※本記事は、株式会社ディーエムソリューションズ の有価証券報告書(第21期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ディーエムソリューションズってどんな会社?
同社は、ダイレクトメール発送代行とインターネット広告を融合し、物流とマーケティングの力で最適なソリューションを提供する企業です。
■(1) 会社概要
2004年にダイレクトメール発送代行事業を目的に設立され、2006年にはインターネット事業部を開設しました。その後、物流拠点の拡充やSEOサービスの開始を経て事業を拡大し、2017年にJASDAQ市場へ上場しました。2021年には株式会社ビアトランスポーツを子会社化してアパレル事業へ進出し、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。
現在の従業員数は連結で327名、単体で309名です。筆頭株主は創業者の花矢卓司氏で、第2位は取締役副社長の福村寛敏氏であり、経営陣が主要株主となっています。第3位には資産運用を行うアセットインクリーズ株式会社が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 花矢 卓司 | 33.08% |
| 福村 寛敏 | 20.81% |
| アセットインクリーズ | 9.35% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は花矢卓司氏が務めています。社外取締役比率は16.7%(6名中1名)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 花矢 卓司 | 代表取締役社長 | 日栄、セプテーニを経て2004年に同社を設立し代表取締役社長に就任。2019年よりセンターリーズ代表取締役も兼任。 |
| 福村 寛敏 | 取締役副社長 | 新興電気システム等を経て2004年の同社設立時に取締役に就任。トランスロジスティックス取締役等を経て2010年より現職。 |
| 勝山 純一 | 取締役 | セプテーニ、ピーシーエー生命保険を経て2004年に同社入社。DM事業部営業部長、取締役DM事業本部長を経て2012年より現職。 |
| 木村 和央 | 取締役 | フィーラエンタープライズ等を経て2008年に同社入社。ネット事業部メディアマーケティング部長等を経て2021年より現職。 |
| 小林 剛司 | 取締役 | 三菱電機ビジネスシステムを経て2005年に同社入社。ネット事業部長等を歴任し、2021年よりビアトランスポーツ代表取締役を兼任。 |
社外取締役は、松藤悠(公認会計士・和泉監査法人パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ダイレクトメール事業」「インターネット事業」「アパレル事業」の3つの報告セグメントを展開しています。
■(1) ダイレクトメール事業
ダイレクトメールの企画・デザイン・印刷から封入・配送までをワンストップで提供するほか、商品の保管・管理・配送を行うフルフィルメントサービスも手掛けています。主な顧客は広告主や通販事業者であり、スケールメリットを活かした提案型営業を展開しています。
収益は、顧客からの発送代行手数料や作業料、保管料などで構成されています。運営は主に同社が行っており、物流センター等の設備を活用してサービスを提供しています。
■(2) インターネット事業
SEO(検索エンジン最適化)コンサルティングを中心に、コンテンツマーケティング、運用型広告、Webサイト制作、バーティカルメディアサービスなどを提供しています。顧客のWeb戦略をトータルで支援し、売上増強などの成果を重視したコンサルティングを行っています。
収益は、コンサルティングフィー、制作費、広告運用手数料、および自社メディアにおける成果報酬型広告収入などから得ています。運営は主に同社が担っています。
■(3) アパレル事業
衣料品を中心とした商品を海外から輸入し、ECサイトを通じて国内の卸業者等へ販売しています。実店舗は持たず、Webマーケティングのノウハウを活用したサイト集客や、フルフィルメントの知見を活かした効率的な在庫管理を行っています。
収益は、商品の販売代金です。運営は連結子会社のビアトランスポーツが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績は、売上高、利益ともに拡大傾向にあります。特に当期は売上高が212億円に達し、経常利益も7億円弱と順調に伸長しました。利益率も3%台を維持しており、安定した収益性を確保しながら事業規模を拡大させています。
| 項目 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 179億円 | 182億円 | 212億円 |
| 経常利益 | 5億円 | 6億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 2.7% | 3.2% | 3.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 3億円 | 4億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も増加しています。営業利益率も改善傾向にあり、増収効果が利益に反映されています。販管費のコントロールも適切に行われており、全体として収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 182億円 | 212億円 |
| 売上総利益 | 32億円 | 33億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.5% | 15.7% |
| 営業利益 | 6億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 3.1% | 3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が10億円(構成比38%)、その他経費が7億円(同28%)を占めています。売上原価においては、配送費や外注費などが主要な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
主力のダイレクトメール事業が売上・利益ともに大きく伸長し、全社の成長を牽引しました。アパレル事業も大幅な増収となりましたが、インターネット事業は減収減益となりました。全社的にはダイレクトメール事業の好調が寄与しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ダイレクトメール事業 | 159億円 | 186億円 | 9億円 | 11億円 | 5.7% |
| インターネット事業 | 13億円 | 12億円 | 3億円 | 2億円 | 19.3% |
| アパレル事業 | 10億円 | 14億円 | 0.5億円 | 0.5億円 | 3.8% |
| 連結(合計) | 182億円 | 212億円 | 6億円 | 7億円 | 3.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のCFパターンは「積極型」です。本業で稼いだ資金に加え、借入等による資金調達を行い、設備投資等の成長投資に充てている状況です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4億円 | 7億円 |
| 投資CF | -17億円 | -8億円 |
| 財務CF | 12億円 | 1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.3%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、ダイレクトメールやインターネットを通じて広告主とエンドユーザーを「つなぐ」ことで事業を拡大してきました。ロジスティクスとマーケティングの力で世の中に必要とされるモノと情報を届け、豊かな未来に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、コンプライアンスを法令や社会規範を含めた「企業倫理の遵守」と定義し、「ディーエムソリューションズ行動・倫理規範」を制定しています。これを役職員の日常活動における判断・行動の基準とし、サステナビリティの観点を含む企業リスクの軽減・管理に取り組む文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、収益と利益の向上を最重要課題とし、「売上高」および「営業利益」を最も重要な経営指標と位置づけています。具体的な数値目標は記載されていませんが、広告主のニーズを的確に把握した付加価値の高いサービスの提供により、持続的な成長を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
インターネット事業では新サービスの開発と拡販、ダイレクトメール事業では大口顧客の開拓とフルフィルメントサービスの拡大を重点施策としています。特に、ネット通販市場の拡大を受けた宅配便取扱量の増加に対応するため、新たな拠点の開設等を進めています。また、アパレル事業ではECサイト改善等により収益機会の拡大を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業拡大と成長のため、優秀な人材の確保と適正配置による業務効率向上を基盤としています。幅広い求人機会を活用して新卒・中途採用を推進するとともに、社内OJTや社外講師による研修、セミナー等を活用し、人材の育成と能力向上にも積極的に取り組む方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 34.5歳 | 5.9年 | 4,848,907円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.1% |
| 男性育児休業取得率 | 55.6% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 69.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 90.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員の月間平均残業時間(19時間01分)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定人物への依存
代表取締役社長および取締役副社長は、経営方針の提示や事業戦略策定、業界内の人脈による関係構築等で重要な役割を果たしています。組織的な経営体制の構築を進めていますが、これらの役員の業務継続が困難になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 事業戦略上のリスク
国内景気や顧客のプロモーション手法の変化、新規事業の収益性、システム障害などがリスクとして挙げられます。また、配送費の割合が高く、主要な配送業者からの値上げ要請や取引関係の変化があった場合、業績や事業展開に影響を与える可能性があります。
■(3) コンプライアンスに関するリスク
ダイレクトメール事業で多数の個人情報を取り扱っており、情報漏洩や不正利用が発生した場合、損害賠償や信用低下を招く可能性があります。また、知的財産権の侵害や各種法的規制への対応不備が生じた場合も、業績に影響を与える可能性があります。



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