技研ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

技研ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

技研ホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、土木・建築関連工事や消波根固ブロック製造用型枠の貸与を展開しています。直近の業績は、コスト削減効果等により売上高が減少した一方で経常利益は増加し、減収増益となっています。社会資本整備を通じた地域社会への貢献を推進しています。


※本記事は、技研ホールディングス株式会社の有価証券報告書(第9期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 技研ホールディングスってどんな会社?


土木・建築工事の請負や建設資材の販売、消波ブロック用型枠の貸与を手がける企業です。

(1) 会社概要


1958年に技研興業として設立され、六脚ブロックによる護岸工事や型枠貸与事業を開始しました。その後、1962年に放射線防護等の特殊建築工事、1973年に法面保護工事へと事業領域を拡大しています。2018年には単独株式移転により技研ホールディングスが設立され、上場を果たしました。

現在の従業員数はグループ全体で106名、単体で1名です。筆頭株主は同社を持分法適用会社としている事業会社のフリージア・マクロスで、第2位は夢みつけ隊、第3位は大和証券となっています。事業会社との資本提携を通じて連携を図る体制が構築されています。

氏名 持株比率
フリージア・マクロス 27.50%
夢みつけ隊 22.30%
大和証券 3.20%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐々木ベジ氏が務めています。役員のうち社外取締役が60.0%を占めています。

氏名 役職 主な経歴
佐々木ベジ 取締役社長(代表取締役) 2009年フリージア・マクロス取締役会長。2018年より現職。
久田利一 取締役 1998年フリージア・マクロス取締役押出機事業本部長。2022年より現職。


社外取締役は、野中信敬(大島総合法律事務所パートナー)、小畑元(元大館市市長)、多胡英文(レオマックス代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「土木関連事業」「建築関連事業」「型枠貸与関連事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 土木関連事業


法面保護や急傾斜対策工事などを主体とした土木工事の設計および施工を手がけています。主に官公庁が発注する公共事業を対象としており、自然災害からの復旧や国土強靱化に貢献する社会資本整備の一翼を担っています。

収益源は、これらの土木関連工事の請負代金です。不採算工事の排除や採算性を重視した受注体制を構築し、徹底した変動費管理によって利益の確保を図っています。当事業の運営は、子会社の技研興業が担っています。

(2) 建築関連事業


医療施設向けの放射線防護や電磁波シールド工事などを主体としたトータルエンジニアリングを請負っています。さらに、関連する建築工事用資材の開発や販売も展開しており、医療分野以外への事業開拓も進めています。

収益源は、医療施設等の新築および改修工事の請負代金や、建築工事用資材の販売代金です。既存施設の設備更新需要への対応やアフターサービス等を通じて継続的な収益獲得を図っています。当事業の運営は、子会社の技研興業が行っています。

(3) 型枠貸与関連事業


消波根固用コンクリートブロックを製造するための鋼製型枠の賃貸を行っています。また、環境や景観に配慮したコンクリート二次製品や、円形型枠などの建設資機材のレンタルおよび販売も展開しています。

収益源は、鋼製型枠の貸与に伴うレンタル料や、コンクリート二次製品などの販売代金です。公共工事の受注を基盤とし、土木関連事業との連携によってシナジー効果を高めています。運営は、子会社の技研興業および日動技研が行っています。

(4) その他


海外における事業展開や、事務所用テナントビル等の不動産賃貸事業を行っています。また、太陽光などを利用した発電および売電事業にも取り組んでおり、多様な分野での収益確保を目指しています。

収益源は、不動産賃貸事業に伴う賃貸収入や、太陽光発電による売電収入などです。既存の主力事業とは異なる領域での事業展開を通じて、グループ全体の安定的な収益基盤の構築に寄与しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の業績を見ると、売上高は減少傾向にある一方で、利益率の改善が進んでいることが分かります。不採算工事の排除や徹底した原価管理により、経常利益率は上昇傾向で推移しており、収益性の高い事業体質への転換が図られています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 81.8億円 54.8億円 51.7億円 49.1億円 46.8億円
経常利益 10.3億円 5.2億円 6.4億円 7.7億円 8.9億円
利益率(%) 12.6% 9.4% 12.4% 15.7% 19.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.5億円 0.7億円 8.4億円 1.4億円 2.4億円

(2) 損益計算書


売上高が減少したものの、固定費の削減や採算性を重視した受注体制の強化により、売上総利益および営業利益は増加しています。コスト構造の見直しが奏功し、利益率の向上が確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 49.1億円 46.8億円
売上総利益 5.6億円 6.1億円
売上総利益率(%) 11.4% 13.0%
営業利益 6.2億円 7.0億円
営業利益率(%) 12.7% 15.0%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が2.0億円(構成比33.7%)、支払手数料が0.8億円(同13.8%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上高では、建築関連事業が最も大きな割合を占めています。同事業や型枠貸与関連事業で売上高が減少した一方、土木関連事業では自然災害復旧工事などの受注拡大により売上高が増加しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
土木関連事業 7.3億円 8.3億円
建築関連事業 27.3億円 24.2億円
型枠貸与関連事業 13.7億円 13.5億円
その他 0.8億円 0.7億円
連結(合計) 49.1億円 46.8億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローはプラス、投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行いながら投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 3.6億円 9.3億円
投資CF -2.9億円 -4.4億円
財務CF -5.3億円 -4.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は70.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「安心して生活のできる社会資本の整備に参画し、広く地域社会の発展と環境保全に貢献する」ことを企業理念として掲げています。土木・建築分野を中心とした技術の研鑽に努め、技術集約型企業として顧客に満足いただける高品質なサービスを提供することで、安定した経営基盤の確立と企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


社会資本整備の一翼を担う企業集団として、国民の安全と豊かな暮らしの土台形成を重視する価値観を持っています。自然災害の復旧支援や医療施設の改修事業など、社会的意義の高い事業活動を通じて地域社会に貢献する姿勢が根付いており、グループ企業との連携や相互協力によるシナジー創出を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


安定的な収益確保および収益力の強化を目指すため、「売上高総利益率」と「売上高営業利益率」を重要な経営指標と位置付けています。また、株主資本の有効活用を図る観点から、「ROE(自己資本当期純利益率)」の向上も目標として掲げており、これらの指標の着実な改善を通じて企業価値を高める方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の建設需要の回復を見据えつつ、コスト上昇リスクへの対応として、既存事業のさらなる向上と高付加価値製品の開発を推進しています。徹底した原価管理や不採算工事の排除により利益率を高めるとともに、グループ企業との一気通貫による連携で価格競争力を強化し、安定した収益確保と強固な経営基盤の構築に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、持続可能な社会への貢献と自らの発展を実現するために人材が重要であると考え、人的資本への投資を戦略的に進めています。性別や国籍、新卒・中途採用者の区別なくスキルや経験を総合的に判断して採用を行い、個々人に応じたマネジメント研修等を通じて管理職のさらなるスキルアップと人材育成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 55.0歳 31.0年 6,359,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設市場の変動リスク


土木関連事業および型枠貸与関連事業の大半は、官公庁の公共事業に依存しています。そのため、政府の公共投資規模や重点投資分野の変動が、同社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。対策として、地道な情報収集と受注活動を実施し、利益率の改善に注力することで変化に強い企業体質の構築を目指しています。

(2) 施工中の事故・災害のリスク


工事の施工にあたっては安全管理に万全を期していますが、万が一事故が発生した場合、発注者や監督官庁からの行政処分を受ける恐れがあります。また、自然災害による工事の中断や資材調達の遅延、修復に伴う追加費用の発生などが、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 資材価格等の変動・調達リスク


鋼材をはじめとする建設資材の価格高騰、運搬経費の増加、労務単価の上昇などが生じた際、請負金額や販売価格への転嫁が困難または遅れた場合には、工事原価の上昇による利益率の低下を招く恐れがあります。仕入材料の市場動向を注視し、必要に応じて仕入の予約を行うなど、一定の利益を確保する原価管理に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。