うるる 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

うるる 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

うるるは東京証券取引所グロース市場に上場し、入札情報速報サービス「NJSS」などのSaaSを中心としたCGS事業、BPO事業、クラウドソーシング事業を展開しています。2026年3月期の業績は売上高が78億円と前期比で増収、経常利益も9億円と増益を達成し、労働力不足解決に向け成長を続けています。


※本記事は、株式会社うるるの有価証券報告書(第26期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. うるるってどんな会社?


同社グループは「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」を掲げ、労働力の代替ソリューションを提供しています。

(1) 会社概要


同社は2001年に設立され、2003年に現商号に変更しBPO事業を開始しました。2007年にクラウドソーシング「シュフティ」、2008年に入札情報速報サービス「NJSS」をリリースしました。2017年に上場を果たし、直近では2025年に横浜綜合写真を完全子会社化し事業領域を拡大しています。

現在の従業員数は連結で304名、単体で255名です。筆頭株主は創業者の星知也氏で、第2位はエアーズロック、第3位はUH Partners 3投資事業有限責任組合となっています。

氏名 持株比率
星 知也 17.48%
エアーズロック 9.54%
UH Partners 3投資事業有限責任組合 7.65%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長CEOは星知也氏が務めており、社外取締役比率は28.6%(7名中2名)となっています。

氏名 役職 主な経歴
星 知也 代表取締役社長CEO 1995年テレマーカー入社。1999年シーズングローバルワークス入社。2003年同社代表取締役社長就任。2025年より現職。
桶山 雄平 取締役副社長COO 2005年同社入社、同年監査役就任。2010年取締役副社長就任。うるるBPO代表取締役社長などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、市川貴弘(バリュー・フィールド代表取締役)、松岡剛志(レクター代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「CGS事業 NJSS」「CGS事業 fondesk」「CGS事業 フォト」「CGS事業 その他」「BPO事業」および「クラウドソーシング事業」を展開しています。

CGS事業 NJSS


官公庁や地方自治体等の入札・落札案件情報を収集し、データベース化した入札情報速報サービス「NJSS」および入札情報検索サービス「nSearch」を提供しています。官公庁の入札案件の落札を目指す民間企業が主な顧客です。

サイト利用料として月額課金制で顧客から継続的に収益を得るストック型のビジネスモデルです。同事業の運営は同社が行っており、独自にクラウドワーカーを活用した情報収集の網羅性を強みとしています。

CGS事業 fondesk


会社や事務所にかかってくる電話の受付を代行し、受電内容をチャットツール等で通知する電話受付代行サービス「fondesk」を提供しています。企業のバックオフィスや小規模事業者が主な顧客です。

サービスの利用企業から、提供期間や業務従量に応じたサービス利用料を受け取ります。同事業の運営は同社が行っており、コールセンター経験などを有するクラウドワーカーを活用し安価なサービスを実現しています。

CGS事業 フォト


幼稚園・保育園向けの写真販売管理システム「えんフォト」や出張撮影マッチングサービス「OurPhoto」、小中学校向けの写真撮影や卒業アルバム制作販売を行っています。園事業者や一般消費者が顧客です。

保護者などのユーザーからの写真購入代金や、マッチング成立時の役務提供に対する報酬が主な収益源です。運営は同社および横浜綜合写真が行っており、各サービス間でのシナジー創出を図っています。

CGS事業 その他


NJSS、fondesk、フォトのいずれにも属さない新たなCGS(Crowd Generated Service)サービスを提供しています。クラウドワーカーの人力を付加した同社独自の付加価値型サービスです。

サービス利用企業からそれぞれのビジネスモデルに応じた利用料や報酬を得ています。運営は同社が行っており、継続的に新規事業の創出や市場の労働力不足ニーズに応じたソリューションの展開を進めています。

BPO事業


データ入力、スキャニング、システム開発受託、メーリングサービスなど、企業のノンコア業務を幅広く受託する総合型アウトソーシングサービスを提供しています。業務効率化を図りたい企業が顧客です。

受託した業務の成果物の納品や役務の提供に対して、顧客企業から業務委託料を受け取ります。運営はうるるBPOが行っており、国内外の協力会社やシュフティのクラウドワーカーを活用しています。

クラウドソーシング事業


業務を発注したい企業と、在宅などで時間や場所の制約なく働きたいクラウドワーカーをマッチングするプラットフォーム「シュフティ」を提供しています。幅広い業務アウトソーシングの需要に応えています。

マッチングが成立し、業務の検収が完了した時点で、サービス提供に対する手数料を顧客から受け取ります。運営は同社が行っており、他のCGS事業にリソースを供給する基盤にもなっています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の売上高は右肩上がりで成長を続けており、40億円から78億円へと順調に拡大しています。経常利益は一時的に落ち込んだものの、直近では9億円まで回復し、利益率も安定して推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 40億円 49億円 59億円 67億円 78億円
経常利益 -3億円 0.1億円 13億円 8億円 9億円
利益率(%) -6.2% 0.1% 21.7% 11.4% 11.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.6億円 0.8億円 3億円 3億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高は大きく伸びており、それに伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率や営業利益率も前期からわずかに改善しており、効率的な事業運営が行われていることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 67億円 78億円
売上総利益 47億円 56億円
売上総利益率(%) 70.2% 71.8%
営業利益 8億円 9億円
営業利益率(%) 11.4% 11.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が13億円(構成比29%)、広告宣伝費が8億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力であるCGS事業の各サービスが順調に成長しており、特にNJSSやフォトの売上拡大が全体の増収を牽引しています。また、BPO事業も堅調な伸びを見せています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
CGS事業 NJSS 32億円 37億円
CGS事業 fondesk 10億円 11億円
CGS事業 フォト 8億円 11億円
CGS事業 その他 - 0.5億円
BPO事業 16億円 17億円
クラウドソーシング事業 0.2億円 0.2億円
連結(合計) 67億円 78億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは積極型に分類されます。営業活動でしっかりと資金を稼ぎ出しつつ、将来の成長に向けた積極的な投資を借入などの資金調達を交えながら進めている状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 7億円 15億円
投資CF -6億円 -7億円
財務CF -3億円 4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.9%となっており、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」をコーポレートビジョンとして掲げ、「労働力不足解決のリーディングカンパニー」を目指しています。日本で深刻化する労働力不足問題に対し、IT・AIと人のチカラ双方を深く理解したユニークなビジネスモデルを通じて、企業の生産性向上へ貢献し、社会課題の解決に向き合うことを使命としています。

(2) 企業文化


「うるるスピリット」の体現を重視しており、高純度でカルチャーを浸透させ戦略を落とし込む「シナプス組織」という体制を構築しています。また、「嘘をつかない、悪いことをしない」というスピリットの核心を行動レベルに翻訳したコンプライアンス・ガイドラインを制定し、健全な職場環境と誠実な企業活動を大切にする文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


新たな経営方針として「ULURU Sustainable Growth」を掲げ、売上高・利益成長と株主還元の両立を目指しています。人的資本投資を中心とした規律ある成長投資を行い、持続的な成長を追求しています。

* 2027年3月期:売上高91億円、EBITDA15.3億円
* 中長期的ターゲット(2030〜2032年3月期):売上高200億円、EBITDA30〜40億円

(4) 成長戦略と重点施策


オーガニック成長に加え、M&Aや新規事業開発による非連続な成長を推進します。Govtech事業では、AIを活用した機能拡充やマルチプロダクト戦略を進め、官民をつなぐプラットフォームへと事業を進化させます。BPO事業ではBPaaS領域を第2の柱として確立し、持続的な企業価値向上に資するパートナーシップの構築を図っていきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


最重要資本である「人」への投資を積極的に行い、従業員が仕事を通じて成長を続ける「人材成長定着企業」の実現を目指しています。経営戦略と連動した「動的な人材ポートフォリオ」を再構築し、次世代リーダーや高度な専門スキルを持つ「T型スペシャリスト」の育成、課題解決力と変化への対応力を重視した報酬決定プロセスを運用しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 34.6歳 4.3年 6,690,466円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 71.3%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 72.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 136.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) AI・デジタル技術の活用と情報セキュリティ


「人とAIのハイブリッド型価値創造」を推進する上で、AI技術の進展に追随できずサービス競争力が低下するリスクや、サイバー攻撃によるシステム侵害、個人情報の漏洩リスクがあります。同社はAI駆動開発推進チームによる活用推進や、ISMS認証の維持を通じたセキュリティ体制を整備しています。

(2) 配当政策と株主還元の維持


株主還元を重視し累進配当を基本方針としていますが、重要な事業投資の優先やキャッシュ・フローの状況次第では、予定していた配当を減ずる可能性があります。持続的な利益成長とキャッシュ・フロー創出を通じて、規律ある成長投資と株主還元の両立を図るとしています。

(3) 法規制強化による事業活動への制約


AIやデータの利活用に関連する国内ガイドラインの改訂など、新規領域への進出に伴って多様な法規制への対応が求められます。新たな法規制が生じた場合、事業に重大な影響が及ぶ可能性があるため、法務体制の強化や外部専門家との連携を深め、厳格な法令順守体制の構築に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。