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2016年に市場第一部へ変更、2017年にはサイト名称を「トラベルコ」へ変更しています。現在は旅行関連事業の単一セグメントで事業を展開しています。

2025年3月末時点の従業員数は連結192名、単体182名です。筆頭株主は創業者の関根大介氏で、第2位は投資事業を行う株式会社ザ・パス・インベストメント、第3位は不動産情報の株式会社CHINTAIとなっています。

氏名 持株比率
関根 大介 51.56%
ザ・パス・インベストメント 5.61%
CHINTAI 5.15%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は関根大介氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
関根 大介 代表取締役社長 1994年松下寿電子工業(現PHC)入社。1997年同社設立とともに代表取締役社長に就任し、現職。
鈴木 秀明 取締役管理本部長 2007年監査法人トーマツ入所、公認会計士登録。2015年同社入社。2017年より取締役管理本部長。ホテルスキップ取締役を兼任。
阿部 岳志 取締役工芸本部長 兼 経営企画室長 1998年名鉄観光サービス入社。2005年同社入社。事業本部執行役員等を経て、2025年6月より取締役工芸本部長兼経営企画室長。


社外取締役は、清水淳子(みどり共同法律事務所弁護士)、井植敏彰(塩屋土地代表取締役社長)、髙田剛(和田倉門法律事務所代表パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「旅行関連事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 旅行比較サイト「トラベルコ」


国内外のパッケージツアー、ホテル、航空券などを取り扱う1,500以上の予約サイトの商品を、オンラインで一括検索・比較できるメタサーチサイトです。ユーザーは希望条件に合った商品を無料で検索し、予約や照会を行うことができます。また、現地クチコミ情報「トラベルコまとめ」なども提供しています。

主な収益源は、旅行会社等からの「従量課金収入(成果報酬)」、「固定課金収入(システム利用料)」、およびサイト上の広告スペース提供による「広告収入」です。運営は主に同社が行っています。

(2) ホテル・航空券予約サイト等


個人顧客向けのホテル予約サイト「ホテリア」や航空券予約サイト「トラベリア」の運営、および法人顧客への旅行商品販売を行っています。

これらのサービスでは、旅行商品の販売に伴う収益を得ています。運営は連結子会社のホテルスキップが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2023年3月期から回復傾向にありましたが、2025年3月期は減少に転じています。利益面では、2023年3月期以降、経常損失および当期純損失が続いており、赤字からの脱却が課題となっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 11.2億円 12.0億円 20.6億円 25.6億円 24.1億円
経常利益 -7.1億円 -5.4億円 -0.0億円 -1.6億円 -1.0億円
利益率(%) -63.1% -45.1% -0.1% -6.4% -4.2%
当期利益(親会社所有者帰属) -6.5億円 -5.4億円 -0.4億円 -1.7億円 -1.2億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しました。売上原価が増加した一方で、販売費及び一般管理費を抑制したことにより、営業損失の幅は縮小しています。しかし、依然として営業段階からの赤字が続いています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 26億円 24億円
売上総利益 17億円 14億円
売上総利益率(%) 65.4% 59.7%
営業利益 -1.8億円 -1.0億円
営業利益率(%) -7.1% -4.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が5.4億円(構成比35%)、広告宣伝費が3.5億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の旅行関連事業は、旅行費用の高騰による需要停滞の影響を受け、売上高が減少しました。その他の事業も若干の減収となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
旅行関連事業 24.0億円 23.8億円
その他の事業 0.3億円 0.3億円
調整額 1.3億円 -億円
連結(合計) 25.6億円 24.1億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は旅行関連事業を主軸としており、当期は営業活動による資金が減少しました。これは主に、損失の減少と仕入債務の増加、減価償却費の計上などによるものです。投資活動では、投資有価証券の取得による支出が減少したことで、資金が減少しました。財務活動では、自己株式の取得により、資金がわずかに減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -3.1億円 -0.0億円
投資CF -0.5億円 -4.1億円
財務CF -0.0億円 -0.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「新たな挑戦を恐れず、たゆまぬ革新性をもって、社会の豊かさ、喜び、未来に貢献し続ける」ことを企業理念としています。旅行比較サイト「トラベルコ」の運営を軸に、社会への貢献を目指した事業展開を行っています。

(2) 企業文化


「変化する市場ニーズに迅速に対応し、最速のスピードと最高のクオリティをもって顧客満足No.1を達成する」というミッションを掲げています。技術革新と市場拡大が進行するインターネット市場において、優秀な人材の確保と育成を重視し、働きがいのある職場環境の構築に努める文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、企業価値の増大を図るために、経営指標として「売上高」と「営業利益」を重視しています。具体的な数値目標は記載されていませんが、これら指標の改善に取り組む方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業である「トラベルコ」のコンテンツ量拡大と質向上に加え、インバウンド対応を含めた多言語展開を推進し、海外ユーザーの取り込みを図ります。また、生成AIを活用した検索機能の実装や、伝統的工芸品市場「KOGEI JAPAN」等の新規事業を展開し、収益基盤の強化を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


技術革新が進む市場において、従業員の数と質が競争力を左右すると認識しており、性別・国籍・入社経路を問わず優秀な人材を積極的に登用する方針です。多様な人材が能力を発揮できる環境作りや教育研修制度の拡充を進めるとともに、リモートワークや時差勤務制度の定着を図り、就労環境の充実に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.4歳 6.6年 4,852,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率目標(15.0%以上)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット広告市場と景気変動


主力事業である旅行比較サイト「トラベルコ」は旅行関連広告市場に依存しており、景気後退や旅行会社の広告戦略変更による市場縮小の影響を受ける可能性があります。また、インターネット上の商取引規制強化などが事業運営に支障をきたす恐れがあります。

(2) 技術革新と競争環境


インターネット市場は技術革新や顧客ニーズの変化が速く、生成AI等の新技術への適時対応が不可欠です。対応の遅れは競争力低下に直結します。また、大手企業の参入や競合他社の規模拡大によりユーザー獲得競争が激化した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 自然災害や感染症の影響


地震や台風等の自然災害、感染症の拡大、国際紛争等は、旅行需要の減退や風評被害を招き、業績に重大な影響を与える可能性があります。また、首都圏での大規模災害発生時にはサービス停止のリスクもあり、ブランド毀損に繋がる恐れがあります。

(4) プライム市場上場維持基準への対応


2025年3月末時点で、流通株式時価総額がプライム市場の上場維持基準に適合していません。2026年3月末までに基準を満たすための取り組みを進めていますが、未達の場合には監理銘柄指定や上場廃止となる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。