うるる 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

うるる 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場。クラウドワーカーを活用したCGS事業(NJSS、fondesk等)とBPO事業を展開。「労働力不足解決のリーディングカンパニー」を目指しています。当連結会計年度はSaaS事業が成長し増収となる一方、人的資本投資等のコスト増により経常利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社うるる の有価証券報告書(第25期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. うるるってどんな会社?


クラウドワーカーを活用した事業展開を行い、労働力不足という社会課題の解決に取り組む企業です。

(1) 会社概要


2003年に株式会社リナックスをうるるへ商号変更し、BPO事業を開始しました。2007年にクラウドソーシング「シュフティ」、2008年に入札情報速報サービス「NJSS」を開始し、CGS事業へ参入しました。2017年に東証マザーズ(現グロース)へ上場。2025年4月にはOurPhoto株式会社等を吸収合併しています。

連結従業員数は268名、単体では221名です。筆頭株主は代表取締役社長の星知也氏(17.48%)で、第2位は株式会社エアーズロック(9.54%)、第3位は株式会社UH Partners 3(7.65%)となっています。

氏名 持株比率
星 知也 17.48%
エアーズロック 9.54%
UH Partners 3 7.65%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名、計11名で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役社長は星 知也氏です。社外取締役比率は18.2%です。

氏名 役職 主な経歴
星 知也 代表取締役社長 1995年テレマーカー入社。2003年同社代表取締役社長に就任。Lightblue社外取締役を兼任。
桶山 雄平 取締役副社長 2005年同社入社。2010年取締役副社長就任。うるるBPO代表取締役社長を兼任。
長屋 洋介 取締役IT・リスク管理担当役員 2002年野村総合研究所入社。2010年同社取締役就任。2024年よりIT・リスク管理担当役員。
小林 伸輔 取締役ブランド戦略担当役員人事担当役員 2003年日本航空学園入社。2007年同社入社。2024年よりブランド戦略担当役員兼人事担当役員。
近藤 浩計 取締役未来創造担当役員 2005年商工組合中央金庫入庫。2015年同社入社。2025年より未来創造担当役員。
渡邉 貴彦 取締役Govtech事業(NJSS事業含む)担当役員 2007年アルバイトタイムス入社。2010年同社入社。2021年よりGovtech事業担当役員。


社外取締役は、市川貴弘(税理士法人市川会計代表社員)、松岡剛志(コインチェック常務執行役員CTO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「CGS事業 NJSS」「CGS事業 fondesk」「CGS事業 フォト」「BPO事業」「クラウドソーシング事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) CGS事業(NJSS)


官公庁や自治体等の入札・落札情報をクラウドワーカーを活用して収集し、データベース化して提供する「NJSS(エヌジェス)」や、入札情報検索サービス「nSearch」を展開しています。入札情報の収集や整理といった作業を代行することで、企業の機会損失を防ぎます。

サブスクリプション型のビジネスモデルであり、サイト利用企業から月額課金制で利用料を受け取っています。また、入札参加資格の取得支援サービス等も提供しています。運営は主に同社が行っています。

(2) CGS事業(fondesk)


オフィスにかかってくる電話の受付を代行するサービス「fondesk」を展開しています。クラウドワーカーが受電し、チャットツール等で内容を通知することで、オフィスワークの集中環境確保やテレワーク対応を支援します。

ユーザー企業とのサービス利用契約に基づき、月額利用料および従量課金等で収益を得ています。運営は同社が行っています。

(3) CGS事業(フォト)


幼稚園・保育園向けの写真販売管理システム「えんフォト」と、出張撮影マッチングサービス「OurPhoto」を展開しています。「えんフォト」は園での写真撮影・販売業務を効率化し、「OurPhoto」は依頼者とフォトグラファーをマッチングします。

「えんフォト」では写真販売による収益を園事業者や保護者から得ており、「OurPhoto」ではマッチング成立時の手数料等を顧客から受け取っています。運営は同社が行っています。

(4) BPO事業


データ入力やスキャニング、システム開発受託、電子化総合アウトソーシングなど、企業のノンコア業務を受託する総合型アウトソーシングサービスを提供しています。徳島や大分のセンター、クラウドワーカー、国内外の協力会社等のリソースを活用しています。

顧客企業との業務委託契約に基づき、成果物の納品や役務提供の対価として委託料を受け取っています。運営は主に子会社の株式会社うるるBPOが行っています。

(5) クラウドソーシング事業


業務を発注したいクライアントと、在宅等で働きたいクラウドワーカー(主に主婦層)をマッチングするプラットフォーム「シュフティ」を提供しています。CGS事業へのリソース供給基盤としての役割も担っています。

クライアントとワーカーのマッチングが成立し業務が完了した際に、報酬の一部を手数料として受け取っています。運営は同社が行っています。

(6) CGS事業(その他)


上記以外の新たなCGS(Crowd Generated Service)事業の開発・運営を行っています。既存事業で培ったノウハウやリソースを活用し、労働力不足解決に資する新規サービスの創出に取り組んでいます。

各サービスの利用料等が主な収益源となります。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調に拡大を続けており、直近5期で倍増以上の規模に成長しています。利益面では、第24期に経常利益が大きく伸長しましたが、当期は人的資本投資等の成長投資を実施した影響で減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益も同様の傾向を示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 32億円 40億円 49億円 59億円 67億円
経常利益 1.5億円 -2.5億円 0.1億円 13億円 7.6億円
利益率(%) 4.6% -6.2% 0.1% 21.7% 11.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.4億円 -0.6億円 0.8億円 7.2億円 4.6億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も拡大しましたが、販売費及び一般管理費の増加により営業利益は減少しました。売上総利益率は約70%と高い水準を維持していますが、成長投資の実行により営業利益率は低下しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 59億円 67億円
売上総利益 42億円 47億円
売上総利益率(%) 71.5% 69.8%
営業利益 13億円 8億円
営業利益率(%) 22.3% 11.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比29%)、広告宣伝費が7億円(同18%)を占めています。

(3) セグメント収益


「NJSS」を含むCGS事業全体が売上拡大を牽引しており、特に「fondesk」や「フォト」の成長率が高くなっています。BPO事業も堅調に推移しました。クラウドソーシング事業は若干の減収となりましたが、全体としては増収基調を維持しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
CGS事業 NJSS 29億円 32億円
CGS事業 fondesk 8億円 10億円
CGS事業 フォト 7億円 8億円
CGS事業 その他 0億円 -
BPO事業 15億円 16億円
クラウドソーシング事業 0.3億円 0.2億円
調整額 -0.2億円 -0.4億円
連結(合計) 59億円 67億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


**健全型**:営業CFがプラスで、その範囲内で投資活動や借入返済を行っている状態です。本業でキャッシュを稼ぎ出しながら、将来のための投資も継続しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 15億円 7億円
投資CF -4億円 -6億円
財務CF 2億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」というコーポレートビジョンを掲げています。深刻化する労働力不足という社会課題に対し、ITやAIと人のチカラを組み合わせた独自のビジネスモデルで代替ソリューションを提供し、リーディングカンパニーを目指しています。

(2) 企業文化


ビジョン実現のために「うるるスピリット」という価値観を重視しています。これは、理念やビジョンの実現に向けて組織全体が向かうための行動指針であり、全従業員がこの価値観を体現することを求めています。独自の「シナプス組織」という体制を通じて、カルチャーの浸透を図っています。

(3) 経営計画・目標


「ULURU Sustainable Growth」という方針のもと、中長期的な売上高・EBITDAのCAGR20%成長を目指しています。2026年3月期においては、積極的な成長投資を継続しつつ、以下の業績目標を掲げています。

* 売上高:77億1000万円(15%成長)
* EBITDA:10億5000万円~12億円

(4) 成長戦略と重点施策


「ULURU Sustainable Growth」実現のため、既存事業のオーガニック成長に加え、M&Aや新規事業創出による非連続的な成長を目指しています。特にNJSSを核とした入札マーケットの拡大や、各SaaSプロダクトの更なる成長に注力します。

* NJSSとnSearchのシナジー創出、周辺サービス(GoSTEP、入札BPO)の展開によるシェア拡大
* えんフォト、fondesk、BPO事業における機能強化や市場開拓
* 独自資産(47万人のワーカー等)を活かせる新領域へのM&A・事業創出

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人の成長=企業の成長」という考えのもと、組織開発・人材開発に投資を行い、「人材成長定着企業」を目指しています。独自の「シナプス組織」体制や、管理職候補者研修、オンボーディングプログラムなどを通じて、従業員が成長を感じながら安心して業務に専念できる環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 34.2歳 3.8年 6,245,996円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 25.0%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 72.4%
男女賃金差異(正規雇用) 76.1%
男女賃金差異(非正規) 268.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性正社員比率(35.7%)、1人当たり研修費用(52,902円)、エンゲージメントスコア(61.3)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 人材採用の進捗停滞リスク


成長投資として人的資本への投資を重視していますが、採用市場の環境変化や競争激化により計画通りに採用が進まない場合、事業成長が鈍化する可能性があります。オフィス環境整備や制度充実により採用力強化を図っています。

(2) 人材採用過多による固定費増大


積極的な採用活動を行う中で、計画以上に固定費が増加した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。採用進捗のモニタリングや最適な人員配置により、投資対効果の最大化を目指しています。

(3) NJSSの独自性・優位性の希薄化


主力サービスであるNJSSは、入札情報の独自収集に優位性を持っていますが、行政による情報公開形式の統一などが進んだ場合、その優位性が低下する可能性があります。周辺サービスの展開やデータベースの横展開により、リスク分散を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。