チェンジホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

チェンジホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場し、NEW-ITトランスフォーメーション事業およびパブリテック事業を展開しています。直近の業績は、売上収益が464億円、税引前利益が127億円と大幅な増収増益を達成しました。M&Aやサイバーセキュリティ領域の拡大により事業成長を加速させています。(143文字)


※本記事は、株式会社チェンジホールディングス の有価証券報告書(第23期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. チェンジホールディングスってどんな会社?


DX人材育成や公共DXなどの事業を通じ、日本の生産性向上を目指す企業です。

(1) 会社概要


同社は2003年に設立され、2016年にマザーズへ上場しました。2018年にふるさと納税サイトを運営するトラストバンクを子会社化し、パブリテック事業を開始しました。2023年には持株会社体制へ移行し、同年イー・ガーディアンを子会社化するなど、M&Aを通じて事業領域を拡大しています。

連結従業員数は1,448名、単体では67名です。筆頭株主は資本業務提携を結ぶSBIホールディングスで、第2位は信託銀行、第3位は創業者で会長の神保吉寿氏です。SBIグループとの連携を強化しつつ、地方創生やDX推進に取り組んでいます。

氏名 持株比率
SBIホールディングス 37.09%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.89%
神保 吉寿 4.08%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役兼執行役員社長は福留大士氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。

氏名 役職 主な経歴
福留 大士 代表取締役兼執行役員社長 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)出身。2003年同社設立に参画し代表取締役COO就任。2015年より現職。
伊藤 彰 取締役兼執行役員副社長 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)出身。2003年同社設立時より取締役に就任。2023年より現職。
山田 裕 取締役兼執行役員CFOCorporateユニット長 1997年会計事務所入所。2007年同社入社。2015年取締役兼執行役員CFOに就任し、2018年より現職。


社外取締役は、松本壮志(元ALBERT社長)、滝川佳代(弁護士)、久保剛彦(元三井住友銀行専務執行役員)、矢治博之(公認会計士)、小出隆造(元中央アド新社社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「NEW-ITトランスフォーメーション事業」および「パブリテック事業」を展開しています。

NEW-ITトランスフォーメーション事業


民間企業向けに、AIやIoT、セキュリティなどの技術を活用したDX支援、デジタル人材育成研修、M&A仲介サービスなどを提供しています。企業の生産性向上やビジネスモデル変革、人材不足解消を支援する事業です。

収益は、研修受講料、システム開発やサービス利用料、M&A仲介手数料などから構成されます。運営は主に、チェンジ、ビーキャップ、DFA Robotics、fundbook、イー・ガーディアンなどが行っています。

パブリテック事業


地方自治体向けに、ふるさと納税プラットフォーム「ふるさとチョイス」の運営や、自治体業務効率化のためのSaaS「LoGoシリーズ」などを提供しています。DXによる地方創生と公共サービスの向上を目指す事業です。

収益は、ふるさと納税の寄付に伴う手数料や、自治体向けSaaSの利用料などから得ています。運営は主に、トラストバンク、トラベルジップ、ガバメイツ、東光コンピュータ・サービスなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上収益は継続的に拡大しており、特に直近ではM&Aの効果もあり大幅な増収となっています。利益面でも、税引前利益および当期利益ともに増加傾向にあり、高い成長性を維持しています。

項目 2021年9月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 157億円 101億円 200億円 370億円 464億円
税引前利益 59億円 46億円 57億円 73億円 127億円
利益率(%) 37.8% 45.0% 28.2% 19.6% 27.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 41億円 31億円 39億円 43億円 75億円

(2) 損益計算書


売上収益の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。営業利益率も高い水準を維持しており、効率的な事業運営が行われていることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 370億円 464億円
売上総利益 230億円 259億円
売上総利益率(%) 62.2% 55.8%
営業利益 74億円 135億円
営業利益率(%) 19.9% 29.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給付費用が50億円(構成比38%)、広告宣伝費が30億円(同22%)を占めています。売上原価では、外注費などの業務委託費が含まれていると考えられます。

(3) セグメント収益


両セグメントともに増収増益を達成しました。特にNEW-ITトランスフォーメーション事業は、M&Aによる子会社化の影響もあり、売上が大きく伸長し、利益も大幅に増加しています。パブリテック事業も堅調に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
NEW-ITトランスフォーメーション事業 115億円 208億円 0.9億円 61億円 29.2%
パブリテック事業 255億円 262億円 110億円 130億円 49.9%
連結(合計) 370億円 464億円 74億円 135億円 29.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業活動で得た資金に加え、財務活動による資金調達を行い、これらをM&A等の投資活動に充てている「積極型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 121億円 78億円
投資CF -137億円 -141億円
財務CF 178億円 13億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「Change People、Change Business、Change Japan」をミッションに掲げ、「生産性をCHANGEする」というビジョンのもと、「人×技術」で日本の生産性を飛躍的に向上させることを目指しています。人口減少下の日本を持続可能な社会にするため、様々なソリューションを提供しています。

(2) 企業文化


同社は、持続可能な社会を共創することをゴールとし、「サステナビリティ基本方針」を策定しています。また、人材の多様性確保や人材育成の観点から「人権の尊重に関する基本的方針」を定め、学び合える組織文化の維持・促進に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、中期経営計画「Digitize & Digitalize Japan」を掲げています。これは15カ年を5つのフェーズに分けた長期計画であり、現在は次期中期経営計画「Phase3」の実現に向けた事業基盤の整備を進めている段階です。日本のDX市場におけるリーダーの地位確立を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


NEW-ITトランスフォーメーション事業では、M&A仲介事業での付加価値創造や、サイバーセキュリティ領域の強化・拡大を図ります。パブリテック事業では、ふるさと納税の高付加価値化や公共DX領域の拡大、インバウンド需要の取り込みなどを推進します。また、グループ会社間でのシナジー創出にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、多様性を確保し、国籍・性別・年齢等に関わらず活躍できる環境づくりを重視しています。従業員のスキル向上のための研修機会を積極的に提供し、「学び合える組織文化」を促進しています。また、ライフイベントに対応した柔軟な働き方の整備や、中途採用者の管理職登用など、組織の活性化にも取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.4歳 4.5年 9,824,033円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.4%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 82.2%
男女賃金差異(正規雇用) 86.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 86.8%


※上記データは連結子会社であるイー・ガーディアン株式会社(2024年9月30日時点)のものです。提出会社は公表義務の対象ではないため、有報には記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者社員の比率(2.52%)、女性社員の比率(47.62%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気動向及び業界動向の変動


主力事業であるNEW-ITトランスフォーメーション事業は、企業のDX投資意欲や経済情勢の影響を受けます。景気後退や投資抑制が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。市場動向のモニタリングや経営資源の最適化で対応します。

(2) 公的規制(ふるさと納税制度)


パブリテック事業の柱であるふるさと納税関連サービスは、法律に基づく制度に依存しています。今後の税制改正や規制強化が行われた場合、事業環境が変化し業績に影響を与える可能性があります。制度の理念に沿った運営や災害支援など、持続的な制度運用への貢献に努めています。

(3) 減損損失


同社はM&Aを積極的に行っており、買収した子会社等の事業計画未達や市場環境の変化により、のれん等の減損損失が発生する可能性があります。これは業績に悪影響を及ぼすリスクとなります。買収時の精査やPMI(統合プロセス)に注力し、リスク低減を図っています。

(4) 人材の確保及び育成


事業拡大には優秀な人材の確保が不可欠です。競争激化により必要な人材を確保できない場合や、既存社員の退職が増加した場合、事業成長が阻害される可能性があります。積極的な採用活動や教育制度の充実、働きやすい環境整備を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。