※本記事は、株式会社フェイスネットワーク の有価証券報告書(第25期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フェイスネットワークってどんな会社?
城南3区を中心に新築一棟マンションの開発から販売、管理までワンストップで展開する企業です。
■(1) 会社概要
2001年10月に不動産投資コンサルティング事業を目的として設立されました。2003年12月に新築一棟マンション「GranDuo」シリーズの販売を開始し、事業を拡大しました。2018年3月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たし、2023年7月には建築工事の設計・施工を行う岩本組を完全子会社化しています。
従業員数は連結239名、単体201名です。筆頭株主は創業者(代表取締役社長)の資産管理会社である88で、第2位は創業者の蜂谷二郎氏、第3位は個人の小泉和弘氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 88 | 40.48% |
| 蜂谷 二郎 | 3.07% |
| 小泉 和弘 | 2.02% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は蜂谷二郎氏が務めています。社外取締役は2名となっており、社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 蜂谷 二郎 | 代表取締役社長 | 世田谷信用金庫入社、同社設立 代表取締役社長就任。FAITHアセットマネジメント取締役、Hash DasH Holdings取締役、岩本組代表取締役会長等を経て、Madre代表取締役会長に就任。 |
| 山元 孝行 | 常務取締役工事部門、設計部門、広報企画管掌 | 大木建設入社、ダブリューホールディング入社等を経て同社入社。常務執行役員を経て同社常務取締役、岩本組取締役に就任。 |
| 石丸 洋介 | 取締役管理部門(経理、財務、総務人事、法務)管掌 | 税理士法人よしとみパートナーズ会計事務所入社等を経て同社入社。経営管理本部副本部長、執行役員を経て同社取締役、上席執行役員、岩本組取締役に就任。 |
| 奥 啓二 | 取締役不動産部門管掌 | 池田靖史建築計画事務所入社、アドキャスト入社等を経て同社入社。事業企画開発本部長、執行役員、上席執行役員を経て同社取締役に就任。 |
社外取締役は、香月裕爾(弁護士)、石橋幸生(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「不動産投資支援事業」および「不動産マネジメント事業」の2つの報告セグメントを展開しています。
■(1) 不動産投資支援事業
主に城南3区を主要なプロジェクトエリアとし、不動産投資用の新築一棟RCマンション「GranDuo」シリーズや高級賃貸レジデンス「THE GRANDUO」を開発し、販売しています。土地仕入から企画、設計、施工、賃貸募集、販売、物件管理までを自社で一貫して行うワンストップサービスが特徴です。
収益源は、開発した不動産商品や建築予定地の先行販売等に係る対価です。運営は主にフェイスネットワークが主体となり、連結子会社の岩本組が建築工事の請負等を行っています。
■(2) 不動産マネジメント事業
同社が販売した物件の不動産オーナーが所有する不動産および同社が所有する不動産の管理運営(プロパティ・マネジメント)を行っています。入居者募集から入退去更新手続き、クレーム対応、メンテナンス、送金やレポート作成等を実施しています。
収益源は、不動産オーナーからの管理手数料や賃料等です。運営はフェイスネットワークが行っており、自社開発物件のみを専門に扱うことで物件の収益性を高める取り組みを行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高、経常利益ともに直近3期間で大きく増加しています。ワンストップサービスの強みを活かし、大型物件の開発や商品力の強化に取り組んだ結果、利益率も大幅に向上し、高い収益性を確保する傾向が続いています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 223億円 | 299億円 | 329億円 |
| 経常利益 | 18億円 | 41億円 | 52億円 |
| 利益率(%) | 8.0% | 13.7% | 15.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 11億円 | 28億円 | 37億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の成長に伴い、売上総利益および営業利益も順調に増加しています。利益率も改善傾向にあり、事業の付加価値向上や効率的な業務運営が利益成長を後押ししている状況が伺えます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 299億円 | 329億円 |
| 売上総利益 | 73億円 | 89億円 |
| 売上総利益率(%) | 24.3% | 26.9% |
| 営業利益 | 45億円 | 56億円 |
| 営業利益率(%) | 15.1% | 17.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が6億円(構成比20.0%)、仲介手数料が6億円(同17.5%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である不動産投資支援事業が売上・利益ともに大きく牽引しています。金融機関との連携強化や物件価値向上策が実を結びました。不動産マネジメント事業も、管理戸数が減少したものの効率的な業務運用により増益を果たしています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 不動産投資支援事業 | 290億円 | 320億円 | 43億円 | 54億円 | 17.0% |
| 不動産マネジメント事業 | 9億円 | 9億円 | 2億円 | 2億円 | 21.6% |
| 連結(合計) | 299億円 | 329億円 | 45億円 | 56億円 | 17.1% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。勝負型:本業は赤字だが、将来成長のため借入で投資を継続する状況を表しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 44億円 | -7億円 |
| 投資CF | -5億円 | -0.6億円 |
| 財務CF | -4億円 | 11億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は32.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「我々は一人一人の夢の実現をサポートするワンストップパートナーであり続けます」という経営理念を掲げています。また、パーパスとして「不動産を通じて、未来の可能性を広げる知覚動考」を定め、入居者視点にこだわるモノづくりの会社として、不動産オーナーへ質の高いサービスを提供することを目指しています。
■(2) 企業文化
ミッションに「東京に「真の不動産価値」を届ける」を掲げ、ビジョンとして新たな不動産のあり方を創造するプロフェッショナル集団となることを目指しています。バリューとして、デザイン性と機能性を両立させた質の高い不動産の提供や、変化を楽しみ主体的に行動すること、すべてのステークホルダーに誠実に向き合うことを大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
同社の有価証券報告書には、具体的な数値目標を用いた中長期的な経営計画に関する記載はありませんが、継続的な成長と社会的信用の構築に向け、財務基盤の維持・充実やコンプライアンス経営の強化を重要課題として位置づけています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、DXの推進による優良な自社企画開発物件の安定供給体制の強化に取り組んでいます。用地仕入、顧客管理、業務管理等のシステムを統合し、関係者間の密な連携を図ることで物件開発のスピードを向上させています。また、自社ブランドの知名度向上を図るとともに、ワンストップサービス体制の強化と優秀な人材の確保・育成を進めています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、持続的な成長と活躍を通じて企業価値向上につなげることを基本としています。専門性の高度化を促す教育や資格取得の支援に加え、本社の拠点集約によるコミュニケーションの円滑化など、心身の健康維持と働きやすい環境整備を通じた健康経営を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 40.0歳 | 5.8年 | 7,138,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 23.1% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.0% |
| 男女賃金差異(正規労働者) | 67.7% |
| 男女賃金差異(非正規労働者) | 16.2% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の育児休業取得率(100%)、情報セキュリティ研修受講率(95.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況等の影響について
景気動向、金利動向、地価動向、建設資材の高騰などの影響を受けやすい事業モデルです。賃貸相場の下落や入居率の悪化、金融機関の融資動向の変化が生じた場合、投資用不動産の購入需要が後退し、同社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 有利子負債への依存と資金調達について
不動産購入資金を主に金融機関からの借入により調達しており、有利子負債への依存度が高い状況です。金融情勢の変動により金利が上昇したり資金調達が困難になった場合、あるいは販売低迷により借入金の返済期限内に物件が売却できずリファイナンスができない場合、経営に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 資金調達の財務制限条項に係るリスクについて
同社の一部の借入契約には、経常損益の計上状況や純資産の維持に関する財務制限条項が付されています。現時点では抵触する可能性は低いと認識していますが、万が一抵触した場合には期限の利益を喪失し、借入金の一括返済を求められるなど、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 賃貸管理物件の空室時のリスクについて
同社が販売した新築一棟マンションの一部について、不動産オーナーとのサブリース契約により空室時に家賃保証をしています。空室率の低下策を実施しているものの、施策の効果が得られずに空室が多くなった場合には空室保証費用が増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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