※本記事は、株式会社イオレ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月30日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、データマネジメント力を競争力とし、インターネットメディア事業を基盤にAI・デジタルインフラ、暗号資産金融へと事業領域を拡大しています。新しいテクノロジーを駆使し、社会貢献を目指す企業です。
単体従業員数は83名、連結従業員数も83名です。セグメントはインターネットメディア事業、AIデータセンター事業、暗号資産関連事業の3つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)Neo Crypto Bank(暗号資産関連事業)、NCBC-G1(同)、Neo Crypto Bankを営業者とする匿名組合(同)などです。
イオレグループは、今期よりAIデータセンター事業に参入し、セグメント構造を再編しました。一部事業の譲渡や暗号資産関連事業の強化も進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
イオレは、事業を通して社会課題の解決に貢献し、持続的な成長を目指す企業です。人材を最重要の経営資源と位置づけ、従業員の成長と働きがいを重視した環境づくりに取り組んでいます。特に、AIネイティブ人材の採用と育成に注力し、新しい技術を活用した事業設計と業務効率の最大化を推進しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均年齢が30代半ばであり、平均勤続年数は5年となっています。これは、比較的若い世代の従業員が中心となって活躍している傾向を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,328,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.0年 |
| 平均年齢 | 35.2歳 |
| 単体従業員数 | 83人 |
| 連結従業員数 | 83人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
同社グループは、従業員の退職給付に充てるため、選択制確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。個々の従業員の意志により、確定拠出年金への拠出もしくはライフデザイン手当として給与加算のいずれかを選択できる制度です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
イオレは、「事業は人が全て」という経営哲学のもと、人材を最重要の経営資源と位置づけ、中長期的な競争力強化を図る人材戦略を推進しています。公正で透明性の高い経営を基本とし、事業を通して社会課題の解決に寄与することを目指しています。
2025年10月より、個人およびチームの生産性向上度・事業貢献度を重視した評価制度へ全面移行しました。職務遂行能力・行動特性を評価するコンピテンシー評価と、AI技術の習熟度・業務への活用を通じた生産性向上・組織全体のパフォーマンスへの貢献度を定量的に測定する独自指標「EOLE AI Readiness Score(EARS)」を組み合わせた多面的な評価体系です。これらの評価に基づく成果は昇給・賞与に直接連動させており、生産性向上により創出された利益を従業員へ適切に還元する報酬体系の構築を目指しています。
採用においては、生成AI/大規模言語モデル(LLM)を業務の中核に組み込み、事業設計および業務効率の最大化を自律的に実現できる人材の獲得を重点方針としています。社長自らが採用活動に関与し、全採用候補者との面接を通じた評価を徹底しており、中途採用では紹介会社を活用した積極採用を推進しています。育成面では、「頑張った人が報われる組織」、「当社で働くことで成長実感を味わえるか」という観点で制度設計を行い、「収益改善コンテスト」や選抜型研修を実施しています。
職場環境の整備としては、ライフスタイルに応じた柔軟な働き方ができるようフレックスタイム制度やハイブリッドワーク制度を推進しています。また、「コミュニケーション」を大切にする組織風土を形成するため、月次「全体会」や半期「キックオフ」といった会議運営、月1回以上の社内報発行を通じて、全社的なコミュニケーションの活性化に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社に従業員はおりません。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.0% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
指標及び目標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 人的資本ROI | 39.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
イオレは、データマネジメント力を競争力の核とし、インターネットメディア事業を基盤に、AI・デジタルインフラ、そして暗号資産金融へと事業領域を広げています。同社グループは、これら「インターネットメディア事業」「AIデータセンター事業」「暗号資産関連事業」の3つのセグメントで事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「新しいテクノロジーを駆使し、新しい便利やよろこびを創り出し、世の中を応援し社会に貢献する」という経営理念のもと、多角的な事業を展開しています。特にAIデータセンター事業が収益の大部分を占め、インターネットメディア事業がこれに続いています。
AIデータセンター事業
AIインフラの整備・運用やGPUリソースの提供を行っています。Blackwellアーキテクチャなどの最新技術を採用したGPUサーバーの販売を通じて、事業規模や用途に応じた最適なAI運用環境を顧客に提供しています。収益は、GPUサーバーの販売に係る売上収入から得ています。運営は、イオレが行っています。
インターネットメディア事業
1stパーティデータを活用した広告配信サービスやAIを活用したマーケティングソリューションを提供しています。今後はすべてのインターネットメディアにおけるUIがAIと統合されることを見据え、「AI UI事業」と位置づけています。主要サービスには、高精度なターゲティング広告サービス『pinpoint』や次世代AIターゲティングサービス『pinpoint tAIpe』、求人検索エンジンの販売促進・広告運用コンサルティングを行う『求人検索エンジン』、運用型求人広告プラットフォーム『HR Ads Platform』、採用支援システム『ジョブオレ』、ペット関連情報メディア『休日グランピング部』などがあります。収益は、広告料収入、サービス料収入、利用料から得ています。運営は、イオレが行っています。
暗号資産関連事業
暗号資産の保有・運用、レンディングなどの金融サービスを提供しています。MSワラントによる増資資金を活用したビットコインの取得・運用に加え、『らくらくちょコイン』を通じた借り受け暗号資産の運用により収益拡大を図っています。収益は、暗号資産の運用益及びレンディングに係る収益から得ています。運営は、連結子会社であるNeo Crypto Bank合同会社が行っています。
同社グループの売上高は、AIデータセンター事業が最も大きく、次いでインターネットメディア事業が続きます。海外顧客への売上高は全体の90%未満であり、国内市場が中心です。特定の主要顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| AIデータセンター事業 | - | 101億円 |
| インターネットメディア事業 | - | 39.9億円 |
| 暗号資産関連事業 | - | 46百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、それ以前の期間との比較はできません。当連結会計年度の売上高は141.6億円を計上しました。営業利益は黒字を確保しましたが、経常損失および親会社株主に帰属する当期純損失となりました。これは主に、暗号資産の価格変動による評価損を計上したことによるものです。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 142億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | △5.1億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | △3.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純損失 | - | - | - | - | △5.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | △15.34 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は170.6百万円、従業員1人あたりの営業利益は2.5百万円となっています。連結財務諸表を当期から作成しているため、前期との比較はできません。前事業年度末に比べて従業員数が減少しており、業容の縮小に伴う期中採用の減少が主な理由です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | 170.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | 2.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
イオレは、事業活動で得た資金を積極的に将来への投資に回しており、成長フェーズにあることがうかがえます。財務基盤と資金の流れから、同社グループの安定性を見ていきましょう。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
イオレの自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。これは、同社グループの財務基盤が比較的安定していることを示唆しています。
ROE(自己資本利益率)はプライム市場平均を下回る状況です。手元資金である現金及び預金は、事業運営に必要な流動性を確保している状況となっています。これらの財務状況は、同社グループの事業継続性や将来的な成長投資の余力に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 3.1億円 | 35.0億円 |
| 自己資本比率 | - | 31.6% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △27.7% |
| 現金及び預金 | 3.8億円 | 13.1億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
イオレの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは増加となりました。これは主に前受金の増加や暗号資産評価損によるものです。本業で資金を生み出している状況を示しています。
一方、投資活動によるキャッシュフローは減少となりました。これは主に投資有価証券や暗号資産の取得による支出が大きかったためです。同社グループが将来の成長に向けた積極的な投資を行っていることがうかがえます。
フリーキャッシュフローはマイナスであり、営業活動で得た資金を上回る投資を行っている状況です。財務活動によるキャッシュフローは増加となり、主に株式の発行による収入で投資資金を賄っていることが示されています。これらの資金の流れは、同社グループが成長フェーズにあり、事業拡大のための投資を優先していることを示唆しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 9.1億円 |
| 投資CF | - | △36.4億円 |
| 財務CF | - | 36.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △27.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
イオレは、インターネットを活用した求人広告市場やインターネット広告市場に注力しており、雇用情勢やクライアント企業の広告需要の変化が事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、暗号資産関連市場への参入を検討しており、市場環境の悪化や価格変動が財政状態及び経営成績に影響を与えるリスクがあります。
競争環境の変化も激しく、新しいサービスの台頭や競合激化により、同社グループの優位性が低下する可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
イオレは、今後の事業拡大と成長のために優秀な人材の確保と育成を重要な課題と認識しています。特に若手社員の比率が高まっていることから、その育成が重要であるとされています。
計画通りに人材の確保・育成が進まない場合や、既存人材の社外流出が生じた場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因となる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
イオレは、「新しいテクノロジーを駆使し、今までになかった新しい便利、新しいよろこびを創り出し、世の中に応援し、社会に貢献していく」という経営理念のもと、事業を通じて社会課題の解決に貢献することを目指しています。AIとブロックチェーンを基盤とした次世代のサービス創造に挑戦する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「新しいテクノロジーを駆使し、今までになかった新しい便利、新しいよろこびを創り出し、世の中に応援し、社会に貢献していく」ことを経営理念に掲げています。この理念を実現するため、AI計算レイヤー(AIデータセンター事業)、AI実装レイヤー(AIUI事業)、金融レイヤー(暗号資産金融事業)の3層を横断した事業基盤を構築しています。
各レイヤーの成長が他レイヤーを加速させる自己増殖的なエコシステム(3層統合モデル)の形成を目指しています。将来的にはAIとブロックチェーンを基盤とした24時間365日稼働する次世代金融ハブ「Neo Crypto Bank」の構築を目指している会社です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
イオレは、創業以来の経営理念「新しい便利、新しいよろこびをつくる。」を追求し、公正で透明性の高い経営に取り組むことを基本的な考えとしています。株主や顧客、取引先、地域社会、従業員といったあらゆるステークホルダーとの良好な関係を築き、長期的視野での企業価値向上を目指しています。
組織風土としては「コミュニケーション」を大切にしており、経営層から現場、部署間、そして全社員をつなぐ様々な機会を展開しています。具体的には、月1回以上の「社内報」の発信、月に一度全社員が対面で集まる「全体会」、半期ごとの「キックオフ」会議などを通じて、情報共有と交流を促進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、事業拡大と収益性向上を両立するため、AI及びDXを活用した業務効率化と生産性向上を重要な課題と認識しています。AI活用領域の拡大に加え、社内業務プロセスの標準化、自動化、意思決定の高度化を推進し、継続的な競争力強化を図っています。
また、優秀な人材の確保と育成も重点テーマの一つです。高度な専門性を有する人材や成長ポテンシャルの高い人材の採用を継続し、新卒社員の育成とマネジメント体制、教育体制の構築にも取り組んでいます。個人情報保護をはじめとした情報管理の徹底も経営上の大きな課題と捉え、社内規程の厳格な運用やセキュリティシステムの整備を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
イオレは、経営の透明性とコンプライアンス強化を重要な経営課題と位置付けています。社外取締役と社外監査役を積極的に登用し、社外からの客観的な視点を取り入れることで、経営に対するチェック機能を高めるガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
イオレの筆頭株主は吉田直人氏であり、同氏が創業者の可能性があります。上位株主には、投資事業有限責任組合や楽天証券などの機関投資家、さらに複数の個人株主が名を連ねています。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つ可能性がある資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 吉田直人 | 13.74% |
| 投資事業有限責任組合JAIC-Web3ファンド | 10.85% |
| 楽天証券 | 4.38% |
| 五六 | 3.39% |
| ダイナミックソリューショングループ | 3.21% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は瀧野諭吾氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 瀧野 諭吾 | 代表取締役社長 | グリー入社後、KAIZEN Platform,Inc.でChief Product Officer、PKSHA Technologyで執行役員を歴任。ストリートホールディングスCTOを経て、2025年6月より同社代表取締役社長に就任。 |
| 天羽 健介 | 専務取締役 | 阪和興業、リクルートを経て、コインチェックで執行役員、コインチェックテクノロジーズ代表取締役を歴任。Animoca Brands副社長COOを経て、2025年7月より日本暗号資産ビジネス協会理事。 |
| 吉田 直人 | 取締役会長 | ホワイトT&R、シオンコーポレーション、グローバルデータ通信、アクア、サイバービズの代表を歴任。2001年4月同社設立代表取締役社長。2019年6月より同社取締役会長。 |
| 渡邊 孝行 | 取締役 | エル・ジャポン、オン・ザ・ネットを経て、グループホールディングス(現トリプルオプション)代表取締役。LUXDRI、インタープラネタリーで執行役員を歴任。2024年12月よりダイナミックソリューショングループ代表取締役。 |
社外取締役は、天野晃氏(JAICオルタナティブインベストメンツ 代表取締役)、高桑昌也氏(元金融庁 証券取引特別調査官)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。社外取締役と社外監査役が経営の透明性とコンプライアンスを確保し、客観的な視点から監督・監査を行う体制です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
イオレの役員報酬は、常勤取締役に対して固定報酬と譲渡制限付株式報酬を、社外取締役と監査役には固定報酬のみを支給する体系です。株式報酬は、企業価値の持続的な向上へのインセンティブと株主との価値共有を目的としており、譲渡制限期間は3年から30年と設定されています。報酬額は、役位、職責、業績、目標達成度などを総合的に勘案し、取締役会または監査役会で決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 56百万円 | 9.4百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 20百万円 | 2.5百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。