要興業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

要興業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、東京23区を中心とする廃棄物の収集運搬・処分、リサイクル事業を主力としています。直近の業績は、経済活動の回復に伴う廃棄物取扱量の増加や資源価格の上昇等により、売上高・各利益ともに前期を上回り、増収増益で推移しています。


※本記事は、株式会社要興業 の有価証券報告書(第53期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 要興業ってどんな会社?


東京23区を地盤に、事業系廃棄物の収集運搬から中間処理、リサイクルまでを一貫して手掛ける企業です。

(1) 会社概要


1973年に株式会社要興業として設立され、1992年には東京都で第1号となる廃棄物再生事業者登録を受けました。2017年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いスタンダード市場へ移行しています。創業以来、廃棄物処理と資源リサイクルを中核事業として展開し、近年ではリサイクルセンターの拡張や行政受託事業の拡大を進めています。

同社グループの従業員数は連結で454名、単体で380名です。大株主構成を見ると、筆頭株主は投資ファンドのTHE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LTD.、第2位は創業者であり代表取締役会長の藤居秀三氏、第3位は生命保険会社の日本生命保険相互会社となっており、ファンド、創業者、金融機関が名を連ねています。

氏名 持株比率
THE SFP VALUE REALIZATION MASTER FUND LTD. (常任代理人 立花証券株式会社) 17.71%
藤居秀三 15.75%
日本生命保険相互会社 5.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性0名の計13名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は木納孝氏が務めています。取締役10名のうち社外取締役は2名であり、社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
藤居 秀三 代表取締役会長 1963年日本勧業角丸証券入社。1972年藤居商店創業。1973年同社設立に伴い代表取締役社長就任。2020年4月より現職。
木納  孝 代表取締役社長 1982年富士銀行入行。みずほ銀行横浜中央支店長等を経て2012年同社入社。専務等を経て2020年4月より現職。
松浦 義忠 常務取締役 1971年東レ入社。1986年同社入社。業務部長、行政管理部長等を歴任し、2023年6月より現職。
岡田 卓也 常務取締役経営企画室長 1989年日本生命保険入社。同社倉敷支社支社長等を経て2017年同社入社。内部監査室長を経て2020年6月より現職。
村木 宣彦 常務取締役総務部長 1986年富士銀行入行。みずほ銀行飯能支店長を経て2015年同社入社。総務部長を務め2024年6月より現職。
坂原 謙二 取締役営業部長 1981年キリンレモンサービス入社。1983年同社入社。2002年営業部長となり、2006年6月より現職。
安藤 雅弘 取締役システム管理部長 1981年ときわ相互銀行入行。1994年同社入社。2014年6月より現職。
木下 哲司 取締役行政管理部長 1988年タケイ工業入社。2002年同社入社。行政管理部副部長を経て2023年6月より現職。


社外取締役は、椿洋一郎(元三徳専務取締役)、熊木浩(東京クリアセンター代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「総合廃棄物処理事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 収集運搬・処分事業


東京23区内の事業所から排出される産業廃棄物(ビン、缶、ペットボトル、粗大ごみ等)および事業系一般廃棄物(可燃ごみ、段ボール等)の収集運搬・処分を行っています。全車両にGPS等を搭載し、自社開発の配車ソフトを活用して効率的な運搬を実現しています。

収益は、排出事業者から受け取る処理代金等から構成されています。運営は主に株式会社要興業および連結子会社の株式会社ヨドセイが行っており、東京23区内の8,100か所以上の排出現場と契約を結び、自社リサイクルセンターや行政の清掃工場等へ廃棄物を運搬しています。

(2) リサイクル事業


自社リサイクルセンターに搬入された古紙、ビン、缶、ペットボトル、粗大ごみ等の廃棄物を選別、破砕、圧縮、梱包等の処理を行い、資源化しています。また、段ボールや機密書類については専用車両で回収し、製紙工場等へ直納しています。

収益は、再資源化品や有価物等を資源物買取業者等へ売却することで得られる代金から構成されています。運営は株式会社要興業が行っており、安定的な取扱量を背景に売却先に対する価格交渉力を確保し、高値での売却を可能にしています。

(3) 行政受託事業


東京23区の依頼により、不燃ごみや容器包装ごみ(ビン、缶、ペットボトル、プラスチック)、金属系粗大ごみをリサイクルセンターで資源化処理しています。また、家庭から排出される一般廃棄物を行政の処理施設へ運搬する業務も行っています。

収益は、行政機関から委託を受けて行う収集運搬・処分業務に対する処理代金から構成されています。運営は、資源化処理を株式会社要興業が、家庭系一般廃棄物の運搬(雇上契約)を株式会社ヨドセイがそれぞれ担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実に増加傾向にあり、直近の2025年3月期には145億円に達しています。利益面でも増益基調が続いており、経常利益率は10%台後半の高い水準を維持しています。特に直近では、経済活動の正常化や資源価格の影響等により、売上・利益ともに過去最高水準となっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 110億円 119億円 130億円 135億円 145億円
経常利益 9.4億円 13億円 18億円 19億円 22億円
利益率(%) 8.5% 10.9% 13.7% 13.8% 14.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 5.5億円 8.3億円 12億円 12億円 14億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も増加しており、売上総利益率は23%台で推移しています。営業利益率も前期の13.1%から当期は14.5%へと上昇しており、収益性が向上しています。コストコントロールと増収効果により、高い利益率を確保していることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 135億円 145億円
売上総利益 30億円 34億円
売上総利益率(%) 22.0% 23.2%
営業利益 18億円 21億円
営業利益率(%) 13.1% 14.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当・賞与が3.9億円(構成比31.2%)、役員報酬が2.0億円(同16.0%)を占めています。

(3) セグメント収益


全ての事業区分において売上が増加しました。主力の収集運搬・処分事業は需要回復と価格転嫁により堅調に推移し、リサイクル事業は資源価格の上昇が増収に寄与しました。行政受託事業も家庭系プラスチックごみの受託開始等により2桁増収となり、全般的に好調な事業環境でした。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
収集運搬・処分事業 93億円 99億円
リサイクル事業 13億円 14億円
行政受託事業 29億円 32億円
連結(合計) 135億円 145億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだキャッシュ(営業CFのプラス)を使って借入金の返済(財務CFのマイナス)を行いつつ、投資(投資CFのマイナス)も自己資金の範囲内で実施している「健全型」の企業です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 18億円 21億円
投資CF -6.2億円 -12億円
財務CF -8.3億円 -11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.1%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「環境保全と循環型社会に貢献する企業であること」を企業理念として掲げています。適正な廃棄物処理と資源リサイクルを通じて快適な都市生活と資源循環を推進し、顧客からの信頼獲得や行政・企業・地域との共生を図ることで、永続的な発展を目指しています。

(2) 企業文化


創業以来、「環境保全と循環型社会に貢献する企業であること」を中心に据え、循環型社会の構築と環境保全を追求すると同時に、常に「遵法精神」を持って業務に臨む姿勢を重視しています。また、株主と社員を大切にすることを経営方針の一つとしており、法令遵守の徹底により社会的な信頼を得る努力を続けています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、成長性の観点から「売上高」の増収を最重要視しています。また、収益性向上のための「営業利益率」、生産性向上のための「人件費率」、安全性向上のための「純資産比率」および「負債比率」を重要な指標と位置づけ、バランスの取れた企業価値の継続的な拡大を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


「官から民へ」の流れや環境規制強化を背景に、コンプライアンス体制の充実とリサイクル技術の向上を軸とした業容拡大を図ります。具体的には、収集運搬における徹底した法令遵守による差別化、リサイクルセンターの拡張や新たな資源化ルートの開拓、行政受託事業における独自選別技術の提案などにより、各事業でのシェア拡大を目指します。

* 事業系一般廃棄物の東京23区における持込ごみ量に占めるシェア:約10.0%(2023年度)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


労働集約型のビジネスモデルであるため、人材の確保と育成を重要な経営課題と位置付けています。新卒・中途採用の継続や資格取得支援、社宅制度の強化等により労働力を確保しつつ、教育研修やコミュニケーションの活性化を通じて生産性向上を図っています。特にドライバーに対しては、独自の基準やKPIを用いた管理・指導を行い、安全運転とコンプライアンス遵守を徹底しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 47.2歳 12.1年 6,498,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.4%
男女賃金差異(正規雇用) 63.1%
男女賃金差異(非正規) 97.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、係長級の役職者に占める女性の割合(35%)、管理職に占める女性の割合(1名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制リスク


廃棄物処理法に基づく許可の取得・更新が事業継続の前提であり、基準不適合により許可が取り消された場合、事業活動が停止する可能性があります。また、不法投棄等の違反行為があった場合、事業停止命令や許可取消しの行政処分を受けるリスクがあります。

(2) 事業所用地の確保


事業所用地の一部を賃借しており、貸主の事情等により契約更新がなされない場合、代替地の確保が困難となり事業継続に影響を及ぼす可能性があります。新たな用地確保には許認可や事前協議が必要で長期の期間を要するため、移転が必要となった場合のリスクがあります。

(3) 人材の確保育成


労働集約的な事業であるため、有能な人材の確保と育成が不可欠です。ドライバー不足等の厳しい環境下で十分な人材を確保できない場合や、育成が追いつかない場合には、事業運営や経営成績に悪影響が生じる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。