バーチャレクス・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

バーチャレクス・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証グロース市場に上場し、CRM領域に特化したコンサルティング、テクノロジー、アウトソーシングを一気通貫で提供しています。顧客接点の最適化を強みとしていますが、直近の業績は売上高65億円、経常利益1.9億円で前期比減収減益となり、当期純損失を計上するなど収益性の改善が課題となっています。


※本記事は、バーチャレクス・ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第27期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. バーチャレクス・ホールディングスってどんな会社?


CRM領域に特化し、コンサルティング、ITシステム、アウトソーシングをワンストップで提供する企業グループです。

(1) 会社概要


1999年にバーチャレクスとして設立され、CRM関連サービスを開始しました。2016年に東証マザーズへ上場し、2017年には持株会社体制へ移行して現社名となりました。その後、タイムインターメディアの子会社化などを経て事業領域を拡大し、2022年の市場区分見直しに伴い東証グロース市場へ移行しています。

連結従業員数は380名、単体従業員数は3名です。筆頭株主は事業会社で提携先のシンプレクス、第2位は創業者の丸山栄樹氏、第3位は光通信です。

氏名 持株比率
シンプレクス 15.60%
丸山栄樹 11.25%
光通信 7.63%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は丸山栄樹氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
丸山栄樹 代表取締役社長 元アクセンチュア。丸山経営研究所代表等を経て、バーチャレクス(現同社)設立、社長就任。各子会社の代表や会長を歴任し現職。
丸山勇人 取締役 アビーム、デロイトトーマツを経て、同社取締役就任。バーチャレクス・コンサルティング社長より現職。
黒田勝 取締役経営管理本部長 アクセンチュア、ゼスト取締役を経て同社取締役就任。経営管理本部長より現職。


社外取締役は、漆山伸一(税理士法人漆山パートナーズ代表)、坂宗篤(MB&PARTNERS代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「IT&コンサルティング事業」および「アウトソーシング事業」を展開しています。

IT&コンサルティング事業


企業のCRM戦略やIT・マーケティング戦略の立案から、システム設計・構築支援、CRMソフト「inspirX」のライセンス販売までを行います。また、Web領域や文教ソリューション、AI活用支援なども手掛けています。

収益は、顧客企業からのコンサルティングフィー、システム開発費、ソフトウェアのライセンス料などから得ています。運営は主にバーチャレクス・コンサルティング、タイムインターメディア、VXアクトが行っています。

アウトソーシング事業


クライアント企業のCRM推進において中核となるコールセンター業務などの受託運営を行っています。自社センターでの業務受託や、クライアント先での共同業務運営など、顧客の要望に合わせた形態でサービスを提供しています。

収益は、顧客企業からの業務受託料(アウトソーシングフィー)から得ています。運営は主にバーチャレクス・コンサルティング、バーチャレクス九州が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は60億円台後半で推移していましたが、直近2期は減少傾向にあります。利益面では2022年3月期以降、経常利益率が低下傾向にあり、直近の2025年3月期には減損損失などの影響も加わり、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 56億円 62億円 68億円 67億円 65億円
経常利益 1.8億円 5.4億円 5.0億円 4.5億円 1.9億円
利益率(%) 3.2% 8.7% 7.3% 6.8% 2.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.1億円 3.6億円 6.4億円 2.0億円 -0.1億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しましたが、売上総利益は微増し、利益率は改善しています。一方で、販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益は前期よりも縮小し、営業利益率も低下しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 67億円 65億円
売上総利益 16億円 16億円
売上総利益率(%) 23.9% 24.9%
営業利益 3.7億円 2.8億円
営業利益率(%) 5.5% 4.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与が3.3億円(構成比24%)、役員報酬が1.7億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


IT&コンサルティング事業は、特定顧客の売上計上停止やシステム開発案件の損失などが響き減収減益となりました。アウトソーシング事業は、既存案件が堅調に推移し増収となりましたが、コロナ特需の収束などにより減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
IT&コンサルティング事業 41億円 37億円 8.0億円 7.8億円 20.8%
アウトソーシング事業 26億円 27億円 5.2億円 5.0億円 18.1%
連結(合計) 67億円 65億円 3.7億円 2.8億円 4.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も45.6%で市場平均を上回っており、健全な水準を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 4.0億円 2.3億円
投資CF -4.8億円 -2.0億円
財務CF -1.1億円 1.8億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、企業理念として「Success for people, organization and society.」を掲げています。顧客、パートナー、株主、従業員など共に歩むすべての人たち、クライアント企業や団体、そして社会・環境の持続的な成功を目指しています。

(2) 企業文化


掲げた目標を実現するために、「議論し、判断し、行動します」という姿勢を重視しています。顧客や社会の成功に向けて、グループ従業員が一丸となって主体的に考え、実行に移す文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


中期的に事業規模および事業領域を積極的に拡大し、成長を加速させるとともに、財務面の健全性を強化することを目指しています。成長性と安全性のバランスを取りながら、企業価値の最大化を図ることを目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


営業基盤の拡大を図りつつ、進化計算エンジン「TENKEI」や生成系AIを活用したソリューション提供に注力しています。また、CRMとデジタルマーケティングの融合、カスタマーサクセス領域への対応、パッケージ製品の機能拡充とサブスクリプション化を進め、収益のストック化と安定成長を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大に伴い、優秀な人材の確保・育成・定着を主要課題としています。新卒・中途採用のバランスを取りながら積極的な採用を行うとともに、個人の成長を重視した人事評価制度や、社内・外部研修の活用により、人材の早期戦力化と定着を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.0歳 1.3年 11,256,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.6%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 55.9%
男女賃金差異(正規) 68.1%
男女賃金差異(非正規) 78.7%


※上記は主要事業子会社であるバーチャレクス・コンサルティングの実績です。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 積極的な経営方針に伴う不確実性


同社は企業価値最大化のため、事業規模や領域の拡大を積極的に進めています。特にマーケティング領域などは変化が激しく予測困難であるため、想定外の事態が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合他社との競争


コンサルティング、テクノロジー、アウトソーシングをワンストップで提供できる競合は現状少ないと分析していますが、今後、各領域の専門企業がサービスを拡充し競合となった場合、事業や業績に影響が出る可能性があります。

(3) 特定人物への依存


創業者であり代表取締役社長である丸山栄樹氏は、経営方針や事業戦略において重要な役割を果たしています。組織的な経営体制の構築を進めていますが、同氏が業務を継続できなくなった場合、事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) システム設計・開発における追加コスト


システム開発プロジェクトにおいて、仕様変更による工数増加など想定外の要因で見積りを上回るコストが発生したり、不具合や納期遅延により追加コストや損害賠償が発生したりした場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。