※本記事は、SIGグループの有価証券報告書(第35期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. SIGグループってどんな会社?
社会インフラを支えるシステム開発やセキュリティサービスを展開しています。
■(1) 会社概要
1991年に設立され、2000年に独立系システムインテグレーターとして出発しました。2018年にJASDAQへ上場し、2021年には持株会社体制へ移行して現在のSIGグループへ商号変更を行いました。近年は積極的なM&Aによる事業領域の拡大を進めています。
従業員数は連結で787名、単体で33名です。筆頭株主はIGカンパニーで、第2位は役員の八田英伸氏となっています。第3位にはバリューHRが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| IGカンパニー | 28.37% |
| 八田英伸 | 5.04% |
| バリューHR | 4.66% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長の石川純生氏がトップを務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石川純生 | 代表取締役社長 | 元住金制御エンジニアリング常務取締役。1991年に同社設立に参画し取締役に就任。1993年より現職。 |
| 八田英伸 | 代表取締役副社長(管理部門担当) | 2001年にビジネスブレイン代表取締役社長を経て、2005年に同社専務取締役に就任。2023年より現職。 |
社外取締役は、平林尚人(弁護士)、中山英志(公認会計士)、青木喜彦(税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「システム開発およびインフラ・セキュリティサービス」事業を展開しています。
■(1) システム開発
社会インフラ分野を中心とした業務系システムや制御・組込みシステムの開発を行っています。公共、電力、製造、通信、金融など幅広いミッションクリティカル領域において、企画から設計、開発、運用支援までを提供しています。
収益源は、顧客からのシステム開発や運用保守に対する対価です。主にSIG、アクト・インフォメーション・サービス、ユー・アイ・ソリューションズ、エイ・クリエイションなどのグループ企業が事業を運営しています。
■(2) インフラ・セキュリティサービス
クラウド環境を中核としたIT基盤の設計・構築から、導入支援、運用管理までを一体的に提供しています。また、サイバー攻撃の高度化に対応するため、セキュリティ診断などの包括的な専門サービスも手掛けています。
主な収益源は、クラウド構築やセキュリティ対策などのサービス提供に対する対価です。近年は、これらのサービスをシステム開発と連携させることで高付加価値化を図っており、同社グループの各社が顧客のDX推進を支援しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
右肩上がりで売上規模の拡大を続けており、直近5年間で売上高は倍増以上に成長しています。利益面でも一時的な足踏みはあったものの、概ね堅調な増益基調で推移しており、成長性の高さが伺えます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 49.2億円 | 54.2億円 | 69.1億円 | 87.7億円 | 108.8億円 |
| 経常利益 | 3.9億円 | 4.6億円 | 3.6億円 | 6.5億円 | 7.8億円 |
| 利益率(%) | 8.0% | 8.4% | 5.2% | 7.5% | 7.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.1億円 | 2.6億円 | 2.9億円 | 3.1億円 | 4.7億円 |
■(2) 損益計算書
増収に伴い売上総利益、営業利益ともに増加しています。利益率も前年と同水準を維持しており、売上規模の拡大と利益創出のバランスが取れた収益構造を構築しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 87.7億円 | 108.8億円 |
| 売上総利益 | 18.9億円 | 24.0億円 |
| 売上総利益率(%) | 21.5% | 22.0% |
| 営業利益 | 5.8億円 | 7.5億円 |
| 営業利益率(%) | 6.7% | 6.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.4億円(構成比27%)、役員報酬が2.5億円(同15%)を占めています。
■(3) セグメント収益
システム開発分野が既存顧客案件の拡大やM&Aによる子会社化の効果で大幅な成長を遂げ、全体の売上増を強力に牽引しています。インフラ・セキュリティサービス分野も安定的な伸びを見せています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| システム開発 | 59.6億円 | 78.0億円 |
| インフラ・セキュリティサービス | 28.1億円 | 30.8億円 |
| 連結(合計) | 87.7億円 | 108.8億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業活動で十分なキャッシュを創出しつつ、借入金の返済等で財務活動のキャッシュフローがマイナスとなっていることから、堅実な資金繰りを行う健全型の状態にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.3億円 | 6.9億円 |
| 投資CF | -5.7億円 | -1.0億円 |
| 財務CF | 4.8億円 | -3.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は46.6%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「ITイノベーションにより社会の高度化に貢献する」「自己革新と研鑽により社会のニーズにこたえる」「幅広く人材を受け入れプロフェッショナルとして育成する」「会社の発展と業績の拡大によって社員の幸福を目指す」の4つを基本方針として掲げています。
■(2) 企業文化
「Going All Together to SUCCESS」を合言葉に、社員全員の夢を実現しつつ、事業を通じて社会貢献を目指しています。高いレベルの要求に応えるため、自己変革と先端技術の研鑽を重視する挑戦的な企業文化があります。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長と企業価値向上を図るため、売上高営業利益率7%以上の達成を目標としています。人員の増加が売上成長に直結するため、人員増減数や稼働率を重視する経営管理を行っています。
■(4) 成長戦略と重点施策
AI、クラウド、セキュリティ分野の事業領域拡大を目指し、M&Aや業務提携を推進します。また、先端技術推進センター(ITAC)やクラウドAIイノベーションセンター(CAIC)を通じ、新規事業領域の創出と既存事業の高度化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
情報サービス産業において「人材がすべて」との考えのもと、教育専門組織の配置による階層別研修や資格取得支援を実施しています。国内外を問わず優秀な人材を採用し、課題解決型のプロフェッショナル人材の育成を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 41.2歳 | 10.3年 | 7566000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 41.2% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 66.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 58.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 163.9% |
※男性労働者の育児休業取得率については、有価証券報告書に省略理由の記載はありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性労働者の割合(24.6%)、グローバル採用割合(1.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 顧客のIT投資動向による影響
同社グループが事業を展開する情報サービス産業は、経済情勢の低迷や技術進歩による企業のIT投資動向に影響を受けやすい傾向があります。景気悪化等で顧客のIT投資が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 専門技術者の確保と育成
システムの開発には労働力の集約と専門性が不可欠であり、一定水準以上のスキルを持つ技術者の確保が最重要課題です。計画通りの人材確保ができない場合や離職率が増加した場合、事業活動に支障をきたす恐れがあります。
■(3) 不採算プロジェクトの発生
一括請負型の開発案件では、開発工程の遅延や品質問題、運用時の不具合など、予測不可能な要因により想定外のコストが発生することがあります。問題が深刻化した場合、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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