※本記事は、株式会社アクアライン の有価証券報告書(第30期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アクアラインってどんな会社?
水まわりの緊急トラブル対応やリフォーム紹介を行う「水まわりサービス支援事業」を主力とする企業です。
■(1) 会社概要
1995年に広島市で設立し、水まわりの緊急修理サービスを開始しました。2015年に東証マザーズへ上場を果たします。2021年の行政処分を受け、直営によるサービス提供から加盟店支援へビジネスモデルを転換しました。2024年には祖業の一つであるミネラルウォーター事業を譲渡するなど、事業再編を進めています。
同グループの従業員数は連結64名、単体48名です。筆頭株主は同社との業務提携先であるジャパンベストレスキューシステムで、第2位は投資事業やシステム開発を行うクシムインサイト、第3位は創業者で代表取締役社長の大垣内剛氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ジャパンベストレスキューシステム | 19.94% |
| クシムインサイト | 19.08% |
| 大垣内 剛 | 15.22% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名、計7名で構成され、女性役員比率は29.0%です。代表取締役社長は大垣内剛氏です。社外取締役比率は14.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大垣内 剛 | 代表取締役社長 | 1995年有限会社アクアライン設立、以後代表取締役を務める。リモデルコンシェルジュ社長等を歴任し、2022年より生活救急車代表取締役も兼任。 |
| 加藤 伸克 | 取締役副社長経営企画部長 | クラシアンを経て2002年入社。業務部長、法人営業部長、経営企画部長等を歴任し、2018年より現職。 |
| 谷上 淳子 | 取締役加盟店営業部長 | ココラホーム等を経て2000年入社。業務部長、営業部長等を歴任し、2021年より現職。 |
社外取締役は、小森光嘉(石嵜・山中綜合法律事務所パートナー弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「水まわりサービス支援事業」、「広告メディア事業」および「ミネラルウォーター事業」を展開しています。
■水まわりサービス支援事業
キッチン、トイレ、浴室等の水まわりトラブルの緊急修理や、器具の販売・取付、リフォームプランの紹介などを提供しています。主な顧客は全国の一般家庭や店舗です。
収益は、加盟店に対する支援サービスの対価として得ています。自社コールセンターで顧客からの依頼を受け付け、加盟店に業務を紹介する通信販売方式を採用しており、運営は主にアクアラインが行っています。
■広告メディア事業
生活救急サービスを検索できるポータルサイト等の広告販売を行っています。主にタウンページを中心に広告掲載を行い、鍵・水回り・ガラス等の生活トラブルに対応する加盟店の集客を支援しています。
収益は、広告掲載による販売収入です。運営は連結子会社の生活救急車が行っています。
■ミネラルウォーター事業
ナチュラルミネラルウォーターの販売や、ウォーターディスペンサーの取り扱いを行っていました。2024年6月に河上薬品商事へ事業譲渡を行い、同事業からは撤退しています。
収益は、ペットボトル製品やサーバー向けウォーターの販売代金でした。運営はアクアラインが行っていました。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は直近5期間で減少傾向にあり、特に当期は事業譲渡の影響等で大きく減少しています。損益面では5期連続で経常損失および当期純損失を計上しており、厳しい経営状況が続いています。
| 項目 | 2021年2月期 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 60億円 | 52億円 | 46億円 | 48億円 | 35億円 |
| 経常利益 | -4.4億円 | -5.6億円 | -2.1億円 | -3.3億円 | -3.9億円 |
| 利益率(%) | -7.3% | -10.7% | -4.5% | -6.8% | -11.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -6.5億円 | -5.9億円 | -3.2億円 | -3.7億円 | -3.5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が減少する中、売上総利益率の改善は見られず、営業損失が拡大しています。販管費の負担が依然として重く、収益構造の改善が課題となっています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 48億円 | 35億円 |
| 売上総利益 | 20億円 | 16億円 |
| 売上総利益率(%) | 40.7% | 45.3% |
| 営業利益 | -3.5億円 | -4.0億円 |
| 営業利益率(%) | -7.2% | -11.5% |
販売費及び一般管理費のうち、販売手数料が11億円(構成比57%)、給料手当が2億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
水まわりサービス支援事業は集客や成約率の低迷により減収となり、赤字が継続しています。広告メディア事業も減収減益となりました。ミネラルウォーター事業は期中に譲渡されましたが、営業黒字を維持していました。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 水まわりサービス支援事業 | 28億円 | 25億円 | -4.2億円 | -4.2億円 | -16.5% |
| 広告メディア事業 | 4.4億円 | 3.4億円 | -0.6億円 | -0.8億円 | -23.1% |
| ミネラルウォーター事業 | 16億円 | 5.9億円 | 1.3億円 | 0.5億円 | 9.0% |
| 連結(合計) | 48億円 | 35億円 | -3.5億円 | -4.0億円 | -11.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
アクアラインは、事業譲渡による収入が投資活動によるキャッシュ・フローを大きく増加させた一方、営業活動では事業譲渡損益や税金等調整前当期純損失の計上により資金が減少しました。財務活動では、短期借入金の増加と長期借入金・リース債務の返済により資金が減少しています。これらの活動の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は増加しました。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.3億円 | -4.0億円 |
| 投資CF | -1.4億円 | 5.2億円 |
| 財務CF | 1.0億円 | -1.1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「時代と共に歩み、お客様から学び、従業員と共に成長します」という経営理念のもと、生活に欠かせない「水」から「住」へをテーマに、住環境の充実や生活の質の向上に貢献することを使命として事業を展開しています。
■(2) 企業文化
「すべての人の「FIRST BEST」に」を経営スローガンとして掲げています。法令遵守やリスク管理を重視し、お客様、取引先、従業員、社会及び株主等のステークホルダーから真に信頼され、評価される企業を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
現在、安定的な事業運営と更なる成長を目指していますが、具体的な中短期の数値目標は記載されていません。不適切会計問題への対応や内部管理体制の再構築を優先しつつ、事業収支の改善に取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後は、コスト競争力の強化や、ストックビジネス強化による収益安定化(未然防止サービスの導入など)を推進する方針です。また、不適切な会計処理を受けたコンプライアンス体制の再構築、管理部門の人材拡充、ガバナンス強化を最優先課題とし、信頼回復と持続的な成長基盤の構築に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業競争力強化のため、優秀な人材の確保および育成が必要不可欠と認識しています。計画的に新卒・中途採用を実施するとともに、社内教育・研修制度の拡充により、継続的な業務知識やスキルの習得を支援し、マネジメント人材の育成にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 40.6歳 | 5.1年 | 3,988,000円 |
※平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、産前産後休業・育児休業復帰率(100%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 営業の支店をもたない販売体制について
同社は地域ごとに営業所を設置せず、サービススタッフが自宅から現場へ直行直帰する体制をとっています。これにより固定費を抑制できる一方、スタッフ一人一人の技術や行動の管理、コンプライアンスの統制が難しくなる側面があります。不祥事等が発生した場合、同社の信用失墜につながる可能性があります。
■(2) 加藤店ビジネスモデルについて
水まわりサービス支援事業において、同社社員ではなく加盟店スタッフがサービスを提供するビジネスモデルを採用しています。加盟店は独自の経営を行っているため、同社の管理が細部まで行き届かない可能性があり、加盟店でのトラブル等が同社の業績や評判に悪影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 継続企業の前提に関する重要事項等について
同社グループは営業損失および当期純損失を継続して計上しており、当期末時点で債務超過の状態にあります。これらにより継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。事業収支の改善と資金繰りの安定化に努めていますが、現時点では重要な不確実性が認められます。
■(4) 東京証券取引所による特別注意銘柄への指定について
不適切な会計処理等により、2025年1月から原則1年間、特別注意銘柄に指定されています。指定期間終了後に内部管理体制等が適切に改善されたと認められない場合、上場廃止となる可能性があります。また、上場契約違約金の支払い義務も生じています。



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