ミダックホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミダックホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミダックホールディングスは東証プライム及び名証プレミアに上場する、廃棄物の収集運搬・中間処理・最終処分までの一貫処理体制を強みとする企業です。直近の業績は、売上高118億円、経常利益46億円と増収増益のトレンドを維持しており、積極的な設備投資とM&Aによりさらなる成長と収益基盤の拡大を図っています。


※本記事は、株式会社ミダックホールディングスの有価証券報告書(第62期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミダックホールディングスってどんな会社?


廃棄物処理のエキスパートとして、循環型社会の確立に貢献する環境創造企業です。

(1) 会社概要


1952年に小島清掃社として創業し、1964年に法人化して産業廃棄物の処理事業へ展開しました。1996年にミダックへ商号変更後、着実に事業基盤を拡大し、2019年に東京・名古屋の証券取引所へ上場を果たしました。2021年には現在のミダックホールディングスへ商号を変更し、純粋持株会社体制へ移行しています。

現在の従業員数は連結364名、単体49名です。筆頭株主は同社役員の資産管理を行うフォンスアセットマネジメントで、第2位は個人株主の熊谷勝弘氏、第3位は信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)となっています。

氏名 持株比率
フォンスアセットマネジメント 29.78%
熊谷勝弘 14.95%
日本カストディ銀行(信託口) 5.15%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は加藤恵子氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
加藤恵子 代表取締役社長 税理士法人等を経て2006年同社入社。管理部長や子会社代表取締役を歴任し、2019年より現職。
熊谷裕之 専務取締役 1980年同社入社。産廃事業本部本部長、事業部長や子会社代表取締役などを経て、2010年より現職。
髙田廣明 取締役経営企画部長 大光電機等を経て2006年同社入社。経営企画室長などを経て、2010年より現職。
鈴木清彦 取締役事業統括部長 2000年同社入社。営業部長や子会社工場長、事業部長を経て、2019年より現職。
越智雅彦 取締役営業統括部長 2003年同社入社。営業部長などを経て、2022年に営業統括部長に就任、2026年より現職。
川上好武 取締役(常勤監査等委員) サイデン化学等を経て2019年同社入社。内部監査室長代理などを経て、2023年より現職。


社外取締役は、石川真司(弁護士法人中京法律事務所代表社員)、奥川哲也(奥川哲也税理士事務所所長)、俵山初雄(学校法人興誠学園理事長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「廃棄物処分事業」「収集運搬事業」「仲介管理事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 廃棄物処分事業


企業や地方自治体から排出される産業廃棄物や一般廃棄物の無害化処理および最終処分を行っています。中間処理では脱水、焼却、中和等による減量化・安定化を実施し、リサイクル困難な廃棄物は最終処分場で埋め立てを行っています。
収益は、排出事業者からの廃棄物処理料金によって構成されています。運営は主にミダック、三晃、ミダックこなん、大平興産が行っており、愛知県や静岡県、関東エリアなどに複数の処理施設や最終処分場を保有しています。

(2) 収集運搬事業


企業の工場やオフィスなどから排出される産業廃棄物および一般廃棄物を回収し、処理場まで運搬するサービスを提供しています。多種の廃棄物を運搬できる専門車両を保有し、安全かつ迅速な運搬体制を構築しています。
収益は、排出事業者から収集運搬量や運搬距離に応じて受け取る料金からなります。運営はミダック、ミダックライナー、フレンドサニタリーが担当し、東海地区を中心に幅広いエリアで事業を展開しています。

(3) 仲介管理事業


同社グループの営業力を活用し、協力関係にある他の廃棄物処理業者向けに廃棄物処理案件の仲介と管理を行うサービスです。排出事業者の紹介と、取引における事務手続きの代行を一括して提供します。
収益は、仲介案件の成約や事務代行に伴う手数料から構成されています。運営はミダックが担い、自社施設だけでは対応しきれない顧客の多様な廃棄物処理ニーズに柔軟に応える体制を整えています。

(4) その他


報告セグメントに含まれない事業として、東海地区において砕石製造工場の運営等を行う砕石製造業などを展開しています。運営は主に遠州砕石が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に拡大を続けており、118億円規模に成長しています。経常利益も右肩上がりで推移し、利益率は継続して34%以上の高い水準を維持しており、安定した収益基盤が確立されています。

項目 58期 59期 60期 61期 62期
売上高 64億円 78億円 95億円 109億円 118億円
経常利益 22億円 27億円 34億円 45億円 46億円
利益率(%) 34.3% 34.6% 35.4% 40.8% 39.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 8億円 14億円 29億円 17億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しています。高い売上総利益率を保ちながら、営業利益も堅調に推移し、高収益体質を維持していることがわかります。

項目 61期 62期
売上高 109億円 118億円
売上総利益 68億円 74億円
売上総利益率(%) 62.6% 62.5%
営業利益 45億円 47億円
営業利益率(%) 41.6% 39.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が8億円(構成比31%)、のれん償却額が4億円(同14%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力の廃棄物処分事業は、最終処分場における旺盛な需要と中間処理施設の安定稼働により増収増益となりました。収集運搬事業は価格転嫁の進展により堅調に推移し、仲介管理事業も大口案件の獲得により安定した利益を確保しています。

区分 売上(61期) 売上(62期) 利益(61期) 利益(62期) 利益率
廃棄物処分事業 85億円 96億円 50億円 53億円 55.4%
収集運搬事業 20億円 20億円 5億円 6億円 27.7%
仲介管理事業 1億円 1億円 0.9億円 1億円 76.5%
その他 2億円 0.6億円 0.8億円 -0.5億円 -86.5%
連結(合計) 109億円 118億円 45億円 47億円 39.9%


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態のキャッシュ・フロー状況です。

項目 61期 62期
営業CF 42億円 28億円
投資CF -35億円 -76億円
財務CF -14億円 33億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.3%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も45.6%で非製造業の市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「水と大地と空気そして人、すべてが共に栄えるかけがえのない地球を次の世代に美しく渡すために、その前線を担う環境創造集団としての社会的責任を自覚して地球にやさしい廃棄物処理を追求してまいります。」を理念として掲げています。持続可能な循環型社会の実現を最重要課題と認識しています。

(2) 企業文化


創業以来、廃棄物処理のエキスパートとして常に時代のニーズに応える文化があります。確かな技術で顧客の信頼と信用を得ることに誠心誠意努力し、「安心・安全」をキーワードに、最上級の満足を提供できるよう全社一丸となって邁進する姿勢を重視しています。また、コンプライアンスの徹底も文化の基盤となっています。

(3) 経営計画・目標


ミダックグループ10年ビジョン「Challenge 80th」の実現に向け、長期的な目線で成長投資を進めています。企業価値の最大化を図るため、以下の経営指標と数値目標を設定しています。

・経常利益率:20%以上
・ROE(自己資本利益率):15%以上
・2032年3月期までに連結売上高400億円、経常利益120億円

(4) 成長戦略と重点施策


収集運搬から最終処分までの一貫処理体制の維持と、最終処分場および中間処理施設への投資を中心に据え、競争力強化を図っています。

・有望地域(特に関東方面)への新規廃棄物処理施設の拠点展開
・M&Aの積極的な推進によるスピーディーな事業の拡大
・持株会社体制のもとでのグループ内連携・情報共有の強化

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


経営理念の実現を可能にする人材育成を重視しています。「社内共通研修」「階層別研修」「部門専門研修」を通じて多様な人材がパフォーマンスを発揮できる環境を構築しています。また、将来の経営幹部候補を育成する広義のサクセッション・プランを導入し、次世代経営人材の創出にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
62期 39.5歳 6.2年 5,943,703円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.1%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異について、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給取得率(80.6%)、平均勤続年数(9.7年)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 廃棄物処理法の法的規制・許認可リスク


廃棄物処理事業は「廃棄物処理法」に基づく許可制であり、施設の新増設等にも行政の許可が必要です。法規制の改廃や規制強化、あるいは従業員の過失等による違反で業務停止や許可取消処分を受けた場合、事業の継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 最終処分場の維持管理・開発リスク


最終処分場は操業終了後も長期間の適正な維持管理が義務づけられています。天災や人的過失により汚染物質が流出する事態が発生した場合は信用が毀損します。また、新たな処分場の開発計画が延期・中止となった場合、投資資金の毀損やコスト増につながる恐れがあります。

(3) 自然災害や重大事故発生リスク


東海地方等に事業拠点が集中しているため、大規模な地震等が発生した場合の被害が懸念されます。また、危険物や特別管理廃棄物の取扱い、多数の車両運行において、重大な火災や事故等が発生すれば、社会的信用の低下と業績の悪化を招く可能性があります。

(4) M&Aに伴う投資・統合リスク


事業の成長による企業価値の向上を目的として積極的なM&A投資を推進していますが、買収後の市場環境の急変や、計画通りの事業展開ができず投下資金の回収が困難となった場合、のれんの減損損失などが発生し、財務状況に影響を与えるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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