オープンドア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オープンドア 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オープンドアは、スタンダード市場に上場し、旅行比較サイト「トラベルコ」を中心とする旅行関連事業を展開しています。直近の業績トレンドは、添乗員付きツアーが好調で増収を確保したものの、広告宣伝費の増加等による営業赤字に加え、投資有価証券評価損などの計上により最終赤字が拡大しています。


※本記事は、オープンドアの有価証券報告書(第29期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オープンドアってどんな会社?


旅行比較サイト「トラベルコ」を運営し、多様な旅行商品の検索・比較サービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は1997年4月に設立され、同年8月に旅行比較サイト「トラベルコちゃん」をオープンしました。2014年3月にホテルスキップを子会社化し、2015年12月にマザーズへ上場しました。2016年12月に市場第一部へ変更し、2017年1月にサイト名を「トラベルコ」へ変更しています。近年は、海外向けの多言語展開や、伝統的工芸品関連の新規事業にも取り組んでいます。

現在の従業員数は連結で191名、単体で181名です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の関根大介氏となっており、第2位は持株会社のくふうカンパニーホールディングス、第3位は投資会社のザ・パス・インベストメントが名を連ねています。

氏名 持株比率
関根大介 51.56%
くふうカンパニーホールディングス 7.00%
ザ・パス・インベストメント 5.61%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は関根大介氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
関根大介 代表取締役社長 1994年松下寿電子工業(現PHC)入社。1996年アイ・エー・エス・エス入社。1997年同社設立、代表取締役社長就任。
鈴木秀明 取締役管理本部長 2007年監査法人トーマツ入所。2012年公認会計士登録。2015年同社入社。2017年同社管理本部長就任。
阿部岳志 取締役工芸本部長 兼 経営企画室長 1998年名鉄観光サービス入社。2003年エース損害保険入社。2005年同社入社。2025年同社工芸本部長兼経営企画室長就任。


社外取締役は、清水淳子(みどり共同法律事務所弁護士)、井植敏彰(塩屋土地代表取締役社長)、髙田剛(和田倉門法律事務所代表パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「旅行関連事業」および「その他」事業を展開しています。

旅行関連事業


旅行比較サイト「トラベルコ」や、ホテル予約サイト「ホテリア」、航空券予約サイト「トラベリア」を運営しています。1,500以上の予約サイトが販売する国内外のパッケージツアー、ホテル、格安航空券などの各種旅行商品を、ユーザーがオンラインで一括して検索・比較できるメタサーチサービスを提供しています。

収益源は、旅行会社等からの成果報酬型の手数料(従量課金収入)、システム利用に伴う月額固定料金(固定課金収入)、およびサイト上の広告スペース提供による広告収入です。「トラベルコ」の運営は同社が行い、「ホテリア」や「トラベリア」の運営および旅行商品の手配・販売などは子会社のホテルスキップが行っています。

その他の事業


旅行関連事業以外の新規事業分野として、日本の伝統的工芸品に関する事業などを展開しています。多様化するユーザーニーズや事業環境の変化に対応し、ターゲット市場の拡大とさらなる収益基盤の強化を図ることを目的としています。

具体的には、伝統的工芸品のECマーケットプレイス事業である「KOGEI JAPAN」などを通じて、新たな収益機会の創出を目指しています。これらの新規事業は主に同社が主体となって運営を推進しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、売上高は2024年3月期にかけて回復傾向にありましたが、その後は横ばいで推移しています。利益面では、全期間を通じて経常赤字が継続しており、特に直近の2026年3月期は投資有価証券評価損等の特別損失を計上したことで、最終赤字が大幅に拡大する結果となりました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 12.0億円 20.6億円 25.6億円 24.1億円 24.5億円
経常利益 -5.4億円 - -1.6億円 -1.0億円 -0.3億円
利益率(%) -45.1% -0.1% -6.4% -4.2% -1.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -5.4億円 -0.4億円 -1.7億円 -1.2億円 -11.3億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高は前年比で微増となりましたが、広告宣伝費の増加により販売費及び一般管理費が膨らみ、営業赤字が継続しています。売上総利益率は改善傾向にあるものの、コスト増を吸収しきれていません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 24.1億円 24.5億円
売上総利益 14.4億円 15.4億円
売上総利益率(%) 59.7% 62.9%
営業利益 -1.0億円 -0.5億円
営業利益率(%) -4.2% -1.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が5.0億円(構成比31%)、広告宣伝費が4.8億円(同30%)を占めています。売上原価においては、労務費が5.5億円(構成比64%)、経費が1.9億円(同22%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は実質的に旅行関連事業の単一セグメントですが、少額ながらその他の事業も展開しています。主力事業である旅行関連は、添乗員付きパッケージツアーの堅調な需要に支えられ、前年比で増収を確保しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
旅行関連事業 23.8億円 24.2億円
その他の事業 0.3億円 0.3億円
連結(合計) 24.1億円 24.5億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


直近のキャッシュ・フローは営業・投資ともにマイナスとなっており、手元資金を取り崩して事業投資を継続している状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF - -0.1億円
投資CF -4.1億円 -0.6億円
財務CF - -


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-29.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は85.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「新たな挑戦を恐れず、たゆまぬ革新性をもって、社会の豊かさ、喜び、未来に貢献し続ける」を企業理念とし、「変化する市場ニーズに迅速に対応し、最速のスピードと最高のクオリティをもって顧客満足No.1を達成する」というミッションを掲げています。旅行比較サイトの運営を通じて、社会への貢献と顧客満足の最大化を追求しています。

(2) 企業文化


「たゆまぬ革新性」や「新たな挑戦を恐れず」といった理念に基づき、変化の激しいインターネット市場において迅速に対応できる組織体制を重視しています。また、性別・国籍・入社経路を問わず優秀な人材を積極的に登用し、多様な人材が能力を発揮して活躍できる働きがいのある職場環境の構築を文化として根付かせています。

(3) 経営計画・目標


企業価値の増大を図っていくために、経営指標として「売上高」および「営業利益」を重視しています。既存事業の競争力向上と新規事業分野への取り組みを加速させることで、ターゲット市場を拡大し、さらなる収益機会の拡大と収益力の強化を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


生成AIをはじめとする技術革新への対応を急務とし、AI検索機能の実装やAI技術を活用した企業向けサービスの提供を進めています。また、インバウンド対応を含めた多言語展開の推進、クルーズ等の新メニュー導入、さらには伝統的工芸品のECマーケットプレイス事業など新規事業の展開により、ターゲット市場の拡大を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


AIをはじめとする技術革新が進む市場において、従業員の数および質が競争力を左右する大きな要因であると認識し、AI人材を含む優秀な人材の採用と継続的な育成に注力しています。また、リモートワークや時差勤務制度を定着させ、教育研修制度の拡充や育児休業の取得推進など、多様な人材が活躍できる就労環境の整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 37.4歳 6.6年 4,886,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.5%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(パート・有期労働者) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には一部項目の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 旅行関連広告市場の縮小リスク


インターネット広告市場は景気動向や広告主の業績に左右される傾向があります。特に同社は旅行特化型のサービスを提供しているため、旅行関連市場の悪化や旅行会社の広告戦略の見直し等により、旅行関連広告市場が縮小した場合、事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定サービスへの依存リスク


同社の事業は、旅行比較サイト「トラベルコ」を基盤としています。新たな規制の導入などの予期せぬ事情による利便性の低下、世界的な物価高や旅行費用の高止まり、金融市場の変動による旅行需要の減退などが生じた場合、利用者数が減少し、業績に重大な影響を与える可能性があります。

(3) インターネット業界の技術革新への対応


技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速い市場において、新機能の導入やシステムの更新が遅れた場合、サービスの競争力が低下するリスクがあります。想定外の技術革新があった場合には多額のシステム関連投資が必要になる可能性もあり、適切に対応できなければ業績に影響が及びます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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