※本記事は、株式会社チェンジホールディングス の有価証券報告書(第24期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. チェンジホールディングスってどんな会社?
チェンジホールディングスは、デジタル人材育成やDX支援、M&A仲介、ふるさと納税事業などを展開しています。
■(1) 会社概要
2003年に設立され、ITプロジェクト等のコンサルティング及びIT人材育成ビジネスを開始しました。2016年に東証マザーズに上場し、2018年に東証一部へ市場変更しました。同年、ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクを子会社化し、パブリテック事業を開始しています。
現在の従業員数は連結で1439名、単体で108名です。筆頭株主は事業会社のSBIホールディングスで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。第3位は創業者で役員の神保吉寿氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| SBIホールディングス | 37.09% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 4.82% |
| 神保吉寿 | 4.08% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役兼執行役員社長は福留大士氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 福留大士 | 代表取締役兼執行役員社長 | 1998年アンダーセンコンサルティング入社。2003年同社設立に伴い代表取締役COOに就任。2015年より代表取締役兼執行役員社長。トラストバンクやポートなどの取締役も兼務。 |
| 伊藤彰 | 取締役兼執行役員副社長 | 1998年アンダーセンコンサルティング入社。2003年同社設立に伴い取締役に就任。2015年より取締役兼執行役員副社長。現在はビーキャップやチェンジの取締役も兼務。 |
| 山田裕 | 取締役兼執行役員CFO Corporateユニット長 | 1997年矢内本脇会計事務所入所。2007年に同社入社。2014年取締役、2015年に取締役兼執行役員CFOに就任し、2018年よりCorporateユニット長。トラストバンク取締役も兼務。 |
社外取締役は、松本壮志(キャプスタン・メディカル代表取締役)、滝川佳代(長島・大野・常松法律事務所パートナー)、久保剛彦(元日本総合研究所取締役専務執行役員)、矢治博之(矢治公認会計士事務所代表)、小出隆造(元中央アド新社代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「NEW-ITトランスフォーメーション事業」および「パブリテック事業」、そして「その他」事業を展開しています。
■NEW-ITトランスフォーメーション事業
民間DX・M&A仲介領域とサイバーセキュリティ領域に分かれます。民間DXではAIを活用したサービスやデジタル人材育成研修、M&A仲介、DXツールの提供を行っています。サイバーセキュリティ領域では、ガバナンス構築コンサルやセキュリティプロダクトの開発・展開を行っています。
収益は、BPOサービスやコンサルティング、研修、セキュリティ製品の販売などから得ています。運営は、チェンジを中心に、ビーキャップ、DFA Robotics、fundbook、イー・ガーディアン、アイディルートコンサルティングなどの子会社が行っています。
■パブリテック事業
地方創生領域と公共DX領域に分かれます。地方創生領域では、ふるさと納税プラットフォーム「ふるさとチョイス」の運営や観光分野でのインバウンドマーケティングを行っています。公共DX領域では、自治体向けSaaS「LoGoシリーズ」や中央省庁に対するサービス提供を行っています。
収益は、ふるさと納税に関する寄付額に応じた手数料や自治体からのプラットフォーム利用料、コンサルティング費用などから得ています。運営は、トラストバンクを中心に、トラベルジップ、グリヴィティ、Onwords、ガバメイツ、ジーグラビティなどの子会社が行っています。
■その他
報告セグメントに含まれないその他の事業展開も行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上収益は右肩上がりで拡大を続けており、101億円から528億円へと約5倍に成長しています。一方、税引前利益も増加傾向にありましたが、直近の期では前期比でやや減少しています。利益率は20%以上の水準を維持しており、安定した収益力を確保しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 101億円 | 200億円 | 370億円 | 464億円 | 528億円 |
| 税引前利益 | 46億円 | 57億円 | 73億円 | 127億円 | 110億円 |
| 利益率(%) | 45.0% | 28.2% | 19.6% | 27.3% | 20.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 31億円 | 39億円 | 43億円 | 75億円 | 69億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益は前期から約14%増加しましたが、営業利益は約16%減少しました。これは、M&Aや新規子会社の連結に伴う事業費用の増加などが影響していると見られます。売上総利益率は50%台半ばと引き続き高い水準を維持しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 464億円 | 528億円 |
| 売上総利益 | 259億円 | 288億円 |
| 売上総利益率(%) | 55.8% | 54.6% |
| 営業利益 | 134億円 | 112億円 |
| 営業利益率(%) | 28.9% | 21.2% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給付費用が73億円(構成比41%)、広告宣伝費が32億円(同18%)、業務委託費が15億円(同9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
NEW-ITトランスフォーメーション事業は、M&Aやアライアンス強化などにより増収となりましたが、投資等の先行費用により減益となりました。一方、パブリテック事業は、ふるさと納税事業の堅調な推移や自治体向けSaaSの契約数増加により、増収増益を達成し、全社の利益を力強く牽引しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| NEW-ITトランスフォーメーション事業 | 208億円 | 238億円 | 60億円 | 33億円 | 13.7% |
| パブリテック事業 | 262億円 | 296億円 | 130億円 | 142億円 | 47.8% |
| 調整額 | -6億円 | -6億円 | -56億円 | -62億円 | - |
| 連結(合計) | 464億円 | 528億円 | 134億円 | 112億円 | 21.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスの「健全型」です。本業の営業活動で生み出した資金によって投資を行い、同時に借入金の返済なども進めている優良な状態を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 78億円 | 73億円 |
| 投資CF | -141億円 | -28億円 |
| 財務CF | 13億円 | -84億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.3%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「Change People、Change Business、Change Japan」をミッションに掲げ、「生産性をCHANGEする」というビジョンのもと、「人×技術」で日本の生産性を飛躍的に向上させ、人口減少下の日本を持続可能な社会にすることを目指しています。ビジネスモデルや業務プロセスのデジタル化を通じて、社会課題の解決に取り組んでいます。
■(2) 企業文化
同社は「ダイバーシティ&インクルージョン」を重視し、社員一人ひとりが互いの個性や価値観を尊重し合い、力を最大限に活かせる組織風土を大切にしています。また、「学び合える組織文化」を推進し、“Try & Error”を恐れず様々な分野に積極的にチャレンジできる環境づくりを促進しています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「Digitize & Digitalize Japan (Phase3)」を策定し、様々なデジタル技術の活用を通じて自治体、地域金融機関、地域企業などの活性化と連携を推し進めています。独自の地方創生の型を目指すとともに、地方の課題解決を通じた企業価値の向上を掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
各事業の成長を加速させるため、民間DX・M&A仲介領域ではAI利活用による人手不足解消やアライアンス強化を推進します。サイバーセキュリティ領域では提携による営業チャネルの強化を図ります。地方創生領域ではふるさと納税の深耕や観光・カーボンクレジット・地域IP共創事業へ注力し、公共DX領域では自治体営業力を活かした中央省庁等への展開を強化します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
中長期的な企業価値向上のため、多様性を確保し、あらゆる人材が活躍できる環境づくりに努めています。社員が自ら進んで学習しスキルを向上させ続ける意欲を維持できるよう、eラーニングの配信や社内トレーニングを提供しています。また、ライフステージに応じた多様な働き方を選択できるよう各種制度の拡充に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.6歳 | 4.1年 | 1106万円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 28.6% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 84.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 92.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 91.0% |
※提出会社は公表義務の対象ではないため、有報に記載されている上記数値は子会社(イー・ガーディアン)のものです。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員の比率(46.6%)、障がい者社員の比率(2.5%)、中途採用者の管理職比率(50%超)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 景気動向及び業界動向の変動
NEW-ITトランスフォーメーション事業は関連市場の拡大が予測されるものの、各種新技術に対する投資抑制や、経済情勢の悪化による影響を受けるリスクがあります。同社グループは市場動向や新しい技術のモニタリングを通じて迅速な経営判断を行い、経営資源の最適化を図ることで対応しています。
■(2) ふるさと納税に関する公的規制
子会社のトラストバンクが行うふるさと納税関連サービスは、所得税法等の法律に基づいています。今後の税制改正などが業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、返礼品の自主ガイドラインの設定や災害支援の提供など、制度が持続可能となるような取り組みを推進しています。
■(3) 買収した子会社等の減損損失
同社グループはM&Aを積極的に行っていますが、買収した子会社等における事業計画の未達や金利上昇等による割引率の上昇により、のれん等の減損損失を計上するリスクがあります。取締役会での買収価格の適切性の議論や、買収後の事業計画実現に向けたPMIの強化に注力しています。
■(4) 個人情報を含めた情報管理体制
システム開発・運用等の業務過程において、顧客の機密情報や個人情報を取り扱っています。これらが外部流出や消失した場合、社会的信用が低下し業績に影響を及ぼす可能性があります。システムのセキュリティ対策に加え、公的認証に基づく情報セキュリティマネジメントシステムの運営に努めています。



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