※本記事は、株式会社ベガコーポレーションの有価証券報告書(第22期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ベガコーポレーションってどんな会社?
家具・インテリアのEC事業「LOWYA」や実店舗の運営、越境ECプラットフォームを展開する企業です。
■(1) 会社概要
2004年に家具・インテリア等のインターネット通信販売を目的に設立され、「LOWYA」の名称で複数の大手ECモールに出店しました。2015年に越境ECプラットフォーム「DOKODEMO」を本格稼働させ、2016年に東京証券取引所マザーズへ上場しました。2023年より直営の実店舗展開を開始しています。
現在の従業員数は単体で277名です。筆頭株主は資産管理会社のアルタイルで、第2位は創業者の浮城智和氏、第3位は信託業務を行う金融機関となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| アルタイル | 33.55% |
| 浮城 智和 | 26.75% |
| 野村信託銀行(投信口) | 5.48% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は浮城智和氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 浮城 智和 | 代表取締役社長 | 2004年7月同社(設立時)代表取締役就任より現職。 |
| 河端 一宏 | 取締役経営管理本部長 | 2012年1月同社入社。2013年1月総務人事部長を経て、2015年7月より現職。 |
| 吉田 裕紀 | 取締役LOWYA事業本部長・人事室長 | リクルートを経て2018年1月同社入社。執行役員等を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、久保俊幸(元西日本シティ銀行支店長)、佐野俊明(北浜法律事務所パートナー弁護士)、江口克哉(江口克哉公認会計士事務所代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「Eコマース事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
自社運営サイトや大手インターネットモールを通じて、家具やインテリア用品を販売する「LOWYA」などのブランドを展開しています。近年はオンラインと実店舗を融合させたOMO型D2Cモデルへ転換し、実店舗の出店にも注力しています。さらに世界各地の消費者に日本の商品を提供する越境ECプラットフォーム「DOKODEMO」も運営しています。
収益源は、一般消費者向けの家具・インテリア商品の通信販売及び実店舗での商品販売収益です。また、越境ECサイトでは出店企業からのサービス利用料等を受け取っています。これらの商品企画から生産管理、販売までの事業運営はすべて同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、売上高は160億円前後で推移していましたが、当期は実店舗出店などの戦略が奏功し181億円へと大きく成長しています。経常利益も原価率コントロールや全社的なコスト管理により大幅に増加しており、収益力の向上が見られます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 168億円 | 170億円 | 161億円 | 159億円 | 181億円 |
| 経常利益 | 6億円 | 4億円 | 8億円 | 9億円 | 14億円 |
| 利益率(%) | 3.7% | 2.1% | 4.9% | 5.9% | 7.5% |
| 当期利益 | 4億円 | 1億円 | 4億円 | 6億円 | 9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益も拡大しています。売上総利益率は51%台から53%へと改善しており、高利益率商品の開発や為替予約の活用による原価の抑制が寄与しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 159億円 | 181億円 |
| 売上総利益 | 82億円 | 96億円 |
| 売上総利益率(%) | 51.2% | 52.9% |
| 営業利益 | 9億円 | 14億円 |
| 営業利益率(%) | 5.8% | 7.5% |
販売費及び一般管理費のうち、荷造配送費が21億円(構成比26%)、給与及び手当が12億円(同15%)、保管費が5億円(同6%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はEコマース事業の単一セグメントで事業を展開しています。売上高は全社業績と同一になります。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| Eコマース事業 | 159億円 | 181億円 |
| 連結(合計) | 159億円 | 181億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型に該当します。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7億円 | 9億円 |
| 投資CF | -5億円 | -8億円 |
| 財務CF | -2億円 | -1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.4%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.1%であり、いずれも市場平均を大きく上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「誠実」「愛」「感謝」「謙虚」「調和」の5つを経営理念に掲げており、お客様や取引先、従業員などの直接的な利害関係者のみならず、社会全体から愛される企業を目指しています。また、「ECの可能性を無限大に」というビジョンのもと、家具Eコマース事業や越境ECプラットフォーム事業において、同社ならではの新たな価値や最高のサービスを提供し続ける方針です。
■(2) 企業文化
同社はサステナビリティポリシーとして「“ありがとう”を、未来に繋げよう」と定め、経営理念の一つである「感謝」を特に重視する文化が根付いています。また、人事ポリシーに「機会をつかむ」を掲げており、挑戦することで可能性を広げたい従業員に対し積極的に機会を提供し支援していくなど、働きがいや働きやすさを感じられる環境づくりを重んじています。
■(3) 経営計画・目標
同社は企業価値を持続的に高めていくことを経営上の重要課題と位置づけており、売上高、営業利益、経常利益を目標とする経営指標に据え、持続的かつ安定的な成長を目指しています。特に2027年3月期の売上高については、実店舗の新規出店目標を明確にし、自社ECと実店舗を中心に売上高の伸長を狙っています。
* 2027年3月期目標:6店舗の実店舗の新規出店
■(4) 成長戦略と重点施策
主力の家具Eコマース事業では、お客様に最適な購買体験を提供するため、実店舗とオンラインを融合するOMO型D2Cビジネスの構築に注力しています。具体的には、実店舗の展開による顧客との接点強化、生活空間における商品シェアを高めるための商品カテゴリ拡大、SNSやコミュニティ施策を通じたファン化の推進に重点を置いています。また、越境ECプラットフォーム事業では収益体質の強化に取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社はOMO型D2Cビジネスの構築を支えるため、「バリューチェーンのハブとなる人材」「AI活用を通じた経営・組織変革を牽引する人材」「顧客視点と多様な感性を体現する女性リーダー」の獲得と育成に注力しています。これらを推進するため、高度専門人材の採用投資を強化するとともに、ジョブローテーション制度の導入やAIリテラシー向上のためのリスキリング投資を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 35.8歳 | 5.7年 | 5,709,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.5% |
| 男性育児休業取得率 | 25.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 57.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 72.9% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 93.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネットモールへの依存
同社は主に楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなどに出店しています。モール事業会社との関係悪化、手数料率の大幅な改定、モールのシステム障害等が発生した場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。現在、自社運営サイトでの販売強化など依存からの脱却を進めています。
■(2) 新たなビジネスモデルの成否
卸売販売や実店舗の運営など、ネットとリアルを融合した新たな事業体制の構築を進めていますが、期待するシナジー効果や売上・利益の成長が計画通りに進まない場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 為替相場の変動と原価上昇
取扱商品の大部分は海外からの輸入に依存しているため、為替相場の大幅な変動は原価率に影響します。また、物流業界の課題である配送費の高騰などが生じた場合、コスト増による利益圧迫要因となる可能性があります。
■(4) 検索エンジンへの集客依存
自社運営サイトの集客の多くを特定の検索エンジンに依存しています。検索アルゴリズムの変更等により、従来のSEO対策が機能せず想定通りの顧客流入数を確保できない場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。



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