※本記事は、ブティックス株式会社の有価証券報告書(第20期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ブティックスってどんな会社?
ブティックスは、展示会事業とM&A仲介事業を軸に、BtoBマッチングサービスを展開する企業です。
■(1) 会社概要
ブティックスは2006年に設立され、介護用品のeコマース事業からスタートしました。2015年に介護分野の展示会「CareTEX」とM&A仲介サービスを開始して本格的なBtoBマッチングへ参入し、2018年に株式上場を果たしました。その後はIT分野の展示会や人材採用支援事業へ領域を広げています。
同社の従業員数は単体で234名です。筆頭株主は創業者であり代表取締役社長を務める新村祐三氏で、第2位および第3位の株主も個人が名を連ねており、経営陣を中心とした安定的な資本構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 新村祐三 | 48.93% |
| 新村佐麻美 | 6.54% |
| 山口貴弘 | 4.98% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は新村祐三氏が務め、社外取締役比率は33.3%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 新村祐三 | 代表取締役社長キャリア事業部管掌 | 1990年リードエグジビションジャパン入社。2006年同社設立、代表取締役社長就任。2023年リアライブ代表取締役会長などを経て、2025年より現職。 |
| 武田学 | 常務取締役メディア事業部管掌 | 1994年リードエグジビションジャパン入社。複数社を経て2018年同社入社。2020年取締役メディア事業部管掌を経て、2024年より現職。 |
| 速水健史 | 常務取締役コンサルティング事業部管掌 | 2001年日本興業銀行入社。ベンチャーキャピタル等を経て2011年同社入社。2012年取締役管理本部長を経て、2024年より現職。 |
| 土橋薫 | 取締役(監査等委員) | 1985年沖電気工業入社。リードエグジビションジャパン等を経て2017年同社入社。メディア事業部シニアセールス等を経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、田中智行(元PwCあらた監査法人等・現ブリッジコンサルティンググループ取締役)、森川友尋(弁護士・三宅坂総合法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「展示会事業」「M&A仲介事業」「人材採用支援事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 展示会事業
介護分野の「CareTEX」やIT分野の「DXPO」など、各業界のサプライヤーと導入検討者を一堂に集めたBtoB展示会を開催しています。リアルな展示会だけでなく、オンライン展示会も並行して開催し、顧客の課題解決や販路拡大に直結するビジネスマッチングの場を提供しています。
主な収益源は、展示会に出展する企業から受け取る出展料や、各種マッチングサービスの手数料です。同事業の運営は同社が主体となって行い、ブースを複数社でシェアする方式を採用することで出展コストを抑え、ベンチャーやスタートアップ企業も参加しやすい環境を構築しています。
■(2) M&A仲介事業
介護、医療、障害福祉、保育、建設、IT、調剤業界などにおける事業承継ニーズに応えるため、M&Aの仲介サービスを提供しています。展示会を通じて構築した経営者のデータベースを活用し、買い手と売り手の最適なマッチングを支援することで、業界特有の後継者不足などの課題解決に貢献しています。
収益源は、M&Aが成約した際に譲渡・譲受企業から受け取る成功報酬型の手数料です。同事業の運営は同社が行っており、小規模案件が多い業界事情を踏まえて最低手数料を低く設定するほか、独自の工程管理システムを導入して案件進捗を可視化し、効率的かつ質の高いサービスを提供しています。
■(3) 人材採用支援事業
成長著しいグロース企業や優良ベンチャー企業と、仕事を通じた成長を望む求職者を結びつける人材採用支援サービスを提供しています。新卒向けの選考直結型の合同説明会や採用イベントの開催、就活情報サイトの運営などを通じて、入社後のミスマッチを防ぐ精度の高いマッチングを実現しています。
主な収益源は、採用イベントに参加する求人企業からのイベント出展料や、求人企業への人材紹介に伴う紹介手数料です。事業の運営は同社が行っており、2026年度からは展示会事業のノウハウを活かした大規模就活イベント「Growth就活DXPO」へ事業モデルを転換し、収益力の向上を図る予定です。
■(4) その他
報告セグメントに含まれないその他の事業活動を行っています。
本セグメントの運営は同社が行っており、その他の付随的な業務から収益を得ています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績推移を見ると、展示会事業の規模拡大やM&A仲介事業の堅調な進捗を背景に、売上高および経常利益は着実な成長を遂げています。一方で、事業再編や戦略的な投資に伴う特別損失の計上などにより、当期利益は年度によって変動が見られます。全体として、主力事業の好調さが全体の成長を力強く牽引している傾向が伺えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 44.1億円 | 51.7億円 | - |
| 経常利益 | 9.1億円 | 12.3億円 | - |
| 利益率(%) | 20.6% | 23.7% | - |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7.1億円 | 1.3億円 | 6.2億円 |
■(2) 損益計算書
利益構成を見ると、売上総利益および営業利益ともに前期から増加しており、本業における力強い収益基盤が確認できます。展示会事業における出展小間数の増加や、M&A仲介事業での案件成約数の伸びが利益の拡大に直結しており、事業効率の高さと高収益体質が維持されていることが伺えます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 51.7億円 | - |
| 売上総利益 | 36.7億円 | 46.6億円 |
| 売上総利益率(%) | 71.0% | - |
| 営業利益 | 13.7億円 | 15.6億円 |
| 営業利益率(%) | 26.5% | - |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が10.2億円(構成比33%)、販売促進費が3.8億円(同12%)、賞与引当金繰入額が3.1億円(同10%)を占めています。事業拡大に向けた人材採用や教育への投資、および展示会の来場者獲得に向けた販売促進に重点的にコストを投下していることが分かります。
■(3) セグメント収益
展示会事業では、介護・IT分野ともに新規展示会の開催や規模拡大が寄与し、出展小間数が大幅に増加したことで高い収益を上げています。M&A仲介事業においても、教育制度を通じたコンサルタントの実務能力向上が案件成約を後押しし、強固な収益基盤として機能しています。人材採用支援事業は経営管理体制の強化を進めており、事業再構築による今後の収益力向上が期待されます。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 展示会事業 | - | 29.8億円 | - | 11.5億円 | 38.5% |
| M&A仲介事業 | - | 22.6億円 | - | 10.0億円 | 44.3% |
| 人材採用支援事業 | - | 2.3億円 | - | 0.5億円 | 22.7% |
| その他 | - | 0.0億円 | - | 0.0億円 | 100.0% |
| 調整額 | - | - | - | -6.4億円 | - |
| 連結(合計) | - | 54.7億円 | - | 15.6億円 | 28.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型の優良企業の状態を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 15.9億円 | 14.0億円 |
| 投資CF | -2.6億円 | -0.9億円 |
| 財務CF | -6.8億円 | -3.0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「マッチング・ファースト」を企業理念に掲げ、最適なマッチングで最高の満足を提供することで、産業を活性化し豊かな社会を実現することを使命としています。これを具現化するため、「マッチングの満足度を最大化する」「新しいサービスの創造で新しい市場を創造する」といった5つの経営理念を定めており、独自のビジネスモデルを通じて社会課題の解決と持続的な成長の両立を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「利益を伸ばし続けることがみんなの幸せになる」「不正を行わず、誠実にビジネスを行う」「変わらず生き続けるために変わり続ける」という価値観を経営理念に組み込んでいます。顧客や取引先との強い信頼関係を軸に、コンプライアンスの徹底や高い倫理観を重視し、誠実な事業運営を推進しています。また、明確で透明性の高い人事考課制度を通じて、従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、成長できる組織風土を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、企業理念である「マッチング・ファースト」の実現と持続的な成長に向け、2029年3月期を最終年度とする第二次中期経営計画「Vision2029」を策定しています。2028年3月期を基準期としたプライム市場への上場を見据え、野心的な数値目標を掲げて事業の拡大を推進しています。
- 売上高:101.8億円(2029年3月期目標)
- 営業利益:40.0億円(同)
- 経常利益:40.1億円(同)
- 当期純利益:25.7億円(同)
■(4) 成長戦略と重点施策
展示会事業では、介護およびIT分野の展示会の開催エリアと出展規模を継続的に拡大し、決裁権限者のデータベースを構築するプラットフォーム化を進めます。M&A仲介事業では、独自の工程管理システムや新教育制度を活用し、コンサルタントの育成と案件進捗の精度向上を図ります。また、採用支援分野では大規模就活イベント「Growth就活DXPO」を軸に事業を再構築し、グループ全体のシナジーを最大化しながら中長期的な収益力の強化を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、事業の持続的な成長と発展に向けて、優秀な人材の獲得と育成を最重要課題と位置付けています。展示会の主催やM&A仲介の専門知識を有する人材を育成するため、独自の教育プログラムや入社時研修を整備し、未経験者でも早期に活躍できる仕組みを構築しています。また、KPI管理に基づく透明性の高い人事考課制度を導入し、個々の目標達成に応じた正当な評価を行うことで、従業員のモチベーション向上と人材の定着を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 32.6歳 | 2.6年 | 6,437,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 34.8% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 68.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 71.0% |
| 男女賃金差異(有期雇用労働者) | 46.1% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(40.0%)、役員に占める女性の割合(16.7%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 展示会市場に関するリスク
展示会の開催にあたっては、適切な会場の確保が不可欠です。自然災害や感染症の流行により会場が使用困難となった場合や、経済動向の悪化により出展社や来場者数が減少した場合、展示会の開催規模が縮小または延期となり、同社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) M&A市場の動向に関するリスク
介護・医療業界や建設・IT業界では事業承継に伴うM&A需要が増加していますが、将来的に譲渡・買収ニーズが減少に転じるなど市場が縮小した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、M&A仲介業務に関する法規制の変更や登録要件の厳格化が行われた場合も、事業展開に支障をきたすリスクがあります。
■(3) 人材の獲得・育成に関するリスク
事業拡大において、展示会運営やM&A仲介の専門知識を持つ人材の確保と育成が重要です。しかし、労働市場の競争激化により適切な人材を適時に確保できない場合や、育成が計画通りに進まず人材が社外へ流出した場合、小規模な組織体制である同社において業績への影響が相対的に大きくなる可能性があります。



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