※本記事は、株式会社オプティマスグループ の有価証券報告書(第11期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オプティマスグループってどんな会社?
同社は、日本からの中古自動車輸出を中心に、ニュージーランドやオーストラリア等で物流、検査、金融、小売までを一貫して手掛ける自動車総合サービス企業です。
■(1) 会社概要
1988年に創業者が日貿・ジャパントレーディングを設立し、翌年からニュージーランド向け中古車輸出を開始しました。2015年に持株会社体制へ移行してオプティマスグループを設立し、2017年に東証二部へ上場しました。近年はM&Aを加速させ、2023年に豪州Autopact社、2024年に豪州Autocare社を連結子会社化し、事業を急拡大させています。
連結従業員数は2,513名、単体では32名体制です。筆頭株主は創業者の山中信哉氏で、第2位・3位は同社の取締役であるロバート・アンドリュー・ヤング氏とマーティン・フレイザー・マッカラック氏です。経営陣が主要株主として名を連ねており、オーナーシップを持った経営体制と言えます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山中 信哉 | 18.05% |
| ロバート・アンドリュー・ヤング | 12.29% |
| マーティン・フレイザー・マッカラック | 12.29% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.0%です。代表取締役社長は山中 信哉氏です。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山中 信哉 | 代表取締役社長 | 1988年日貿・ジャパントレーディング(現日貿)設立、代表取締役社長。2015年同社設立に伴い現職。 |
| ロバート・アンドリュー・ヤング | 取締役 | 1998年Vehicle Solutions Limited取締役。日貿ゼネラルマネージャー等を経て、2015年より現職。 |
| マーティン・フレイザー・マッカラック | 取締役 | 1988年JENNERS CUSTOMS & FREIGHT入社。Dolphin Shipping NZ取締役等を経て、2015年より現職。 |
| ジョン・スタターリ | 取締役 | Proton Cars Australia社長等を経て、2021年Optimus Group Australia社長。2022年より現職。 |
| 岩岡 廣明 | 取締役 | 1982年三井物産入社。欧州三井物産CFO、三井物産スチール常務等を経て、2020年より現職。 |
社外取締役は、長﨑 伸郎(元トヨタ自動車関連事業部長)、伊藤 真弥(西村あさひ法律事務所パートナー)、布施 伸章(公認会計士)、長田 太(元国土交通省航空局長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「輸出入」「物流」「サービス」「検査」「小売・卸売」の5つの報告セグメントおよび「その他」事業を展開しています。
**輸出入**
日本国内のオートオークション等から中古自動車を仕入れ、主にニュージーランド等の海外現地ディーラーへ輸出・販売しています。
収益は、海外ディーラーへの車両販売代金等から得ています。運営は主に株式会社日貿が担っています。
**物流**
日本からの中古車輸出に係る海上輸送や、オーストラリアでの新車陸上輸送を展開しています。
収益は、顧客であるディーラー等から受け取る海上運賃や陸送費などの物流サービス料です。運営はDolphin Shipping New Zealand LimitedやAutocare Services Pty Ltd、大和ロジスティクス株式会社などが行っています。
**サービス**
ニュージーランドにおける自動車ローン事業やデータサービス、オンライン販売サイト運営などを展開しています。
収益は、自動車購入者からのローン金利収入や、ディーラー等からの広告掲載料・データ利用料などです。運営はAuto Finance Direct LimitedやAuto Trader Media Group Limitedなどが行っています。
**検査**
中古車の輸出に必要な船積前検査や、現地での輸入車検・国内車検を提供しています。
収益は、輸出業者や現地ディーラー、一般顧客から受け取る検査手数料です。運営は株式会社JEVICやVehicle Inspection New Zealand Limitedなどが行っています。
**小売・卸売**
オーストラリアを主要市場として、新車・中古車のディーラー運営を行っています。
収益は、一般消費者や事業者への車両販売代金および関連用品の販売収益です。運営はAutopact Holdings Pty LtdやOzCar Pty Ltdなどが行っています。
**その他**
報告セグメントに含まれない事業として、グループ経営管理業務などを行っています。
収益は、グループ会社からの経営指導料などが含まれます。運営は同社(持株会社)や中間持株会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は急激な拡大傾向にあり、特に直近2期で飛躍的に伸びています。これはM&Aによる事業拡大が主な要因です。利益面では、経常利益は変動が見られ、当期は減少しましたが、当期純利益は黒字に転換しています。全体として、積極的な投資により事業規模を拡大させている成長フェーズにあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 249億円 | 455億円 | 550億円 | 1,239億円 | 2,688億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 31億円 | 27億円 | 52億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | 5.1% | 6.7% | 4.9% | 4.2% | 0.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 3億円 | 2億円 | -0.4億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が倍増する一方で、売上総利益率および営業利益率は低下傾向にあります。事業規模の拡大に伴い売上原価や販管費が増加しており、特にM&Aに伴う費用の増加が利益率に影響を与えている構造が見て取れます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,239億円 | 2,688億円 |
| 売上総利益 | 204億円 | 436億円 |
| 売上総利益率(%) | 16.5% | 16.2% |
| 営業利益 | 69億円 | 70億円 |
| 営業利益率(%) | 5.6% | 2.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が144億円(構成比39%)、減価償却費が42億円(同12%)、のれん償却額が19億円(同5%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全セグメントで黒字を確保していますが、利益の構成は大きく変化しています。小売・卸売セグメントが売上の大半を占めるまでに急成長し、利益面でも最大の柱となっています。一方、輸出入や検査セグメントは減収減益となり、物流セグメントは売上が倍増し利益も堅調です。M&Aにより事業ポートフォリオが大きく変貌しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 輸出入 | 556億円 | 432億円 | 22億円 | 7億円 | 1.7% |
| 物流 | 148億円 | 299億円 | 18億円 | 19億円 | 6.3% |
| サービス | 32億円 | 40億円 | 6億円 | 1億円 | 3.6% |
| 検査 | 69億円 | 51億円 | 11億円 | 2億円 | 3.3% |
| 小売・卸売 | 530億円 | 1,923億円 | 15億円 | 47億円 | 2.4% |
| その他 | 30億円 | 27億円 | 11億円 | 4億円 | 14.6% |
| 調整額 | -126億円 | -84億円 | -15億円 | -9億円 | - |
| 連結(合計) | 1,239億円 | 2,688億円 | 69億円 | 70億円 | 2.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、運転資金を自己資金および金融機関からの借入で、投資資金を自己資金、借入、株式発行で調達する方針です。
営業活動では、売上債権の減少や減価償却費の増加等により資金が増加しました。一方、投資活動では、有形固定資産の取得や子会社株式の取得により資金が減少しました。財務活動では、短期借入金の減少があったものの、長期借入れや株式発行による収入等で資金が増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 23億円 | 78億円 |
| 投資CF | -64億円 | -161億円 |
| 財務CF | 109億円 | 53億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「正しく公平な経営により、最善の貢献を図る」を経営理念として掲げています。また、「楽しく安全な移動手段と、一人一人に最適なサービスを提供する事業を究める」「新しい価値や革新的なサービスを創り出し、未来に向かって事業を拓く」「すべてのステークホルダーと自然との共栄を図り、世界人としてグローバル社会の発展に貢献する」というグループビジョンに基づき、事業を展開しています。
■(2) 企業文化
同社は、8つの行動指針を定めています。「情熱」「挑戦」「不撓不屈」「プロフェッショナリズム」「ティームワーク」「感謝」「献身と調和」「社会への責任」です。仕事を楽しみ情熱を持って事業を究めることや、既成概念にとらわれず常に挑戦すること、信念を持って前進し続ける姿勢などが重視されています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、収益性および効率性の観点から、連結営業利益額および自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と位置づけています。また、収益性の観点から、連結子会社である株式会社日貿の中古自動車販売台数およびAutopact Holdings Pty Ltdの自動車販売台数を重要業績評価指標(KPI)として設定しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、既存事業の収益力強化と新規事業による成長を両輪としています。ニュージーランドでの既存事業のシェア維持・拡大を図りつつ、オーストラリアでは新車販売を中心とした新しいバリューチェーン「オーストラリアモデル」の構築を推進しています。また、効率化によるコスト削減や、グローバルな資金調達、サステナビリティへの取り組みも強化し、持続的な成長を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、「正しく公平な経営により、最善の貢献を図る」という理念と「ご縁」を大切にする精神を基盤に、人的資本経営を推進しています。多様性を尊重し、国籍や属性にとらわれず個々の能力を活かす風土を醸成しています。人材育成においては、現場での経験と学びを重視し、個人の成長と組織の成熟の両立を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 50.3歳 | 4.7年 | 9,599,075円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員に占める女性比率(24.3%)、管理職に占める女性比率(28.8%)、外国籍社員比率(91.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 地政学上の問題
ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢、各国の通商・外交政策などの地政学リスクにより、エネルギー価格や輸送コストの高騰、物流停滞が発生する可能性があります。また、新たな制裁や法規制の発動により、グローバルビジネスに多大な影響が及ぶリスクがあります。
■(2) 経済情勢と特定国への依存
同社グループの事業はニュージーランドとオーストラリアの2国に大きく依存しています。両国の景気後退や経済情勢の急激な変化は、グループ全体の業績に多大な影響を与える可能性があります。特に主力であるニュージーランドの中古車輸入市場の動向は重要なリスク要因です。
■(3) 外国為替及び市場金利の変動
海外売上高比率が高いため、為替変動が業績や財務内容に影響を与えます。また、事業資金の多くを変動金利での借入で調達しているため、市場金利の上昇は資金調達コストの増加や、自動車ローン事業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。



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