ダブルスタンダード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダブルスタンダード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダブルスタンダードは、東京証券取引所プライム市場に上場し、ビッグデータを活用したWEBマーケティング事業を展開する企業です。顧客企業の事業改善や業務削減を支援するデータ統合サービス等を提供しています。当期の業績は、主要取引先との取引終了の影響等を受け、減収減益となっています。


※本記事は、株式会社ダブルスタンダードの有価証券報告書(第14期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ダブルスタンダードってどんな会社?


ビッグデータ処理技術を活用したWEBマーケティング事業を展開するデータ統合サービスの専門企業です。

(1) 会社概要


同社は2012年にインターネットマーケティング支援を目的に設立されました。2013年にビッグデータを活用した事業を本格的に開始し、2015年に上場しました。2019年にSBIファイナンシャルサービシーズと資本業務提携を締結し、2025年には持分法適用会社としてSBIグループに参画しています。

現在の体制として、連結で137名、単体で80名の従業員を抱えています。筆頭株主は創業者で取締役の中島正三氏で、第2位は資本業務提携先であるSBIファイナンシャルサービシーズ、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。持続的な事業発展に向け、外部パートナーとの連携を強化しながら成長を続けています。

氏名 持株比率
中島 正三 25.20%
SBIファイナンシャルサービシーズ 20.10%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.57%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は福永康寛氏が務めています。全役員8名中5名が社外取締役であり、社外取締役比率は62.5%です。

氏名 役職 主な経歴
福永 康寛 代表取締役 2011年システムソフト入社、執行役員等を経て2019年ダブルスタンダード入社。上席執行役員等を経て2026年6月より現職。
中島 正三 取締役 ソニー生命保険等を経て、2003年パワーテクノロジー代表取締役等を歴任。2013年4月より現職。
飯島 学 取締役 アドービジネスコンサルタント等を経て、2018年ダブルスタンダード入社。2020年6月より現職。


社外取締役は、德永博久(小笠原六川国際総合法律事務所パートナー弁護士)、赤浦徹(インキュベイトファンド代表取締役)、大島康則(元和光証券)、松井敬一(元アートコーポレーション常務取締役)、塚田和哉(塚田公認会計士事務所開設)です。

2. 事業内容


同社グループは、「WEBマーケティング事業」の単一セグメントを展開しています。

(1) ビッグデータ関連事業


同事業では、独自のマッチング技術を用いて企業が保有するデータやネット上のデータなどを低価格かつ高精度でデータ統合しています。多岐にわたる記載パターンや誤字脱字等の情報をクレンジングし、欠落箇所を補正することで、顧客企業の営業支援や業務削減に直結する価値の高いコンテンツを提供しています。

収益源として、データの最適化やクレンジング業務の対価を継続的に受け取るストックコミッションモデルを構築しています。これにより、継続的な収益確保を実現しています。本事業の運営は、主にダブルスタンダードが主体となって行っています。

(2) サービス企画開発事業


同事業では、顧客企業の業務プロセスを研究し、ビッグデータ処理で培った情報収集・加工・マッチング技術を活用して新たなサービスを企画立案し導入しています。顧客が必要とするサイトの情報収集やデータクレンジングを通じ、オペレーション改善システム等の構築を支援しています。

収益源として、具現化したサービスの導入による顧客の売上改善や費用削減への貢献に対する報酬をストックコミッションモデルで受領しています。顧客目線のアイディアと技術を融合させたサービスを提供しており、本事業の運営も主にダブルスタンダードが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間において、売上高は概ね70億円前後で推移していましたが、直近の当期は主要顧客との一部取引終了の影響で減収減益となりました。一方で、新規顧客の開拓や既存顧客へのアップセル・クロスセルが順調に進み、取引先件数は大幅に増加しており、収益基盤の再構築に向けた営業活動が継続されています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 71億円 69億円 71億円 80億円 70億円
経常利益 18億円 21億円 23億円 26億円 17億円
利益率(%) 24.7% 30.6% 32.1% 32.6% 24.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 13億円 16億円 22億円 10億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益および営業利益も前期を下回る結果となりました。利益率についても低下傾向が見られますが、引き続き高い水準を維持しており、今後は新たな取引先の拡大とサービス提供の高度化によって、さらなる収益性の回復と向上を目指しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 80億円 70億円
売上総利益 39億円 29億円
売上総利益率(%) 48.4% 41.1%
営業利益 26億円 17億円
営業利益率(%) 32.6% 24.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が5億円(構成比44%)、役員報酬が2億円(同13%)を占めています。また、売上原価においては、通信関係費用が26億円(構成比65%)、外注費が14億円(同34%)と大きな割合を占めています。

(3) セグメント収益


単一セグメントのため、売上高は全社業績と一致しています。主要顧客との取引が概ね終了したことに伴い前期比で減収となりましたが、金融機関等からの案件紹介等を通じた新規商談件数は増加しており、特定取引先への依存度解消と新たな収益の柱の構築が進められています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
WEBマーケティング事業 80億円 70億円
連結(合計) 80億円 70億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」の状態にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 20億円 8億円
投資CF -1億円 -0.2億円
財務CF -10億円 -8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も90.5%といずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


企業としての持続的かつ発展的成長を実現すること、及び市場や技術の変化に先行してイノベーションを巻き起こすサービスを提供することを企業理念としています。既成概念にとらわれず、技術、品質、価格面でイノベーションを実現し、顧客企業の事業の一端を継続サポートできる企業としての成長を目指しています。

(2) 企業文化


「人こそが最大の資産」という理念のもと、多様な価値観を尊重し、個々の能力や個性を最大限に発揮できる環境整備を重視しています。職位や役職にとらわれないオープンなコミュニケーションを促進し、フラットな関係構築を支援するなど、活発なコミュニケーションが行われる風通しの良い職場環境を形成しています。

(3) 経営計画・目標


持続可能な社会の実現と事業成長の両立に向け、サステナビリティや人的資本に関する具体的な中期目標を掲げています。
・2030年度までに温室効果ガス排出量を2024年度比で約30%削減
・管理職に占める女性割合を2030年4月までに12%へ向上
・年次有給休暇取得率を2030年4月までに80%へ向上

(4) 成長戦略と重点施策


既存顧客へのサービス提供の高度化および新規顧客の開拓に取り組むとともに、次期以降の成長を見据えた新サービスの開発と営業活動を推進しています。主要取引先との取引終了に伴う影響を踏まえ、顧客ポートフォリオの見直しを進めており、特定取引先への依存度の解消と新たな収益基盤の再構築に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


企業の持続的な成長を支え革新を牽引する人材育成のため、「多様な人材活躍の仕組み」の構築を進めています。競争力強化に向けた人材戦略やキャリアステージに応じた教育、性別・人種・年齢にとらわれない採用を推進するとともに、社員のエンゲージメント向上とワークライフバランスの実現に向けた環境整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.5歳 4.5年 6,080,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全従業員) 100.0%
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※同社および連結子会社は一部指標について公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める外国人労働者の割合(7.7%)、社員定着率(80.0%)、年次有給休暇取得率(65.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット関連市場の変動リスク

同社の主力事業はインターネット関連市場の動向に依存しており、技術革新のスピードや利用方法の変化、規制の導入などによって市場の拡大が阻害された場合、または景気低迷等により企業のIT投資が抑制された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合他社の参入と競争激化リスク

ビッグデータ・アナリティクス市場やインターネット広告市場などの関係市場における環境変化により、多数の企業の参入による競争激化が予測されます。特に、資本力のある大手企業の参入や全く新しい技術を持った競合他社が出現した場合、同社の競争力や業績に影響を与える可能性があります。

(3) システム開発における委託先リスク

同社は自社で保有しない技術の補完やシステム開発人員の不足を外部委託で対応しています。必要スキルを持つ開発委託先が十分に確保できない場合や、委託先の管理不備により開発の遅延・不具合等が発生した場合、信頼性の低下を招き業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 特定の販売先への依存リスク

同社は特定の主要取引先への依存度が高い状況にあります。新規開拓や既存顧客への拡販を通じて依存度の低下に努めているものの、当面は特定の販売先への売上依存が続くと見られ、当該取引先からの受注が減少した場合には、業績および財政状態に直接的な影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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