ミダックホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミダックホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム・名証プレミア上場の総合廃棄物処理企業です。廃棄物の収集運搬から中間処理、最終処分までを一貫して手掛ける体制を構築しています。積極的な設備投資とM&Aにより事業基盤を拡大しており、直近の業績は売上収益・各利益ともに過去最高を更新するなど、堅調な増収増益基調を維持しています。


※本記事は、株式会社ミダックホールディングス の有価証券報告書(第61期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミダックホールディングスってどんな会社?


廃棄物の適正処理を通じて循環型社会の確立を目指し、事業者向けに廃棄物処理・管理のソリューションを一貫提供する企業です。

(1) 会社概要


1952年に創業し、1964年に法人化しました。2017年に名証二部へ上場し、翌2018年には東証二部へ上場、2019年には東証一部・名証一部へ指定替えとなりました。2022年に持株会社体制へ移行するとともに、市場再編に伴い東証プライム市場・名証プレミア市場へ移行しています。近年では、2023年に株式会社フレンドサニタリー等を子会社化するなどM&Aも進めています。

連結従業員数は351名、単体では50名です。筆頭株主は専務取締役である熊谷裕之氏の資産管理会社である株式会社フォンスアセットマネジメントで、第2位は創業者一族とみられる個人株主、第3位は信託銀行です。

氏名 持株比率
株式会社フォンスアセットマネジメント 29.61%
熊谷勝弘 14.96%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 7.51%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は加藤恵子氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
加藤 恵子 代表取締役社長 税理士事務所勤務等を経て、2006年同社入社。経理部長、管理部長等を歴任し2019年より現職。
熊谷 裕之 専務取締役 1980年同社入社。取締役、産廃事業本部本部長、事業部長等を歴任し2010年より現職。
武田 康保 取締役開発事業部長 大光電機入社等を経て、2004年同社入社。監査役、総務統括部長等を歴任し2010年より現職。
髙田 廣明 取締役経営企画部長 大光電機入社等を経て、2006年同社入社。経営企画室長を経て2010年より現職。
鈴木 清彦 取締役事業部長 2000年同社入社。営業部長、ミダックふじの宮取締役工場長等を歴任し2019年より現職。
川上 好武 取締役(常勤監査等委員) サイデン化学入社等を経て、2019年同社入社。内部監査室室長代理を経て2023年より現職。


社外取締役は、石川真司(弁護士法人中京法律事務所代表社員)、奥川哲也(奥川哲也税理士事務所所長)、俵山初雄(学校法人興誠学園理事長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「廃棄物処分事業」「収集運搬事業」「仲介管理事業」および「その他」事業を展開しています。

廃棄物処分事業

排出事業者から受け入れた廃棄物の中間処理(脱水、焼却、中和等による減量化・安定化)および最終処分(埋立)を行います。特に最終処分場は、遮断型を除く安定型および管理型の処分場を保有しており、リサイクル困難な廃棄物の受け皿となっています。

収益は、排出事業者から受領する処理料金等から成り立っています。運営は主に、株式会社ミダック、株式会社三晃、株式会社ミダックこなんが行っています。

収集運搬事業

排出事業者の拠点から廃棄物を回収し、処理施設まで運搬するサービスを提供しています。固形物から廃液まで対応可能な多様な車両(脱着式コンテナ車、タンクローリー車等)を保有しています。

収益は、収集運搬量や運搬距離等に応じて排出事業者から受け取る料金となります。運営は主に、株式会社ミダック、株式会社ミダックライナー、株式会社フレンドサニタリーが行っています。

仲介管理事業

廃棄物処理業者向けに、同社グループの営業員が廃棄物処理案件の仲介および管理を行うサービスです。協力関係にある処理業者に対して排出事業者を紹介するとともに、事務手続等の代行も行います。

収益は、仲介や管理業務に対する手数料等から成り立っています。運営は主に株式会社ミダックが行っています。

その他

上記報告セグメントに含まれない事業として、砕石の製造・販売等を行っています。

収益は、製品の販売代金等となります。運営は主に遠州砕石株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間において、売上高および各段階利益は右肩上がりで推移しており、堅調な成長を続けています。特に利益率は30%台から40%台と非常に高い水準を維持しており、収益性の高さが際立っています。M&Aや設備投資の効果が着実に業績に反映され、安定した増収増益基調にあると言えます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 57.0億円 63.8億円 77.7億円 95.5億円 109.1億円
経常利益 18.5億円 21.9億円 26.9億円 33.8億円 44.5億円
利益率(%) 32.4% 34.3% 34.6% 35.4% 40.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 6.7億円 6.6億円 7.8億円 13.8億円 29.2億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。売上総利益率は60%を超えており、原価コントロールが機能していることが窺えます。営業利益率も40%台へと向上しており、販管費の抑制効果と相まって、極めて高い収益体質を実現しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 95.5億円 109.1億円
売上総利益 58.6億円 68.2億円
売上総利益率(%) 61.4% 62.6%
営業利益 35.4億円 45.3億円
営業利益率(%) 37.1% 41.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が7.1億円(構成比31%)、支払手数料が2.8億円(同12%)を占めています。売上原価については内訳データがありませんが、処理施設の維持管理や運搬にかかる費用が主であると考えられます。

(3) セグメント収益


廃棄物処分事業が全売上の大半を占める主力事業であり、引き続き安定的に推移しています。収集運搬事業もM&A効果等により売上規模を拡大させています。仲介管理事業は横ばいで推移していますが、全体としては主力事業の成長が業績を牽引する構造となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
廃棄物処分事業 80.9億円 85.5億円
収集運搬事業 13.0億円 20.1億円
仲介管理事業 1.3億円 1.3億円
その他 0.3億円 2.1億円
調整額 -3.9億円 -4.0億円
連結(合計) 95.5億円 109.1億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 26.5億円 41.7億円
投資CF -28.5億円 -34.7億円
財務CF 22.6億円 -13.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.3%で市場平均を大きく上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.1%で市場平均(プライム非製造業平均24.2%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「水と大地と空気そして人、すべてが共に栄えるかけがえのない地球を次の世代に美しく渡すために、その前線を担う環境創造集団としての社会的責任を自覚して地球にやさしい廃棄物処理を追求してまいります。」という経営理念を掲げています。廃棄物の適正処理を通じて循環型社会の確立を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「安心・安全」をキーワードに、社会や顧客から信頼され信用される企業であり続けることを重視しています。創業以来、廃棄物処理のエキスパートとして確かな技術で顧客からの信頼獲得に努めており、全社一丸となって最上級の満足を提供することを目指す風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、企業価値の最大化のための重要な経営指標として、以下の数値目標を掲げています。

* 経常利益率:20%以上
* ROE(自己資本利益率):15%以上

また、長期ビジョン「Challenge 80th」の実現に向けて、第1次中期経営計画期間(2027年3月期まで)においては、オーガニックグロースのみで売上高100億円、経常利益50億円を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、収集運搬から最終処分までの一貫処理体制の維持・充実と、積極的なM&A投資による成長基盤の強化を推進しています。特に、廃棄物排出量の多い関東方面への展開や、新規最終処分場・中間処理施設の拠点展開に注力しています。また、コンプライアンス体制の強化やグループ内連携の強化も重点施策として挙げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


経営理念の実現に向けて、全従業員向けの「社内共通研修」、ポジションごとの「階層別研修」、現場力強化のための「部門専門研修」など、体系的な教育研修制度を運用しています。また、将来の経営幹部候補を育成するためのサクセッション・プランを導入し、人的資本への投資を継続しています。さらに、奨学金返済支援制度や時差出勤制度など、働きやすい環境づくりにも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.2歳 7.1年 5,963,897円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(8.2%)、有給取得率(85.3%)、平均勤続年数(9.4年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 廃棄物処理法等の法的規制

廃棄物処理業は「廃棄物処理法」等の厳しい規制下にあり、事業には許可が必要です。法令違反等により許可の取消しや事業停止処分を受けた場合、経営に重大な影響を及ぼします。また、法改正による規制強化があった場合も業績に影響する可能性があります。

(2) 最終処分場の維持管理と開発

最終処分場は埋立容量に限界があるため、新たな処分場の開発が必要です。開発計画の遅延や中止は経営成績に影響します。また、操業中および終了後の処分場で、災害や事故により汚染物質が流出した場合、信用毀損や損害賠償等により重大な影響が生じる可能性があります。

(3) 自然災害・事故リスク

大規模地震(東海地震等)や富士山の噴火などの自然災害が発生した場合、事業拠点が集中する東海地方を中心に大きな打撃を受ける可能性があります。また、収集運搬車両の事故や処理施設での火災等が発生した場合も、社会的信用の低下等により事業に重大な影響を及ぼします。

(4) M&Aにおけるリスク

事業成長のためにM&Aを実施していますが、事前の調査にもかかわらず、買収後の環境変化や事業計画の未達、偶発債務の顕在化等が生じた場合、のれんの減損処理等により財政状態や経営成績に悪影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。