ブティックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブティックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(グロース市場)に上場するブティックスは、介護・IT業界の展示会開催やM&A仲介、人材採用支援を展開する企業です。2025年3月期は、展示会事業とM&A仲介事業が共に伸長し、売上高52億円、営業利益12億円と増収増益を達成しました。独自のビジネスマッチングモデルで成長を続けています。


※本記事は、ブティックス株式会社 の有価証券報告書(第19期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ブティックスってどんな会社?


介護・IT業界を中心としたBtoBマッチングプラットフォームを展開する企業です。商談型展示会の開催を起点に、M&A仲介や人材採用支援など多角的なサービスを提供しています。

(1) 会社概要


同社は2006年11月にケアシティ・ホールディングスとして設立されました。2015年3月に介護業界向け展示会「CareTEX」を開始し、同年4月にはM&A仲介サービスにも参入しました。2018年4月に東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ上場を果たしています。その後も事業領域を拡大し、2023年4月には株式会社リアライブを子会社化して人材採用支援事業へ本格参入しました。

2025年3月31日現在、同社グループの従業員数は連結で225名、単体で161名です。筆頭株主は創業社長の新村祐三氏で、第2位は新村佐麻美氏、第3位は山口貴弘氏となっています。経営陣による株式保有比率が高く、オーナーシップの強い経営体制が特徴です。

氏名 持株比率
新村 祐三 49.19%
新村 佐麻美 6.57%
山口 貴弘 5.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は新村祐三氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
新村 祐三 代表取締役社長 1990年リードエグジビションジャパン(現RX Japan)入社。2006年11月同社設立し代表取締役社長就任より現職。
速水 健史 常務取締役コンサルティング事業部管掌 日本興業銀行(現みずほ銀行)等を経て2011年同社入社。2024年2月より常務取締役コンサルティング事業部管掌より現職。
武田 学 常務取締役メディア事業部管掌 リードエグジビションジャパン等を経て2018年同社入社。2024年4月より常務取締役メディア事業部管掌より現職。
土橋 薫 取締役(監査等委員) 沖電気工業等を経て2017年同社入社。2023年6月取締役(常勤監査等委員)就任より現職。


社外取締役は、田中智行(ブリッジコンサルティンググループ取締役)、森川友尋(三宅坂総合法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「展示会事業」「M&A仲介事業」「人材採用支援事業」および「その他」事業を展開しています。

展示会事業

介護業界向けの「CareTEX」やIT業界向けの「DXPO」など、商談型展示会およびハイブリッド展示会(リアル展とオンライン展の融合)を開催しています。主な顧客は、介護事業者やIT導入を検討する企業の決裁権限者と、それらに対して製品・サービスを売り込みたいサプライヤー企業です。

収益は主に出展社からの出展料で構成されています。また、オンライン展では資料請求等に対する成果課金収入もあります。運営は主にブティックスが行っています。

M&A仲介事業

介護・医療・障害福祉・保育・建設・IT・調剤業界における事業承継ニーズに対応するM&A仲介サービスを提供しています。独自のデータベースや展示会来場者リストを活用し、小規模案件にも対応できる効率的なマッチングシステムが強みです。

収益は、M&Aが成約した際に譲渡企業および譲受企業から受け取る成功報酬型の仲介手数料です。業界最安水準の手数料体系を特徴としています。運営は主にブティックスが行っています。

人材採用支援事業

新卒向けの採用イベント「ジョブトラ」の開催や、就活情報サイト「ジョブトラアカデミー」の運営、および求人企業への人材紹介を行っています。学生と企業のミスマッチを解消するための選考直結型イベントなどを展開しています。

収益は、採用イベントに参加する求人企業からの出展料や、人材紹介における紹介手数料です。運営は主に子会社の株式会社リアライブが行っています。

その他

上記報告セグメントに含まれない事業として、その他の収益獲得事業を行っています。収益規模は限定的です。運営はブティックスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2024年3月期から2025年3月期にかけて、売上収益は順調に拡大し、利益面でも増加傾向にあります。特に直近では売上高50億円を突破し、経常利益も12億円台に乗るなど、事業規模の拡大と収益性の向上が進んでいます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 44億円 52億円
経常利益 9億円 12億円
利益率(%) 20.6% 23.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 1億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益が伸長しています。営業利益率は20%を超える高い水準を維持しており、効率的な事業運営が行われていることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 44億円 52億円
売上総利益 38億円 45億円
売上総利益率(%) 85.8% 86.1%
営業利益 9億円 12億円
営業利益率(%) 20.8% 23.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が10億円(構成比30%)、賞与引当金繰入額が3億円(同8%)を占めています。人材への投資が費用の中心となっています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収となりました。特に展示会事業は開催規模の拡大により大幅な増収増益を達成し、M&A仲介事業も成約件数の増加により好調に推移しています。人材採用支援事業は売上増ながらも利益は微減となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
展示会事業 19億円 24億円 6億円 9億円 37.0%
M&A仲介事業 17億円 19億円 8億円 10億円 51.6%
人材採用支援事業 8億円 8億円 2億円 1億円 17.8%
その他 0億円 0億円 0億円 0億円 100.0%
調整額 - - -7億円 -8億円 -
連結(合計) 44億円 52億円 9億円 12億円 23.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、その範囲内で借入金の返済や投資を行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 8億円 16億円
投資CF -8億円 -3億円
財務CF -7億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「マッチング・ファースト」を企業理念に掲げ、最適なマッチングで最高の満足を提供することで、産業を活性化し、豊かな社会を実現することを目指しています。この理念の下、マッチングの満足度最大化や新しいサービスの創造を通じて市場を創造することを使命としています。

(2) 企業文化


同社は「不正を行わず、誠実にビジネスを行う」「変わらず生き続けるために変わり続ける」といった行動指針を定めています。利益を伸ばし続けることが全体の幸福につながるとの考えのもと、変化する環境に対応しながら誠実なビジネスを実践する文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期経営計画「Vision2025」の最終年度を1年延長し、2026年3月期における目標達成を目指しています。また、同月期を基準期としてプライム市場への上場を果たすことを目標としています。

* 2026年3月期 売上高:64億円
* 2026年3月期 経常利益:16億円

(4) 成長戦略と重点施策


展示会事業では「CareTEX」の開催エリア拡大や、ハイブリッド展示会「DXPO」の全国展開を進めています。M&A仲介事業では、システムによる工程管理の徹底や新教育制度によるコンサルタント育成を強化しています。人材採用支援事業では、子会社リアライブの吸収合併を通じて経営資源の統合と効率化を図り、事業拡大を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は持続的な成長のため、新卒・中途採用を積極的に実施しています。透明性の高い人事考課制度を設けることで優秀な人材の確保と流出防止を図るとともに、社内教育体制の整備・仕組化により効率的な運営を実現しています。また、性別や年齢等に関わらず能力や適性に応じて適材適所で配置する方針を掲げています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 34.6歳 2.4年 6,467,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める女性の割合(34.5%)、役員に占める女性の割合(16.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 介護関連市場の制度変更リスク

主要顧客である介護事業者は介護保険法の適用を受けるため、3年ごとの法改正や介護報酬改定の影響を受けます。大幅な報酬減額などの制度変更により顧客の経営環境が悪化した場合、同社の展示会出展やM&Aニーズに影響を与え、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 展示会開催に関するリスク

展示会事業では、会場の確保が計画通り進まない場合や、自然災害・感染症等により会場が使用困難となるリスクがあります。開催延期や中止となった場合、業績に影響を与える可能性があります。また、経済動向による出展見合わせや来場者減少のリスクもあります。

(3) M&A成約の変動リスク

M&A仲介事業は、条件交渉の難航やデューデリジェンスの遅延等により、成約時期や規模が変動する可能性があります。これにより期間ごとの業績が大きく変動するリスクがあります。また、情報提供の過誤等により手数料返還や損害賠償を求められる可能性もあります。

(4) 特定人物への依存リスク

創業社長である新村祐三氏は経営方針や事業戦略の決定等で重要な役割を果たしています。経営組織の強化を進めていますが、現時点では同氏への依存度は高く、同氏の業務執行が困難となった場合、業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。