ディーエムソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ディーエムソリューションズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ディーエムソリューションズは、東京証券取引所スタンダード市場に上場する企業です。ダイレクトメールの発送代行などを手掛けるダイレクトメール事業や、インターネット事業、アパレル事業を主力として展開しています。直近の業績は、売上高と各段階利益が前年を上回り、順調な増収増益トレンドで推移しています。


※本記事は、ディーエムソリューションズ株式会社の有価証券報告書(第22期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ディーエムソリューションズってどんな会社?


ダイレクトメールの発送代行からデジタルマーケティングまで、販促をワンストップで支援する企業です。

(1) 会社概要


2004年にダイレクトメールの発送代行事業を目的として設立され、2006年にインターネット広告事業を開始しました。2017年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場し、2021年にはアパレル事業を展開するビアトランスポーツを子会社化するなど、事業領域を拡大しています。

従業員数は連結で355名、単体で324名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は創業者で代表取締役社長の花矢卓司氏で、第2位は取締役副社長の福村寛敏氏、第3位は福村氏が代表を務める事業会社のアセットインクリーズです。

氏名 持株比率
花矢 卓司 33.32%
福村 寛敏 20.96%
アセットインクリーズ 9.42%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は花矢卓司氏が務めています。社外取締役比率は11.1%です。

氏名 役職 主な経歴
花矢 卓司 代表取締役社長 1995年日栄(現日本保証)入社。1999年セプテーニ入社。2004年に同社を設立し、代表取締役社長に就任。2019年にはセンターリーズの代表取締役にも就任し、同社グループの経営を牽引しています。
福村 寛敏 取締役副社長 1989年新興電気システム入社。複数社を経て2004年の同社設立時に取締役に就任。2010年より現職。アセットインクリーズやビアトランスポーツなどの代表取締役や取締役も兼任しています。
勝山 純一 取締役 2002年セプテーニ入社。ピーシーエー生命保険を経て2004年に同社へ入社。ダイレクトメール事業部営業部長などを経て2021年より現職。2026年よりオリジネーターの代表取締役も務めています。
木村 和央 取締役 複数社を経て2008年に同社へ入社。インターネット事業部メディアマーケティング部長などを歴任し、2023年より現職。Performance Technologiesの代表取締役も務めています。
小林 剛司 取締役 1997年三菱電機ビジネスシステム入社。2005年に同社へ入社し、インターネット事業部長などを経て2021年より現職。ビアトランスポーツの代表取締役も兼任しています。


社外取締役は、松藤悠(松藤悠公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ダイレクトメール事業」「インターネット事業」「アパレル事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) ダイレクトメール事業


ダイレクトメールの企画からデザイン、印刷、封入・封緘作業、発送までのワンストップサービスや、商品の保管から発送までを請け負うフルフィルメントサービスを提供しています。年間約5,700社もの広告主や通販事業者などを主要な顧客としています。

サービス利用料や発送代行費用などが主な収益源です。運営は同社が主体となって行い、自社内にクリエイティブ室や複数のフルフィルメントセンターを有することで、旧来型の御用聞き営業だけでなく提案型のソリューション営業を展開しています。

(2) インターネット事業


顧客の売上増加などを目的としたWebコンサルティングや運用型広告、Webサイト制作などのデジタルマーケティングサービスと、比較サイト等を運営するバーティカルメディアサービスを提供しています。

広告運用代行の手数料や、自社メディアを通じた送客に対するアフィリエイト報酬などが主な収益源です。運営は同社および連結子会社のPerformance Technologiesが主体となって行っています。

(3) アパレル事業


衣料品を中心とした海外からの輸入商品を、ECサイトを通じて販売しています。実店舗は持たず、卸業者専門の販売サイトを通じた顧客獲得を主要な展開方法としています。

ECサイトを通じた商品の販売代金が主な収益源です。運営は同社の連結子会社であるビアトランスポーツが行っており、同社が有するデジタルマーケティングやフルフィルメントのノウハウを活かして事業を拡大しています。

(4) その他


報告セグメントに含まれない事業として、高度外国人材の紹介事業などを展開しています。外国人留学生を中心とした人材の採用をサポートし、企業の採用ニーズに応えています。

企業からの人材紹介手数料などが主な収益源です。運営は、同社の連結子会社であるオリジネーターが主体となって行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が毎期連続して増加しており、順調な拡大が続いています。利益面についても、経常利益および当期純利益が継続して成長しており、利益率も直近では3.8%まで上昇するなど、増収増益のトレンドを維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 167億円 179億円 182億円 212億円 256億円
経常利益 1億円 5億円 6億円 7億円 10億円
利益率(%) 0.6% 2.7% 3.2% 3.2% 3.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.5億円 3億円 4億円 5億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に加えて、売上総利益と営業利益も前年を上回っています。売上総利益率はほぼ横ばいで推移していますが、営業利益率は改善傾向にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 212億円 256億円
売上総利益 33億円 40億円
売上総利益率(%) 15.7% 15.5%
営業利益 7億円 9億円
営業利益率(%) 3.2% 3.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が12億円(構成比39%)、広告宣伝費が3億円(同11%)を占めています。また、売上原価の多くはダイレクトメール事業の経費であり、その中でも配送費が大きな割合を占めています。

(3) セグメント収益


主力のダイレクトメール事業が大きく売上を伸ばし、全体の成長を力強く牽引しています。一方、インターネット事業およびアパレル事業の売上高は前年からわずかに減少しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ダイレクトメール事業 186億円 232億円
インターネット事業 12億円 11億円
アパレル事業 14億円 13億円
連結(合計) 212億円 256億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金で借入金の返済や積極的な設備投資を行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 7億円 9億円
投資CF -8億円 -5億円
財務CF 1億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.9%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「ロジスティクスとマーケティングの力で世の中に必要とされるモノと情報を届け、豊かな未来に貢献する」というPurpose(存在意義)を掲げています。また、Mission(使命)として「常に時代が求める『つなぐ』を提供し価値と利益を創造する」ことを定め、広告主とエンドユーザーをつなぐことで事業を拡大しています。

(2) 企業文化


多様な人材の活躍が企業価値の創造や成長に欠かせないと考え、女性の活躍推進や障がい者の就労支援をはじめとするダイバーシティ&インクルージョンを重視しています。また、PMVVを基盤とし、定期的な研修や資格支援制度などの人事施策を通じて人材の育成に力を入れるなど、従業員のエンゲージメント向上を図る文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループにおいては、収益と利益の向上を最重要課題としており、「売上高」および「営業利益」を最も重要な経営指標として位置づけています。今後の持続的な成長を維持するため、広告主のニーズを的確かつ迅速に把握し、付加価値の高いサービスの継続的な提供および新たな収益源の構築に取り組む方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長戦略として、サービス開発力を活かした付加価値の高い新サービスの定期的なリリースや、大口顧客の開拓による収益機会の拡大を掲げています。また、ネット通販市場の拡大を受けたフルフィルメントサービスの提供拡大や、アパレル事業における付加価値の高い自社商品の開発強化などを重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業のさらなる拡大と成長に向けて、優秀な人材の確保と適正な配置による業務効率の向上を基盤と位置づけています。幅広い求人機会を活用した新卒・中途採用を推し進めるとともに、社内OJTや社外講師による研修、社外セミナーを積極的に活用し、従業員の継続的な人材育成と能力向上に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 35.1歳 6.2年 4,927,770円

※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.1%
男性育休取得率 87.5%
男女賃金差異(全従業員) 66.5%
男女賃金差異(正規雇用) 70.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 87.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営陣への依存リスク


同社の代表取締役社長および取締役副社長は、経営ビジョンの提示や配送キャリアとの関係構築など、事業活動において重要な役割を果たしています。特定の役員に依存しない組織的な経営体制の構築を進めていますが、何らかの事情でこれらの者の業務継続が困難になった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 配送業者への依存リスク


主力のダイレクトメール事業では、売上原価に占める配送費の割合が高く、大半がヤマト運輸および日本郵便との取引により発生しています。両社からの大幅な値上げ要請や、取引関係の縮小・解除などの事態が生じた場合、同社の業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(3) ネット広告市場の競争激化


インターネット事業が属する広告業界は、景気動向の影響を受けやすい傾向があります。景気悪化により市場規模が想定通りに拡大しない場合や、激しい競争環境下で同社の施策が奏功せず競合優位性を確立できない場合には、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。