インターネットインフィニティー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

インターネットインフィニティー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場しており、短時間リハビリ型デイサービス「レコードブック」の運営やケアマネジャー向けWebサイトの運営などを行うヘルスケアソリューション事業および在宅サービス事業を展開しています。直近の業績は、売上高、経常利益ともに前期を上回り、増収増益となっています。


※本記事は、株式会社インターネットインフィニティー の有価証券報告書(第21期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. インターネットインフィニティーってどんな会社?


ヘルスケアとITを融合させ、リハビリ型デイサービスやケアマネジャー向けWebサイト等を運営する企業です。

(1) 会社概要


同社は2001年にシステム開発を目的として設立され、翌年には介護事業へ参入しました。2005年にはケアマネジャー専用サイト「ケアマネジメント・オンライン」を開設し、2011年にはリハビリ型デイサービス「レコードブック」を開始して事業を拡大しました。2017年に東証マザーズ(現グロース)へ上場し、2024年にはレコードブック事業を分社化するなど組織再編を進めています。

同社グループの連結従業員数は353名、単体では54名です。筆頭株主は創業者の別宮圭一氏の資産管理会社である株式会社別宮圭一事務所で、第2位は国内生命保険会社の大同生命保険、第3位は創業者の別宮圭一氏本人となっており、創業者とその関連先が多くの株式を保有するオーナー色の強い資本構成となっています。

氏名 持株比率
別宮圭一事務所 19.16%
大同生命保険 7.37%
別宮 圭一 5.19%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は別宮圭一氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
別宮 圭一 代表取締役社長 1996年アスキー入社。2001年にインターネットインフィニティー(現同社)を設立し社長に就任。2004年より現職。
藤澤 卓 常務取締役 1996年アスキー入社。2004年に同社入社。介護事業本部長や事業本部長を経て、2021年より現職。グループ会社のフルケアおよび正光技建の社長も兼務。
星野 健治 常務取締役経営管理部長 2005年あずさ監査法人入社。2013年に同社入社。経営管理部長、管理本部長などを歴任し、2021年より現職。


社外取締役は、金子博臣(元日本ケアサプライ社長)、黒田和道(PLAY社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ヘルスケアソリューション事業」および「在宅サービス事業」を展開しています。

(1) ヘルスケアソリューション事業


高齢者の健康寿命延伸を目的とした短時間リハビリ型デイサービス「レコードブック」の運営や、ケアマネジャー向けWebサイト「ケアマネジメント・オンライン」を通じたマーケティング支援、高齢者向けの生活支援サービスなどを提供しています。主な顧客は要介護・要支援認定者や製薬・医療機器メーカー等の企業です。

収益源は、デイサービス利用者からの介護報酬、フランチャイズ加盟店からの加盟金やロイヤルティ収入、企業からのマーケティングリサーチやプロモーション支援料などです。運営は主に株式会社レコードブック、株式会社フルケア、株式会社正光技建、株式会社カンケイ舎および同社が行っています。

(2) 在宅サービス事業


在宅の高齢者を対象に、ケアプランを作成する居宅介護支援サービス、ホームヘルパーによる訪問介護サービス、デイサービスセンターでの通所介護サービス、住宅型有料老人ホームでの施設介護サービスなどを提供しています。

主な収益源は、介護保険制度に基づき国民健康保険団体連合会および利用者から受け取る介護報酬です。運営は主に株式会社カンケイ舎が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は35億円規模から52億円規模へと順調に拡大傾向にあります。経常利益についても変動はあるものの、直近では4億円台となり増加基調です。当期利益に関しては、親会社帰属分の数値として単体と連結のデータが混在している可能性がありますが、全体として事業規模の拡大とともに収益性の向上が見られます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 35億円 42億円 45億円 50億円 52億円
経常利益 2.5億円 2.9億円 1.5億円 2.7億円 4.1億円
利益率(%) 7.2% 6.9% 3.3% 5.5% 8.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.5億円 1.9億円 -0.3億円 1.2億円 1.2億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は37%台から39%台へと改善しており、本業の収益性が高まっていることがうかがえます。営業利益については、前期の2.3億円から当期は4.0億円へと大幅に伸長し、営業利益率も向上しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 50億円 52億円
売上総利益 18億円 20億円
売上総利益率(%) 37.2% 39.6%
営業利益 2.3億円 4.0億円
営業利益率(%) 4.6% 7.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当及び賞与が6.4億円(構成比39.2%)、のれん償却額が0.4億円(同2.7%)を占めています。売上原価については、住宅リフォーム事業等の拡大に伴い業務委託費等が増加した一方、直営店舗数減少等により労務費が減少しています。

(3) セグメント収益


ヘルスケアソリューション事業は、福祉用具貸与事業の堅調な推移やレコードブック事業の既存店稼働率向上により増収となりました。在宅サービス事業も、施設・通所介護の利用者数推移や新規事業所開設により増収を達成しています。両セグメントともに売上規模を拡大させています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
ヘルスケアソリューション事業 34億円 36億円
在宅サービス事業 15億円 16億円
連結(合計) 50億円 52億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で得た資金と財務活動(借入等)による調達資金を活用し、投資活動を行っている「積極型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 3.8億円 4.7億円
投資CF 0.2億円 -2.3億円
財務CF 0.6億円 5.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「健康な未来」をコーポレートスローガンとし、「創意革新と挑戦による、超高齢社会における課題解決」をミッションとして掲げています。リアルでの介護事業とウェブ事業を融合させ、テクノロジーを活用して介護現場の課題解決や生産性向上を図り、健康寿命の延伸とビジネスケアラー支援に取り組んでいます。

(2) 企業文化


同社は、株主、社員、利用者、取引先、地域社会など全てのステークホルダーから信頼され、持続的に収益をあげることで企業価値を増大させることを基本方針としています。また、2040年問題などの社会課題に対し、現場のDX支援やテクノロジー活用を通じて、効率的かつ質の高いサービス提供を目指す姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、安定した経営と持続的な成長を実現するため、以下の指標を重要な経営目標として位置づけています。高付加価値サービスの提供による効率的な利益獲得を目指しています。

* ROE(自己資本利益率)
* 売上高営業利益率

(4) 成長戦略と重点施策


同社はヘルスケアプラットフォームの価値向上による事業拡大を目指しています。具体的には、「レコードブック」のフランチャイズ展開加速やアライアンス強化、介護保険適用外のヘルスケアソリューション開発によるターゲット層の拡大を進めます。また、DXソリューション事業の強化や、ガバナンス・コンプライアンス体制の強化による経営基盤の盤石化にも取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を重要な経営資源と位置づけ、社員の「仕事のやりがい」と「働きやすさ」の向上を目指しています。専門性の高い人材や有資格者の確保・育成を喫緊の課題とし、教育研修体制の充実やライフステージに合わせた勤務体制の整備を進めています。また、介護職員の処遇改善や、年齢・性別を問わない管理職登用など、多様な人材が活躍できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 36.6歳 5.3年 5,557,505円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
男性育児休業取得率 100.0%


なお、女性管理職比率および男女賃金差異については、女性活躍推進法の規定による公表義務に基づく公表項目として選択しておらず公表していないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 介護保険制度について


主要事業であるレコードブック事業や在宅サービス事業は介護保険法の適用を受けるため、制度改正や報酬改定の影響を強く受けます。3年ごとの報酬改定や、将来的な報酬引き下げ、自己負担割合の引き上げ等が行われた場合、利用控え等により財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合について


介護福祉・予防介護市場には参入障壁が必ずしも高くないため、複数の事業者が参入しており、今後も大手を含む競争激化の可能性があります。同社は独自ノウハウやブランド戦略で差別化を図っていますが、競争激化により利用者獲得が困難になった場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 新規出店について


レコードブック事業では直営・FCによる多店舗展開を進めていますが、新規出店や提携が計画通りに進まない場合、投資回収の長期化や計画の見直しが必要となる可能性があります。また、地方自治体の方針等により地方展開が想定通り進捗しない場合も、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 有資格者及び人員の確保について


介護サービス提供にはケアマネジャー等の有資格者が不可欠であり、事業拡大には十分な人材確保が必要です。人材不足や既存職員の流出が生じた場合、サービス品質の低下や事業継続の困難、採用コストの増加等を招き、経営成績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。