※本記事は、SMN株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
SMNは、「情報通信技術の進歩を人に優しいかたちにして、愉快なる未来を創る」というミッションのもと、ビッグデータ処理、人工知能、金融工学の3つのコアテクノロジーを源泉としたマーケティングテクノロジー事業を展開しています。DSP「Logicad」を中心とするアドテクノロジー、マーケティングソリューション、デジタルソリューション、その他を主要サービスとしています。
単体従業員数は151名、連結従業員数は240名です。同社グループの事業セグメントはマーケティングテクノロジー事業の単一です。
主な国内グループ会社は、(親会社)ソニーネットワークコミュニケーションズ(インターネット接続サービス)、(親会社)ソニー、(親会社)ソニーグループ(電気・電子機械器具の製造、販売)などです。
前連結会計年度において、ルビー・グループの全株式を譲渡したため、連結の範囲から除外しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
SMNは、インターネット広告サービスを主軸とする企業として、専門性の高い人材を重視する傾向が見られます。給与水準や働き方に関する情報は、同社グループがどのような人材を求め、どのように育成し、評価しているかを示す重要な要素です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
SMNの従業員の平均勤続年数や平均年齢からは、特定の年齢層に偏らず、多様なキャリアを持つ人材が活躍している様子がうかがえます。従業員の定着感や年齢構成の傾向を把握する上で、これらの数値は参考となるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,524,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.8年 |
| 平均年齢 | 37.0歳 |
| 単体従業員数 | 151人 |
| 連結従業員数 | 240人 |
| 単体のグループ内比率 | 62.9% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
SMNグループは、「中期経営計画2026-2028」において、AIやデータ、独自プラットフォームを核とした「事業成長インフラ」への転換を目指しており、これに連動した人材戦略を推進しています。特に、AIおよびデータ活用等の高度な専門性を有する人材と、自ら課題を定義し事業価値を創出できる「自律・能動型人材」の確保と育成を最重要課題と位置付けています。人的資本への投資を将来の価値創造に向けた「成長投資」と捉え、採用の量ではなく人材の質と生産性を高めるモデルへと移行し、従業員の自律的な挑戦を支援する環境を整備しています。
知識・技術の習得支援として、AIやデータ活用に関するリスキリングを積極的に支援し、競争優位の構築を図っています。また、AI活用による業務効率化で創出された時間を成長領域に再配分し、組織全体の生産性向上とイノベーションを誘発する方針です。給与等の決定においては、経営戦略の実現に必要な人材を惹きつけ、中長期的な企業価値向上に向けた従業員の自律的な挑戦を促すため、職務における役割・成果を適切に反映した処遇と、市場競争力のある給与水準を確保することを基本方針としています。
基本給は、各従業員が発揮する専門性や役割に基づき決定され、特に高度な知識・技術を有する人材には適正な処遇を実施しています。賞与は、中期経営計画の業績目標達成度と個人の成果を連動させることで、業績向上への意欲を高める制度設計です。中長期的インセンティブとして、中核従業員に対しては譲渡制限付株式等の株式報酬制度を活用し、経営戦略との連動性を高めています。給与水準は、外部の報酬調査データや業界水準、マクロ経済の動向を踏まえて競争力のある水準に設定されており、透明性のあるプロセスを経て審議・決定されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は、育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 10.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 77.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 78.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | - |
多様性・登用
SMNグループは、サステナビリティに関するマテリアリティとして「ダイバーシティの尊重」を掲げています。人材の多様性の確保に向け、グレード・役割別研修と職種別研修を組み合わせた育成を進めています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職数 | 4人 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
SMNは、ビッグデータ処理、人工知能、金融工学のコアテクノロジーを基盤に、デジタルマーケティング領域で事業を展開しています。クライアントのデジタルマーケティング活動を支援し、愉快な未来を創造することを目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは「マーケティングテクノロジー事業」の単一セグメントで事業を展開しています。主要なサービスはアドテクノロジー、マーケティングソリューション、デジタルソリューション、その他の4つに大別されます。
主力サービスであるアドテクノロジーでは、DSP「Logicad(ロジカド)」を中心とした広告配信サービスを提供しています。自社開発のAIを活用したターゲティングや入札最適化機能、大規模な広告配信リクエストを高速かつ安定的に処理する基盤が特徴です。また、デジタルハウスエージェンシーとして、クライアントのデジタルマーケティング活動の内製化と高度化を支援しています。
マーケティングソリューションでは、連結子会社のSMTがクローズド型アフィリエイトサービス「SCAN(スキャン)」を提供しています。厳選された媒体に限定した広告掲載を通じて、広告品質の管理と効率的な広告出稿を支援しています。デジタルソリューションは、連結子会社の株式会社ASAによるWebサイトやモバイルアプリケーションなどのデジタルコンテンツ制作・開発、およびSMNによるテレビCMメタデータの販売などを含みます。
その他の事業としては、テレビ番組表ポータル「テレビ王国」の広告枠販売や、キャラクター「PostPet」のライセンス事業、IPプロデュース事業などを行っています。同社グループの収益は主に顧客との契約から生じるものであり、その多くは一時点で移転される財から認識されています。親会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は主要な顧客の一つであり、当連結会計年度の売上高の35.4%を占めています。また、同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が90%を超えており、国内市場が中心となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期の業績を見ると、売上高は増減を繰り返しながらも、直近の当連結会計年度では増加傾向を示しています。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、過去に損失を計上した期もありましたが、直近2期は黒字を確保し、当連結会計年度では大幅な増益となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、過去5期にわたり継続的にプラスを維持しており、本業で安定した資金を創出している傾向が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 134億円 | 114億円 | 93.4億円 | 116億円 | 123億円 |
| 経常利益 | 90百万円 | △14百万円 | 96百万円 | 1.7億円 | 5.4億円 |
| 経常利益率 | 0.7% | △0.1% | 1.0% | 1.4% | 4.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △2.3億円 | △1.2億円 | △10.3億円 | 2.9億円 | 4.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △17.44 | △8.30 | △70.79 | 20.03 | 29.76 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して当期に増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から大きく増加しました。これらの指標の改善は、同社グループの事業効率が向上していることを示唆しており、組織全体の生産性が高まっている傾向が見られます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 49.7百万円 | 51.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.0百万円 | 2.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
SMNは、財務の安定性を示す指標において堅実な状況を示しています。本業で得た資金を適切に活用し、安定した財務基盤を築いていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
SMNは、強固な財務基盤を維持しています。自己資本比率は67.3%と、プライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しており、財務の健全性がうかがえます。ROE(自己資本利益率)も10.4%と、プライム市場平均を上回る水準で推移しています。手元資金である現金及び預金も31.9億円と潤沢であり、事業運営における安定性が確保されている状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 39.8億円 | 44.1億円 |
| 自己資本比率 | 66.7% | 67.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.6% | 10.4% |
| 現金及び預金 | 24.8億円 | 31.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
SMNのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、健全な財務活動を行っている状況を示しています。当期における営業活動によるキャッシュフローは12.0億円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上や減価償却費、売上債権の減少、仕入債務の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、ソフトウエア等の無形固定資産の取得や有形固定資産の取得により、△4.8億円の支出となっています。これは将来に向けた事業基盤の強化や技術投資を継続していることを示しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済により△12百万円の減少となりました。
営業活動によるキャッシュフローが投資活動による支出を上回っており、フリーキャッシュフローは7.2億円のプラスとなっています。これは、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金がある状態を示しており、安定した事業運営と成長への投資余力があることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 13.2億円 | 12.0億円 |
| 投資CF | △1.0億円 | △4.8億円 |
| 財務CF | △11.8億円 | △12百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 12.2億円 | 7.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業は、インターネット広告市場の景気変動や技術革新、顧客ニーズの変化に影響を受けやすい傾向があります。また、競合他社の新規参入や市場環境の変化により、競争が激化する可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業展開において技術力を持つ人員やサービスの販売・運用調整を行う人員の確保が重要であると認識しています。インターネット関連ビジネスは人材の流動性が高いため、必要な人材を十分に確保できないリスクがあることを示しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
SMNは、情報通信技術の進歩を人に優しいかたちにし、愉快な未来を創造するというミッションを掲げています。最先端のデータサイエンスとビッグデータを活用し、クライアントのデジタルマーケティング領域の課題解決を目指す企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「情報通信技術の進歩を人に優しいかたちにして、愉快なる未来を創る」というミッションを掲げています。ビッグデータ処理、人工知能、金融工学の3つのコアテクノロジーを軸に、発想力と技術力を磨き、新しい事業を次々生み出すことを目指しています。
「最先端のデータサイエンスとビッグデータを駆使してクライアントのデジタルマーケティング領域の課題を解決する総合デジタルマーケティングテクノロジー企業」となることを目指す姿としています。AI・データ・プラットフォーム・コンサルティングといったコア・コンピタンスを活用・拡大し、ソニーグループとの連携を深化させることで、持続的な企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、発想力と技術力を重視し、新しい事業を継続的に生み出すことに尽力しています。サステナビリティ経営を経営上の重要課題と認識し、サステナビリティ委員会を中心としたガバナンス体制を構築しています。
健全なインターネット広告市場の発展、技術力と発想力を持つ人材の獲得・能力開発・キャリア形成支援の強化をマテリアリティとしています。また、ライフステージに応じた働き方を実現できる環境やダイバーシティの尊重も重視しています。性別、国籍、新卒・中途など特定の属性に依存せず、能力重視での採用活動を行い、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境整備に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、マーケティングテクノロジーにおける技術革新への適応を重要な課題としています。生成AIの台頭やAIエージェントの浸透に対応し、大規模データ処理技術や広告配信AI技術、生成AI活用の知見を融合した機能の高度化を進めています。
プライバシー規制強化への対応とデータ利活用戦略の推進も重点テーマです。法令・規制への対応とデータガバナンスの強化を徹底し、多様なデータ連携を通じて広告配信ターゲティングや効果分析の精度向上に取り組んでいます。
また、技術進化を牽引する専門人材の育成と組織基盤の強化も重要な課題です。人的資本への投資を成長投資と位置付け、エンジニア、データサイエンティスト、マーケティングコンサルタント等の専門人材の採用・育成を強化しています。研修制度やキャリア開発支援の拡充、AI活用による業務効率化を通じて、一人当たり生産性の向上と企業価値向上に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社グループは、経営の透明性を高め、効率的な企業運営を行うためコーポレート・ガバナンスの施策を実施しています。取締役会と監査等委員会を設置し、経営の健全性、透明性及びコンプライアンスの向上に取り組んでいます。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの筆頭株主はソニーネットワークコミュニケーションズであり、事業会社が主要な株主として経営を支えています。また、読売新聞東京本社も上位株主として名を連ねており、特定の事業会社グループが経営に影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ソニーネットワークコミュニケーションズ | 53.74% |
| 読売新聞東京本社 | 4.95% |
| 吉川直樹 | 3.70% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役執行役員社長は原山直樹氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 原山 直樹 | 代表取締役 執行役員社長 | 1991年4月沖電気工業株式会社入社、2001年2月ソニーグループ株式会社入社。ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社を経て、2023年2月同社執行役員副社長、2024年4月同社代表取締役社長より現職。 |
| 安田 崇浩 | 取締役 執行役員 | 2002年4月ソニー株式会社入社、ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社出向・転籍。2012年2月同社出向、2015年1月同社転籍。2020年4月同社執行役員、2024年6月同社取締役より現職。 |
| 小笠原 康貴 | 取締役 | 1996年4月日本電信電話株式会社入社、2001年5月ソニー株式会社入社。ソネット株式会社出向。ソニービズネットワークス株式会社取締役、代表取締役社長を経て、2025年6月同社取締役より現職。 |
社外取締役は、本間俊之氏(株式会社ササキスポーツ経理部副部長・常勤監査等委員)、吉村正直氏(元ソニーネットワークコミュニケーションズ常勤監査役・監査等委員)、相内泰和氏(元ソニーネットワークコミュニケーションズ監査役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会による経営の意思決定と、監査等委員会による監査・監督機能が明確に分かれています。監査等委員会は全員が社外取締役で構成されており、独立した立場から経営の健全性確保に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社では、役員の報酬について、指名報酬委員会での審議を経て決定する方針を採用しています。報酬は基本報酬、業績連動報酬、株式報酬で構成されており、各期の業績や役割、会社への貢献度を考慮して決定されます。監査等委員である取締役の報酬は、監査等委員の協議のもと決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 68百万円 | 33.8百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 22百万円 | 7.4百万円 |
なお、報酬等の対象となる員数には、在任している無報酬の取締役1名が除かれています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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