※本記事は、バーチャレクス・ホールディングス株式会社の有価証券報告書(第28期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. バーチャレクス・ホールディングスってどんな会社?
企業と顧客の接点領域に特化したコンサルティングとアウトソーシングを手掛ける企業です。
■(1) 会社概要
1999年にバーチャレクスとして設立されました。2008年に佐賀フュージョンサービスを完全子会社化し、九州拠点を展開しました。2016年に東証マザーズ(現グロース市場)へ上場を果たしています。2017年にタイムインターメディアを子会社化し、持株会社体制へ移行して現在の社名に変更しました。
従業員数は連結で396名、単体で3名です。筆頭株主は事業会社のシンプレクスで、第2位は創業者の丸山栄樹氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| シンプレクス | 15.49% |
| 丸山栄樹 | 11.17% |
| SBSホールディングス | 3.81% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は丸山栄樹氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 丸山栄樹 | 代表取締役社長 | 元アクセンチュア入社。丸山経営研究所設立、ゼスト設立を経て同社設立し社長就任。 |
| 丸山勇人 | 取締役 | 元デロイトトーマツコンサルティング取締役。ビッツテージ社長を経て同社取締役に就任。 |
| 黒田勝 | 取締役経営管理本部長 | 元アクセンチュア入社。ゼスト取締役を経て同社取締役に就任。 |
社外取締役は、漆山伸一(税理士法人漆山パートナーズ代表)、坂宗篤(MB&PARTNERS代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「IT&コンサルティング事業」および「アウトソーシング事業」を展開しています。
■IT&コンサルティング事業
コールセンター構築等のCRM戦略やIT戦略の立案からシステム設計・構築を支援するコンサルティングサービスを提供しています。また、CRMパッケージ製品のライセンス販売やストック型ITサービス、Web領域、文教・教育ソリューション、AI利活用支援なども手掛けています。
収益は顧客企業からのコンサルティング料やソフトウェアライセンス販売、システム開発料などから得ています。運営は主にバーチャレクス・コンサルティング、タイムインターメディア、VXアクトが行っています。
■アウトソーシング事業
クライアント企業のCRM推進の中心的な役割を果たすコールセンター業務などの受託運営を行っています。自社グループのセンターにて要員が業務を遂行する形態のほか、クライアント企業のセンターで共同運営するなど、要望に合わせた柔軟なサービスを提供しています。
収益はクライアント企業からの業務受託料から得ています。運営は主にバーチャレクス・コンサルティングおよびバーチャレクス九州が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は60億円台後半で安定的に推移しており、直近では増収に転じています。経常利益も当期は回復傾向にありますが、最終的な当期利益については投資有価証券評価損等の影響により赤字が拡大している状況です。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 62億円 | 68億円 | 67億円 | 65億円 | 69億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 5億円 | 5億円 | 2億円 | 4億円 |
| 利益率(%) | 8.7% | 7.3% | 6.8% | 2.9% | 6.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 6億円 | 2億円 | -0.1億円 | -1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も前期から改善しています。利益率も堅調に推移しており、本業の収益力は高まっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 65億円 | 69億円 |
| 売上総利益 | 16億円 | 17億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.9% | 25.1% |
| 営業利益 | 3億円 | 4億円 |
| 営業利益率(%) | 4.3% | 5.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給与が3億円(構成比25%)、役員報酬が2億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
IT&コンサルティング事業は大型案件の収束目処が立ち追加受注が発生したことで増収となりました。アウトソーシング事業もマザーセンター運営受託への展開が結実し、ともに売上を伸ばしています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| IT&コンサルティング事業 | 37億円 | 40億円 |
| アウトソーシング事業 | 27億円 | 29億円 |
| 連結(合計) | 65億円 | 69億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業といえる健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2億円 | 4億円 |
| 投資CF | -2億円 | -2億円 |
| 財務CF | 2億円 | -2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-4.8%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も43.0%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「Success for people,organization and society.」という合言葉のもと、生活者や消費者のほか、クライアント企業、パートナー企業、社会・環境など、共に歩むすべての人たちや組織の持続的な成功に向かうことを目標に掲げています。
■(2) 企業文化
すべての人たちや組織の成功に向かうという想いのもと、議論し、判断し、行動する文化があります。コンサルティング、テクノロジー、オペレーションの3つのスキルを一気通貫で提供できる独自の強みを最大限に活かし、市場変革を牽引するトップリーダーとしての役割を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
経営における成長性と安全性の均衡を図りつつ、中期的に事業規模および事業領域の積極的な拡大を目指しています。グループの成長を加速させるとともに、財務面での健全性を強化することで、企業価値の最大化を達成することを目標としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
コンタクトセンター市場の変革を牽引するため、クライアントのセンターで実証実験を行いながら全展開する「マザーセンターアプローチ」を推進します。また、自社開発製品への生成AI機能の連結や、AIコンタクトセンター総合プラットフォームの提供、デジタルマーケティングからCRMまでの一気通貫支援を重点施策としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
積極的な事業拡大を図る上で、優秀な人材の確保・育成・定着を主要な課題と位置づけています。新卒と中途のバランスを取りながら積極的な採用を行い、個人の成長を重視した人事評価制度や自主性を考慮した人材登用を実施しています。また、社内研修や外部研修の活用により、入社後の早期戦力化を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.0歳 | 2.3年 | 10,800,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.1% |
| 男性育児休業取得率 | 60.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 51.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 65.1% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 74.1% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 競合他社の参入によるワンストップ・サービスの競合
創業当初からコンサルティング、テクノロジー、オペレーションの3つを一気通貫で提供していますが、今後、個々のサービス領域で競合となる企業がノウハウを深め、同社グループのワンストップ・サービスと直接競合した場合、事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) システム設計・開発における追加コストの発生
システム設計・開発のプロジェクトにおいて、仕様変更による作業工数の増加など想定外の要因で見積りを上回る追加コストが発生するリスクがあります。また、システムの不具合や開発遅延に伴う損害賠償請求等も業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 優秀な人材の確保・育成・定着に関するリスク
事業領域の拡大に伴い、優秀な人材の確保・定着を重要課題としています。しかし、採用市場の環境悪化や人事評価制度が機能せず、十分な人材を確保・育成できない場合、将来的な事業展開のスピードや業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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