※本記事は、株式会社共和コーポレーション の有価証券報告書(第39期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 共和コーポレーションってどんな会社?
長野県を地盤に全国でアミューズメント施設を展開し、機器販売やカードショップ運営も手掛ける企業です。
■(1) 会社概要
1982年に創業し、1986年に法人として設立されました。長野県長野市にバッティングセンターやゲームセンターを開店して事業基盤を築き、2015年に株式会社YAZアミューズメントを完全子会社化するなど規模を拡大しました。2018年に東京証券取引所市場第二部へ上場を果たし、2024年にはトレーディングカード事業に新規参入しています。
2025年3月31日現在、連結従業員数は223名、単体従業員数は205名です。筆頭株主は株式会社ユーミーコーポレーションで、第2位は役員の宮本早苗氏、第3位は代表取締役社長の宮本和彦氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ユーミーコーポレーション | 43.03% |
| 宮本 早苗 | 11.13% |
| 宮本 和彦 | 5.80% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は宮本和彦氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮本 和彦 | 代表取締役社長 | 1976年紀文大彰入社。1982年共和レジャーシステム創業。1988年より現職。2025年6月より営業本部長、広告営業部・監査室担当、東京支店管掌を兼務。 |
| 宮本 早苗 | 専務取締役 | 1976年ファースト・カー・センター入社。1982年共和レジャーシステム創業。1986年同社代表取締役社長を経て、2017年専務取締役に就任。2025年4月より現職。 |
| 櫻井 孝紀 | 取締役人事総務部長 | 1996年アメニティーズ入社。2003年社会保険労務士登録。2006年同社入社。2021年執行役員人事総務部長を経て、2023年より現職。 |
| 長尾 忠 | 取締役開発本部長兼店舗開発部長 | 1998年上新電機入社。カプコン等を経て2017年同社入社。2019年上席執行役員営業本部長兼店舗開発部長を経て、2024年取締役就任。2025年4月より現職。 |
社外取締役は、芹澤清(元中外製薬監査部長)、岡本俊也(岡本会計事務所代表・公認会計士)、中嶌実香(中嶌知文・実香法律事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「アミューズメント施設運営」「アミューズメント機器販売」および「その他」事業を展開しています。
■(1) アミューズメント施設運営事業
長野県を中心に北海道から四国まで、ロードサイドやショッピングセンター、駅前などにアミューズメント施設を展開しています。各メーカーの人気機種を取り揃えたゲームセンターのほか、バッティングセンターやボウリング場の運営も行い、三世代で楽しめる空間を提供しています。
収益は、顧客がゲームや施設を利用する際に支払うプレイ料金等から得ています。また、ショッピングセンター等に機器を設置・管理委託する業務も行っています。運営は主に共和コーポレーションが行っています。
■(2) アミューズメント機器販売事業
全国のアミューズメント施設運営事業者(オペレーター)や卸売業者(ディストリビューター)に対し、業務用ゲーム機や景品、部品などを販売しています。メーカー直送による少量多品種対応や、店舗運営ノウハウを活かしたコンサルティングセールスも行っています。
収益は、機器や景品等の販売代金として顧客から受け取ります。運営は主に共和コーポレーションが行っています。
■(3) その他事業
広告代理店業、不動産賃貸業、トレーディングカード専門店運営、および子会社による商品の企画販売を行っています。「スクイーズ」を中心とした玩具・雑貨の企画開発や、各種媒体を利用した広告制作、カードの販売・買取などを手掛けています。
収益は、広告制作料、不動産賃貸料、商品の販売代金などから得ています。運営は共和コーポレーションおよび株式会社ブルームが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2022年3月期から2025年3月期にかけて、売上高は104億円から167億円へと右肩上がりで成長しています。経常利益も3億円弱から13億円へと大幅に増加し、利益率も改善傾向にあります。積極的な店舗展開と既存店の好調が業績拡大を牽引していることが読み取れます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 104億円 | 124億円 | 146億円 | 167億円 |
| 経常利益 | 2.8億円 | 7.1億円 | 11.1億円 | 12.9億円 |
| 利益率(%) | 2.7% | 5.7% | 7.6% | 7.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.3億円 | 4.3億円 | 6.5億円 | 9.2億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間において売上高は146億円から167億円へ増加し、売上総利益率も52.7%から53.1%へとわずかながら改善しました。営業利益率は7.4%から7.8%へ上昇しており、増収効果により収益性が高まっていることが確認できます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 146億円 | 167億円 |
| 売上総利益 | 77億円 | 89億円 |
| 売上総利益率(%) | 52.7% | 53.1% |
| 営業利益 | 11億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 7.4% | 7.8% |
販売費及び一般管理費のうち、地代家賃が27億円(構成比35%)、給料及び手当が20億円(同26%)を占めています。
■(3) セグメント収益
アミューズメント施設運営事業は景品ゲームの好調と新規出店により増収増益となり、全社の利益成長を牽引しました。一方、アミューズメント機器販売事業は機器販売台数の減少により減収減益となりました。その他事業はトレーディングカード専門店の出店等により増収となったものの、減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| アミューズメント施設運営 | 132億円 | 153億円 | 13億円 | 17億円 | 10.8% |
| アミューズメント機器販売 | 5.3億円 | 4.2億円 | 2.5億円 | 2.0億円 | 48.5% |
| その他 | 8.3億円 | 10億円 | 1.7億円 | 1.2億円 | 11.7% |
| 調整額 | -0.1億円 | -0.1億円 | -6.5億円 | -6.8億円 | - |
| 連結(合計) | 146億円 | 167億円 | 11億円 | 13億円 | 7.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は31.6%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 25億円 | 25億円 |
| 投資CF | -24億円 | -27億円 |
| 財務CF | 3.5億円 | -3.1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「三つの楽しみ(顧客満足の楽しみ、一生懸命の楽しみ、実践と行動の楽しみ)」を経営理念として掲げています。この理念のもと、アミューズメント施設の運営と機器販売を中心とした事業を展開し、顧客に楽しみを提供することを目指しています。
■(2) 企業文化
店舗運営においては「明るい(外壁がガラス仕様)、安心(健全で衛生的)、三世代(三世代でご来店いただける店舗作り)」をモットーとしています。また、顧客への積極的な声がけや対話を重視し、接客を通じて共感やコミュニケーションを大切にする文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、企業規模のさらなる拡大と収益基盤の強化を目指しています。成長と安定した経営を実現するために、継続的な出店数の増加を重要視しており、顧客ニーズに対応した店舗づくりやCS(顧客満足)の向上、コンプライアンスの徹底などに取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長に向け、効率的な店舗展開によるシェア拡大、積極的なM&Aの活用、人材育成の強化、および内部管理体制の充実に注力しています。また、ブランディング向上によりファミリー層や女性、高齢者などの潜在顧客を開拓し、利用者層の拡大を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
店舗運営力の向上のため、新卒・中途採用による有能な人材の確保と育成に注力しています。特に、高品質な接客サービスの実践に向けて教育を徹底するとともに、次期経営幹部の育成や、正規・非正規を問わない従業員の安定的確保、多様性の尊重に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.3歳 | 8.9年 | 4,946,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.1% |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.5% |
| 男女賃金差異(正規) | 79.5% |
| 男女賃金差異(非正規) | 90.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全労働者に占める女性の割合(43.1%)、正規社員に占める女性の割合(20.9%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済情勢の変化
店舗が日本国内に所在しているため、国内の景気変動や経済政策の影響を受ける可能性があります。特に、雇用水準の変化による消費者の可処分所得の減少や、レジャーへの支出減少が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 事業展開と店舗運営
アミューズメント機器の導入遅れや顧客の嗜好の変化により、計画通りの集客が得られない可能性があります。また、新規出店において適切な物件が確保できない場合や、出店後の運営が計画通りに進まない場合、業績に影響が出る可能性があります。
■(3) 少子化問題
中長期的な人口推移を考慮した出店や幅広い年代層への対応を進めていますが、国内の少子化が想定以上に進行した場合には、来店客数の減少などを通じて、事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。



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