※本記事は、技研ホールディングス株式会社の有価証券報告書(第8期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 技研ホールディングスってどんな会社?
土木・建築工事と型枠貸与を中核とする持株会社です。防災関連や医療施設向けの特殊工事に強みを持ちます。
■(1) 会社概要
2018年1月、技研興業が単独株式移転により同社を設立し、東証二部に上場しました。2019年には川崎建鉄を連結子会社化しましたが、2022年に非連結化しています。2020年に本店を東京都千代田区に移転。2022年4月の東証市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しました。同月、アゼモトメディカルを連結子会社化しています。
同社グループは連結従業員数105名、単体従業員数1名の体制です。筆頭株主は土木試験機等の製造販売を行うフリージア・マクロス(その他の関係会社)で、第2位はカタログ通信販売を行う夢みつけ隊(その他の関係会社)です。両社とは役員の兼任等の関係があります。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| フリージア・マクロス | 27.59% |
| 夢みつけ隊 | 22.30% |
| 株式会社SBI証券 | 2.26% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐々木 ベジ氏です。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐々木 ベジ | 取締役社長(代表取締役) | フリージア・マクロス会長、夢みつけ隊代表取締役等を兼任。2016年技研興業執行役員管理本部長を経て、2018年より現職。 |
| 久田 利一 | 取締役 | 1998年よりフリージア・マクロス取締役押出機事業本部長。2022年より現職。 |
社外取締役は、野中 信敬(大島総合法律事務所パートナー)、小畑 元(元大館市長)、多胡 英文(レオマックス代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「土木関連事業」「建築関連事業」「型枠貸与関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■土木関連事業
法面保護工事や急傾斜対策工事などの土木工事の設計・施工を行っています。公共事業が中心であり、国土強靭化における自然災害の復旧事業など、社会インフラの整備に関わる重要な役割を担っています。
収益は、国や地方自治体などの発注者から受け取る工事請負代金が主な源泉です。運営は主に技研興業が行っています。不採算工事の排除や採算性を重視した受注活動を推進しています。
■建築関連事業
放射線・電磁波・磁気・音響・防音施設などの特殊建築工事や、電波吸収・電磁波環境対策等のトータルエンジニアリングを請け負っています。また、関連する建築工事用資材の販売も行っています。
収益は、医療施設や研究所などの施主から受け取る工事請負代金や資材販売代金です。運営は主に技研興業が行っています。医療分野における優位性を維持しつつ、他分野への開拓も進めています。
■型枠貸与関連事業
消波根固用コンクリートブロックを製造するための鋼製型枠の賃貸を行っています。また、環境や景観に配慮したコンクリート二次製品や関連建設資材の販売、建設資材のレンタルも手掛けています。
収益は、建設業者等からの型枠賃貸料や資材の販売代金、レンタル料です。運営は技研興業、日動技研、有限会社筑波工業が行っています。グループ会社と連携し、コンクリート二次製品の販売にも注力しています。
■その他
海外事業、事務所用テナントビル等の賃貸、太陽光等による発電および売電事業を行っています。
収益は、テナントからの賃貸収入や電力会社への売電収入などです。運営は同社グループが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は2021年3月期をピークに減少傾向にありますが、経常利益率は改善傾向を示しています。特に当期は売上高が減少したものの、経常利益は前期比で増加し、利益率が15.7%に達しました。徹底したコスト管理や不採算工事の排除が利益率の向上に寄与していると考えられます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 94億円 | 82億円 | 55億円 | 52億円 | 49億円 |
| 経常利益 | 12億円 | 10億円 | 5億円 | 6億円 | 8億円 |
| 利益率(%) | 12.9% | 12.6% | 9.4% | 12.4% | 15.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.5億円 | 0.5億円 | 0.7億円 | 8億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
前期と比較して売上高は減少しましたが、売上総利益率は23.6%から26.4%へ上昇しています。原価管理の徹底や採算性の高い案件への注力が奏功しました。販管費も抑制されており、営業利益率は10.2%から12.7%へと改善し、営業増益を達成しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 52億円 | 49億円 |
| 売上総利益 | 6億円 | 6億円 |
| 売上総利益率(%) | 11.4% | 11.4% |
| 営業利益 | 5億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 10.2% | 12.7% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が2.2億円(構成比33%)、支払手数料が0.7億円(同10%)を占めています。売上原価においては、完成工事原価が27.0億円(構成比75%)を占めています。
■(3) セグメント収益
建築関連事業が売上の過半を占める主力事業ですが、当期は全部門で減収となりました。土木関連事業は前期比17.4%減と大きく減少しました。一方、型枠貸与関連事業は微減にとどまり、安定した収益源となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 土木関連事業 | 9億円 | 7億円 |
| 建築関連事業 | 28億円 | 27億円 |
| 型枠貸与関連事業 | 14億円 | 14億円 |
| その他 | 0.9億円 | 0.8億円 |
| 連結(合計) | 52億円 | 49億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、投資活動と財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う「健全型」と言えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 9億円 | 4億円 |
| 投資CF | -8億円 | -3億円 |
| 財務CF | -3億円 | -5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、安心して生活のできる社会資本の整備に参画し、広く地域社会の発展と環境保全に貢献することを企業理念としています。土木・建築分野を中心とした技術の研鑽に努め、技術集約型企業として顧客に満足される高品質なハード・ソフトを提供することで、安定した経営基盤の確立と着実な成長を図り、企業価値を高めていく方針です。
■(2) 企業文化
同社は社会資本整備の一翼を担う企業集団として、自然災害の復旧支援や医療施設の改修事業など、国民の安全と豊かな暮らしの土台形成のための事業活動を行っています。また、その他の関係会社であるフリージア・マクロス株式会社及びそのグループ会社と適宜連携を図り、相互協力していくことで企業価値の増大を目指す文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループでは、安定的な収益確保および収益力の強化を目指すために「売上高総利益率」と「売上高営業利益率」を、株主資本の有効活用を図るために「ROE(自己資本当期純利益率)」を重要な経営指標と位置付け、これらの向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
土木事業では不採算工事の排除と変動費管理による利益率向上を図り、国土強靭化に伴う公共予算の執行を見込みます。建築事業では医療分野以外の開拓やアフターサービス強化により顧客層を広げます。型枠事業では土木事業との連携強化や原価管理の徹底に加え、グループ企業と協働してコンクリート二次製品の販売に注力します。グループ全体として、高付加価値製品の開発とグループ連携による価格競争力の強化を進め、安定した収益確保を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続可能な社会への貢献と自らの発展のために人材が重要であるとの認識のもと、持続的成長を支える体質変革・創造に向けて人的資本への戦略的投資を進めています。性別や国籍、採用形態にかかわらずスキルや経験を総合的に判断して採用し、管理職には個々に応じたマネジメント研修を提供するなど人材育成に取り組んでいます。また、個々の生活スタイルに応じた働き方ができるよう、時差出勤やリモートワークも取り入れています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 54.0歳 | 30.0年 | 5,054,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 建設市場の変動リスク
土木関連事業および型枠貸与関連事業の大半は公共事業に関連しており、官公庁の公共投資に依存しています。そのため、建設投資の規模や重点投資分野の変動が業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。同社は情報収集と受注活動、粗利益率の改善により、変化に強い企業体質の構築を図っています。
■(2) 施工中の事故・災害のリスク
工事施工中の事故や自然災害による工事中断、資材調達の遅れ、修復費用の発生などが業績および財政状態に影響を与える可能性があります。安全衛生委員会を中心とした安全管理を行っていますが、万一の事態に備え、内部留保資金の活用や長期借入金による資金調達で手元流動性を確保しています。
■(3) 資材価格等の変動・調達リスク
建設資材の高騰や運搬経費、労務単価の上昇を請負金額や販売価格に転嫁できない場合、利益率の低下を招く恐れがあります。市場動向を見ながら仕入予約を行うなど、徹底した原価管理により一定の利益確保に努めています。
■(4) 売上債権の貸倒損失リスク
主な売上先である建設業界の厳しい事業環境により、売上先が経営不振に陥り貸倒損失が発生する可能性があります。これに備えて貸倒引当金を計上するとともに、取引先の信用力や支払条件等の審査基準を設定し、与信リスクの最小化を図っています。



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