※本記事は、株式会社西日本フィナンシャルホールディングス の有価証券報告書(第9期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 西日本フィナンシャルホールディングスってどんな会社?
西日本シティ銀行などを傘下に持つ持株会社。九州・福岡を地盤に銀行業務を中心とした金融サービスを展開する地域金融グループです。
■(1) 会社概要
2016年10月、西日本シティ銀行、長崎銀行、西日本信用保証の共同株式移転により設立され、東京証券取引所市場第一部および福岡証券取引所に上場しました。同日、西日本シティ銀行が保有していた九州カード等の株式を取得し直接子会社化しました。2022年10月にはシティアスコムを連結子会社化し、九州リースサービスを持分法適用関連会社としています。
連結従業員数は4,184人、単体従業員数は6人です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位も同様に信託銀行です。第3位は福岡県飯塚市に拠点を置く事業会社です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 13.06% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 9.50% |
| 麻生 | 2.32% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役は取締役会長 谷川 浩道氏、取締役社長 村上 英之氏です。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 谷川 浩道 | 取締役会長(代表取締役) | 1976年大蔵省入省。西日本シティ銀行取締役頭取、同社会長等を経て2024年6月より現職。 |
| 村上 英之 | 取締役社長(代表取締役) | 1983年西日本相互銀行入行。西日本シティ銀行取締役専務執行役員等を経て2021年6月より現職。西日本シティ銀行取締役頭取を兼務。 |
| 入江 浩幸 | 取締役執行役員 | 1981年西日本相互銀行入行。西日本シティ銀行取締役副頭取等を経て2024年6月より現職。 |
| 竹尾 祐幸 | 取締役執行役員 | 1983年福岡相互銀行入行。西日本シティ銀行取締役副頭取等を経て2024年6月より現職。 |
| 本田 隆茂 | 取締役執行役員 | 1988年西日本銀行入行。西日本シティ銀行取締役常務執行役員等を経て2021年6月より現職。 |
| 伊東 知子 | 取締役監査等委員(常勤) | 1988年西日本銀行入行。西日本シティ銀行常務執行役員等を経て2024年6月より現職。 |
社外取締役は、藤岡 博(元財務省大臣官房審議官)、久保 千春(元九州大学総長)、宮本 佐知子(元野村資本市場研究所主任研究員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 銀行業
西日本シティ銀行の本店ほか国内支店、出張所等において、預金業務、貸出業務、為替業務、有価証券投資業務、投資信託・保険商品の窓口販売業務などを通じ、地域顧客に多様な金融商品・サービスを提供しています。また、長崎銀行も銀行業務を行っています。
主な収益源は、貸出金利息、有価証券利息配当金、および各種手数料です。運営は主に株式会社西日本シティ銀行および株式会社長崎銀行が行っています。
■(2) その他
銀行業のほか、金融関連業務として信用保証業務、クレジットカード業務、金融商品取引業務、債権管理回収業務、情報システムサービス業務などを行っています。
顧客からの手数料や業務委託料などが主な収益源です。運営は西日本信用保証株式会社、九州カード株式会社、西日本シティTT証券株式会社、九州債権回収株式会社、株式会社シティアスコムなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期は増収増益となりました。これは、主に資金運用収益の増加が経常収益を押し上げたこと、また、経常費用の増加を抑制できたことによります。過去からの趨勢としては、経常収益は堅調に増加傾向を示しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 13,495 | 13,848 | 16,045 | 18,560 | 19,642 |
| 経常利益(億円) | 2,676 | 3,787 | 3,368 | 3,561 | 4,554 |
| 当期純利益(億円) | 1,809 | 2,424 | 2,624 | 2,358 | 3,098 |
■(2) 損益計算書
当期は、経常収益が前期比で増加した一方で、経常費用も増加しました。経常利益は、収益の増加が費用の増加を上回ったことにより、前期比で増加しました。当期純利益も同様に増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 18,560 | 19,642 |
| 経常費用 | 14,999 | 15,088 |
| 経常利益 | 3,561 | 4,554 |
| 当期純利益 | 2,358 | 3,098 |
■(3) 役務取引等収益の内訳
当期の役務取引等収益合計は、前期比で減少しました。主な内訳としては、「預金・貸出業務」が最も大きく、次いで「代理業務」となっています。
| 区分 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 役務取引等収益 合計 | 251 | 89 |
| 預金・貸出業務 | 101 | 48 |
| 為替業務 | 27 | 37 |
| 証券関連業務 | 27 | 37 |
| 代理業務 | 0 | 96 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、預金等で調達した資金を貸出金や有価証券で運用する銀行業を中核としています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、貸出金の増加等により支出超過となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却及び償還が取得を上回ったこと等により収入超過となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い、自己株式の取得等により支出超過となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,970 | △5,522 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 662 | 388 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △963 | △1,068 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「高い志と誇りを持って時代の変化に適応し、お客さまとともに成長する総合力№1の地域金融グループを目指します。」というグループ経営理念を掲げています。また、「ココロがある。コタエがある。」をグループブランドスローガンとしています。
■(2) 企業文化
同社は、グループ経営理念に基づき、地域に根ざす総合金融グループとして、「地域経済へのさらなる貢献」と「グループ企業価値の最大化」を目指す文化を持っています。持株会社体制のもとでグループ総合力を進化させ、時代の変化に適応していくことを重視しています。
■(3) 経営計画・目標
2023年4月から2026年3月までの中期経営計画「飛翔2026 ~つなぐココロ、つなげるミライ~」において、最終年度である2026年3月期の経営目標として以下を掲げています。
* 連結当期純利益:320億円(うち西日本シティ銀行以外のグループ各社の寄与額50億円)
* 連結ROE:6%程度
* 連結コアOHR:60%程度
* 連結自己資本比率:11%台半ば
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画では、「お客さま起点の"One to Oneソリューション"の提供」「営業革新」「人財革新」「サステナビリティへの取組み」の4つの基本戦略を展開しています。また、グループ経営戦略として「お客さま・地域の期待を超えた総合金融サービスの展開」(マトリックス・マネジメントの実現)と「グループ経営管理態勢とリスク管理態勢の高度化」(モニタリング・モデルの実現)を推進し、地域社会の持続的な発展と企業価値向上を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
中期経営計画の基本戦略「人財革新」において、人財育成と働きがいの向上を重点施策としています。特に、コンサルティング・DX・企画等の各分野において将来を担う「戦略人財」の育成を進めるとともに、本店ビル建替えや店舗リニューアル、処遇の見直し、ダイバーシティ&インクルージョンの推進等を通じて、職員が意欲的に働ける職場環境の整備と多様な人財が活躍する組織風土の構築を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 52.7歳 | 26.1年 | 10,632,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 15.4% |
| 男性育児休業取得率 | 101.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 46.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 47.9% |
※同社の連結子会社のうち、株式会社西日本シティ銀行の各指標を記載しています。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、コンサルティング人財のスペシャリスト(75人)、DX人財のコア人財(636人)、キャリア採用者数(72名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 信用リスク
貸出先の信用力の悪化や担保価値の大幅下落、その他予期せぬ問題等が発生した場合、想定外の償却や貸倒引当金の積み増し等で信用コストが増加し、財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に福岡県の貸出先に対する与信額が大きな割合を占めているため、地域経済の動向や大規模災害の影響を受ける可能性があります。
■(2) 市場リスク
保有する資産・負債は金利、有価証券価格、為替等の変動リスクにさらされています。資金運用・調達のミスマッチが存在する中での金利変動による利鞘縮小や、株価下落による保有株式の減損・評価損、外貨建資産・負債の為替変動による損失などが発生し、財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) システムリスク
コンピュータシステムの障害や不正使用、サイバー攻撃によるサービス停止、データ改ざん、情報漏洩、不正送金などが発生した場合、業務運営への支障や損害賠償、信用の低下を招き、財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。システム障害の未然防止やバックアップ体制の強化、サイバーセキュリティ管理体制の整備に努めていますが、これらのリスクを完全に排除することは困難です。



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