※本記事は、株式会社ライトアップ の有価証券報告書(第24期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ライトアップってどんな会社?
中小企業の黒字化支援を理念に掲げ、ITツールの導入や資金確保支援を行うDXソリューション事業と、Webマーケティング支援を行うコンテンツ事業を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は2002年4月に設立され、コンテンツ事業を開始しました。2010年4月に現在の主力サービスの一つである共同開発仕入サービス「JDネット」の提供を始め、2014年4月には経営支援サービス「Jマッチ(現・Jコンサル)」を開始しました。2018年6月に東京証券取引所マザーズへ上場を果たし、2023年12月には株式会社AKARIを連結子会社化するなど、事業拡大を続けています。
現在の従業員数は連結136名、単体121名です。筆頭株主は社長の白石崇氏で発行済株式の48.40%を保有しています。第2位は証券会社、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっており、創業社長が過半数近くの株式を持つオーナー系企業の特徴を示しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 白石 崇 | 48.40% |
| 株式会社SBI証券 | 4.74% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 3.62% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名、計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は白石崇氏が務めています。取締役5名のうち1名が社外取締役であり、社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 白石 崇 | 取締役社長(代表取締役) | サイバーエージェントを経て、2002年に同社を設立し代表取締役に就任。2024年より株式会社AKARI取締役を兼任し現職。 |
| 村越 亨 | 取締役管理部門担当 | トーメンサイバービジネス管理本部経理グループリーダーを経て、2006年に同社入社。2024年より株式会社AKARI代表取締役を兼任し現職。 |
| 佐藤 寛信 | 取締役コンテンツ事業部門担当 | フリーランスのライターを経て、2005年に同社入社。エディトリアルグループマネージャーなどを歴任し、2009年より現職。 |
| 吉本 信治郎 | 取締役DXソリューション事業部門担当 | ガーラ執行役員、ソフトブレーン・サービス執行役員などを経て、2006年に同社監査役就任。2012年より現職。 |
社外取締役は、吉川浩永(元株式会社Consumer first代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「DXソリューション事業」および「コンテンツ事業」の2つの報告セグメントを展開しています。
■(1) DXソリューション事業
中小企業の生産性向上を目的とし、ITツール導入、人材育成、マーケティング、資金確保などの支援を行っています。主なサービスには、補助金・助成金の自動診断システム「Jシステム」、経営課題解決コンサルティング「Jコンサル」、共同仕入・開発ネットワーク「JDネット」があります。
収益は、システムの月額利用料、コンサルティングフィー、各種商材の販売マージンなどから構成されています。また、Jコンサルでは補助金申請支援等の成功報酬も発生します。運営は主に同社および連結子会社の株式会社AKARIが行っています。
■(2) コンテンツ事業
大手・中堅企業を中心に、メールマーケティング支援、ソーシャルメディア活性化支援、Webコンテンツ制作などを提供しています。社外クリエイターと連携し、企画から制作、運用までを一貫して行う体制を構築しています。
顧客企業からの制作受託費や運用代行費などが主な収益源となります。特定の業種に偏らず、直接取引や広告代理店経由での間接取引を通じて広範囲に展開しています。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2025年3月期は大幅な増収増益となりました。売上高は40億円を超え、経常利益も7億円台へと倍増しています。利益率も18.1%と高い水準に達しており、主力事業の好調さが業績を牽引していることが分かります。親会社株主に帰属する当期純利益も順調に拡大しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 28億円 | 40億円 |
| 経常利益 | 3.1億円 | 7.3億円 |
| 利益率(%) | 11.3% | 18.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.4億円 | 4.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに大きく伸長しています。特に営業利益は前期の3.2億円から7.2億円へと倍増以上となり、営業利益率も11.5%から18.0%へと改善しました。収益性が高まっていることが確認できます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 28億円 | 40億円 |
| 売上総利益 | 23億円 | 32億円 |
| 売上総利益率(%) | 81.6% | 80.7% |
| 営業利益 | 3.2億円 | 7.2億円 |
| 営業利益率(%) | 11.5% | 18.0% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.9億円(構成比24%)、販売促進費が4.6億円(同18%)、業務委託費が4.3億円(同17%)を占めています。売上原価は7.7億円で、売上原価合計に対する構成比は100%(売上高比では19%)となっています。
■(3) セグメント収益
DXソリューション事業は、AI活用研修などの新サービスが好調で、売上高・利益ともに大幅に増加しました。一方、コンテンツ事業は受注の低迷や原価率の上昇により、減収減益となりました。全社費用はほぼ横ばいで推移しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| DXソリューション事業 | 25億円 | 37億円 | 5.2億円 | 9.4億円 | 25.3% |
| コンテンツ事業 | 3.1億円 | 3.0億円 | 0.6億円 | 0.5億円 | 15.5% |
| 調整額 | - | - | -2.7億円 | -2.6億円 | - |
| 連結(合計) | 28億円 | 40億円 | 3.2億円 | 7.2億円 | 18.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.5億円 | 4.2億円 |
| 投資CF | -1.2億円 | -0.7億円 |
| 財務CF | -0.4億円 | -0.6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は74.5%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「全国、全ての中小企業を黒字にする」という理念を掲げています。この理念に基づき、インターネット関連技術を活用して、様々な業種の中小・零細企業に対する総合的な経営支援を行うことを事業の基本方針としています。
■(2) 企業文化
事業推進にあたり、各地域の有力企業、地方自治体、金融機関などのパートナーとの強固な連携を重視しています。地域に根ざしたきめ細かい支援を実現し、大都市圏に集中しがちなリソースを地方へ還元することで地方経済の活性化に貢献することを目指しています。また、高い倫理観と使命感を持って社会課題に取り組む姿勢を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的な企業価値向上のため、売上高成長率および売上高営業利益率を重視する経営目標を掲げています。収益性を意識しながら事業の拡大と成長を実現することを目指しており、市場の新たな需要や変化に迅速かつ的確に対応していく方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
DXソリューション事業では、商材の安定供給と品質向上、パートナー企業の適切な拡充とフォロー強化、士業活用支援サービスの推進を重点施策としています。また、AI活用領域における新サービスの展開や、コンテンツ事業における新メディア・デバイスへの対応、両事業の連携強化による全国展開を進め、事業規模の拡大を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を最も大切な経営資本の一つと位置づけ、多様性の確保と人材育成に注力しています。新卒・中途採用を積極的に行い、地方拠点での現地採用も推進しています。また、能力や実績に応じた処遇、女性管理職比率の向上、柔軟な働き方の推進などを通じて、従業員が長期にわたり活躍できる環境整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 34.4歳 | 5.4年 | 460万円 |
※平均年間給与は基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 30.2% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※男性育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、「女性活躍推進法」および「育児・介護休業法」の規定による公表を行っていないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 商材の安定供給と品質維持
インターネット業界は技術革新が早く、常に新たな商材を供給する必要があります。自社や外注先の開発力低下等により適切な商材供給が困難になった場合、パートナー企業のニーズを満たせず事業拡大に支障が出る可能性があります。また、商材の不具合等により品質が低下した場合も業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) パートナー企業への依存と管理
DXソリューション事業の売上はパートナー企業数やその活動に依存しています。パートナー企業数が増加しない場合や、小規模で与信リスクの高いパートナー企業の経営悪化により代金回収が困難になった場合、同社グループの業績や事業遂行に悪影響を与える可能性があります。
■(3) システム障害と情報漏洩
事業においてサーバー等のハードウェアを利用しており、アクセス集中、災害、不正アクセス等によるシステムダウンのリスクがあります。また、クリエイター等の個人情報を扱っているため、情報漏洩が発生した場合は信用低下や損害賠償請求等により業績に影響を及ぼす可能性があります。



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