※本記事は、株式会社ピーバンドットコム の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社は、プリント基板のEコマース「P板.com」の運営を中核事業としています。自動車やスマートフォンなどあらゆる電子機器に使われるプリント基板の設計・製造・部品実装を中心に、周辺サービスも提供しています。将来的には「GUGEN Hub」構想を通じて電子製造プロセス全体を支援するサービス基盤への進化を目指しています。
単体従業員数は40名です。同社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントとなっています。
ピーバンドットコムは自社工場を持たないファブレス経営であり、国内外の複数の仕入先と提携することで、安定した製品供給と競争力のある商品提供を行っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社ピーバンドットコムは、プリント基板のEコマース事業を展開しており、専門性と効率性を重視する企業文化がうかがえます。従業員の平均年齢や勤続年数からは、一定の経験を持つ人材が活躍し、比較的安定して働ける環境であると考えられます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が6.5年、平均年齢が39.96歳となっており、経験豊富な人材が中心となって業務を遂行している傾向が見られます。単体従業員数は40人であり、少数精鋭の組織体制であることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,705,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.5年 |
| 平均年齢 | 39.96歳 |
| 単体従業員数 | 40人 |
同社は確定給付型の制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)として、退職金規程に基づく退職一時金制度を設けており、給付額の一部を中小企業退職金共済制度からの給付額で充当しています。退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、持続的な事業成長と企業価値向上のため、AIやデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、および基幹システムの刷新を重要な経営戦略と位置付けています。これらの戦略を迅速かつ的確に実行するため、高い専門性を持つ外部人材の確保と、変化に柔軟に対応できる組織基盤の構築が不可欠であると考えています。人材戦略では、多様なバックグラウンドを持つ中途採用者が早期に適応し、最大のパフォーマンスを発揮できるよう、「管理職への伴走支援」と「自律的なキャリア形成の支援」を中核として推進しています。
求める人材像として、変化への柔軟な適応力、自発性と部門を越えた連携力、テクノロジーへの理解と活用力を掲げています。多忙な業務環境下でも従業員が継続的に成長し、安心して働けるよう、管理職が成果を出しやすい環境づくりや、中途採用者の早期活躍支援に注力しています。具体的には、新任管理職向けの外部研修導入や相互学習の場の提供、中途採用者には「目指すべき目的(ミッション)」「責任・兼務の範囲」「求められるスタンス(姿勢)」の3つの枠組みで期待する役割を明確に提示しています。
給与等の処遇は、経営戦略の達成に向けた個人の貢献度と組織への適応度を総合的に評価し決定しています。目標管理制度(MBO)を運用し、短期的な数値目標だけでなく、他部署との連携やチームへの貢献度、柔軟な姿勢といった「定性的な行動やプロセス」も評価の重要な要素として組み込むことで、個人の成果と中長期的な組織成長のバランスを取る報酬体系を構築しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
女性管理職比率、男性育児休業取得率、および男女賃金差異は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく公表義務の対象ではないため、開示されていません。
多様性・登用
同社は管理職の女性の登用を推奨しており、管理職数に占める女性労働者の割合は14.3%です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職の割合 | 14.3% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ピーバンドットコムは、プリント基板のEコマース「P板.com」を中核に、電子機器開発プロセス全体を支援するサービスを提供しています。アイデアを具現化する世界の実現を目指し、エレクトロニクス・エンジニアの開発を多角的にサポートしています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ピーバンドットコムは、プリント基板のEコマース「P板.com」を主力事業としています。プリント基板の設計、製造、部品実装を中心に、ケース(筐体)製造、ハーネス部品加工、メタルマスク製造、電子部品調達といった周辺サービスも提供しています。ハードウェア開発者が研究開発に専念できる環境を提供するため、電子部品調達、在庫管理、部品実装との連携、研究開発支援、AIを活用した設計・品質支援など、サービス領域の拡充に取り組んでいます。
国内で培ったノウハウを活かし、海外展開も進めており、ASEAN市場ではタイ王国向けプリント基板通販サイト「p-ban Thailand」を開設し、「基板+実装」のワンストップ提案を行っています。同社は、自社工場を持たないファブレス運営により、国内外の複数の仕入先と提携し、安定した製品供給と競争力のある商品提供を実現しています。収益モデルは、プリント基板の製造受注を起点として、部品実装、電子部品調達、周辺サービスへと利用領域を広げるクロスセル構造が特徴です。
「GUGEN Hub」構想を推進し、電子部品調達のオンライン化、購入部品の在庫管理、実装サービスへの活用、余剰部品の管理などを一気通貫で支援するプラットフォームへの進化を目指しています。同社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、特定の顧客への収益集中に関する記載はありません。海外売上高は、本邦の外部顧客への売上高が損益計算書の売上高の90%を超えるため、海外比率は低い傾向にあります。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の売上高、営業利益、経常利益は増加傾向にあります。一方で、当期純利益は減少となりましたが、これは投資有価証券評価損の計上と繰延税金資産の不計上という一時的な会計上の要因によるものです。売上総利益率は改善しており、収益性の向上が見られます。また、販売費及び一般管理費は、海外展開の推進やシステム開発投資、周辺サービス拡充に向けた先行投資により増加しています。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の売上総利益率は前事業年度から改善しており、収益性の向上が見られます。また、販売費及び一般管理費は海外展開の推進やシステム開発投資、周辺サービス拡充に向けた先行投資により増加しており、将来の成長に向けた投資が進められていることがうかがえます。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ピーバンドットコムは、安定した財務基盤を維持しながら、将来の成長に向けた投資を継続している状況です。資金の流れからは、本業で着実に資金を生み出しつつ、事業拡大のための投資を行っていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が高く、手元資金も厚い状態です。これにより、外部環境の変化や不測の事態にも対応できる安定性があることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 13.8億円 | 14.4億円 |
| 自己資本比率 | 79.5% | 79.0% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び現金同等物 | 11.4億円 | 12.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出し、それを成長投資に充てている状況です。営業活動によるキャッシュフローは、税引前当期純利益の計上や仕入債務の増加などにより、前期から増加しています。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が主な要因で、前期に比べて減少幅が拡大しています。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払いが主な要因で、前期から減少幅が拡大しています。これらの資金の流れから、同社は本業で稼いだ資金を成長投資に回しつつ、株主還元も行っている堅実な経営状況であり、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の成長性にも期待が持てる状態です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.4億円 | 1.9億円 |
| 投資CF | △0.5億円 | △0.7億円 |
| 財務CF | △0.4億円 | △0.5億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 1.0億円 | 1.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、インターネットを通じた商品の販売において、価格競争の激化や競合他社の参入により収益力が低下する可能性をリスクとして認識しています。また、新規事業への取り組みでは、システム投資や人材採用などの追加支出が発生し、短期的に利益率が低下する可能性や、想定通りに進まない場合に投資を回収できないリスクがあるとしています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、事業規模の拡大と業務内容の多様化に対応するため、優秀な人材の確保と育成を課題としています。計画通りに進まない場合や競合他社との人材獲得競争により人材が流出する場合、競争力低下や業容拡大の制約要因となる可能性をリスクとして挙げています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ピーバンドットコムは、プリント基板のEコマースサイト運営を中核に、アイデアと探究心で“あたりまえ”を革新し続けることを目指す会社です。顧客の開発・試作・製品化プロセス全体を支援するプラットフォームへの進化を追求しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ピーバンドットコムは、「アイデアと探究心で、“あたりまえ”を革新する。」というパーパスを掲げています。同社はプリント基板のEコマースサイト「P板.com(ピーバンドットコム)」の運営を中心に事業を展開しています。
中期的な基本方針として、「P板.com」の収益力を高めるとともに、「GUGEN Hub」を第二の成長エンジンとして育成し、電子製造プロセス全体を支援するプラットフォームへの進化を目指しています。エレクトロニクス・エンジニアの開発プロセスにおける“あたりまえ”を革新し、誰もがアイデアさえあればモノを具現化できる世界の実現を目指している会社です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ピーバンドットコムは、「ワクワクするチャレンジを選ぶ。」を行動規範(Code of Conduct)としています。また、5つの行動指針(Credo)を掲げています。
具体的には、「アイデア、どんどん発信しよう!」、「たゆまぬ探究心で、形にしよう!」、「学び続け、成長し続け!」、「失敗はステップ、恐れず飛び込もう!」、「ハートフルな話し方、心地よい聴き方!」です。同社は「多様性と人材育成の推進」をマテリアリティの一つとしており、多様なバックグラウンドを持つ中途採用者や外国人を積極的に採用し、様々な知見を活かすことで事業経営の質の向上に努めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ピーバンドットコムは、2027年3月期を将来成長に向けた再投資・基盤整備の年度と位置づけています。同社は、中核サービスである「P板.com」のシステム基盤全面刷新を重点課題の一つとしており、顧客対応体制の強化や情報管理体制・セキュリティ水準の向上に取り組んでいます。
また、サプライチェーン全体を効率的かつ強固なものへ見直すことを重要な課題と認識しています。「GUGEN Hub」を通じた支援領域の拡張では、研究開発に携わるハードウェア開発者が開発に集中できる環境の整備を進めています。
さらに、AI・開発支援サービスの高度化を推進しており、これらの取り組みを支えるため、プロダクト横断で企画・開発を推進する体制を構築しています。開発・営業・管理各部門での人材採用・育成も重点テーマとしています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能を強化し、経営の透明性向上と迅速な意思決定を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、インフローが筆頭株主として名を連ねています。創業者の田坂正樹氏も上位株主の一人であり、同社の経営基盤を支える主要な存在であることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| インフロー | 33.04% |
| 田坂 正樹 | 9.78% |
| 楽天証券 | 1.94% |
なお、前事業年度末において主要株主であった田坂 正樹氏は、当事業年度末現在では主要株主ではなくなりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は後藤康進氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 後藤 康進 | 代表取締役社長 | 2004年11月同社入社、2011年4月COO(事業統括)、2015年6月取締役COO就任マーケティング・営業部長、2023年6月代表取締役社長より現職。 |
| 田坂 正樹 | 取締役会長ファウンダー | 1995年4月株式会社ミスミ入社、2002年4月同社設立代表取締役、2023年6月同社取締役会長ファウンダーより現職。 |
| 上田 直也 | 取締役CHRO | 2011年3月同社入社、2015年6月取締役CFO就任管理部長、2024年6月取締役CHRO兼人事・総務部長、管理部門管掌より現職。 |
社外取締役は、吉野功一氏(ミネベアミツミ常勤監査役・常勤監査等委員)、森博司氏(株式会社モリックス代表取締役・監査等委員)、豊田賢治氏(東京桜橋法律事務所代表弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社を採用しており、社外取締役が取締役会の監督機能を強化し、経営の透明性向上に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬と譲渡制限付株式報酬からなる非金銭報酬で構成されています。報酬の決定にあたっては、独立社外取締役を議長とする指名・報酬委員会が個人別の報酬案を作成し、取締役会に答申する仕組みです。監査等委員である取締役の報酬額は、監査等委員の協議によって決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 66百万円 | 22.1百万円 |
| 社外取締役 | 5名 | 14百万円 | 2.9百万円 |
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