エイトレッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エイトレッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エイトレッドは、東京証券取引所スタンダード市場に上場し、ワークフロー製品の開発および販売を主力事業とする企業です。稟議や申請から決裁までの業務プロセスを電子化し、企業の業務効率化を支援しています。直近の業績トレンドは、クラウドサービスの需要拡大により増収を達成した一方、利益面では微減益となりました。


※本記事は、エイトレッドの有価証券報告書(第19期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エイトレッドってどんな会社?


稟議・申請業務を電子化するワークフロー製品の開発・販売を主力としています。

(1) 会社概要


2003年4月、ソフトクリエイトホールディングスが開発したワークフロー「X-point」の販売を開始しました。2007年4月に会社分割により同事業を承継し、エイトレッドが設立されました。2009年に「AgileWorks」、2011年にクラウド版の提供を開始し、2016年に上場を果たしました。

筆頭株主は親会社であるソフトクリエイトホールディングスで、第2位は事業会社であるSCSK、第3位は投資ファンドの光通信KK投資事業有限責任組合です。現在の従業員数は89名で、少精鋭の組織体制でワークフロー事業を展開しています。

氏名 持株比率
ソフトクリエイトホールディングス 51.29%
SCSK 8.01%
光通信KK投資事業有限責任組合 4.17%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は岡本康広氏が務めています。社外取締役比率は12.5%です。

氏名 役職 主な経歴
林宗治 代表取締役会長 ソフトクリエイトホールディングス代表取締役社長を経て、2023年より現職。
岡本康広 代表取締役社長 日立ソフトウェアエンジニアリング等を経て、ソフトクリエイトに入社。2019年より現職。
佐藤淳 取締役 ソフトクリエイトの経営管理部長などを経て、2015年より同社取締役。2021年より現職。
佐藤拓良 取締役プロダクト開発・カスタマーサクセス部長 日本ヒューレット・パッカードや日本マイクロソフトなどを経て、2023年より現職。


社外取締役は、薄上二郎(青山学院大学名誉教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ワークフロー事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) パッケージソフト


日本型業務プロセスに適応したワークフロー製品を提供しており、中小規模向けの「X-point」と中大規模向けの「AgileWorks」を販売しています。紙のような直感的な入力フォームと柔軟な承認フロー設定が特徴です。

収益源はパッケージソフトのライセンス販売およびサポートサービスです。現在はクラウドサービスへの移行を進めており、「X-point」の新規ライセンス販売は終了しています。運営はエイトレッドが主導し、パートナー企業を通じた販売体制を構築しています。

(2) クラウドサービス


自社サーバー等の設備が不要で、初期導入が迅速なクラウドサービスを提供しています。小中規模向けの「X-point Cloud」と中大規模向けの「AgileWorksクラウド版」を展開し、多様な働き方に対応します。

収益源は、クラウド環境上で提供する使用権とサポートサービスが一体となった一定期間ごとの利用料です。需要が拡大しており、直販に加えてパートナー企業経由での販売も行っています。運営はエイトレッドが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、堅調な成長を続けています。経常利益も概ね右肩上がりで推移していますが、直近は横ばいとなっています。利益率は低下傾向にあるものの、依然として30%半ばの高水準を維持しています。当期利益は直近でわずかに減少しました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 21.1億円 21.7億円 25.0億円 27.7億円 29.0億円
経常利益 9.1億円 10.0億円 10.5億円 10.6億円 10.6億円
利益率(%) 43.0% 46.1% 42.1% 38.4% 36.6%
当期利益 6.0億円 6.7億円 7.1億円 7.3億円 7.2億円

(2) 損益計算書


売上高は増加したものの、ソフトウェア償却費や通信費の増加により売上原価が増加し、売上総利益率は低下しました。また、広告宣伝費や地代家賃などの増加により、営業利益は微減となり、営業利益率も低下しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 27.7億円 29.0億円
売上総利益 18.4億円 18.6億円
売上総利益率(%) 66.5% 64.2%
営業利益 10.6億円 10.5億円
営業利益率(%) 38.3% 36.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2.2億円(構成比27%)、業務委託費が1.5億円(同18%)を占めています。売上原価では、経費が8.4億円(構成比53%)、労務費が3.9億円(同25%)を占めています。

(3) セグメント収益


クラウドサービスはDX推進やクラウド移行の需要を捉えて大きく売上を伸ばしました。一方、パッケージソフトはクラウドサービスへのシフトや新規販売本数の減少により減収となりました。全体としてはクラウドサービスの成長が牽引し、増収を達成しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
パッケージソフト 14.1億円 12.4億円
クラウドサービス 13.6億円 16.7億円
連結(合計) 27.7億円 29.0億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFと財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型の状態です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.5%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は80.1%となっており、いずれも市場平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 11.5億円 13.3億円
投資CF -4.5億円 -24.8億円
財務CF -2.2億円 -2.5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人・仕事・組織のつながりを円滑にして、成長と笑顔あふれる未来を共創する」をミッションに掲げています。また、「ワークフローのチカラを全ての企業へ」をビジョンとして定めており、業務の電子化を通じた生産性向上や多様な働き方の実現など、社会に対する貢献と事業成長の両立を目指しています。

(2) 企業文化


同社はバリューとして、「ユーザー共感を原点に」「常に進化する」「セキュリティは最優先事項」「挑戦を楽しもう」「協力と連携」という5つの行動指針を掲げています。顧客視点での製品開発を重視するとともに、情報管理を徹底し、変化を恐れずチームワークを発揮する組織文化の醸成に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


将来にわたり安定した成長と企業価値の増大を継続的に確保するため、重要な経営指標として売上高の拡大を掲げています。厳しい経済環境下においても永続して安定的に発展し続ける優良企業を目指し、収益性の高い事業基盤の確立に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の更なる成長に向け、「製品機能の強化および新サービスの充実」「販売体制の強化と知名度の向上」「働き方改革およびDXの推進」を重点課題としています。特に、急拡大するクラウドサービス市場でのシェア獲得に注力するとともに、パートナー企業との連携強化やWebを活用したプロモーションを推進し、企業のファーストDXを支援します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業の継続的な発展と技術革新への対応のため、技術者を中心とした優秀な人材の確保と育成を不可欠な戦略と位置づけています。働きがいを感じられる社内環境の整備や多様性を尊重した人材採用に努めており、男性の育児休暇取得や選択式時差出勤、テレワークなど、柔軟でワークライフバランスの整った職場環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 31.6歳 4.5年 5,780,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 77.6%
男女賃金差異(正規雇用) 81.8%
男女賃金差異(パート・有期) 81.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(19.1%)、有給休暇取得率(80%)、平均残業時間(10時間以下)、管理職比率(86.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ワークフロー市場の成長と変動


ワークフロー市場は企業のDXや働き方改革を背景に拡大傾向にありますが、将来の需要動向が想定通りに推移しない場合や、経済環境の悪化に伴うIT投資の低迷が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は情報発信等を通じて市場の活性化に努めています。

(2) 単一事業に対する依存と競合


ワークフロー事業の単一セグメントであるため、事業環境の変化や競争力の低下が生じた場合、業績への影響を大きく受けるリスクがあります。また、既存システムや新規参入企業との競合が激化する可能性に対して、継続的な機能強化により製品の競争力維持・向上を図っています。

(3) パートナー企業への販売依存


売上の多くを販売パートナー経由に依存しており、特に上位5社に対する売上比率は約5割に達しています。主要パートナーの営業戦略の変更や取引関係の悪化が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。これに対し、営業・技術支援の強化や新規パートナーの開拓を進めています。

(4) 情報セキュリティとシステム障害


クラウドサービスの提供にあたり、顧客データや個人情報を取り扱っています。サイバー攻撃による情報漏洩や、外部クラウドサービスのシステム障害が発生した場合、損害賠償や信頼性の低下を招くリスクがあります。セキュリティ対策やバックアップ体制の強化により、リスク発生の防止に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。