※本記事は、株式会社イワキ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、化学薬品等の薬液移送に用いられるケミカルポンプ及び関連機器の開発、製造、販売を主たる事業としています。半導体、医療、水処理、新エネルギーなど幅広い産業分野で、危険な化学薬液の安全な移送を最大の使命としています。
単体従業員数は790名、連結従業員数は1,146名です。セグメントはケミカルポンプ事業の1つです。
国内においてはイワキが生産・販売を一手に担い、海外14社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
なお、同社グループでは、IWP Holding Company Limitedが2025年8月22日に清算結了しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社イワキは、ケミカルポンプ事業を基盤とする企業であり、従業員の平均勤続年数や平均年齢から、長期的なキャリア形成が期待できる安定した職場環境がうかがえます。同社では、専門性を高めながら腰を据えて働くことが可能な環境が整備されていると考えられます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、安定した環境でキャリアを築いている人材が多い傾向が見られます。これは、従業員が長期にわたって働き続けられるような職場環境が整っていることを示唆しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,977,371円 |
| 平均勤続年数 | 18.5年 |
| 平均年齢 | 42.9歳 |
| 単体従業員数 | 790人 |
| 連結従業員数 | 1,146人 |
| 単体のグループ内比率 | 68.9% |
同社グループは、従業員の退職給付制度として、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方を採用しています。これらの制度は、当社及び連結子会社に適用されます。
退職一時金制度も設けられており、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
なお、当連結会計年度末における退職給付債務は45.2億円、年金資産は66.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、「持続可能な成長への基盤づくり」と「マテリアリティの実現」に向けて、事業環境の変化に柔軟に対応できる人材と高い専門性を持つ人材の確保・育成・活用を推進しています。役割と責任の明確化、多様なキャリアパスの整備を通じて、個々の能力発揮を最大化し、中長期的な企業価値向上を支える人材基盤の強化に取り組む方針です。
従業員の給与は、職務内容、担う役割、能力、経験、業績などを総合的に考慮し、公正かつ合理的に決定されています。月例給与は役割と能力に基づいた安定的な支給を基本とし、昇給や昇格は能力の伸長や役割の変化に応じて判断されます。賞与では事業成果や個人の成果が反映され、短期的な成果だけでなく中長期的な役割発揮とのバランスも考慮した処遇設計が行われています。
また、ダイバーシティ経営を基本方針として掲げ、多様な能力と個性を持つ社員が柔軟な発想と行動力を発揮できるよう、待遇、採用、環境面を整備し、人材の確保・育成を通じて企業価値の向上を目指しています。具体的には、男性の育児休業取得を支援し、性別に関わらず家事や育児に参画しやすい環境を整備しています。社員のキャリアと能力開発の機会提供にも注力し、特に女性のキャリアアップに向けた教育・育成への投資を積極的に行い、多様な人材の確保に努めています。健康経営も推進しており、「従業員の健康を第一とし、安全な職場、働きやすい環境を提供する」ことを基本方針としています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。なお、男女賃金差異におけるパート・有期労働者のうちパートタイマーには男性従業員がいないため、比較ができません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 全管理職のうちの女性管理職の割合 | 0.6% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 57.9% |
| 男女の賃金差異(全労働者) | 55.5% |
| 男女の賃金差異(うち正規雇用労働者) | 67.8% |
| 男女の賃金差異(うちパート・有期労働者) | 46.1% |
ダイバーシティ経営の指標と目標
提出会社単体の任意開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性育児休業取得率 | 57.9% |
| 男性育児休業取得者における7日以上(土日祝祭日含む)休業の取得率 | 90.9% |
| 社員の育成、教育、キャリアアップに係る投資額の年間成長率 | 11.4% |
| 女性のキャリア開発に係る研修等の実施回数 | 25回 |
健康経営の指標と目標
提出会社単体の任意開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 育児・介護休業後の復帰率 | 100.0% |
| 平均勤続年数差異(女性平均勤続年数/男性平均勤続年数) | 105.8% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
イワキは、ケミカルポンプとその周辺機器の開発、製造、販売、および関連サービスを一貫して手掛ける企業です。幅広い産業分野の顧客に対して、流体制御のソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
イワキグループは、ケミカルポンプ事業を単一セグメントとして展開しています。化学薬品などの薬液移送に用いられるケミカルポンプや、ポンプ専用コントローラなどの周辺機器の開発、製造、仕入、販売を主な事業としています。これに加えて、製品の修理やアフターサービス、設置工事も行い、顧客のニーズに多角的に応えています。
同社グループの製品は、半導体や液晶、化学、電子部品、水処理、食品、製紙、医療、さらには太陽電池や燃料電池、二次電池といった新エネルギー分野まで、非常に幅広い産業分野で活用されています。特に、危険を伴う化学薬液を安全に移送することが最大の使命であり、腐食しない樹脂材料の使用や薬液が漏れない構造の採用に注力しています。また、高温化対応や高レベルのクリーン度要求にも応える製品開発を進めています。
収益は、これらのケミカルポンプおよび関連製品の販売、そして修理やメンテナンスサービスから得ています。同社グループは、国内に13の支店・営業所と全国に及ぶ販売代理店網を持ち、海外では15ヶ国に19社の関係会社を設立し、グローバルな販売・サービス網を構築しています。
当連結会計年度においては、国内の医療機器市場が好調に推移し、海外では米国の水処理市場、欧州の化学市場、アジア地域の半導体・液晶市場、中国の半導体・液晶市場がそれぞれ伸長しました。製品別では、主力製品であるマグネットポンプが各市場の順調な需要を背景に売上を牽引しています。特定の顧客への売上高が連結売上高の10%以上を占めることはありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
イワキグループの連結業績は、過去5期間にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向にあります。特に直近の期間では、売上高が堅調に伸び、それに伴い経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も着実に成長を続けています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 324億円 | 377億円 | 445億円 | 458億円 | 477億円 |
| 経常利益 | 29.9億円 | 37.5億円 | 62.2億円 | 65.2億円 | 67.2億円 |
| 経常利益率 | 9.2% | 9.9% | 14.0% | 14.2% | 14.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 24.0億円 | 42.6億円 | 44.6億円 | 44.7億円 | 48.4億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 109.37 | 193.94 | 202.32 | 202.15 | 218.14 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
イワキグループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。これは、連結売上高の伸長が従業員数の増加を上回ったことを示しており、組織全体の効率性が向上している傾向が見られます。従業員1人あたり営業利益(連結)は前期から横ばいで推移しており、安定した収益創出能力を維持していることがうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 40.8百万円 | 41.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.2百万円 | 5.2百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
イワキは、本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いながら財務基盤を強化している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
イワキの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)の両面で安定性を示しています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回る水準で推移しており、強固な財務体質がうかがえます。
ROEもプライム市場平均を上回る水準を維持しており、効率的な経営によって利益を生み出していることが分かります。手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、不測の事態への耐性も備えている状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 381億円 | 415億円 |
| 自己資本比率 | 70.0% | 74.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 12.6% | 12.2% |
| 現金及び預金 | 88.0億円 | 99.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
イワキの営業活動によるキャッシュフローは、当連結会計年度において52.5億円の増加となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、当連結会計年度において△33.9億円の減少となりました。これは主に、有形及び無形固定資産取得による支出が増加したことによるものです。
財務活動によるキャッシュフローは、当連結会計年度において△12.8億円の減少となりました。これは主に、配当金の支払額によるものです。
これらの結果、フリーキャッシュフローは18.7億円のプラスとなっており、本業で安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いつつ、手元資金を確保している状況です。これにより、事業の持続的な成長と雇用・給与の安定性が期待できる財務状況を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 34.6億円 | 52.5億円 |
| 投資CF | △7.8億円 | △33.9億円 |
| 財務CF | △18.8億円 | △12.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 26.8億円 | 18.7億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの業績は、半導体や液晶パネル製造プロセス、化学製品などの市況変動に左右される傾向があります。これらの市場環境が悪化した場合、受注の悪化や在庫の滞留などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外での事業展開においては、海外市場の変化や競合状況、米国の関税政策の動向などが、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
株式会社イワキは、ケミカルポンプを中心とした流体制御機器を通じて社会に貢献する企業グループです。持続可能な社会の実現と企業価値向上を目指し、明確なビジョンと価値観を掲げています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
イワキグループは、「常に最前線で産業を支え、社会の発展と人々の幸福に寄与する。」という経営理念を掲げています。世界中のあらゆる場所でケミカルポンプを中心とした流体制御機器を提供し、社会に価値を提供しています。
長期ビジョン「イワキグループビジョンNEXT10」では、「これからの暮らしの流れを支える Aid daily life globally, evolving for future needs.」をありたい姿としています。事業活動を通じて世界中のIWAKIファンを増やし、持続可能な世の中づくりに貢献することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
イワキグループは、経営理念を実現するための基盤として「イワキグループ サステナビリティ基本方針」を定めています。環境課題・社会課題の解決に貢献する製品・サービスの提供、環境負荷の低減、すべての人の人権尊重を重視しています。
また、多様な人材が安心・安全・健康に活躍できる基盤の整備、法令・社会規範の遵守、公正・透明な経営の推進、ステークホルダーの声への誠実な対応も大切にしています。人的資本経営においては、多様な能力と個性を持つ社員が柔軟な発想と行動力を発揮できるよう、待遇・採用・環境面を整備し、人材の確保・育成を通じて企業価値向上に取り組むことを基本方針としています。従業員の健康を第一とし、安全で働きやすい環境を提供することも重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
イワキグループは、長期ビジョン「NEXT10」の達成に向け、6つの重要テーマを掲げています。具体的には、海外市場における水処理ニーズへの貢献拡大や、水素をはじめとした次世代エネルギー社会づくりへのチャレンジを進めています。
また、グローバル製品の企画、グローバル調達の拡大、DXによる生産性・働きやすさ向上、ESG経営の推進にも取り組んでいます。製品の安定供給体制の確保や、事業拡大を担う人材の確保・育成、その力を十分に発揮できる環境づくりも喫緊の経営課題として認識し、人材基盤の強化を図っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
イワキは、株主や従業員をはじめとするステークホルダーへの社会的責任を果たすとともに、企業価値向上を重視した経営を推進しています。コンプライアンスと内部統制の強化をコーポレート・ガバナンスの基本方針としています。同社グループは、より効率的で透明性の高い経営を推進していくために、企業統治の体制や仕組みをさらに整備し高めていくことが必要であると考えています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
イワキの株主構成を見ると、筆頭株主はCHARON FINANCE GMBHという機関投資家です。また、藤中ホールディングスや代表取締役社長の藤中茂氏をはじめとする藤中氏関連の株主が上位に複数名を連ねています。創業家およびその関連会社が同社の主要株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| CHARON FINANCE GMBH | 14.83% |
| 藤中ホールディングス | 12.17% |
| 藤中 茂 | 8.37% |
| 藤中 留美 | 7.78% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 6.71% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
イワキの役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は藤中茂氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤中 茂 | 代表取締役社長 | 1989年に同社に入社後、技術本部企画推進部長、取締役経営企画室室長、常務取締役、専務取締役を経て、2009年2月より代表取締役社長を務めています。 |
| 打田 秀樹 | 専務取締役 | 1981年に同社に入社後、執行役員国内営業本部副本部長、取締役製品企画本部長、常務取締役などを歴任し、2020年6月より専務取締役・事業統括担当を務めています。 |
社外取締役は、茅原敏広氏(元三浦工業常務取締役技術開発本部長)、富安貴子氏(日本エンバイロ工業営業本部長兼営業企画本部長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会は4名中2名が社外取締役で構成されています。社外取締役は、技術関連の経験や事業会社役員としての見識に基づき、監督及び助言を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
イワキの役員報酬は、取締役会で決定方針を決議し、経営諮問委員会への諮問を経て決定されています。取締役(社外取締役を除く)の報酬は、基本報酬、業績連動報酬、非金銭報酬(譲渡制限付株式報酬)で構成されており、業績連動報酬と非金銭報酬の割合を50%まで増やす方針です。社外取締役および監査役の報酬は月額基本報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役 | 4名 | 4.0億円 | 1.00億円 |
| うち社外取締役 | 2名 | 16百万円 | 8.0百万円 |
| 監査役 | 4名 | 60百万円 | 15.0百万円 |
| うち社外監査役 | 2名 | 15百万円 | 7.5百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は、藤中茂氏(2.41億円)、打田秀樹氏(1.43億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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