【平均年収1000万円】アイ・ピー・エス 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収1000万円】アイ・ピー・エス 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

アイ・ピー・エスは、国際通信、国内通信、メディカル&ヘルスケアの3つの事業を展開しています。フィリピンを主要拠点に通信インフラ発展に貢献し、連結従業員数は766名です。直近期の業績は増収増益となりました。


目次

※本記事は、株式会社アイ・ピー・エス の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月12日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


アイ・ピー・エスは、国際通信、国内通信、メディカル&ヘルスケアの3つの事業を展開しています。特にフィリピンを主要拠点とし、国際通信回線の提供や法人向けインターネット接続サービスを通じて、同国における通信インフラの発展に貢献しています。

単体従業員数は31名、連結従業員数は766名です。事業セグメントは国際通信事業、国内通信事業、メディカル&ヘルスケア事業の3つです。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


アイ・ピー・エスは、国際通信事業とメディカル&ヘルスケア事業をグローバルに展開しています。多様な人材を活かし、公正な評価を通じて成長を促す環境が特徴です。社員一人ひとりのキャリア形成を支援しながら、事業の発展を目指しています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


アイ・ピー・エスでは、従業員の平均年齢が40代前半であり、比較的落ち着いた年齢構成となっています。平均勤続年数も一定の期間を示しており、社員が長期的にキャリアを築ける環境がうかがえます。多様な人材が活躍できるような取り組みも進められています。

項目 数値
平均年間給与 10,000,000円
平均勤続年数 6.2年
平均年齢 42.4歳
単体従業員数 31人
連結従業員数 766人
単体のグループ内比率 4.0%


同社は、給与や勤続年数に応じて給付額が決まる確定給付型の退職給付制度を採用していました。しかし、2023年3月31日をもって退職金制度を廃止しています。制度廃止時点の退職金要支給額は「退職給付に係る負債」として計上されています。

一部の連結子会社では、退職給付見込額を給付算定式基準によって計算しています。退職一時金制度は廃止されていますが、支給条件や金額の算定方法については有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

連結ベースの退職給付債務は61百万円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


アイ・ピー・エスグループは、フィリピンを中心にグローバルに事業を展開しており、人材戦略として「ダイバーシティ(多様性)」の確保を重視しています。多様な個性を持つ人材の交流がイノベーションを生み、組織のパフォーマンスを向上させると考えています。

具体的には、女性役員の就任や、女性、外国人、中途採用者の管理職への登用を積極的に行っています。また、同社グループと海外子会社の間で社員の派遣などの人事交流を通じて、多様な人材の育成を図っています。

従業員の給与や昇給については、「公正・公平な人事評価」に基づいて決定しています。人事評価制度は従業員に公開され、各部門の部門長が成果や能力だけでなく、プロセスや仕事への意欲、態度なども重視して評価します。評価の公平性を図るため、全ての部門長で構成する考課会議を開催し、部門間のバランスを考慮しながら評定を修正する仕組みを導入しています。公正・公平な人事評価制度は、多様な背景を持つ人材が定着・活躍し、組織の持続的な成長を実現するための重要な戦略と位置付けられています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社及び連結子会社は、女性活躍推進法及び育児介護休業法の規定による公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。

多様性・登用

指標 数値
女性の役員の比率 33.0%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


株式会社アイ・ピー・エスは、国際通信事業を主軸に、国内通信事業、そしてフィリピンでのメディカル&ヘルスケア事業を展開しています。同社グループは、通信インフラの提供を通じて社会課題の解決に貢献し、事業の拡大を図っています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、主にフィリピンを拠点とした国際通信事業で大きな収益を上げています。フィリピン国内の通信インフラ強化にも積極的に投資し、通信回線やサービスの提供エリアを広げています。また、日本国内ではコールセンター事業者向けのソリューションを提供し、フィリピンでは医療サービスも手掛けています。

同社グループの収益は、フィリピンからの割合が大きく、為替変動が経営成績に影響を与える傾向があります。特定の顧客への収益集中は見られません。

国際通信事業

同社グループは、フィリピンとシンガポール・香港を結ぶ海底ケーブルの使用権と各国の陸上回線から成る国際通信ネットワークを保有し、通信事業者向けの卸売サービスを提供しています。フィリピン国内の海底ケーブルネットワークの拡充も進め、通信回線やサービスの提供をフィリピン全土に展開しています。収益は、国際通信回線使用権のリース料、インターネット接続サービス、ネットワーク構築サービス、通信機器販売などから得ています。運営は、InfiniVAN, Inc.などが担っています。この事業は前期に比べて収益を大きく伸ばしています。

国内通信事業

日本国内のコールセンター事業者向けに、コールセンターシステムと電話回線を組み合わせたソリューションサービスを提供しています。顧客ニーズに応じたライセンス販売や、秒単位の課金体系での音声電話サービスが主な収益源です。また、電気通信事業者間の音声通信回線の相互接続サービスも行っています。この事業は前期に比べて収益は減少しましたが、利益は黒字に転換しました。

メディカル&ヘルスケア事業

フィリピンにおいて、レーシック手術や日本基準の健診センター・人間ドックサービスを提供しています。収益は、主に近視矯正手術や定期健診サービスの提供から得ています。運営は、Shinagawa Lasik & Aesthetics Center CorporationやShinagawa Healthcare Solutions Corporationが行っています。この事業は前期に比べて収益を増やし、利益も黒字に転換しました。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
国際通信事業 112億円 129億円
国内通信事業 24.9億円 24.1億円
メディカル&ヘルスケア事業 15.6億円 16.5億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの過去5期間の業績は、売上高が継続的に増加傾向にあります。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も、直近の期では大きく伸びており、前期の減少から回復する形となりました。特に当連結会計年度においては、円安の進行に伴う為替差益の計上が経常利益の増加に寄与しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 107億円 123億円 141億円 153億円 170億円
経常利益 29.0億円 34.6億円 44.3億円 40.7億円 57.9億円
経常利益率 27.0% 28.1% 31.4% 26.7% 34.0%
親会社株主に帰属する当期純利益 18.9億円 22.9億円 28.4億円 25.4億円 42.0億円
1株当たり当期純利益(円) 152.37 184.52 225.08 197.14 322.41

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しており、従業員1人あたり営業利益(連結)も同様に増加しています。これは、同社グループ全体の生産性が向上していることを示しています。事業規模の拡大とともに、従業員一人ひとりの稼ぐ力も高まっている傾向が見られます。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
従業員1人あたり売上高(連結) 18.6百万円 22.2百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 5.4百万円 7.0百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


同社グループは、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を継続している段階にあります。これにより、事業の成長と拡大を目指す財務戦略がうかがえます。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から増加し、当期は37.0%となっています。これはプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)も当期24.6%と、プライム市場平均を上回る水準で推移しています。手元資金である現金及び預金は前期から減少していますが、2026年3月期末には35.8億円を確保しています。これらの財務状況は、事業運営における安定性を示す要素となります。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 210億円 256億円
自己資本比率 36.3% 37.0%
ROE(自己資本利益率) 19.2% 24.6%
現金及び預金 39.2億円 35.8億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、前期の704百万円から当期は45.8億円と大幅に増加しています。これは主に税金等調整前当期純利益の計上や前受金の増加、リース投資資産の減少によるものです。一方で、投資活動によるキャッシュフローは、前期の△25.4億円から当期は△70.9億円と、投資額が大きく増加しています。これは主に有形固定資産の取得による支出や無形固定資産の取得による支出によるものです。その結果、フリーキャッシュフローは当期△25.0億円となり、本業で得た資金を上回る積極的な投資が行われている状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは当期20.4億円の獲得となっており、長期借入れによる収入が主な要因です。これらの資金の流れは、同社グループが事業拡大に向けた成長投資フェーズにあることを示しており、将来的な事業の成長性が期待できる一方で、現在の手元資金は投資に充てられている状況です。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 704百万円 45.8億円
投資CF △25.4億円 △70.9億円
財務CF 13.8億円 20.4億円
フリーCF(営業CF+投資CF) △18.4億円 △25.0億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループの主力事業である国際通信事業では、フィリピン国内における大手通信事業者との競合や、国際通信回線の価格低下傾向、CATV事業者の契約形態の変化といった市場環境の変化がリスクとして挙げられています。また、フィリピンでの事業展開においては、経済動向や関連法令・規制の変更、人件費の上昇、自然災害、テロ活動などのカントリーリスクが存在します。さらに、為替相場の変動も同社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、事業拡大に伴い優秀な人材の採用・教育、魅力的な職場環境の整備を進める方針ですが、中核となる社員の予期せぬ退社や、優秀な人材を獲得できない場合には、事業展開や業績に影響を与える可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


アイ・ピー・エスは、「Open Door」という企業理念のもと、フィリピンを中心とした国際通信事業とメディカル&ヘルスケア事業、国内通信事業を展開しています。未開拓分野での事業機会を創造し、社会の変革を目指す企業です。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは「Open Door」という企業理念を掲げています。この理念のもと、いまだ誰も突破できていない障壁のある生活に密着した分野で、誰よりも先んじて事業機会を創造し、事業を展開しています。

産業構造を変革し、あるべき社会を実現することを目指しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループは、属性に関係なく中核人材を積極的に採用することで、多様性の確保を図っています。女性の役員の就任や、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用を積極的に行っています。

社員一人ひとりの成長が実感できるような取り組みを進め、海外子会社への社員派遣を通じて多様な人材の育成を図る方針です。

サステナビリティ基本方針に基づき事業を推進し、人々の生活の質の向上、健全な市場競争の推進、人々の健康意識・予防意識向上を重要なサステナビリティ項目としています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、中長期経営戦略を推進するにあたり、人材や資金、その他のリソースの確保を重要な課題としています。特にフィリピンでの通信事業において、将来的な事業拡大に向けたリソース確保が重要です。

また、国内通信事業では、分社化による意思決定の迅速化を活かし、顧客基盤の強化と収益改善を図る方針です。メディカル&ヘルスケア事業では、人間ドック・健診センターの運営を軌道に乗せ、年間での黒字化を目指しています。

さらに、コーポレート・ガバナンスの強化とコンプライアンス遵守の社内浸透を通じて、内部統制システムの強化・運用を推進しています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


株式会社アイ・ピー・エスは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を通じて経営の透明性と監視機能の強化を図っています。複数の社外役員を任用することで、独立性の高いガバナンス体制を構築しています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


アイ・ピー・エスの株主構成を見ると、代表取締役である宮下幸治氏が筆頭株主として大きな割合を占めています。このことから、同氏が経営に対して強い影響力を持つ資本構成であることがうかがえます。上位株主には、信託銀行が信託口として名を連ねています。

株主名 持株比率
宮下 幸治 40.93%
日本カストディ銀行(信託口) 8.54%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.35%
丸本 桂三 2.85%
丸谷 和徳 2.29%


なお、三井住友信託銀行(信託口 甲12号)の株式200,000株は、宮下幸治氏が委託した信託財産であり、議決権の行使については同氏が指図権を留保しています。また、りそなアセットマネジメントは2024年7月15日現在で1,016千株(7.89%)を保有している旨が大量保有報告書に記載されていますが、2026年3月31日現在の実質所有株式数の確認ができないため、上記大株主の状況には含められていません。

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は9名(男性6名・女性3名)で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役は宮下幸治氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
宮下 幸治 代表取締役 1985年5月 株式会社リクルート入社、1991年10月 同社代表取締役より現職。
上森 雅子 専務取締役 メディカル&ヘルスケア事業本部長 1990年4月 株式会社N.P.S入社、1994年6月 同社入社、2018年6月 同社専務取締役より現職。
川渕 正光 常務取締役 経営企画本部長 1996年4月 太田昭和監査法人入所、2001年11月 三菱商事株式会社入社、2025年7月 同社常務取締役より現職。
中原 茂樹 取締役 通信事業本部長 1983年4月 三井物産株式会社入社、2020年6月 同社取締役より現職。


社外取締役は、村口和孝氏(日本テクノロジーベンチャーパートナーズ代表取締役)、雪丸暁子氏(横浜綜合法律事務所弁護士)です。

同社は監査役会設置会社であり、監査役による監査を通じてコーポレート・ガバナンスの実効性を確保しています。複数の社外取締役および社外監査役を任用することで、経営の監視・監督機能の強化を図っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


アイ・ピー・エスでは、取締役の報酬は役割や職責に応じた水準となるよう、基本報酬としての月例固定報酬を支払う方針です。この基本報酬は、役位や業務内容、在任年数に加え、同社グループの業績や貢献度、従業員給与水準も考慮して決定されます。監査役の報酬は、監査役間の協議により、株主総会で決議された限度額の範囲内で職務に応じて決定される仕組みです。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 4名 92百万円 23.0百万円
社外役員 5名 29百万円 5.8百万円


なお、取締役の報酬等の額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。