エイトレッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エイトレッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

スタンダード市場に上場。ワークフロー製品の開発・販売を行う単一事業を展開。第18期はクラウドサービスの伸長により、売上高は前期比10.6%増の28億円、経常利益は0.7%増の11億円と増収増益を達成しました。親会社はソフトクリエイトホールディングスです。


※本記事は、株式会社エイトレッド の有価証券報告書(第18期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エイトレッドってどんな会社?


ワークフローシステムの開発・販売に特化し、パッケージソフトやクラウドサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


2007年にソフトクリエイト(現ソフトクリエイトホールディングス)から分社化し設立。同年、SCSKが資本参加しました。2016年に東証マザーズへ上場し、2019年に東証一部へ市場変更。2024年には「AgileWorks」のクラウド版を販売開始しました。

従業員数は単体82名です。筆頭株主は親会社のソフトクリエイトホールディングスで、第2位はSI事業を展開するSCSKです。

氏名 持株比率
ソフトクリエイトホールディングス 51.29%
SCSK 8.01%
光通信 4.18%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は岡本康広氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
岡本 康広 代表取締役社長 日立ソフトウェアエンジニアリング、ソフトクリエイト等を経て、エートゥジェイ副社長を務めた後、2019年より現職。
林 宗治 代表取締役会長 ソフトクリエイト(現ソフトクリエイトホールディングス)社長等を歴任し、2023年より現職。ソフトクリエイトホールディングス社長を兼務。
佐藤 淳 取締役 ソフトクリエイト入社後、同社経営管理部長等を経て、2021年より現職。ソフトクリエイトホールディングス取締役を兼務。
佐藤 拓良 取締役プロダクト開発・カスタマーサクセス部長 日本ヒューレット・パッカード、アドビシステムズ、日本マイクロソフト等を経て、2023年より現職。


社外取締役は、薄上二郎(青山学院大学経営学部教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ワークフロー事業」を展開しており、提供形態により「パッケージソフト」および「クラウドサービス」に区分されています。

(1) パッケージソフト


中堅・大規模組織向けの「AgileWorks」および小・中規模向けの「X-point」をライセンス販売しています。直感的な入力フォームや組織改編への柔軟な対応が特徴で、顧客のサーバー環境等に導入されます。

収益は主に、顧客からのソフトウェアライセンス料および保守サポート料から成り立っています。運営は主にエイトレッドが行い、販売パートナーを経由して提供されるケースが大半です。

(2) クラウドサービス


パッケージ製品の機能をクラウド上で提供する「X-point Cloud」および「AgileWorksクラウド版」を展開しています。サーバー設備が不要で、初期導入の迅速さやメンテナンスの手間削減がメリットです。

収益は主に、顧客からの月額利用料(サブスクリプション)から成り立っています。運営はエイトレッドが行い、直販およびパートナー経由で販売されています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上高が着実に右肩上がりで推移しており、成長を続けています。経常利益も増加傾向にありますが、直近では横ばいから微増となっており、高い利益率を維持しつつも安定成長フェーズにあることが読み取れます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 19億円 21億円 22億円 25億円 28億円
経常利益 7.9億円 9.1億円 10.0億円 10.5億円 10.6億円
利益率 41.1% 43.0% 46.1% 42.1% 38.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 5.4億円 6.0億円 6.7億円 7.1億円 7.3億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しましたが、利益率はやや低下しました。営業利益は微増しており、事業規模の拡大に伴いコストも増加しているものの、依然として高い収益性を維持していることが分かります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 25億円 28億円
売上総利益 18億円 18億円
売上総利益率 71.2% 66.5%
営業利益 11億円 11億円
営業利益率 42.0% 38.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が2.0億円(構成比25%)、業務委託費が1.4億円(同18%)を占めています。売上原価においては、経費(減価償却費や通信費含む)が7.4億円(構成比80%)を占めています。

(3) セグメント収益


クラウドサービス市場の成長とDX推進を背景に、クラウドサービスの売上が大きく伸長しました。一方、パッケージソフトはクラウドへのシフト等の影響で減収となりましたが、全体では増収を達成しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
パッケージソフト 14億円 14億円
クラウドサービス 11億円 14億円
連結(合計) 25億円 28億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業の儲けを示す営業CFがプラス、将来のための投資CFがマイナス、借入返済や配当支払い等の財務CFがマイナスとなっており、営業利益で投資や株主還元を賄う健全型のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 11億円 11億円
投資CF -4.5億円 -4.5億円
財務CF -1.9億円 -2.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は80.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人・仕事・組織のつながりを円滑にして、成長と笑顔あふれる未来を共創する」をミッションに掲げています。また、「ワークフローのチカラを全ての企業へ」をビジョンとし、日本型業務プロセスに適応した製品を通じて、企業の意思決定の迅速化や業務効率化への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


同社は5つのバリュー(行動指針)を定めています。「ユーザー共感を原点に」「常に進化する」「セキュリティは最優先事項」「挑戦を楽しもう」「協力と連携」を掲げ、顧客視点や技術革新、チームワークを重視する文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、将来にわたる安定成長と企業価値増大のため、売上高の拡大を重要な経営指標としています。具体的な数値目標としては、2026年3月期までにソフトウェアの製品機能強化や新サービスの充実に5.7億円を投資する計画などが挙げられています。

(4) 成長戦略と重点施策


市場の変化に対応するため、製品機能の強化や新サービスの充実、販売体制の強化、および知名度向上を重点施策としています。また、働き方改革やDX推進の課題に対し、ワークフローシステムを「ファーストDX」ツールとして位置づけ、認知拡大を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


労働力不足を見据え、優秀な人材確保と生産性向上を目指し、多様性を尊重した採用・育成に取り組んでいます。男性育休やテレワーク、時間単位有給等の制度を充実させ、働きがいのある環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 34.8歳 4.5年 5,944,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 78.7%
男女賃金差異(正規) 81.0%
男女賃金差異(非正規) 78.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(19.5%)、管理職比率(86.9%)、平均残業時間(10時間以下)、有給休暇取得率(80%以上)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ワークフロー市場の動向


企業の業務効率化やDX推進により市場は拡大傾向にありますが、将来の需要動向が想定通り推移しない場合や、経済環境の悪化により企業のIT投資が低迷した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 単一事業への依存


同社はワークフロー事業の単一事業で運営されており、事業環境の変化や製品サービスの競争力低下が生じた場合、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。これに対し、継続的な機能強化等で競争優位性の確保に努めています。

(3) システム障害のリスク


クラウドサービスはインターネットや外部クラウド基盤を利用しており、災害、事故、不正アクセス等によるシステム障害が発生した場合、サービス提供に支障が生じ、信頼性低下や損害賠償等により業績に影響を与える可能性があります。

(4) 情報セキュリティ


多くの顧客情報や個人情報を扱っているため、外部からの不正侵入や人為的過誤による情報漏洩が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償請求等により、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。