※本記事は、株式会社フェイスネットワーク の有価証券報告書(第24期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フェイスネットワークってどんな会社?
城南3区(世田谷・目黒・渋谷)エリアに特化し、投資用新築一棟マンションの開発から販売、管理までをワンストップで提供する企業です。
■(1) 会社概要
2001年に不動産投資コンサルティング事業を目的として設立され、2003年に自社ブランド「GranDuo」シリーズの販売を開始しました。2007年に開発業務を本格化させ、2018年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たしました。その後、2021年の市場第一部への変更を経て、現在はスタンダード市場に上場しています。
同グループの従業員数は連結238名、単体186名です。筆頭株主は創業社長である蜂谷二郎氏の資産管理会社である88で、第2位は蜂谷二郎氏本人、第3位は個人株主となっています。経営トップとその資産管理会社で株式の過半数近くを保有しており、オーナー経営の色合いが強い資本構成です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 88 | 40.50% |
| 蜂谷 二郎 | 3.06% |
| 小泉 和弘 | 2.02% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は蜂谷 二郎氏です。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 蜂谷 二郎 | 代表取締役社長不動産部門、不動産特定共同事業管掌 | 1988年世田谷信用金庫入社。2001年同社設立・代表取締役社長。FAITHアセットマネジメント取締役、岩本組代表取締役会長等を兼任し、現在に至る。 |
| 山元 孝行 | 常務取締役工事部門、設計部門、広報企画、FAITHアセットマネジメント㈱管掌 | 大木建設、一級建築士事務所等を経て2010年同社入社。取締役、常務執行役員を経て2022年常務取締役。岩本組取締役を兼任し、現在に至る。 |
| 石丸 洋介 | 取締役管理部門(経理、財務、総務人事、法務)管掌 | 税理士法人等を経て2014年同社出向。2018年同社入社・執行役員。2019年取締役、2023年上席執行役員。岩本組取締役を兼任し、現在に至る。 |
| 草原 裕之 | 取締役(常勤監査等委員) | 日本住宅金融入社、T&Tアド監査役等を経て、2015年同社入社。2016年監査役、2021年取締役(監査等委員)。岩本組監査役を兼任し、現在に至る。 |
社外取締役は、香月 裕爾(弁護士・小沢・秋山法律事務所代表社員弁護士)、石橋 幸生(公認会計士・税理士・I&Iパートナーズ代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産投資支援事業」および「不動産マネジメント事業」事業を展開しています。
■(1) 不動産投資支援事業
城南3区(世田谷・目黒・渋谷)を中心に、投資用の新築一棟RCマンション「GranDuo」シリーズ等の企画・開発・販売を行っています。また、高級賃貸レジデンス「THE GRANDUO」や、不動産小口化商品「Grand Funding」も展開しています。
主な収益源は、開発した物件を不動産オーナー(富裕層等の個人投資家や法人)へ販売することによる売上です。運営は主にフェイスネットワークが行っており、連結子会社の岩本組が建築工事の請負等を行っています。土地仕入から設計、施工、販売までを自社グループで行うワンストップサービスが特徴です。
■(2) 不動産マネジメント事業
同社が販売した物件や自社所有物件のプロパティ・マネジメント(管理運営)を行う事業です。入居者募集、契約管理、賃料回収、メンテナンスなどのサービスを提供し、入居者募集は「3区miraie」ブランドで行っています。
収益源は、不動産オーナーからの管理手数料や、サブリース契約に基づく賃料収入等です。運営はフェイスネットワークが行っており、オーナー所有不動産については管理運営者として、自社所有不動産については不動産経営者として、資産価値向上とキャッシュ・フロー最大化を図っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近2期間の業績を見ると、売上高は前期の223億円から当期は299億円へと大幅に増加しています。利益面でも、経常利益が18億円から41億円へ、当期純利益も11億円から28億円へと倍増以上の成長を遂げており、売上高・各利益ともに過去最高を更新する好調な推移を示しています。利益率も大きく改善しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 223億円 | 299億円 |
| 経常利益 | 18億円 | 41億円 |
| 利益率(%) | 8.0% | 13.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 28億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も増加し、利益率も改善しています。販管費も増加していますが、増収効果が上回り、営業利益率は大幅に上昇しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 223億円 | 299億円 |
| 売上総利益 | 43億円 | 73億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.5% | 24.3% |
| 営業利益 | 21億円 | 45億円 |
| 営業利益率(%) | 9.4% | 15.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が6.3億円(構成比23%)、仲介手数料が5.4億円(同19%)を占めています。
■(3) セグメント収益
不動産投資支援事業は、金融機関との連携強化等により販売が好調で、売上高・利益ともに大幅に伸長しました。不動産マネジメント事業も管理戸数の増加により堅調に推移し、増収増益となっています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 不動産投資支援事業 | 215億円 | 290億円 | 20億円 | 43億円 | 15.0% |
| 不動産マネジメント事業 | 8億円 | 9億円 | 1億円 | 2億円 | 19.7% |
| 連結(合計) | 223億円 | 299億円 | 21億円 | 45億円 | 15.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のCFパターンは「改善型」です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -40億円 | 44億円 |
| 投資CF | -6億円 | -5億円 |
| 財務CF | 55億円 | -4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は32.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.5%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「我々は一人一人の夢の実現をサポートするワンストップパートナーであり続けます」という経営理念を掲げています。One to One マーケティングによるきめ細かい不動産オーナーへのサービス提供を目指しています。
■(2) 企業文化
行動指針として「知覚動考(ともかくうごこう)」を定めています。「知って、覚えて、動いてから、考える」を成功の方程式とし、行動を起こさずに意思決定の場を去ってはならないという考えのもと、スピーディーな事業推進を重視する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
具体的な数値目標として言及されている記載はありませんが、目指す姿として、投資用新築一棟RCマンション「GranDuo」シリーズ等の安定供給体制の強化や、品質維持・向上、ブランド力の強化などを掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
ビジネスモデルの基盤となるワンストップサービスにおけるDXを推進し、用地仕入や顧客管理システムを統合することで物件開発スピードを向上させます。また、城南3区を中心としたブランド力の強化や、安全協力会を通じた施工体制の強化、人材育成に注力します。さらに、中長期的な視点で新規事業を開拓・育成し、事業拡大を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
専門的な知識・経験を有する人材や有資格者の継続的な確保・育成を重視しています。教育研修の充実により専門能力の向上を図るとともに、人事制度を通じて目標を明示し適切な成長を促します。また、在宅勤務や時差出勤などの柔軟な働き方を認め、ピアボーナスシステム導入等で風通しの良い組織風土を構築し、定着率と業務効率の向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.5歳 | 5.1年 | 6,291,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 8.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.6% |
| 男女賃金差異(非正規) | 19.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況等の影響
不動産業界は景気、金利、地価、建設価格、税制等の影響を受けやすく、賃貸相場の下落や入居率悪化による賃貸収入減少、金融機関の融資動向の変化により、同社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 有利子負債への依存と資金調達
不動産の購入資金を主に金融機関からの借入で調達しており、有利子負債依存度は53.4%です。金利上昇や調達困難な状況、不動産市況低迷による物件売却遅延が発生した場合、リファイナンスができなくなり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 資金調達の財務制限条項に係るリスク
一部の借入契約には財務制限条項が付されています。現時点で抵触する可能性は低いと認識していますが、抵触した場合には期限の利益を喪失し、一括返済を求められるなど、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 近隣住民とのトラブルリスク
新築一棟マンション建設にあたり、法令等を遵守し事前説明会を行っていますが、建設中の騒音や日照問題等でトラブルが発生する可能性があります。工事遅延や計画の中止・変更が生じた場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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