※本記事は、SIGグループ の有価証券報告書(第34期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
SIGグループ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
1. SIGグループってどんな会社?
同社は、独立系IT企業として幅広い業種のシステム開発およびインフラ・セキュリティサービスを手掛ける企業です。
■(1) 会社概要
1991年に住友金属工業(現日本製鉄)グループの出資により設立され、2000年に独立系として再出発しました。その後、M&Aや事業所の開設を通じて規模を拡大し、2018年にJASDAQ(現東証スタンダード)へ上場しました。2021年には持株会社体制へ移行し、商号を現在のSIGグループに変更しています。近年も積極的なM&Aにより事業領域を広げています。
2025年3月31日時点の連結従業員数は763名(単体39名)です。大株主構成を見ると、筆頭株主は創業者の関連会社と思われる株式会社IGカンパニー、第2位は同社副社長の八田英伸氏、第3位は健康管理サービスなどを手掛ける株式会社バリューHRとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| IGカンパニー | 28.60% |
| 八田 英伸 | 5.04% |
| バリューHR | 4.70% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は石川純生氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石川 純生 | 代表取締役社長 | 住友金属工業(現日本製鉄)入社、住金制御エンジニアリング常務を経て1991年にエスアイインフォジェニック(現SIGグループ)を設立し取締役就任。1993年より現職。 |
| 八田 英伸 | 代表取締役副社長(管理部門担当) | ビジネスブレイン社長を経て2005年に同社専務取締役に就任。アクト・インフォメーション・サービス取締役等を兼務し、2023年より現職。 |
社外取締役は、平林尚人(あかつき総合法律事務所弁護士)、中山英志(中山英志公認会計士事務所代表)、青木喜彦(あいわ税理士法人税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「システム開発事業」および「インフラ・セキュリティサービス事業」を展開しています。
■(1) システム開発事業
官公庁・地方自治体向けの公共事業や金融・サービス業向けの情報システム、プラントや製造装置向けの制御・組込みシステムなど、多岐にわたる分野で開発を行っています。特に公共事業の人事給与システムや、産業用ロボットの制御システム、自動車向けテレマティクスサービスなどに強みを持ちます。
主な収益は、顧客企業からのシステム開発案件の受託開発費や保守運用費です。運営は主に連結子会社のSIG、アクト・インフォメーション・サービス、ユー・アイ・ソリューションズ、エイ・クリエイションなどが担っており、各社の専門性を活かしたサービス提供を行っています。
■(2) インフラ・セキュリティサービス事業
ITインフラの設計・構築から運用管理までを行うITインフラソリューションと、セキュリティ診断や脆弱性対策などを提供するセキュリティサービスを展開しています。AWSやAzureなどのクラウド環境構築にも注力しており、クラウドサービスのパートナー認定を取得しています。
収益は、サーバやネットワーク等のインフラ構築費用、保守運用費、およびセキュリティサービスの提供対価などから構成されています。運営は主に子会社のSIGなどが担当しており、システム開発と連携したワンストップでのサービス提供を強みとしています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2021年3月期から2025年3月期までの業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで成長を続けています。特に直近の2025年3月期は大幅な増収となりました。利益面でも、経常利益率は5%〜8%台で推移しており、安定した収益性を維持しつつ規模を拡大させていることが読み取れます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | 49億円 | 54億円 | 69億円 | 88億円 |
| 経常利益 | - | 3.9億円 | 4.6億円 | 3.6億円 | 6.5億円 |
| 利益率(%) | - | 8.0% | 8.4% | 5.2% | 7.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.4億円 | 1.1億円 | 2.6億円 | 2.9億円 | 3.1億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の業績を比較すると、売上高は約19億円の増加、営業利益も約2.3億円の増加と大幅な成長を遂げています。売上総利益率および営業利益率ともに改善傾向にあり、増収効果に加えて収益性の向上も進んでいることがうかがえます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 69億円 | 88億円 |
| 売上総利益 | 15億円 | 19億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.3% | 21.5% |
| 営業利益 | 3.6億円 | 5.8億円 |
| 営業利益率(%) | 5.1% | 6.7% |
販売費及び一般管理費のうち、その他経費が5億円(構成比40%)、給料及び手当が4億円(同28%)を占めています。
■(3) セグメント収益
システム開発事業、インフラ・セキュリティサービス事業ともに売上高は前期比で大きく増加しました。特にインフラ・セキュリティサービス事業は前期比約65%増と著しい成長を見せており、ユー・アイ・ソリューションズの子会社化などが寄与しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| システム開発 | 52億円 | 60億円 |
| インフラ・セキュリティサービス | 17億円 | 28億円 |
| 連結(合計) | 69億円 | 88億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動で得たキャッシュを借入金と合わせて、M&Aや子会社株式取得などの投資活動に積極的に振り向ける「積極型」のキャッシュ・フロー状態にあります。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.1億円 | 5.3億円 |
| 投資CF | 2.7億円 | -5.7億円 |
| 財務CF | -1.5億円 | 4.8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は21.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「ITイノベーションにより社会の高度化に貢献する」「自己革新と研鑽により社会のニーズにこたえる」「幅広く人材を受け入れプロフェッショナルとして育成する」「会社の発展と業績の拡大によって社員の幸福を目指す」の4つを経営理念として掲げています。ITを通じて社会を便利で安全な方向へ導き、社員一人一人の力を集結して社会貢献と社員の幸福の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
「Going All Together to SUCCESS」を合言葉に、社員全員で挑戦し続ける風土を大切にしています。人材育成を企業の使命と捉え、育成・指導・話し合いを通じてビジネスを前進させる姿勢や、高いレベルの要求に応えるための自己変革と技術研鑽を推奨する文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、持続的な成長と企業価値向上を図るため、以下の数値目標を掲げています。
* 売上高営業利益率:7%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
既存顧客との関係維持・発展に加え、新たな価値創造に向けた成長戦略に取り組んでいます。特にAI・クラウド・セキュリティ分野での事業拡大や地域展開の強化を目指し、以下の施策を推進しています。
* M&Aの推進(事業領域拡大、首都圏と地域の連携強化)
* AI・IoT事業の推進(スマートファクトリー実現、技術革新)
* クラウド・セキュリティ事業の推進(AWS・Azure等の活用、クラウドソリューション拡大)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人材がすべて」という考えのもと、教育専門組織による幅広い教育制度や資格取得支援を実施しています。全国拠点でのIターン・Uターン採用や新卒採用に加え、M&Aを通じた人材確保も推進しています。「幅広く人材を受け入れ、プロフェッショナルとして育成する」方針を掲げ、多様性を尊重した組織づくりを行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 46.1歳 | 11.3年 | 7,223,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 26.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 74.7% |
| 男女賃金差異(正規) | 66.9% |
| 男女賃金差異(非正規) | 125.7% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性労働者の割合(23.4%)、グローバル採用割合(1.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済・市場環境によるIT投資姿勢の影響
情報サービス産業は経済情勢や景気動向の影響を受けやすく、顧客企業のIT投資意欲が減退した場合、同社グループの受注や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。市場動向の早期把握に努めていますが、予期せぬ景気低迷によるリスクがあります。
■(2) 人材の確保と育成
事業成長は人材に大きく依存しており、専門的なスキルを持つ技術者の確保が最重要課題です。人材不足が深刻化する中、計画通りに採用が進まない場合や、離職率が増加した場合には、プロジェクトの遂行能力や生産性が低下し、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 不採算プロジェクトの発生
一括請負型の開発案件において、見積もりの甘さや仕様変更、予期せぬ技術的課題などにより、開発工数が当初予定を超過するリスクがあります。プロジェクト管理の徹底を図っていますが、不採算案件が発生した場合、収益性を圧迫する要因となります。
■(4) 情報システムのトラブル
事業活動において多数のコンピュータ機器を利用しており、サイバー攻撃やシステム障害のリスクに晒されています。セキュリティ対策やバックアップ体制を強化していますが、予期せぬトラブルにより情報の漏洩や業務停止が発生した場合、信用の失墜や損害賠償につながる可能性があります。



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