オプティマスグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オプティマスグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オプティマスグループはスタンダード市場に上場し、日本の中古自動車の海外輸出を中心に、物流、検査、サービス、小売・卸売事業をグローバルに展開しています。直近の業績では、主要市場であるニュージーランドやオーストラリアでの事業基盤強化や欧州向け輸出拡大が寄与し、大幅な増収増益を達成して成長を続けています。


※本記事は、株式会社オプティマスグループの有価証券報告書(第12期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はIFRSです。

1. オプティマスグループってどんな会社?


日本発の中古自動車輸出を基点に、海外でのバリューチェーン構築を進めるグローバル企業です。

(1) 会社概要


オプティマスグループの起源は、1988年に設立された日貿・ジャパントレーディングによる水産食品の輸出入事業です。1989年にニュージーランド向けの中古自動車輸出を本格化させ、2015年に純粋持株会社として同社を設立しました。2017年の上場を経て、近年はオーストラリアでの企業買収等で事業を拡大しています。

従業員数は連結2,755名、単体32名です。大株主の状況を見ると、筆頭株主は創業者で代表取締役社長の山中信哉氏であり、第2位および第3位はニュージーランド在住の経営陣であるロバート・アンドリュー・ヤング氏とマーティン・フレイザー・マッカラック氏となっています。

氏名 持株比率
山中 信哉 18.01%
ロバート・アンドリュー・ヤング 12.26%
マーティン・フレイザー・マッカラック 12.26%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は山中信哉氏が務めており、社外取締役比率は44.4%となっています。

氏名 役職 主な経歴
山中 信哉 代表取締役社長 1988年に日貿・ジャパントレーディング(現 日貿)を設立し代表取締役社長に就任。2015年に同社を設立し、代表取締役社長に就任し現職。
ロバート・アンドリュー・ヤング 取締役 2002年に日貿へ入社し、ニュージーランドにおけるグループ各社の取締役を歴任。2015年より現職。
マーティン・フレイザー・マッカラック 取締役 1988年より通関・物流業務に従事し、ニュージーランドやオーストラリアのグループ物流会社の取締役を歴任。2015年より現職。
ジョン・スタターリ 取締役 自動車ディーラー各社の社長やDeloitte Australiaのパートナーを経て、オーストラリアのグループ各社取締役を歴任。2022年より現職。
岩岡 廣明 取締役 三井物産に入社後、経理・経営企画等の要職や関連会社CFOを歴任。2018年に同社社外取締役に就任し、2020年より現職。


社外取締役は、森正邦氏(元トヨタ自動車財務部長)、布施伸章氏(元有限責任監査法人トーマツパートナー)、若林陽介氏(元国土交通省近畿運輸局長)、横澤靖子氏(TMI総合法律事務所カウンセル)です。

2. 事業内容


同社グループは、「輸出入」、「物流」、「サービス」、「検査」、「小売・卸売」および「その他」事業を展開しています。

(1) 輸出入


日本の中古自動車をオートオークション事業者などから仕入れ、主にニュージーランドや欧州などの海外の現地ディーラーに向けて輸出販売を行っています。専門知識に基づく車両の商品性判断により、顧客ニーズに合致したコンサルティング営業を実施しています。

海外ディーラーに対する中古自動車の販売代金を主な収益源としています。無在庫に近い低リスクでの仕入・販売を実現しており、事業の運営は主に中核子会社である日貿が担っています。

(2) 物流


日本から輸出される中古自動車の海上輸送と、オーストラリア国内での新車陸上輸送を中心に展開しています。日本国内での輸出事務手続きサポートや、船積前の整備・清掃・検疫手配等の付随サービスもワンストップで提供しています。

自動車の輸送運賃や整備・清掃等の付帯サービス料を収益源としています。海上輸送はDolphin Shipping New Zealand、オーストラリア国内物流はAutocare Servicesなどの子会社が運営を担っています。

(3) サービス


ニュージーランドにおける中古自動車ディーラーや一般消費者向けに多岐にわたるサービスを提供しています。自動車ローンの提供や債権回収管理のほか、オンラインでの自動車売買取引サイトの運営、オーストラリアでの自動車関連データサービスなどを含みます。

自動車ローン利用に伴う利息収入や、オンラインサイトの広告・利用料、データサービスのサブスクリプション収入等から収益を得ています。運営はAuto Finance DirectやAuto Trader Media Group等の各子会社が行っています。

(4) 検査


中古自動車の輸出入に必要となる各国の基準に沿った検査や検疫事業を行っています。船積前検査として道路走行の安全性や車体への土壌・動植物の付着状況を確認するほか、ニュージーランドでの輸入車両検査や国内車検業務も受託しています。

グループ内外の顧客から受託する検査手数料や検疫作業料を収益源としています。特許取得済みの熱処理施設などを保有し、事業の運営はJEVICやVehicle Inspection New Zealandなどの子会社が担っています。

(5) 小売・卸売


オーストラリアを主要市場とし、新車および中古自動車の小売・卸売事業を展開しています。同国東部で約40のブランドを取り扱う多数のディーラー店舗を運営し、新車中心の市場特性に適合した広範な販売ネットワークを形成しています。

消費者や事業者への自動車の販売代金から収益を獲得しています。事業の主軸は、オーストラリア屈指の新車販売ネットワークを有する連結子会社のAutopact Holdingsや、持分法適用会社であるOzCarなどが運営を担っています。

(6) その他


純粋持株会社としてのグループ全体の経営戦略策定や経営管理のほか、オーストラリアおよびニュージーランドにおける地域別の中間持株会社としての統括業務を行っています。

グループ各社からの経営指導料や配当金などを主要な収益源としています。事業の運営は、親会社であるオプティマスグループのほか、Optimus Group AustraliaやOptimus Group New Zealandなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近の業績は、ニュージーランド向け中古自動車の輸出販売が堅調に推移したほか、オーストラリアでの新規連結子会社による事業拡大が寄与し、売上収益および利益ともに拡大基調にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 2,688億円 3,155億円
税引前利益 29億円 45億円
利益率(%) 1.1% 1.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 13億円 25億円

(2) 損益計算書


売上高の増加にともない売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。利益率は一時的に微減したものの、着実な本業の成長により安定した収益水準を維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,688億円 3,155億円
売上総利益 436億円 485億円
売上総利益率(%) 16.2% 15.4%
営業利益 89億円 98億円
営業利益率(%) 3.3% 3.1%

(3) セグメント収益


売上の大半を占める小売・卸売は市場競争の激化により利益率が低下したものの、輸出入や物流セグメントが増収と大幅な増益を達成し、グループ全体の利益成長を牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
輸出入 432億円 564億円 8億円 14億円 2.5%
物流 299億円 342億円 16億円 27億円 7.9%
サービス 40億円 40億円 5億円 6億円 15.0%
検査 51億円 57億円 4億円 11億円 19.3%
小売・卸売 1,923億円 2,202億円 63億円 46億円 2.1%
その他 27億円 54億円 2億円 30億円 55.6%
連結(合計) 2,688億円 3,155億円 89億円 98億円 3.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 77億円 7億円
投資CF -159億円 -94億円
財務CF 53億円 66億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は13.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「正しく公平な経営により、最善の貢献を図る」という経営理念を掲げています。また、「楽しく安全な移動手段と、一人一人に最適なサービスを提供する事業を究める」「新しい価値や革新的なサービスを創り出し、未来に向かって事業を拓く」「すべてのステークホルダーと自然との共栄を図る」ことをグループビジョンとし、グローバル社会の発展への貢献を目指しています。

(2) 企業文化


同社は創業以来の価値観である「ご縁」を起点とし、仕事を楽しむ「情熱」、既成概念にとらわれない「挑戦」、信念を持って進む「不撓不屈」、誇りと責任を持つ「プロフェッショナリズム」、思いやりを行動にする「ティームワーク」等の8つの行動指針を定めています。これらが複雑なグローバル・バリューチェーンを繋ぐ力として組織文化に根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は収益性と効率性の観点から、連結営業利益額、連結税引前利益および親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)を重要な経営指標に設定しています。また、事業間の相乗効果を高める観点から、中核子会社である日貿の中古自動車販売台数およびAutopact Holdingsの自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として継続的な成長を追求しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は持続的な成長を実現するため、既存事業の収益力強化と新規事業による成長を重点施策としています。ニュージーランド向け中古自動車輸出など既存のコア事業を欧州等へ拡大する一方で、オーストラリアでは大手新車ディーラーの買収等の積極的投資によりリスク分散と事業の多角化を推進し、新たなプラットフォームによる事業基盤の確立に取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を「付加価値を生み出す最大の経営資本」と位置づけ、人的資本経営を重視しています。「自然体の多様性」によるハイブリッド文化を醸成し、属性によらない適材適所の配置を徹底しています。また、現場中心の育成による専門性の継承や、階層別の研修を通じたマネジメント層の強化により、グローバルなバリューチェーンにおける競争優位性の確立を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 50.6歳 4.9年 10,545,959円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 27.8%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規労働者) -
男女賃金差異(非正規労働者) -


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員に占める女性比率(25.5%)、外国籍社員比率(91.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 地政学上の問題と経済情勢の変動


オセアニア等の重点市場への依存度が高いため、中東情勢などの地政学リスクや各国の景気動向が業績に影響する可能性があります。同社は欧州など新規市場の開拓を進め、収益源の多様化と特定国への依存度低下に努めています。

(2) 競合の激化と新規参入リスク


中古自動車の輸出や検査事業は新規参入が比較的容易であり、優良な車両の仕入れや販売先の争奪が激化するリスクがあります。同社は一貫したサービス提供によるコスト競争力の強化や、新車販売等の周辺事業への展開により優位性の確保を図っています。

(3) 海上輸送の中断やコスト高騰


事業に必要な車両輸送は外部の海運会社に依存しており、世界的物流の停滞や燃油高騰により輸送遅延や運賃上昇が生じるリスクがあります。同社は複数船社との関係強化や運搬手段の多様化に加え、販売価格への転嫁を通じて影響の軽減に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。