※本記事は、株式会社ピーバンドットコムの有価証券報告書(第24期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ピーバンドットコムってどんな会社?
プリント基板のEコマースサイト運営を中心に、ハードウェア開発者を支援する企業です。
■(1) 会社概要
2002年にインフローとして設立され、翌2003年にプリント基板ネット通販サイトの本販売を開始しました。2012年に現在のピーバンドットコムへ商号変更し、2017年に東証マザーズに上場しました。その後東証一部を経てスタンダード市場へ移行し、2025年には名証メイン市場へも上場しています。
従業員数は単体で40名です。筆頭株主は取締役会長の資産管理会社であるインフローで、第2位は創業者の田坂正樹氏、第3位は金融機関の楽天証券です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| インフロー | 33.04% |
| 田坂 正樹 | 9.78% |
| 楽天証券 | 1.94% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は後藤康進氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 後藤 康進 | 代表取締役社長 | 同社入社後、COO事業統括や営業事業部長などを経て、2023年6月より現職。 |
| 田坂 正樹 | 取締役会長ファウンダー | ミスミ入社後、2002年に同社を設立し代表取締役に就任。2023年6月より現職。 |
| 上田 直也 | 取締役CHRO | クリフト入社後、同社に入社し、CFO管理部長などを経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、吉野功一(元丸紅)、森博司(元マネックス証券)、豊田賢治(東京桜橋法律事務所)です。
2. 事業内容
同社は「プリント基板のEコマース事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
プリント基板の調達に必要な基板設計、製造、部品実装を一気通貫で提供するEコマースサイトを展開しています。エレクトロニクス・エンジニアを主な顧客とし、短納期ニーズへの対応や製品化、小ロット量産への移行支援を行っています。
同社が運営主体となり、提携工場を活用するファブレス体制でサービスを提供しています。基板製造を起点に、電子部品調達や筐体、ハーネスなどの周辺サービスを組み合わせるクロスセルによって収益を獲得しています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は安定的な成長を続けており、23億円に達しています。経常利益は一時的な減少があったものの、直近では回復し増益基調にあります。当期利益も高水準で推移しており、堅調な収益体質を維持しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 19億円 | 20億円 | 20億円 | 22億円 | 23億円 |
| 経常利益 | 2.0億円 | 1.8億円 | 1.3億円 | 1.6億円 | 1.9億円 |
| 利益率(%) | 10.3% | 9.0% | 6.6% | 7.3% | 8.1% |
| 当期純利益 | 1.4億円 | 0.9億円 | 0.9億円 | 1.1億円 | 1.1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。高付加価値サービスの提供比率が上昇したことで、売上総利益率や営業利益率も前期と比較して改善を見せており、収益性の向上が確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 22億円 | 23億円 |
| 売上総利益 | 8億円 | 9億円 |
| 売上総利益率(%) | 36.2% | 37.8% |
| 営業利益 | 1.6億円 | 1.9億円 |
| 営業利益率(%) | 7.2% | 8.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が1.9億円(構成比28%)、役員報酬が1.1億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであるため、事業全体の売上高を記載しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| プリント基板のEコマース事業 | 22億円 | 23億円 |
| 連結(合計) | 22億円 | 23億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.4億円 | 1.9億円 |
| 投資CF | -0.5億円 | -0.7億円 |
| 財務CF | -0.4億円 | -0.5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.5%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も79.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「アイデアと探究心で、“あたりまえ”を革新する。」という企業パーパスを掲げています。まずはエレクトロニクス・エンジニアの開発プロセスにおける常識を革新し、誰もがアイデアさえあればモノが具現化できる世界の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
行動規範として「ワクワクするチャレンジを選ぶ。」を掲げています。また、アイデアの積極的な発信、たゆまぬ探究心、継続的な学習による成長、失敗を恐れない挑戦、気持ちのいいコミュニケーションを5つの行動指針とし、より良い会社作りを進めています。
■(3) 経営計画・目標
2027年3月期から2029年3月期までの中期経営計画ローリングを策定し、持続的な企業価値向上を目指しています。
* 売上高:30億円(2029年3月期)
* 売上総利益:12億円(2029年3月期)
* 当期純利益:1.8億円(2029年3月期)
■(4) 成長戦略と重点施策
既存のEコマース事業を中核としつつ、部品実装や電子部品調達などの周辺サービス領域を拡張し、開発プロセス全体を支援するプラットフォームへの進化を目指しています。
* Eコマース事業の深化とクロスセル構造による収益性向上
* 電子製造プロセス全体を支援する新サービス基盤の育成
* システム基盤刷新による拡張性・利便性の向上
* 海外市場(ASEAN地域)への展開と新たな成長機会の創出
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を持続的な成長の源泉と捉え、人事制度改革と自律型人材の育成を進めています。個々の不足スキルに応じた社内外の研修を活用し、事業部内での配置転換を通じて多様なスキルを持つ人材になることを推奨しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.0歳 | 6.5年 | 5,705,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット利用とシステム障害のリスク
インターネットを利用した営業形態に依存しているため、システム障害やサイバー攻撃、想定を上回るアクセス集中によってサービスが停止した場合、事業に影響を及ぼす可能性があります。また、システム基盤の刷新に伴う開発遅延や不具合の発生もリスクとなります。
■(2) 仕入・物流関係のリスク
基板の設計や製造、部品実装の大部分を外部に委託しており、委託先が業務を行えなくなった場合の影響が懸念されます。また、物流拠点の集中による災害リスクや、原材料の価格高騰、物流コストの上昇が収益性を圧迫する可能性があります。
■(3) 海外事業展開に伴うカントリーリスク
タイ市場など海外への展開を推進していますが、現地の政治・経済情勢の変動や法規制、商習慣の違いが事業に影響を与える可能性があります。為替相場の変動や関税政策の変更によるコスト増加も、価格競争力や採算性に悪影響を及ぼす懸念があります。



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