※本記事は、信和株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
信和は、仮設資材や物流機器を中心とした金属製品の製造・販売、および仮設施工工事を手掛けています。建設現場で使用される仮設足場の製造・販売を主軸に、レンタルサービスや仮設施工工事も提供しています。
単体従業員数は145名、連結従業員数は358名です。報告セグメントは仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)ヤグミ(とび工事業の請負、仲介等)、海津建設(土木建築請負、設計施工等)、凰金属工業、池田工務店(土木建築業)などです。
同社グループは、2024年4月にヤグミグループを、2025年5月には凰金属工業、同年10月には海津建設を子会社化し、事業基盤を強化しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
信和は、建設現場や社会インフラを支える製品・サービスを提供する企業です。社員の成長と働きがいを重視する「人的資本経営」を推進しており、職場環境の整備と人材育成に力を入れています。給与水準や在籍傾向、人的資本に関する具体的なデータから、同社の働き方に関する特徴を把握できます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が10年を超えており、比較的長く働く社員が多い傾向が見られます。平均年齢も40代前半であることから、経験豊富な人材が安定して活躍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,598,000円 |
| 平均勤続年数 | 10.2年 |
| 平均年齢 | 42.2歳 |
| 単体従業員数 | 145人 |
| 連結従業員数 | 358人 |
| 単体のグループ内比率 | 40.5% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
信和は、人材を重要な経営資本と位置づけ、持続的な企業価値向上を目指しています。中期経営計画では、事業成長を支える専門性と実行力を備えた人材の確保・育成、従業員が能力を発揮できる職場環境の整備、多様な人材が活躍できる組織づくりを基本方針としています。
給与決定においては、職務と役割に応じた処遇を基本とし、職務内容・役割等級、成果・貢献度、地域・市場水準を総合的に勘案しています。基本給は職務・役割に応じたテーブルに基づき、賞与は会社業績や個人・部門の業績評価を反映させることで、従業員の成果創出意欲を高める方針です。
人的資本経営を推進しており、「職場環境の整備」と「人材の育成強化」を重点施策としています。具体的には、誇りを持てる企業風土の構築、人事評価の透明化、業務効率化を通じた能力発揮の促進に取り組んでいます。また、成果に基づく人事評価制度の構築、福利厚生制度の充実、人種・性別を問わない活躍体制の整備、ジョブローテーションによる知識・技能向上、ハラスメント防止や心理的安全性の確保も進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 14.2% |
連結子会社の法定開示
連結子会社における「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定に基づき算出したデータです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
多様性・登用
当事業年度末時点の当社単体におけるデータです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員に占める女性の割合 | 24.1% |
育児・介護支援
当連結会計年度の実績です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 産休後の復職率 | 100.0% |
人材育成・エンゲージメント
5年後定着率は当連結会計年度の実績です。有給休暇取得に関するデータは2025年度の実績です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 5年後定着率 | 68.7% |
| 1人当たりの有給休暇取得日数 | 10.0日 |
| 有給休暇取得率 | 60.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
信和は、建設現場などで使用される仮設資材や、工場・倉庫で使われる物流機器の製造・販売、そして仮設施工工事を手掛ける企業です。顧客のニーズに応じた製品提供とサービス展開を通じて、社会インフラや産業活動を支える役割を担っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、仮設資材及び物流機器の製造・販売事業を単一の報告セグメントとしています。事業は大きく「仮設資材部門」と「物流機器部門」に分かれており、それぞれの専門性を活かして収益を上げています。
仮設資材部門では、建設現場で用いられる「くさび緊結式足場」や「次世代足場」といったシステム足場の製造・販売を主力としています。これらの仮設資材のレンタルサービスや仮設施工工事も手掛けており、製造から施工まで一貫したサービス提供体制を強みとしています。顧客は主にレンタル会社や足場架払業者、商社などです。
物流機器部門では、工場や倉庫、建設現場で物品の保管・搬送に使用される物流機器の製造・販売を行っています。自動車部品や液晶パネル用ガラス、土石製品などの保管・搬送用パレット、スチールラックなどを、顧客の要望に基づいて企画設計から製造、納品まで一貫して対応しています。建設現場向けの仮設資材関連製品も提供しており、多様な産業の効率化と安全性向上に貢献しています。
同社グループの収益モデルは、仮設資材の製造・販売・レンタル・施工を一体で提供する総合力と、顧客の課題解決に応じた提案型営業が特徴です。原材料メーカーや商社からの仕入れを行い、レンタル会社や足場架払業者、商社、代理店、ホームセンターなどへ販売しています。なお、当連結会計年度において、日建リース工業株式会社への売上収益が同社グループの連結売上収益の10%以上を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績は、売上収益と各段階利益において変動が見られます。直近の当連結会計年度では、売上収益、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益のいずれも前期から大きく増加し、上場来最高を更新する結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 161億円 | 148億円 | 127億円 | 175億円 | 201億円 |
| 税引前利益 | 20.6億円 | 14.3億円 | 6.5億円 | 15.0億円 | 23.1億円 |
| 税引前利益率 | 12.8% | 9.7% | 5.1% | 8.6% | 11.5% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 14.5億円 | 10.1億円 | 4.1億円 | 9.8億円 | 17.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 105.36 | 72.49 | 29.46 | 70.17 | 126.24 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上収益は前期から減少していますが、従業員1人あたりの営業利益は前期から増加しています。これは、売上収益の増加率を上回る営業利益の増加率と、連結従業員数の増加が影響していると考えられます。効率的な事業運営と利益率の改善が進んでいることを示しており、組織全体の収益創出力が向上している傾向が見られます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 67.6百万円 | 56.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.3百万円 | 7.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
信和の財務状況は、事業活動を通じて着実に資金を創出し、将来に向けた投資も行っていることを示しています。自己資本と手元資金の状況から、安定した経営基盤を築いていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
信和グループの財務基盤は、自己資本比率とROE(自己資本利益率)の推移からその安定性が見て取れます。自己資本比率はプライム市場の製造業平均と比較して高い水準にあり、財務の健全性を示しています。ROEも前期から上昇しており、効率的な資本活用が進んでいる状況です。手元資金も確保されており、不測の事態への耐性も備えていることがうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 158億円 | 169億円 |
| 自己資本比率 | 52.9% | 52.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.3% | 10.5% |
| 現金及び現金同等物 | 29.1億円 | 29.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
信和グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の計上や営業債権及びその他の債権の減少が主な収入要因となり、資金を獲得しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得や有形固定資産の取得による支出があり、資金を使用しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支出や自己株式の取得による支出が主な要因となり、資金を支出しています。
全体として、本業で安定的に資金を創出しつつ、将来の成長に向けた投資も積極的に行っている状況がうかがえます。これにより、事業の拡大と安定した経営基盤の維持を目指していることが示されています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 8.5億円 | 23.2億円 |
| 投資CF | △43.2億円 | △11.6億円 |
| 財務CF | 45.4億円 | △11.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △34.7億円 | 11.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主要販売であるシステム足場は、建設足場で使用される仮設資材であり、日本国内の景気動向や当該市場の経済環境の変化が事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、製品の原材料である鉄鋼製の部材の価格は、商品相場、為替、政治情勢、需給ギャップ等の影響を受けて変動し、価格高騰が生じた場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループにおいては、優秀な人材の確保と育成が不可欠となります。確保と育成ができない場合、または社外に流出した場合には、同社グループの事業運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
信和は、「いのちを守り、未来を支える。」というパーパスを掲げ、建設業界の安全と効率化に貢献する製品・サービスを提供しています。社員一人ひとりの成長と活力を重視し、持続的な企業価値向上を目指す企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「いのちを守り、未来を支える。」をパーパスとしています。経営理念(Our Mission)では、製品・サービスを通じて大切な「命」を守ること、そして社員のやる気を応援し、「夢と未来」の実現を支えることを掲げています。
経営目標(Our Vision)としては、お客様から信頼される企業を目指し、安全性、品質向上、納期厳守、価格競争力のレベルを高めることを重視しています。また、社員一人ひとりが人間として成長し、お客様とともに成長を続ける企業となることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、社員の働きがいを高め、活力を創出することに資する職場環境の整備を重視しています。具体的には、人事評価の透明化、業務効率化、コミュニケーション活性化のためのIT投資、ブランディングを通じた意識・意欲の高揚などを推進しています。
また、社員が誇りを持てる企業風土の構築や、従業員の人生が活き活きと輝く明るい雰囲気の醸成にも取り組んでいます。人種や性別を問わず活躍できる体制整備や、協力し合える職場づくりの推進も掲げられています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営計画の課題として、全社員の活力創出と優秀な人材の確保・育成を挙げています。社員が能力を最大限に発揮できる職場環境の整備や、成長を促す仕組みづくりに取り組んでいます。
具体的には、人事評価の透明性確保、成果や情報の共有インフラ整備、IT投資による業務効率化とコミュニケーション活性化を進めています。また、社内外の研修体制整備や人材管理体制の構築を通じて、人材育成を強化しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
信和の経営体制は、取締役会、監査等委員会、指名報酬委員会で構成されています。これにより、迅速な意思決定と業務執行の効率化、そして客観的な経営監視が図られています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
信和は、複数の事業会社が上位株主として名を連ねる資本構成となっています。同社の取締役副社長である鬼頭和也氏も大株主の一人として名を連ねており、事業パートナーや経営陣が同社の事業を支える体制がうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| アルインコ | 5.08% |
| 阪和興業 | 5.08% |
| 鬼頭 和也 | 1.87% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.2%です。代表取締役社長は則武栗夫氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 則武 栗夫 | 代表取締役社長 | 1990年ワキタ入社後、光洋運輸、丸紅建設機械販売を経て、2007年同社入社。営業部副部長兼大阪営業所長、執行役員営業本部長などを歴任し、2023年6月より代表取締役社長に現職。 |
| 鬼頭 和也 | 取締役副社長 | 1993年鬼頭興業代表、2000年株式会社ヤグミ代表取締役。2024年6月同社取締役に就任し、2025年2月より取締役副社長に現職。 |
| 平野 真一 | 専務取締役執行役員 | 1982年シャープエンジニアリング入社、1984年ソニー瑞浪入社。ソニーグループで製造部門の要職を歴任後、2013年同社入社。製造本部長などを経て、2026年4月より専務取締役執行役員に現職。 |
| 平澤 光良 | 常務取締役執行役員 | 1998年監査法人トーマツ入社、公認会計士登録。2012年同社入社後、執行役員管理本部長、取締役執行役員管理本部長などを歴任し、2026年4月より常務取締役執行役員に現職。 |
社外取締役は、谷口哲一氏(谷口法律事務所代表弁護士・監査等委員会委員長)、芹澤浩氏(元阪和興業代表取締役副社長執行役員・監査等委員会委員)、阿知波知子氏(あちわ社会保険労務士事務所代表・監査等委員会委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、独立社外取締役が客観的かつ中立的な立場から経営監視を行う体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
信和の役員報酬は、役位に応じた月例の基本報酬、短期の業績達成率に連動する業績連動報酬(金銭報酬)、そして中長期的な企業価値向上を目的とした株式関連報酬で構成されています。社外取締役に対しては、独立性を保つため基本報酬のみが支給される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.4億円 | 34.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 16百万円 | 4.0百万円 |
同社の役員報酬等の総額は1.52億円であり、対象となる役員の合計人数は8名です。
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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