※本記事は、AIAIグループ株式会社 の有価証券報告書(第10期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. AIAIグループってどんな会社?
認可保育園や療育施設を運営し、保育・療育・教育を一体的に提供する「AIAI三育圏」を展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社グループは、2007年に前身となる企業が設立され、千葉県での保育施設開設から事業を開始しました。2015年に持株会社体制へ移行し、2019年には東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たしました。2022年に商号を現在のAIAIグループに変更しています。2024年にはライフケア(介護)事業を譲渡し、チャイルドケア事業への集中を進めています。
同社グループの連結従業員数は1,119名ですが、持株会社である同社単体には従業員が在籍していません(提出日現在)。筆頭株主は事業会社のアニヴェルセルHOLDINGSで、第2位は創業者の貞松成氏、第3位は貞松氏の資産管理会社であるsocial investmentとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| アニヴェルセルHOLDINGS | 32.30% |
| 貞松 成 | 16.60% |
| social investment | 9.56% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長兼CEOは貞松成氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 貞松 成 | 代表取締役社長兼CEO | 2004年ワタミフードサービス入社。2007年global bridge(現AIAI Child Care)設立し代表取締役。2015年同社設立し現職。社会福祉法人理事長等も兼任。 |
| 木本 彰 | 取締役COO | 1979年東急ストア入社。同社執行役員、常務執行役員を経て、2020年同社取締役COO就任より現職。AIAI Child Care取締役も兼任。 |
| 戸田 貴夫 | 取締役CFO | 1990年三井物産入社。MCM FOODS HOLDING LTD. Group CFOなどを経て、2020年同社入社。2021年取締役CFO就任より現職。 |
| 内田 昌昭 | 取締役(常勤監査等委員) | 1984年セブン-イレブン・ジャパン入社。2020年同社入社。2021年取締役(常勤監査等委員)就任より現職。グループ各社の監査役も兼任。 |
社外取締役は、野口洋(アミタ入社、サクセスアカデミー執行役員等を経て現職)、豊泉美穂子(弁護士、みなと協和法律事務所入所を経て現職)です。
2. 事業内容
同社グループは、「チャイルドケア事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) チャイルドケア事業(保育・療育)
主に認可保育園「AIAI NURSERY」や、児童発達支援・放課後等デイサービスなどの多機能型事業所「AIAI PLUS」を運営しています。東京23区、千葉県、大阪市などを中心にドミナント戦略を展開し、保育・療育・教育を一体的に提供するサービスを行っています。
収益は、国や自治体からの施設型給付費や委託費、利用者からの保育料やサービス報酬等からなります。運営は主に連結子会社のAIAI Child Careや、教育プログラムを提供するCHaiLDが行っています。2025年4月には新たにぽこころ等がグループ入りしました。
■(2) その他
報告セグメントに含まれない事業として、グループ会社の管理及び経営指導業務等を行っています。
収益は、グループ会社からの経営指導料等が主な源泉となります。運営は持株会社である同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。利益面では、2023年3月期までは損失を計上していましたが、2024年3月期以降は黒字化し、経常利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 83億円 | 120億円 | 108億円 | 118億円 | 131億円 |
| 経常利益 | 2.8億円 | 4.6億円 | 4.1億円 | 8.8億円 | 8.7億円 |
| 利益率(%) | 3.3% | 3.9% | 3.8% | 7.4% | 6.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.4億円 | -1.9億円 | -5.2億円 | 0.8億円 | 0.8億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しています。営業利益率は上昇しており、本業の収益性が向上しています。一方で、経常利益は横ばい圏内で推移しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 118億円 | 131億円 |
| 売上総利益 | 17億円 | 21億円 |
| 売上総利益率(%) | 14.7% | 16.4% |
| 営業利益 | 5.3億円 | 7.3億円 |
| 営業利益率(%) | 4.5% | 5.6% |
販売費及び一般管理費のうち、租税公課が3.7億円(構成比26%)、給料及び手当が2.8億円(同20%)、支払手数料が2.2億円(同16%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社グループは単一セグメントですが、サービス別の売上収益を見ると、主力の保育施設が堅調に推移し増収を牽引しました。多機能型事業所(療育)も増加しています。一方で、介護施設は事業譲渡により減少しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 保育施設 | 103億円 | 119億円 |
| 多機能型事業所 | 8億円 | 9億円 |
| 介護施設 | 5億円 | - |
| ICT事業 | 2億円 | 2億円 |
| 連結(合計) | 118億円 | 131億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、本業の営業活動で得たキャッシュを借入金の返済や設備投資に充当しており、健全な財務循環にある「健全型」と言えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 18億円 | 14億円 |
| 投資CF | -6億円 | -4億円 |
| 財務CF | -8億円 | -3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は22.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「社会課題を解決し、世の中に貢献する」を経営理念として掲げています。「保育」と「療育」と「教育」の3つの「育」を一体的に提供する「AIAI三育圏」により、多様な子どもたちが持つ力を発揮できる社会の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、行動指針として「誠実であること」「貢献からの利益を追求すること」「自らを世界に貢献できる人間へと向上させること」「目標達成への努力を惜しまず、諦めないこと」を定めています。また、「関わる全ての人々に自分の存在価値を高めること」を社是とし、社会貢献と自己成長を重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、2024年3月期から2026年3月期を計画期間とする「AIAIグループ中期経営計画2023〜2025」を推進しています。最終年度における数値目標として以下を掲げています。
* グループ連結売上:120億円~130億円程度
* 営業利益:3億円~5億円程度
■(4) 成長戦略と重点施策
「AIAI NURSERY」のドミナント戦略に基づく新規開設やM&Aによる全国主要都市への拡大を進めるとともに、療育サービス「AIAI PLUS」との連携によるインクルーシブ保育を推進しています。また、独自の幼児教育プログラムの充実により、選ばれる園作りと収益力の強化を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、高品質なサービス提供のため、独自の社内ライセンス制度や大学院との包括連携協定を通じた教育制度を整備しています。保育士等の専門性向上やキャリアパスの実現をサポートするとともに、働きやすい環境づくりを通じて離職率の低減と人材確保に努めています。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 68.3% |
| 男性育児休業取得率 | 83.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.5% |
| 男女賃金差異(正規) | 81.8% |
| 男女賃金差異(非正規) | 108.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、社内ライセンス取得者数(102名)、有給休暇の取得率(72.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 少子化及び人口減少による利用者減
チャイルドケア事業は国内居住者を対象としており、少子化や人口減少の影響を受けます。同社グループは都市部へのドミナント戦略をとっていますが、想定以上の人口減少や社会構造の変化が生じた場合、利用者が減少し業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 国や自治体の制度変更・法規制
認可保育園や多機能型事業所は、国の制度や自治体の補助金等に依存しています。今後、補助金の削減や制度廃止、公定価格や報酬単価の引き下げ、あるいは株式会社の参入方針の変更等が生じた場合、事業拡大の停滞や収益性の低下など業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 人材の確保及び育成
施設の新規開設には、保育士や児童指導員等の有資格者の確保が不可欠です。同社グループは採用強化や研修に取り組んでいますが、必要な人員を確保できない場合や、何らかの要因で多数の人員欠如が生じた場合、施設運営に支障をきたし業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 有利子負債への依存度
同社グループは施設開設資金等を主に金融機関からの借入で調達しており、総資産に占める有利子負債の割合が高い水準にあります。金利上昇による負担増や、計画通りの資金調達が困難になった場合、新規開設の遅れ等により財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。



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