要興業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

要興業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

要興業は東京証券取引所スタンダード市場に上場し、東京23区を中心とした産業廃棄物および一般廃棄物の収集運搬・処分、リサイクル等を手掛ける総合廃棄物処理企業です。直近の業績は、収集運搬量の増加や行政受託事業の新規受託などにより、増収増益の堅調なトレンドを維持し、安定した成長を遂げています。


#記事タイトル:「要興業転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態」

※本記事は、株式会社要興業の有価証券報告書(第54期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 要興業ってどんな会社?


東京23区を基盤に、産業・一般廃棄物の収集運搬から処分、リサイクルまでを一貫して手掛ける総合廃棄物処理企業です。

(1) 会社概要


1972年に藤居商店として創業し、製紙原料の売買を開始しました。1973年に同社を設立し、1992年に東京都初の廃棄物再生事業者登録を受けました。2015年にヨドセイを連結子会社化して事業基盤を拡大し、2017年に東京証券取引所市場第二部への上場を果たしました。

同社グループは連結従業員数467名、単体従業員数390名の体制で事業を運営しています。筆頭株主は大栄環境で、業界動向等の情報収集や包括業務提携を目的に株式を保有する事業会社です。第2位は創業者の藤居秀三氏、第3位は機関投資家である日本生命保険となっています。

氏名 持株比率
大栄環境 27.81%
藤居秀三 15.75%
日本生命保険 5.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性0名の計13名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は木納孝氏が務めています。社外取締役比率は15.4%です。

氏名 役職 主な経歴
藤居秀三 代表取締役会長 1963年日本勧業角丸証券入社。不二機工等を経て1972年藤居商店創業。1973年同社設立に伴い代表取締役社長に就任し、2020年4月より現職。
木納孝 代表取締役社長 1982年富士銀行入行。オリエントコーポレーション等を経て2012年同社入社。代表取締役専務等を経て、2020年4月より現職。
松浦義忠 常務取締役 1971年東レ入社。複数社を経て1986年同社入社。取締役業務部長や行政管理部長等を歴任し、2023年6月より現職。
岡田卓也 常務取締役 1989年日本生命保険入社。同社各支社長を経て2017年同社へ業務出向。2020年同社へ入社し内部監査室長等を経て、2025年6月より現職。
村木宣彦 常務取締役総務部長 1986年富士銀行入行。同社飯能支店長等を経て2015年同社入社。総務部長、取締役総務部長等を経て、2024年6月より現職。
安藤雅弘 取締役システム管理部長 1981年ときわ相互銀行入行。1994年4月に同社へ入社し、2014年6月より現職。
木下哲司 取締役行政管理部長 1988年タケイ工業入社。複数社を経て2002年同社へ入社。行政管理部副部長等を経て、2023年6月より現職。
藤居邦彦 取締役経営企画室長 1995年宝フューチャーズ入社。ビルテックを経て2012年同社入社。経営企画室次長等を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、椿洋一郎(元三徳常務取締役)、熊木浩(東京クリアセンター代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「総合廃棄物処理事業」の単一セグメントのもと、3つの主要サービスを展開しています。

(1) 収集運搬・処分事業


東京23区内の事業所における事業活動に伴って発生する、産業廃棄物や事業系一般廃棄物の収集運搬および処分を提供しています。可燃ごみや段ボールといった一般廃棄物から、ビン、缶、粗大ごみなどの産業廃棄物に至るまで、事業所から日常的に排出されるほぼすべての品目に対応しています。多数の車両と配車ソフトの活用によって、有機的で効率的な運搬網を構築しています。

収益は、顧客となる事業者に対して廃棄物の収集運搬・処分のサービスを提供し、その対価として処理代金を受け取るモデルです。事業活動により発生するほぼすべての廃棄物の収集運搬許可を有しており、自社のリサイクルセンターを活用することで一貫した取り扱いを実現しています。事業の運営は同社およびヨドセイが行っています。

(2) リサイクル事業


自社のリサイクルセンターに運び込まれた古紙、ビン、缶、ペットボトル、粗大ごみといった廃棄物を対象に、選別、破砕、圧縮、梱包などの処理を行い、資源化するサービスを展開しています。また、段ボールや一部の機密書類については専用車両で回収し、製紙工場等へ直接納入する対応も行っています。

収益は、収集運搬・処分事業や行政受託事業によって発生した再資源化品や有価物等を、顧客となる資源物買取業者などに売却することで代金を受け取るモデルです。資源物を質・量ともに安定的に取り扱うことで、売却先に対する一定の価格交渉力を確保しており、高値での売却を可能としています。事業の運営は同社が行っています。

(3) 行政受託事業


行政機関からの依頼を受け、東京23区から発生する不燃ごみや容器包装ごみ、金属系粗大ごみをリサイクルセンターで選別および資源化処理しています。また、家庭から排出される一般廃棄物を行政との雇上契約に基づき、行政の処理施設や処分場まで運搬する業務も担っています。

収益は、行政機関から廃棄物の収集運搬や処分などの委託を受け、その対価として処理代金を受け取るモデルです。足立区や板橋区など多数の自治体における家庭系ごみや不燃ごみの処理で取引実績を積み上げており、強固な受託体制を築いています。事業の運営は同社およびヨドセイが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高および各段階利益ともに毎期着実な成長を遂げており、右肩上がりのトレンドを形成しています。特に利益率の向上が顕著であり、効率的な事業運営や徹底した法令遵守に基づく適正な価格維持が寄与し、堅固な収益体質が構築されていることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 119億円 130億円 135億円 145億円 149億円
経常利益 13億円 18億円 19億円 22億円 23億円
利益率(%) 10.9% 13.7% 13.8% 14.9% 15.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 13億円 13億円 15億円 16億円

(2) 損益計算書


堅調な売上成長を背景に、売上総利益および営業利益は高水準を維持しています。燃料費の高騰や賃上げに伴う人件費の増加といったコストアップ要因があったものの、徹底した原価低減などの継続的な取り組みが奏功し、安定した営業利益率を確保しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 145億円 149億円
売上総利益 34億円 35億円
売上総利益率(%) 23.2% 23.1%
営業利益 21億円 21億円
営業利益率(%) 14.5% 14.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当・賞与が4億円(構成比31%)、役員報酬が2億円(同15%)を占めています。また、売上原価においては労務費が38億円(構成比41%)、処理費が32億円(同34%)、経費が20億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である収集運搬・処分事業は収集量の増加等により増収を達成し、全体の成長を力強く牽引しました。また、行政受託事業も新たな自治体からの受託案件が寄与し、着実な増収となっています。一方で、リサイクル事業は資源価格の下落影響を受けたため、前年比で減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
収集運搬・処分事業 99億円 102億円
リサイクル事業 14億円 13億円
行政受託事業 32億円 34億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CF・投資CF・財務CFの推移から、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」と判定できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 21億円 21億円
投資CF -12億円 -6億円
財務CF -11億円 -3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は80.9%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「環境保全と循環型社会に貢献する企業であること」を企業理念として掲げています。快適な都市生活と資源の循環を推進するための適正な廃棄物処理と資源リサイクルを事業の核とし、関係する行政や企業、地域社会との共生を図りながら永続的な発展を目指すことを基本方針としています。

(2) 企業文化


創業以来、遵法精神を常に持って業務に臨むことを企業文化の根底に置いています。社員を大切にすることを経営方針の一つとし、徹底した法令遵守による安心の提供や、従業員の健康および安全管理を推進しています。また、すべてのステークホルダーとの対話を通して相互の信頼構築を図り、共存共栄を目指す価値観を重視しています。

(3) 経営計画・目標


経営上の目標を達成するための最重要指標として、「売上高」の持続的な増収を掲げています。これに加え、収益性向上のための「営業利益率」、生産性向上のための「人件費率」、および安全性向上のための「純資産比率」「負債比率」を重要な客観的指標として設定し、バランスの取れた企業価値の継続的拡大を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


廃棄物リサイクル分野での高度な再資源化要請に応えるため、リサイクルセンターの改廃や選別技術の向上を通じたリサイクル率の向上を成長戦略に据えています。また、BCP(事業継続計画)の強化、コンプライアンス体制の充実、大規模な設備投資を通じた効率化の推進、および深刻化するドライバー不足に対応するための経営基盤の拡充を重点施策として推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


典型的な労働集約型ビジネスモデルである同社において、人材の確保と育成は極めて重要な経営課題として位置づけられています。社員教育や各種資格取得支援制度の積極活用、柔軟な労働条件の設定を通じた生産性向上に取り組むとともに、主要ポストの代替人員の育成など、事業の安定成長に資する組織構築を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 47.4歳 12.1年 6,545,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.4%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 68.7%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 65.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 87.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、係長級の役職者に占める女性の割合(33.3%)、法定健康診断2次診断受診率(100%)、インフルエンザ予防接種接種率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 廃棄物処理法等の法的規制リスク

同社の主要業務である産業廃棄物および一般廃棄物の収集運搬・処分業には、都道府県等による許可の取得・更新が不可欠です。万が一、法令違反などにより許可基準に適合しなくなった場合、事業の停止命令や許可の取消しといった行政処分を受ける可能性があり、事業活動の継続や業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 事業所用地の賃貸借契約に関するリスク

同社グループは、本社やリサイクルセンターなどの事業所用地の一部を賃借して事業を運営しています。貸主の事情による賃借料の値上げや、期間満了後に契約が更新されなかった場合、代替用地の確保には長期の許認可手続きが必要となるため、円滑な事業継続が困難となり、経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) リサイクル資源の市場価格変動リスク

リサイクル事業において販売している古紙や鉄、非鉄金属、プラスチック樹脂などの資源価格は、国内外の需給バランスや投機的な動向の影響を強く受けます。資源の市場価格が不安定に推移し、大幅に下落した場合には、同事業の売上が減少するなど、同社グループの財政状態や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 優秀なドライバー等人材の確保に関するリスク

労働集約型の事業を展開する同社にとって、ドライバーを中心とした有能な人材の確保と継続的な育成は事業運営に不可欠です。国内で深刻化する人材不足の中で、十分な採用活動や定着率の向上が図れず、必要な労働力が流出した場合には、サービスの品質低下や業務の縮小を招き、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。