※本記事は、ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ジャパンエレベーターサービスホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は274名、グループ連結従業員数は2,286名です。
同社グループは、連結子会社29社と持分法適用関連会社6社で構成され、エレベーター等の保守・保全業務およびリニューアル業務を主とするメンテナンス事業を展開しています。独立系メンテナンス会社として、国内主要メーカー製機種に対応した高品質なサービスを市場競争力のある価格で提供し、全国にわたる営業所網で迅速な対応を可能にしています。
主な国内グループ会社は、ジャパンエレベーターサービス北海道(エレベーター等の保守・保全業務)、ジャパンエレベーターパーツなどです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、エレベーター等のメンテナンス事業を中核とする同社グループの持株会社です。同社グループは、社会インフラを支える事業特性から、人材を最も重要な経営資源と位置付け、長期的な視点での人材育成と働きがいのある環境づくりに注力しています。従業員の専門性向上と安全確保を重視し、持続的な成長を支えるための人材戦略を推進しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着とキャリア形成を重視する傾向が見られます。平均勤続年数と平均年齢からは、一定の経験を積んだ人材が長く活躍できる環境であることがうかがえます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,090,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.1年 |
| 平均年齢 | 42.2歳 |
| 単体従業員数 | 274人 |
| 連結従業員数 | 2,286人 |
| 単体のグループ内比率 | 12.0% |
なお、直近の主要子会社のデータは以下の通りです。
| 会社名 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| ジャパンエレベーターパーツ株式会社 | 37.2歳 | 5.8年 | 5,436,000円 |
| ジャパンエレベーターサービス城南株式会社 | 35.8歳 | 6.5年 | 5,072,000円 |
同社及び連結子会社は、従業員の退職給付に充てるため、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付制度を採用しています。国内グループ会社が適用範囲です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
退職給付債務は13.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、安全・安心で高品質なエレベーターメンテナンスサービスの提供を使命とし、その競争優位の源泉を高度な専門性を持つ技術人材に置いています。人的資本への投資を中長期的な企業価値向上の中核と位置付け、人材戦略を経営戦略と一体不可分の重要な経営課題としています。
報酬については、公正性・透明性を確保しつつ、業績と個人の成果・能力を適切に反映する体系を採用しています。基本給は職務内容、役割、等級、市場水準を考慮して決定され、賞与は会社業績と個人評価を総合的に勘案し、安全指標や品質指標も評価要素としています。
人材育成においては、多様なエレベーターメーカー機種に対応できる高度な技術力を競争優位性とし、社内資格制度「昇降機保守担当資格者制度(G5~G1)」や研修プログラム「STEP24」を通じて、未経験者からスペシャリストまで育成する仕組みを構築しています。また、労働安全衛生委員会を設置し、安全免許制度を設けることで技術者の安全意識向上を図っています。働きやすい職場環境の整備として、育児や介護といったライフステージに応じた人事制度や職場環境の整備、健康経営の推進にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 28.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 67.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 74.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート有期労働者) | 48.4% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 株式会社上新ビルサービス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
人材育成・エンゲージメント
同社グループは、メンテナンス事業の安定のために、エンジニアの評価資格制度(昇降機保守担当資格者制度)から「G3 昇降機保守担当資格者」を指標と定めています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| G3 昇降機保守担当資格者認定者数 | 586名 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、エレベーターやエスカレーターのメンテナンス事業を主軸とする持株会社です。同社グループは、高品質なメンテナンスサービスとリニューアル業務を通じて、社会の安全な縦移動を支えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、エレベーター等の保守・保全業務及びリニューアル業務を行うメンテナンス事業の単一セグメントで事業を展開しています。1994年の設立以来、「何よりも安全のために。」「見えないからこそ手を抜かない。」「信頼を礎に。」を経営理念とし、独立系メンテナンス企業として市場競争力のある価格でサービスを提供しています。国内主要メーカー製機種に対応可能な技術力とエンジニアを有し、迅速な対応を可能とする全国の営業所網を強みとしています。
収益は、主に保守・保全業務とリニューアル業務から得ています。保守・保全業務は、エレベーターやエスカレーターの定期点検や修理を行うもので、売上高の約6割を占める主力事業となっています。リニューアル業務は、経年劣化したエレベーターの主要装置の取り替え工事などを行い、保守・保全業務に次ぐ収益源です。当連結会計年度においては、保守・保全業務、リニューアル業務ともに売上高を伸ばしています。
また、同社グループは、エレベーター等のメンテナンス用のパーツ販売や、エレベーター内に防犯カメラを備えた広告配信機器を設置し、広告配信サービスに加えて防犯サービスを提供するメディア業務も行っています。これらの事業は、同社グループの保守業務に新たな付加価値を提供しています。同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が90%を超えており、特定の顧客への売上高が10%以上を占める特定の顧客はいません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも一貫して増加傾向を示しています。特に直近の当連結会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてにおいて、前期から大きく伸びています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 298億円 | 349億円 | 422億円 | 494億円 | 576億円 |
| 経常利益 | 42.2億円 | 51.0億円 | 68.5億円 | 86.2億円 | 110億円 |
| 経常利益率 | 14.2% | 14.6% | 16.2% | 17.5% | 19.1% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 27.3億円 | 31.5億円 | 45.1億円 | 55.3億円 | 73.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 15.36 | 17.74 | 25.35 | 31.05 | 41.05 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高および営業利益は、前期と比較して増加しています。これは、同社グループ全体の生産性が向上している傾向を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 24.3百万円 | 25.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.3百万円 | 4.8百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、本業で安定的に資金を創出し、事業成長のための投資も行いながら、健全な財務状況を維持しています。これにより、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる財務基盤が形成されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、強固な財務基盤を構築しています。自己資本比率は当期で61.3%となっており、プライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。また、ROE(自己資本利益率)も当期32.9%と、プライム市場平均を大きく上回る水準です。手元資金である現金及び預金は当期末で41.7億円に増加しており、不測の事態への耐性も備えている状況です。これらの財務指標は、同社グループの安定した経営状況を示しており、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 203億円 | 250億円 |
| 自己資本比率 | 56.4% | 61.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 30.3% | 32.9% |
| 現金及び預金 | 23.4億円 | 41.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
ジャパンエレベーターサービスホールディングスのキャッシュフローを見ると、本業で安定的に資金を創出している状況がわかります。当期の営業活動によるキャッシュフローは88.0億円の獲得となり、税金等調整前当期純利益の増加などが主な要因です。投資活動によるキャッシュフローは21.8億円の使用となり、有形固定資産や無形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。これにより、事業成長に向けた投資を継続していることが示されます。財務活動によるキャッシュフローは48.3億円の使用となり、配当金の支払いや長期借入金の返済などが主な要因です。営業活動で得た資金で投資を行い、さらに余剰資金を生み出すフリーキャッシュフローは66.2億円のプラスとなっており、同社グループが健全な資金循環を維持していることがうかがえます。これは、入社後の安定性や将来的な成長性を見込む上で重要な要素です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 56.4億円 | 88.0億円 |
| 投資CF | △15.2億円 | △21.8億円 |
| 財務CF | △39.6億円 | △48.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 41.2億円 | 66.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、エレベーター等のメンテナンスに必要なパーツの一部を特定のメーカーからのみ購買しており、パーツの供給不足や価格上昇が財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、メンテナンス市場には多数の競合会社が存在しており、競合の激化により新規獲得数の減少やサービス価格の下落が発生し、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、高い専門性を有する技術者の確保や、事業拡大を見据えた営業部門・管理部門の人員増強、人材育成に注力しています。これらの施策が適時適切に行えなかった場合、同社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、エレベーター等のメンテナンスを基幹事業とする独立系企業です。利用者の安全と信頼を最優先に、高品質なサービス提供を通じて社会に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「何よりも安全のために。」「見えないからこそ手を抜かない。」「信頼を礎に。」を企業理念としています。この理念のもと、メンテナンス品質の向上とメーカー主導の価格体系の見直しによる「適正価格の実現」を目指しています。
成長性と収益性を高め、安定的な事業成長を通じて企業価値を継続的に向上させることを目標としています。中長期的には、基幹事業である保守・保全事業の推進、リニューアル事業の強化、人材の確保・育成、財務基盤の安定化を戦略として掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業理念に基づき、「品質安全」と「労働安全及び従業員エンゲージメント」を重要な課題(マテリアリティ)として特定しています。お客様に高品質で安全なサービスを提供し、社会に貢献することを目指しています。
また、事業を支える人材を最も重要な基盤と捉え、従業員の安全確保と働きやすい環境整備を重視しています。多様性のある人材の採用や研修制度の整備を推進し、育児や介護などライフステージに応じた人事制度の整備も進めています。
労働安全衛生委員会を設置し、安全免許制度や安全講習を通じて技術職の安全意識向上を図っています。健康経営を推進し、従業員の心身の健康維持・増進活動にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、安定的成長のために国内事業基盤の構築・拡大を課題とし、保守契約台数の増大を重要視しています。事業競争力の根幹である人材の確保と育成も不可欠な課題です。
従業員への研修を継続・強化し、社内技術・品質認定制度を確立することで、技能水準の高い人材の育成を図っています。また、企業認知度と労働条件の向上を目指し、新卒・中途採用の積極的な増加に取り組んでいます。
日本市場で培った技術力や教育研修のノウハウを活用し、海外市場への展開も推進しています。さらに、企業価値向上に資する他社の買収やジョイントベンチャー、業務提携の検討も進めています。研究開発施設JES Innovation Centerでは、エレベーターリニューアル等の研究開発活動を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ジャパンエレベーターサービスホールディングスは、取締役会と監査役会を設置する体制を採用しています。社外取締役や社外監査役が経営監視機能を強化する役割を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ジャパンエレベーターサービスホールディングスの筆頭株主は、代表取締役会長兼社長CEOの石田克史氏の資産管理会社であるKIです。上位株主には、日本マスタートラスト信託銀行やSTATE STREET BANK AND TRUST COMPANYといった国内外の金融機関が名を連ねています。これにより、安定した資本基盤のもとで事業が展開されていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| KI | 19.79% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 12.32% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 | 10.64% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.68% |
| NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE FIDELITY FUNDS | 3.21% |
なお、2026年2月16日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書において、グランジャー・ピーク・グローバル・アドバイザーズ・エルエルシーが2026年2月12日現在で9,004,800株(5.04%)を所有している旨が記載されていますが、同社として2026年3月31日現在における実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含められていません。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性5名・女性3名)で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役会長兼社長CEOは石田克史氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石田 克史 | 代表取締役 会長兼社長 CEO | 1985年4月エス・イー・シーエレベーター入社、1994年10月同社設立 代表取締役社長、2022年4月同社代表取締役会長兼社長CEOより現職。 |
| 今村 公彦 | 取締役 副社長CFO 経営管理本部長 | 2006年12月有限責任あずさ監査法人入社、2017年1月同社入社、2024年6月同社取締役副社長CFO経営管理本部長より現職。 |
社外取締役は、渡邊仁氏(公認会計士事務所所長)、遠藤典子氏(早稲田大学研究院教授)、矢野美佳氏(ミゼンカ代表取締役社長)です。社外監査役は、緒方延泰氏(弁護士法人緒方法律事務所開所)、水谷翠氏(水谷公認会計士事務所代表)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による監督と監査役・監査役会による監査の二重チェック機能を持つ体制を採用しています。社外取締役および社外監査役が独立した立場から経営監視機能を強化しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ジャパンエレベーターサービスホールディングスでは、取締役(社外取締役を除く)の報酬は基本報酬と非金銭報酬等で構成されています。非金銭報酬等は、企業価値向上へのインセンティブと株主との価値共有を目的とした譲渡制限付株式です。社外取締役には、その職務の性質から基本報酬のみが支払われる仕組みとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 1.4億円 | 72.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 12.0百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 32百万円 | 6.4百万円 |
なお、取締役(社外取締役を除く)に対する非金銭報酬等の総額の内訳は、当事業年度における譲渡制限付株式報酬に係る費用計上額です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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