※本記事は、株式会社ディスラプターズの有価証券報告書(第21期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ディスラプターズってどんな会社?
マーケティング事業とDX事業を展開し、持株会社体制でグループ経営を推進しています。
■(1) 会社概要
2005年に設立され、独自のモデルで転職情報サイトの運営を開始しました。2013年にキャリアインデックスへ商号を変更し、2016年にマザーズへ上場しました。その後M&Aにより不動産領域やDX事業へ進出し、2024年に持株会社体制へ移行するとともにディスラプターズへ商号を変更しました。
従業員数は連結で107名、単体で8名体制で事業を運営しています。大株主については、筆頭株主は創業者で役員の板倉広高氏で、第2位は金融商品取引業者、第3位は役員の齊藤慶介氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 板倉広高 | 57.31% |
| MSIP CLIENT SECURITIES | 4.50% |
| 齊藤慶介 | 3.28% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は17.0%です。代表取締役社長CEOは板倉広高氏です。社外取締役は2名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 板倉広高 | 代表取締役社長CEO | 1988年リクルート入社。ヤフーを経て、2005年ディスラプターズを設立し代表取締役に就任。2018年より現職。 |
社外取締役は、渡辺洋司(サイバーセキュリティクラウド代表取締役CTO)、御法川薫(エモーションテック執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「マーケティング事業」および「DX事業」を展開しています。
■マーケティング事業
マーケティング事業は、HR(人材)領域と不動産領域において情報ポータルサイト等を運営しています。複数の求人・不動産サイトの情報を一括検索・応募できる独自の「アグリゲーションモデル」を強みとしており、求職者や住まいを探すユーザーを集客し、クライアント企業へ送客しています。
収益は主に、ユーザーを求人サイトや職業紹介会社、不動産会社へ送客した際の成果報酬などから得ています。運営は、キャリアインデックスおよびホワイトキャリアが行っており、グループ間のシナジーを活かした求人シェアリング事業も展開して収益基盤を強化しています。
■DX事業
DX事業は、企業の業務効率化や生産性向上を支援するクラウドサービスやBPOサービスを提供しています。契約プロセスの効率化を図る契約ライフサイクル管理システムや、営業活動を代行・支援する営業BPO、さらに採用面接をオンラインで実施できるシステムなどを展開しています。
収益は主に、システムの月額利用料や営業代行に応じた月額報酬・従量課金によって得ています。運営は、契約管理システムをContractSが、営業支援をSales Xが、オンライン面接システムをマージナルがそれぞれ担当し、多様な企業のDX推進を支援しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は右肩上がりで成長を続けており、当期は大幅な増収を達成しました。経常利益および当期利益についても、過去の赤字から黒字転換を果たしたのち、当期はさらに利益水準を大きく切り上げており、収益性が急速に改善していることが分かります。
| 項目 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 33.4億円 | 37.7億円 | 42.9億円 | 51.1億円 |
| 経常利益 | 5.3億円 | 0.7億円 | 3.5億円 | 7.2億円 |
| 利益率(%) | 15.7% | 1.8% | 8.2% | 14.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3.8億円 | -14.1億円 | 2.9億円 | 3.9億円 |
■(2) 損益計算書
直近の損益状況を見ると、増収に伴い売上総利益が順調に拡大しています。売上総利益率は高い水準を維持しており、販売費及び一般管理費を適切にコントロールしたことで、営業利益および営業利益率が前期から大きく向上し、本業の稼ぐ力が高まっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 42.9億円 | 51.1億円 |
| 売上総利益 | 28.5億円 | 33.3億円 |
| 売上総利益率(%) | 66.3% | 65.0% |
| 営業利益 | 3.5億円 | 7.3億円 |
| 営業利益率(%) | 8.2% | 14.2% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が13.5億円(構成比52%)、給与手当が3.4億円(同13%)を占めています。売上原価(17.9億円)は、売上高に対して約35%を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のマーケティング事業は、求人シェアリング事業の拡大やアライアンス施策の成功により大幅な増収を達成しました。DX事業は、契約マネジメントシステム等の構造改革やコスト見直しが奏功し、安定した収益基盤を維持しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| マーケティング事業 | 30.9億円 | 39.2億円 |
| DX事業 | 12.0億円 | 12.0億円 |
| 連結(合計) | 42.9億円 | 51.1億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は営業で利益を出しながら、その資金を借入金の返済や手元資金での投資に充てる健全型のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.4億円 | 10.0億円 |
| 投資CF | 0.4億円 | -1.1億円 |
| 財務CF | -5.0億円 | -4.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は63.5%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「様々な事業ドメインにおいて革命を起こし、従来のビジネスモデルを変革する」ことを掲げています。デジタル技術の力やイノベーションによって現状に挑戦し、未開拓の機会を特定してビジネスのあり方を再定義する新たな基準を生み出すことに取り組んでいます。
■(2) 企業文化
同社は、たゆまぬ努力と才能あるチームによってイノベーションを生み出すことを重視しています。常に現状に挑戦し、新しい基準を生み出す姿勢を大切にしており、持株会社化を機にグループ間のシナジーを創出するなど、事業会社同士が連携しながら活発に新たな価値を創造する文化が形成されています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、持続的な利益成長を目指して成長性や効率性の向上に取り組んでおり、主な経営指標として「売上高」「営業利益」「経常利益」を重視して経営を行っています。各事業領域における収益基盤の強化と効率化を通じて、持続的な企業価値の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
マーケティング事業では、労働力不足を背景に求人シェアリング事業を拡大し、生成AIの利活用で制作業務の効率化を進めます。不動産領域では付帯サービスの拡充や大型案件の獲得で売上拡大を目指します。DX事業では、大手企業向け機能拡充とカスタマーサクセス強化による解約率低減を図り、営業BPOの横展開や生成AIを活用した新機能開発を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「人材採用」「人材育成」「働き方の多様性の推進」を主軸とした人材戦略を推進しています。採用では多様な人材を広く受け入れ、育成面ではセミナー参加や学習費用の補助、社内勉強会を通じて知識とスキルの底上げを図っています。また、生成AIへの対応力を持つ人材の育成にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 38.9歳 | 4.1年 | 5,846,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項(法定開示指標)の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、グループ全体の女性比率(43.0%)、女性の管理職比率(12.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 生成AIの技術革新
生成AIの急速な進化と普及により、ユーザーの情報収集行動や検索エンジンの利用動向が変化し、マーケティング事業の集客構造や広告効果に影響を及ぼす可能性があります。またDX事業においても、AIを活用した競合サービスの台頭により競争優位性が損なわれるリスクがあります。
■(2) インターネット広告市場への依存と競合
同社のマーケティング事業はインターネット広告市場を中心に展開しているため、検索連動型広告の料金高騰や検索エンジン運営者の表示方針の変更が集客費用対効果に影響を与えるリスクがあります。また、参入障壁が比較的低いことから、競合他社の出現により収益性が低下する可能性があります。
■(3) システム障害と情報セキュリティ
サービスを安定して提供するためにはシステムの保守管理が不可欠であり、自然災害やアクセス集中によるシステムトラブルが発生した場合、事業の停止や社会的信用の低下を招く恐れがあります。また、不正アクセスによって個人情報が漏洩した場合、損害賠償や信頼低下による業績悪化のリスクがあります。



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