※本記事は、株式会社エイトレッド の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
エイトレッドは、ワークフロー製品の開発および販売を主たる事業としています。企業の事務フローを電子化し、業務プロセスの効率化・自動化、内部統制の強化を支援する製品を提供しています。
単体従業員数は89名です。同社の事業はワークフロー事業の単一セグメントです。
主な国内グループ会社は、ソフトクリエイトホールディングスなどです。
エイトレッドは、クラウドサービスへの経営資源集中を進めており、2022年3月をもってパッケージソフト「X-point」の新規ライセンス販売を終了しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
エイトレッドは、ワークフローシステムを提供するIT企業として、従業員が能力を最大限に発揮できる環境づくりに力を入れています。若手社員が多く活躍しており、働き方の柔軟性やライフワークバランスの実現に向けた取り組みも積極的に進められています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均年齢が30代前半と比較的若く、平均勤続年数も短めであることから、活発な組織であることがうかがえます。従業員の定着と成長を支援する環境が整備されている傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,780,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.5年 |
| 平均年齢 | 31.6歳 |
| 単体従業員数 | 89人 |
同社は従業員の退職給付に充てるため、確定給付型と確定拠出型の両制度を採用しています。退職一時金制度も設けていますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。なお、退職給付債務は44百万円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
エイトレッドは、中長期的な企業価値向上に向け、人的資本への投資を経営の重要課題と認識し、人材育成の取り組みを強化しています。経営戦略と連動した人材戦略に基づき、従業員が能力を最大限発揮できる環境整備と、優秀な人材の確保・定着を目指しています。
給与制度は「基準年収制」を採用しており、月額基本給と賞与の総額で構成されます。基本給は従業員の学歴、経験、技能、業績、職務内容等を総合的に勘案して個別に決定されます。昇給・降給は原則年1回、会社業績や個々の業績、技能、勤務成績等を総合的に評価して決定される仕組みです。賞与は会社業績および評価制度に基づき年2回支給の可否や額が決定され、住宅手当、通勤手当、残業手当等の各種手当も充実しています。さらに、ストックオプション制度を導入し、中長期的な企業価値向上への貢献を重視した報酬体系となっています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。従業員数は就業人員で算出されており、男女の賃金の差異は男性の賃金に対する女性の賃金割合を示しています。賃金の基準は性別に関係なく同一であり、等級別人員構成の差によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 77.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 81.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 81.8% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性社員比率 | 19.1% |
| 女性社員比率目標(2030年度) | 20.0% |
| 女性管理職登用比率目標(2030年度) | 5.0% |
| 管理職比率 | 86.2% |
| 管理職比率目標 | 80.0%以上 |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均残業時間目標 | 10時間以下 |
| 有給休暇取得率目標 | 80.0%以上 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社エイトレッドは、ワークフロー製品の開発と販売を主軸とする企業です。企業の業務プロセスを電子化し、効率化と内部統制強化を支援するソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は「人・仕事・組織のつながりを円滑にして、成長と笑顔あふれる未来を共創する」を経営理念に掲げ、ワークフロー事業を展開しています。この事業は単一セグメントであり、パッケージソフトとクラウドサービスの二つの形態で製品を提供しています。
パッケージソフトとしては、「X-point」と「AgileWorks」を販売しています。「X-point」は、直感的な操作性を特徴とし、柔軟な承認フロー設定や他システムとの連携が可能です。現在は新規ライセンス販売を終了し、サポートサービスと追加ライセンスの提供に注力しています。一方、「AgileWorks」は、大規模組織での運用を前提に開発され、組織改編への対応強化や多言語対応といった特徴を持ち、中規模から大規模企業を主なターゲットとしています。
クラウドサービスでは、パッケージソフトの「X-point」をクラウド化した「X-point Cloud」と、「AgileWorks」をクラウド化した「AgileWorksクラウド版」を提供しています。これらのサービスは、自社サーバー等の設備が不要で、迅速な導入やメンテナンスの手間削減といったメリットがあり、多様な働き方への対応も可能です。X-point Cloudは小規模から中規模企業、AgileWorksクラウド版は中規模から大規模企業を主なターゲットとしています。
同社の製品・サービスは、日本型業務プロセスに適応した機能設計を志向しており、多種多様な業種や事業規模の企業に導入実績があります。製品のカスタマイズは行わず、顧客ニーズを反映した継続的なバージョンアップを通じて製品力強化を図る方針です。また、パートナー企業を活用した営業体制を構築しており、特定のパートナー企業への販売が売上の一部を占める傾向があります。海外の外部顧客への売上高はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が増加傾向にあります。一方で、営業利益はわずかに減少しました。経常利益は前期から横ばいで推移し、当期純利益は減少となりました。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は本業で安定的に資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている成長フェーズにあります。強固な財務基盤を維持しながら、事業拡大のための資金を投じている状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の自己資本比率は80%台と高い水準を維持しており、プライム市場平均と比較しても非常に強固な財務基盤を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しており、収益性も良好な状態です。手元資金は減少傾向にありますが、依然として潤沢な現金及び預金等を保有しており、事業運営の安定性につながっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 82.0% | 81.2% |
| ROE(自己資本利益率) | 14.2% | 12.8% |
| 現金及び預金等 | 49億90百万円 | 35億93百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益と減価償却費の計上により、前期から増加し資金を獲得しています。本業で安定的に資金を生み出している状況を示しています。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得や無形固定資産の取得により、前期から大幅に支出が増加しています。これは将来に向けた積極的な投資が行われていることを示しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払により資金が減少しています。
結果としてフリーキャッシュ・フローはマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている成長投資フェーズにあることがうかがえます。このような資金の流れは、事業の成長を重視し、将来の収益拡大に向けた基盤を強化している姿勢を示しており、中長期的な雇用安定性や給与水準の向上につながる可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 11.5億円 | 13.3億円 |
| 投資CF | △4.5億円 | △24.8億円 |
| 財務CF | △2.2億円 | △2.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 6.9億円 | △11.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社はワークフロー事業の単一事業であり、事業環境の変化や製品・サービスの競争力低下が生じた場合、その影響を大きく受ける可能性があります。また、ワークフロー市場には複数の競合企業が存在しており、競争が激化した場合には同社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社事業の継続的な発展には優秀な人材の確保と育成が不可欠です。IT業界は技術者にとって売り手市場であるため、人材採用が困難になったり、現在在籍する人材の流出が生じたりした場合、事業の円滑な運営及び拡大に支障をきたす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
エイトレッドは、ワークフローシステムを通じて人・仕事・組織のつながりを円滑にし、企業の成長と笑顔あふれる未来を共創することを目指しています。全ての企業にワークフローの力を届けることをビジョンに掲げ、持続的な企業価値向上に取り組む会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「人・仕事・組織のつながりを円滑にして、成長と笑顔あふれる未来を共創する」ことをMISSIONとしています。そして「ワークフローのチカラを全ての企業へ」というVISIONを掲げています。
同社は、ワークフロー市場とクラウドサービス市場の拡大を背景に、大手・中堅企業向けワークフローパッケージ「AgileWorks」やクラウドサービス「X-point Cloud」「AgileWorksクラウド版」の売上拡大に努めています。これにより収益性の高い事業基盤を確立し、永続的に安定発展する優良企業を目指す方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は「ユーザー共感を原点に」「常に進化する」「セキュリティは最優先事項」「挑戦を楽しもう」「協力と連携」というVALUEを大切にしています。サステナビリティを経営の重要課題と認識し、あらゆるつながりを円滑にすることで「つながりの好サイクル」を生み出すことを使命としています。
ワークフローシステムの普及を通じて、紙資源やCO²排出量の削減といった環境貢献、パートナーとの連携やテレワーク推進による社会貢献、そしてガバナンス強化を図っています。ESG活動の拡大と進化を通じて、環境や社会への貢献と会社の成長の両立を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、IT業界の環境変化に対応するため、製品機能の強化と新サービスの充実、販売体制の強化と知名度の向上を課題としています。また、働き方改革とDXの推進も重要なテーマです。
具体的には、男性の育児休暇取得、選択式時差出勤、テレワーク勤務、時間単位有給制度などを導入し、柔軟な働き方を実現できる環境づくりに努めています。ワークフローシステムを企業の「ファーストDX」として位置づけ、DX推進とワークフローの認知拡大を図る方針です。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
エイトレッドは、取締役会と監査役・監査役会を中心としたコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。経営に多様な視点を取り入れ、独立した立場からの監査を確保することで、機能強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
エイトレッドの筆頭株主は事業会社であるソフトクリエイトホールディングスです。同社はエイトレッドの支配株主であり、同社グループ各社との間で営業取引や業務委託取引が発生しています。これらの取引は事業上の必要性や適正性を考慮して行われ、年度初めの取締役会で年間の取引枠が設定・承認されています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ソフトクリエイトホールディングス | 51.29% |
| SCSK | 8.01% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 4.17% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は岡本康広氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 林 宗治 | 代表取締役会長 | 2000年6月ソフトクリエイト(現ソフトクリエイトホールディングス)取締役、2006年10月同社代表取締役社長兼COO、2013年5月ソフトクリエイトホールディングス代表取締役社長。2023年1月同社代表取締役会長より現職。 |
| 岡本 康広 | 代表取締役社長 | 1990年4月日立ソフトウェアエンジニアリング(現日立ソリューションズ)入社、1994年4月ソフトクリエイト(現ソフトクリエイトホールディングス)入社。2019年6月同社代表取締役社長より現職。 |
| 佐藤 淳 | 取締役 | 1998年2月ソフトクリエイト(現ソフトクリエイトホールディングス)入社、2015年6月同社取締役CFO管理部長。2021年6月同社取締役より現職。 |
| 佐藤 拓良 | 取締役 プロダクト開発・カスタマーサクセス部長 | 1998年4月日本ヒューレット・パッカード(現日本ヒューレット・パッカード合同会社)入社、2023年1月同社執行役員兼プロダクト開発・カスタマーサクセス部長。2023年6月同社取締役プロダクト開発・カスタマーサクセス部長より現職。 |
社外取締役は、薄上二郎氏(青山学院大学経営学部教授)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役・監査役会を中心としたガバナンス体制を構築しています。社外取締役は経営の監督、社外監査役は独立した立場からの監査を通じて、経営の透明性と機能強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
エイトレッドの取締役の報酬は、固定報酬である基本報酬と、中長期的なインセンティブとしてのストック・オプションで構成されています。これにより、業績と企業価値向上、株主との価値共有を目指しています。監督機能を担う社外取締役には、基本報酬のみが支払われる仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 40百万円 | 19.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 8百万円 | 4.1百万円 |
| 社外取締役 | 1名 | 1百万円 | 1.2百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 2百万円 | 1.2百万円 |
役員報酬の総額は51百万円であり、報酬の支給対象となった役員は合計7名です。
なお、報酬の支給対象となった監査役の人数には、事業年度中に退任した監査役1名が含まれています。また、無報酬の取締役が2名存在するため、取締役の員数と報酬対象人数は相違しています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。