※本記事は、株式会社ディスラプターズ の有価証券報告書(第20期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ディスラプターズってどんな会社?
求人や不動産情報のポータルサイト運営、DX支援などを展開する企業です。2024年10月に持株会社体制へ移行しました。
■(1) 会社概要
2005年に設立され、独自モデルによる転職情報サイトの運営を開始しました。2016年にマザーズ市場へ上場し、2017年には東証一部へ市場変更を行っています。その後、2023年にスタンダード市場へ移行しました。2024年10月には持株会社体制へ移行すると同時に、商号を現在のものに変更しています。
同社グループは連結105名、単体6名の従業員で構成されています。筆頭株主は創業者の板倉広高氏で、第2位は同社役員の齊藤慶介氏、第3位は法人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 板倉 広高 | 57.31% |
| 齊藤 慶介 | 3.28% |
| GranSfida | 1.50% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名、計6名で構成され、女性役員比率は17.0%です。代表取締役社長CEOは板倉広高氏が務めています。取締役会における社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 板倉 広高 | 代表取締役社長CEO | リクルート、ヤフーを経て、2005年に同社を設立し代表取締役社長に就任。2018年より現職。 |
社外取締役は、中山周一郎(公認会計士・中山公認会計士事務所代表)、渡辺洋司(サイバーセキュリティクラウド代表取締役CTO)です。
2. 事業内容
同社グループは、「マーケティング事業」および「DX事業」を展開しています。
■マーケティング事業
HR領域(転職、アルバイト・派遣)および不動産領域(個人向け賃貸、法人向け賃貸)において、ウェブサイト運営を行っています。複数の求人・物件サイトと連携し、情報を一括検索・応募できる独自の「ポータルオブポータルズモデル」を提供しています。
HR領域ではユーザー情報を提携先の求人サイト等へ移送することで収益を得ており、不動産領域でも同様に問い合わせ情報の移送により対価を得ています。運営は主に子会社のキャリアインデックスとホワイトキャリアが行っています。
■DX事業
オンライン面接システム、契約ライフサイクル管理システム、SaaS型営業支援クラウドサービスなどを提供しています。また、これらのツール提供に加え、DXコンサルティングや営業支援も行っています。
システム利用に伴う月額利用料や、営業支援における工数に応じた報酬などを主な収益源としています。運営は主に子会社のマージナル、ContractS、Sales Xが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は着実な増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。第19期は一時的に損失を計上しましたが、第20期には経常利益および当期純利益ともに黒字回復を果たし、利益率も改善しています。
| 項目 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 33億円 | 38億円 | 43億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 1億円 | 4億円 |
| 利益率(%) | 15.7% | 1.8% | 8.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | -14億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も拡大していますが、利益率自体は維持されています。営業利益については、前期と比較して大幅に改善しており、収益性が向上していることが読み取れます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 38億円 | 43億円 |
| 売上総利益 | 28億円 | 28億円 |
| 売上総利益率(%) | 74.3% | 66.3% |
| 営業利益 | 1億円 | 4億円 |
| 営業利益率(%) | 1.7% | 8.2% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が12億円(構成比50%)、給料手当が3億円(同14%)を占めています。
■(3) セグメント収益
マーケティング事業は増収増益となり、HR領域でのアライアンス・マーケティングの成果などが寄与しました。DX事業も増収となり、赤字幅は縮小傾向にあります。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| マーケティング事業 | 29億円 | 31億円 | 4億円 | 5億円 | 14.5% |
| DX事業 | 9億円 | 12億円 | -3億円 | -1億円 | -8.7% |
| 連結(合計) | 38億円 | 43億円 | 1億円 | 4億円 | 8.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のCF状態は「改善型」です。本業でキャッシュを稼ぎつつ、資産売却等による収入も加わり、借入金の返済を進めている状況です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3億円 | 5億円 |
| 投資CF | -11億円 | 0億円 |
| 財務CF | -5億円 | -5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「様々な事業ドメインにおいて革命を起こし、従来のビジネスモデルを変革する」ことを掲げています。この理念のもと、常に現状に挑戦し、未開拓の機会を特定し、ビジネスのあり方を再定義する新たな基準を生み出すことに取り組んでいます。
■(2) 企業文化
社名である「ディスラプターズ」には、デジタル技術の力、イノベーション、そして才能あるチームの努力によって、様々な事業ドメインにおいて革命を起こすというコミットメントが込められています。従来のビジネスモデルを変革し、現状に挑戦し続ける姿勢を重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は、持続的な利益成長を目指して成長性や効率性の向上に取り組んでおり、特に以下の指標を重視して経営を行っています。
* 売上高
* 営業利益
* 経常利益
■(4) 成長戦略と重点施策
マーケティング事業のHR領域では、アライアンス・マーケティングの拡大により収益増大を図り、AI活用による効率化も進めます。不動産領域では、付帯サービスの拡充によるクロスセルや、法人向けの仲介型モデルへの進化を目指します。DX事業では、SaaSサービスの顧客需要獲得による売上拡大とコスト低減、およびグループ内でのDX営業支援推進によるリソース最適化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
ジェンダー・国籍・人種を問わず優秀な人材を採用する方針です。また、学習費用の補助や社内勉強会による「質の高い教育」の提供、テレワーク導入や生成AI活用による「働き方の多様性の推進」と生産性向上に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 37.3歳 | 4.2年 | 5,268,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、グループ全体の男女比(男性56%、女性44%)、女性の管理職比率(12.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット広告市場について
マーケティング事業はインターネット広告市場を中心に展開しており、同市場の成長が事業拡大の前提となっています。新たな規制の導入や特定領域の寡占化、景気変動による広告費の減少などが生じた場合、事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合について
インターネットやシステムを活用したサービスは参入障壁が比較的低く、新規参入者の増加や競合他社との競争激化が予想されます。これにより収益性が低下する可能性があります。DX事業においてもSaaS型サービスなどで多くの事業者が参入する傾向があり、差別化が求められます。
■(3) 新規事業について
事業拡大のため新領域でのサービス開発に取り組んでいますが、システム開発や広告宣伝費などの先行投資が必要です。不透明な点が多く、先行投資額が想定を上回る場合や、十分な収益が得られない場合には、利益率の低下や撤退の判断を迫られ、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 技術革新及びサービスの陳腐化について
インターネット関連分野の技術革新は急速であり、顧客ニーズや標準技術が変化する可能性があります。特に生成AIの普及などがビジネスモデルに大きな影響を与える可能性があり、想定外の技術革新や代替サービスの台頭により、現在のビジネスが縮小または成立しなくなるリスクがあります。



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