※本記事は、ユー・エム・シー・エレクトロニクス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、国内外の有力メーカーから電子回路基板の実装、加工組立製造、開発を受託するEMS事業を主軸としています。高い技術と品質が求められる車載機器、OA機器、産業機器向けの売上比率が高いことが特徴です。
単体従業員数は229名、連結従業員数は5,596名です。セグメントはEMS事業とその他の事業の2つです。
主な国内グループ会社は、当社、UMC・Hエレクトロニクス(日本)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ユー・エム・シー・エレクトロニクスは、多様な人材の採用と育成に力を入れ、従業員の長期的なキャリア形成を支援する方針を示しています。公正な評価と報酬制度を通じて、働きがいのある職場環境づくりを進めていることがうかがえます。また、柔軟な働き方を推進し、従業員が安心して働ける環境整備にも取り組んでいます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
ユー・エム・シー・エレクトロニクスでは、従業員の平均年齢が45.0歳、平均勤続年数が13.3年となっており、経験豊富な人材が長く活躍している傾向が見られます。これは、同社が従業員の定着とキャリア形成を重視していることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,234,524円 |
| 平均勤続年数 | 13.3年 |
| 平均年齢 | 45.0歳 |
| 単体従業員数 | 229人 |
| 連結従業員数 | 5,596人 |
| 単体のグループ内比率 | 4.1% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を採用しています。これらの制度は、同社および国内連結子会社、一部の海外連結子会社に適用されています。退職一時金制度も存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、確定給付制度における退職給付債務は8.1億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ユー・エム・シー・エレクトロニクスは、連結ベースの経営方針と整合した人的資本戦略を推進し、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。人種、性別、年齢にとらわれない多様な人材を継続的に採用し、成長基盤の強化を図る方針です。
報酬制度については、職務内容、能力、成果に加え、業績や外部水準を考慮した公正で透明性の高い処遇制度を構築しています。特に、成果と貢献に応じたメリハリのある報酬体系を整備し、人材の確保と定着を図ることで、従業員のエンゲージメント向上と生産性向上を目指しています。
人材育成では、階層別研修や専門教育を通じて従業員の知識・能力向上を促し、上司との対話や評価・フィードバックにより中長期的なキャリア形成を支援しています。また、従業員エンゲージメント調査を定期的に実施し、働きがいや職場環境の改善に努めています。
職場環境の整備として、育児・介護休業の取得促進教育や、フレックスタイム制、在宅勤務制度の活用を推進し、従業員とその家族が健康で安心して働ける環境づくりを進めています。平均年間給与の増減率を適切に管理・開示することで、従業員への利益還元と処遇改善の状況を明確化するとしています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 9.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の格差(全労働者) | 52.7% |
| 労働者の男女の賃金の格差(うち正規雇用労働者) | 73.1% |
| 労働者の男女の賃金の格差(うちパート・有期労働者) | 89.6% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ UMC・Hエレクトロニクス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の格差(全労働者) | 66.0% |
| 労働者の男女の賃金の格差(うち正規雇用労働者) | 74.5% |
| 労働者の男女の賃金の格差(うちパート・有期労働者) | 87.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ユー・エム・シー・エレクトロニクスは、電子回路基板の実装や加工組立製造・開発を国内外の有力メーカーから受託するEMS(Electronics Manufacturing Service)事業を主軸としています。特に車載機器、OA機器、産業機器向けの売上比率が高いことが特徴です。
同社グループは、開発から部材調達、基板実装、完成品に至るまで、どの拠点でも共通の価値観に基づいたきめ細かなサービスを提供することを強みとしています。車載機器分野では、高い技術力が求められる重要保安部品の生産を手がけ、一度受注すると継続的な取引関係が構築される傾向にあります。産業機器分野も量産開始後の受注量の振幅が少なく、安定した操業に貢献しています。
収益は主にEMS事業から得ており、車載機器、産業機器、OA機器といった製品分野がその中心です。また、人材派遣・製造請負業も手掛けています。
同社グループの事業は国内外に展開しており、日本だけでなく中国、ベトナム、その他アジア、欧米といった地域からも収益を得ています。為替差損の発生も確認されており、為替変動の影響を受ける可能性があります。特定の顧客への売上集中も見られ、株式会社豊田自動織機とキヤノン株式会社が主要な取引先となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績推移を見ると、売上高は前期から減少傾向にあります。経常利益も前期から減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は前期の損失から今期は利益に転換しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期に比べて減少したものの、引き続きプラスを維持しています。これは主に棚卸資産の減少によるものです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,346億円 | 1,617億円 | 1,313億円 | 1,319億円 | 1,127億円 |
| 経常利益 | 20.9億円 | 11.8億円 | 12.3億円 | 16.5億円 | 11.1億円 |
| 経常利益率 | 1.6% | 0.7% | 0.9% | 1.2% | 1.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 15.7億円 | 6.4億円 | 10.2億円 | △25.1億円 | 2.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 55.56 | 22.54 | 36.12 | △90.49 | 8.48 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの収益性と生産性を見ると、従業員1人あたり売上高(連結)は前期から減少しています。従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から減少しており、生産性には改善の余地がある状況です。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 22.3百万円 | 20.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.4百万円 | 0.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ユー・エム・シー・エレクトロニクスグループの財務状況は、本業で資金を生み出しつつも、将来に向けた投資を継続している状況を示しています。フリーキャッシュ・フローはマイナスに転じており、事業拡大のための資金需要があることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から改善傾向にあります。プライム市場の製造業平均と比較すると低い水準ですが、非製造業平均に近い水準となっています。
ROE(自己資本利益率)はプラスに転じましたが、プライム市場平均と比較すると低い水準です。手元資金である現金及び預金は前期から減少しており、今後の資金繰りの動向が注目されます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 153億円 | 171億円 |
| 自己資本比率 | 20.7% | 22.5% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 1.8% |
| 現金及び預金 | 116億円 | 106億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の減少により26億円の収入となりました。前連結会計年度と比較すると減少しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得により43億円の支出となりました。これは前連結会計年度よりも支出が増加していることを示しています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加により6億円の収入となりました。前連結会計年度は支出でしたが、当連結会計年度は収入に転じています。
これらの結果、フリーキャッシュ・フローはマイナスに転じており、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況です。同社グループは将来に向けた投資を継続しており、事業の成長性への期待がうかがえる一方、資金の流動性には注意が必要な状況となっています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 104億円 | 26億円 |
| 投資CF | △37億円 | △43億円 |
| 財務CF | △56億円 | 6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 67億円 | △17億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、連結売上高の8割以上を海外事業が占めており、特に中国及び香港の連結子会社がそのうちの5割を占めています。このため、不安定な政治情勢、不確実な事業環境、法令、人件費の上昇、為替レートの変動など、海外事業展開に伴うリスクが内在しています。
また、株式会社豊田自動織機が筆頭株主であり、当連結会計年度の総売上高の30.0%が同社からの生産受託となっています。取引先企業の生産変動や生産拠点戦略の変更が、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
海外での事業展開において、特に中国における社会保障など、従業員にとって関心が高まりつつある課題があります。これらのリスクが顕在化した場合、費用の増加や業務の混乱等を生じさせ、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ユー・エム・シー・エレクトロニクスは、「心のこもった製品をおとどけします」という社是を礎に、顧客からの信用と持続的な成長を追求する企業です。日系最大級のEMS企業として、品質、価格、納期、サービスの全てにおいて業界No.1を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「心のこもった製品をおとどけします」という社是を経営の基本方針としています。日系最大級のEMS(電子機器受託製造サービス)企業として、業界No.1のQCDS(品質、価格、納期、サービス)を目指しています。
開発や部材調達から基板実装、完成品に至るまで、どの拠点においても共通の価値観のもと、きめ細かなサービスを提供することを基本方針としています。EMS業界において、顧客からの信用を得ながら持続的に成長するためには、営業利益率の向上が重要であると考えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは社是である「心のこもった製品をおとどけします」を礎に、4つの方針を掲げています。具体的には、コンプライアンス推進、従業員の安全と満足度向上、企業価値の向上、そして全てのステークホルダーへの貢献です。
気候変動をはじめとする地球規模の環境問題への配慮、人権の尊重、従業員を含む全てのステークホルダーへの公正・適正な事業活動を重視しています。これらを社会や企業のサステナビリティを巡る課題解決と捉え、事業機会として取り組むことを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中長期的な需要増加が見込まれる一方で、主要拠点である中国子会社の損益悪化という課題に直面しています。中国市場の状況に合わせた生産体制および管理体制の再構築を進めています。
その検討にあたっては、中国現地の税制、法令、従業員の社会保障等も勘案し、引き続き同社グループを支える拠点となるべく再構築する方針です。サプライチェーンの維持・強化を図り、あらゆるロスの削減・撲滅に注力し、強みを伸長させることで中長期的な持続的成長を見据えた収益の柱を強固なものとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ユー・エム・シー・エレクトロニクスは監査等委員会設置会社であり、経営の監督機能と業務執行機能の役割を明確にしています。取締役会は経営に関する重要事項を審議・決定し、業務執行を監視監督する体制です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成は、事業会社が上位を占める特徴があります。筆頭株主は株式会社豊田自動織機であり、安定的な資本構成を形成していることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 豊田自動織機 | 34.61% |
| アイシン | 7.80% |
| ネクスティエレクトロニクス | 7.80% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は大年浩太氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大年 浩太 | 取締役社長(代表取締役) | 1983年4月 株式会社豊田自動織機製作所(現株式会社豊田自動織機)入社。2006年6月 同社エレクトロニクス事業部技術部長、2014年6月 同社執行役員、2018年6月 同社社外取締役、2021年4月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 谷口 芳邦 | 取締役(執行役員) | 1983年4月 ソニー株式会社生産技術本部入社。2014年4月 株式会社豊通エレクトロニクス入社TAQSセンター長。2017年4月 株式会社ネクスティエレクトロニクス発足に伴い品質担当執行役員。2023年9月 UMC Electronics Vietnam Limited取締役社長、2024年6月 同社取締役執行役員より現職。 |
社外取締役は、佐々木卓夫氏(元豊田自動織機取締役副社長)、尾関純氏(公認会計士尾関会計事務所代表・監査等委員)、中村克己氏(国広総合法律事務所パートナー弁護士・監査等委員)、中野俊夫氏(日立情報通信エンジニアリング代表取締役社長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役6名中4名が社外取締役で構成されています。社外取締役比率は16.7%であり、企業経営全般について助言を行うとともに、業務執行機関に対する取締役会の監視・監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、業務執行取締役に対しては固定報酬である基本報酬と業績連動報酬、非金銭報酬で構成されています。社外取締役に対しては基本報酬のみを支給する方針です。業績連動報酬が報酬全体に占める割合は、約14%~37%の範囲内とされています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 43百万円 | 21.5百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 3名 | 15百万円 | 5.0百万円 |
| 社外役員 | 1名 | 3百万円 | 3.0百万円 |
役員報酬の総額は61百万円であり、対象となる役員の人数は6名です。個人別報酬については、報酬等の総額が1億円以上の役員が存在しないため開示されていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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