ライトアップ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社ライトアップの有価証券報告書(第25期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. ライトアップってどんな会社?
全国の中小企業を黒字にすることを理念に掲げ、DX・AI化推進や資金確保などの経営支援を行っています。
■(1) 会社概要
2002年に有限会社として設立され、コンテンツ事業を開始しました。翌年に株式会社へ組織変更し、2014年には現在の中小企業向け経営支援サービスの提供を開始しました。2018年に東京証券取引所マザーズへ上場を果たし、2023年にはAI関連領域の強化を図るためAKARIの株式を取得しています。
現在の従業員数は連結で127名、単体で111名体制となっています。筆頭株主は同社創業者の白石崇氏で、第2位および第3位には証券関連等の金融機関が名を連ねており、安定した経営基盤を構築しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 白石 崇 | 48.35% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 4.97% |
| 大和証券 | 3.55% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長の白石崇氏が経営を牽引しています。社外取締役比率は12.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 白石 崇 | 取締役社長(代表取締役) | 1997年日本電信電話(現NTT)に入社後、ぷららネットワークス出向、サイバーエージェントを経て、2002年にライトアップを設立し代表取締役に就任。2024年よりAKARIの取締役として現職。 |
| 村越 亨 | 取締役管理グループ担当 | 吉田公認会計士事務所、トーメンサイバービジネスを経て2006年に同社入社。管理グループマネージャーを経て2007年取締役に就任。2024年よりAKARIの代表取締役として現職。 |
| 佐藤 寛信 | 取締役iクリエイショングループ担当 | フリーランスの新聞記者・ライターとして活動後、2005年に同社入社。エディトリアルグループマネージャー等を経て、2009年より取締役に就任し現職。 |
| 吉本 信治郎 | 取締役メディアグループ担当 | プライスウォーターハウスクーパースコンサルタントやガーラ執行役員等を経て、2006年に同社監査役に就任。その後、2012年より取締役に就任し現職。 |
社外取締役は、吉川浩永(元オプト代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「AIソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) AIソリューション事業
中小企業の生産性向上を目的とし、ITツールの導入、人材育成、マーケティング、資金確保などを支援しています。各種補助金を自動診断する「Jシステム」や、資金確保と業務自動化を一貫して支援する「Jコンサル」などを展開しています。
システム利用に伴う月額利用料金、経営コンサルティング等の役務提供による報酬、さらには参加企業への商材販売マージンなどを収益源としています。運営は主に同社が担い、一部のAI領域においてはAKARIが連携しています。
■(2) その他
大手や中堅企業を主な顧客とし、業種や規模を問わず企業のマーケティング課題に対するWebマーケティング施策を企画、提供しています。具体的には、メールマーケティング支援、ソーシャルメディア活性化、各種コンテンツ制作などを行います。
顧客からの企画制作案件に対する受託費用などを主な収益源としています。自社の専門チームを中心に外部クリエイターとも連携しながら一貫したサービスを提供しており、運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
第24期にかけて各種経営支援サービスの需要が拡大し大幅な増収増益を記録しました。しかし直近の第25期においては、主力サービスの受注が想定を下回ったことや、関連会社の業績低迷等の影響を受け、売上高および経常利益ともに減少に転じています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 28億円 | 40億円 | 35億円 |
| 経常利益 | 3億円 | 7億円 | 5億円 |
| 利益率(%) | 11.3% | 18.1% | 13.8% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2億円 | 5億円 | 2億円 |
■(2) 損益計算書
売上総利益率は高い水準を維持しており、付加価値の高いサービスを提供していることが伺えます。一方で、販売促進費の増加やのれん減損などを含めた費用の影響により、直近の営業利益率は低下傾向にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 40億円 | 35億円 |
| 売上総利益 | 32億円 | 30億円 |
| 売上総利益率(%) | 80.7% | 84.4% |
| 営業利益 | 7億円 | 5億円 |
| 営業利益率(%) | 18.0% | 13.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.8億円(構成比23.0%)、販売促進費が5.5億円(同21.9%)、業務委託費が4.3億円(同17.0%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力であるAIソリューション事業は、提供サービス全体の売上構成比の大部分を占めています。直近では各種商材の受注低迷などの影響を受け、各事業ともに前年同期比で減収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| AIソリューション事業 | 37億円 | 32億円 |
| その他 | 3億円 | 3億円 |
| 連結(合計) | 40億円 | 35億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなる「健全型」です。これは営業利益で借入返済を進め、投資も手元資金で賄っている優良な状態を示しています。
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.1%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も86.9%で市場平均を上回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4億円 | 1億円 |
| 投資CF | -0.7億円 | -1.5億円 |
| 財務CF | -0.6億円 | -0.9億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「全国、全ての中小企業を黒字にする」という理念を掲げています。インターネット関連技術を最大限に活用し、日本全国に存在する多様な業種の中小・零細企業に対して、総合的な経営支援サービスを提供することを使命としており、地方経済の活性化への貢献を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、各地域の有力企業や地方自治体、金融機関などのパートナーとの強固な連携を重視する文化を持っています。これにより地域に根ざしたきめ細かい支援を実現しています。また、重要な社会課題に対しては高い倫理観と使命感をもって取り組む姿勢を大切にし、信頼される企業としての持続的な成長を志向しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は中長期的な企業価値の向上を達成するため、特に「売上高成長率」および「売上高営業利益率」を重要な経営指標として位置づけています。単なる規模の拡大を追うのではなく、収益性を強く意識しながら、持続的な拡大と成長を実現していくことを目標として経営活動を推進しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長戦略として、新たな需要や市場の変化に迅速かつ的確に対応することを目指しています。具体的には、生成AIを活用した自社開発のSaaSプロダクトの拡充に注力し、中小企業の業務効率化ニーズに応えるサービスラインナップを強化します。さらに、パートナー企業に対する営業支援体制の効率化にも取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、人材こそが企業成長の最も大切な経営資本であるとの認識のもと、多様性の確保と人材の育成に努めています。特に、AI・データサイエンス領域における専門人材の獲得および育成が競争優位の源泉になると位置づけており、新卒および中途での積極的な採用活動を展開し、能力や実績に応じた処遇を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 35.0歳 | 5.9年 | 4,756,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 30.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※同社および連結子会社は関連法令に基づく公表義務の対象ではないため、一部の指標について有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) システム障害とデータ漏洩
インターネットを活用したサービスを展開しているため、サーバーへのアクセス集中や外部からの不正アクセス等によるシステムダウン、データの消失や漏洩が発生した場合、信用低下や損害賠償により業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 適切な商材の開発および確保
技術革新が早いインターネット関連業界において、市場ニーズに合致した安価で使いやすい商材を継続的に供給する必要があります。開発力の低下等によってパートナー企業への適切な商材供給が困難になった場合、事業拡大が停滞するリスクがあります。
■(3) パートナー企業に対する売上債権の回収
同社が商材を販売するパートナー企業は小規模事業者が多く、与信リスクを伴います。支払遅延時の取引停止など回収の確実化を図っていますが、景気変動等によって多数の企業で経営悪化が生じた場合、代金回収が滞り業績に影響する可能性があります。



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