ダブルスタンダード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダブルスタンダード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダブルスタンダードは東証プライム市場に上場しており、ビッグデータ処理技術を活用したWEBマーケティング事業を展開しています。企業向けデータ提供やサービス企画開発を主力とし、直近の決算では売上高80億円(前期比11.9%増)、経常利益26億円(同13.6%増)で増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社ダブルスタンダード の有価証券報告書(第13期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ダブルスタンダードってどんな会社?


ビッグデータ処理技術と企画力を融合させ、企業の業務改善や新サービス開発を支援するWEBマーケティング企業です。

(1) 会社概要


同社は2012年にスマッシュ・マーケティングとして設立され、2013年にダブルスタンダードへ商号変更するとともにビッグデータ事業を本格化させました。2015年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たし、2018年には市場第一部へ市場変更を行いました。その後、2022年の市場区分見直しに伴い、プライム市場へ移行しています。

2025年3月31日時点で、連結従業員数は134名、単体従業員数は80名です。筆頭株主は取締役の中島正三氏で、第2位は金融サービス事業を行うSBIファイナンシャルサービシーズ(事業会社)です。第3位には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
中島 正三 29.64%
SBIファイナンシャルサービシーズ 19.69%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.53%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は清水康裕氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。

氏名 役職 主な経歴
清水 康裕 代表取締役 積水ハウス、アートコーポレーション等を経て2014年より現職。
中島 正三 取締役 ソニー生命保険、パワーテクノロジー代表等を経て2013年より現職。
飯島 学 取締役 CSKシステムズ等を経て2018年入社。2020年より現職。


社外取締役は、德永博久(弁護士)、赤浦徹(インキュベイトファンド代表)、大島康則(元パワーテクノロジー内部監査室長)、松井敬一(K&HIRO代表)、塚田和哉(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「WEBマーケティング事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) ビッグデータ関連事業


同社独自の技術を用い、企業が保有するデータやインターネット上の公開データ等を統合・クレンジングして提供しています。表記方法や構成が異なる難易度の高いデータを高精度かつ低価格で統合し、顧客企業の営業支援や業務削減に役立つ付加価値の高いコンテンツとして納入しています。

収益は、生成したデータの提供対価として顧客から受け取ります。運営は主にダブルスタンダードが行っています。

(2) サービス企画開発事業


顧客企業の事業プロセスを詳細に分析し、ビッグデータ処理で培った技術と企画アイデアを融合させた新たなサービスを構築します。オペレーション改善システムの提供や、顧客サイトにおける集客力・ユーザビリティ向上のためのサービス展開を行っています。

収益は、サービスの企画開発費やシステム導入費、および導入後の継続的なサービス利用料等から得ています。運営は主にダブルスタンダードが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、売上高、経常利益ともに右肩上がりで成長を続けています。特に利益率は25%から30%台へと上昇傾向にあり、高い収益性を維持しながら事業規模を拡大させています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 44億円 71億円 69億円 71億円 80億円
経常利益 11億円 18億円 21億円 23億円 26億円
利益率(%) 25.2% 24.7% 30.6% 32.1% 32.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 11億円 13億円 16億円 18億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に伸長しています。売上総利益率は40%台後半、営業利益率は30%台前半と高水準で安定しており、効率的な事業運営が行われていることが分かります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 71億円 80億円
売上総利益 33億円 39億円
売上総利益率(%) 46.4% 48.4%
営業利益 23億円 26億円
営業利益率(%) 32.3% 32.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が5億円(構成比38%)、役員報酬が1.5億円(同12%)を占めています。また、単体の売上原価においては、通信関係費用が22億円(構成比55%)、外注費が17億円(同43%)を占めています。

(3) セグメント収益


WEBマーケティング事業では、顧客からの直接問い合わせや紹介による新規取引先の増加、既存顧客へのアップセル・クロスセルが順調に進みました。事業構造の見直しによる利益率改善も寄与し、全体として増収となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
WEBマーケティング事業 71億円 80億円
連結(合計) 71億円 80億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得たキャッシュで借入返済を行いつつ、投資活動も手元資金で賄っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 14億円 20億円
投資CF -4億円 -1億円
財務CF -8億円 -10億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は30.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は84.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


企業としての持続的かつ発展的成長を実現すること、および市場や技術の変化に先行してイノベーションを巻き起こすサービス、ソリューションを提供することを企業理念としています。

(2) 企業文化


既成概念にとらわれず、技術、品質、価格面でイノベーションを実現し、顧客企業の事業の一端を継続サポートできる企業としての成長を目指す文化があります。顧客目線のアイデアと技術・知見を融合させ、世にない新たなサービスを創造することを重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、着実に成長戦略を実行していくことを掲げています。具体的な数値目標としての記載はありませんが、インターネット関連市場の拡大や技術革新に対応し、持続的な成長を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長に向けて、人材の確保・育成と組織体制の強化、顧客満足度の向上、事業領域の拡大、システムの強化に取り組む方針です。特に、既存事業とシナジーのある周辺業務への領域拡大については、提携やM&Aも含めて積極的に検討しています。また、内部管理体制の充実や営業力の強化により、企業価値の向上と市場シェアの拡大を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人こそが最大の資産」という理念のもと、競争力強化に向けた人材戦略や、性別・人種・年齢にとらわれない多様な人材採用を推進しています。社員一人ひとりの成長を支援するため、主体的な学習環境の提供やチームワークを育む機会の創出、多様性の尊重、ワークライフバランスの推進など、働きやすい環境整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 35.8歳 4.5年 598,000円


※平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 100.0%


※男性育児休業取得率については、有報に記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める外国人労働者の割合(10.0%)、社員定着率(新卒入社、3年間)(50.0%)、年次有給休暇取得率(62.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット関連市場の動向


インターネット関連市場の拡大が事業成長の前提となっています。新たな規制の導入や予期せぬ要因により市場拡大が阻害された場合、または企業のIT投資抑制等が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 業界及び競合他社


ビッグデータ・アナリティクス市場等の環境変化や競争激化の影響を受ける可能性があります。特に大手企業の参入や新技術を持つ競合他社の出現があった場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 拡大する事業運営上の課題


システム開発において外部委託を活用していますが、適切な委託先の確保や管理が不十分な場合、開発遅延等により信頼性が低下する恐れがあります。また、開発案件におけるトラブルや仕様変更により採算性が悪化するリスクがあります。

(4) 特定人物への依存


取締役である中島正三氏は、業界での経験・人脈を有し事業運営において重要な役割を果たしています。組織的な対応に努めていますが、同氏が業務を継続困難となった場合、事業推進に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。