※本記事は、株式会社エーアイ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
エーアイは、設立以来「音声合成」に特化して事業を展開してきましたが、合併や子会社化により事業区分を再編し、現在は音声事業、CRM事業、ライバーマネジメント事業、その他事業の4区分で展開しています。
単体従業員数は110名、連結従業員数は114名です。セグメントは音声事業、CRM事業、ライバーマネジメント事業、その他事業の4つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)スーパーワン(その他事業)、Lapis Live(ライバーマネジメント事業)などです。
エーアイは2024年10月にフュートレックと合併し、2025年4月にはLapis Liveを完全子会社化しました。これにより事業区分を再編しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
エーアイは、音声技術を核に社会貢献を目指す企業です。社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できるよう、多様な働き方を支援する環境整備に力を入れています。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社グループの職場環境の傾向を把握できます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
エーアイでは、社員が長く安心して働けるような環境づくりに注力しており、平均勤続年数や平均年齢からその傾向をうかがうことができます。多様なライフステージに対応した柔軟な働き方を推進し、社員の定着と能力発揮を支援しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,290,000円 |
| 平均勤続年数 | 9.1年 |
| 平均年齢 | 42.8歳 |
| 単体従業員数 | 110人 |
| 連結従業員数 | 114人 |
| 単体のグループ内比率 | 96.5% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
エーアイは、AI音声技術やデジタルマーケティング、クラウドサービス、データ活用といった専門知識を持つ人材の確保と育成を重要な経営課題と位置付けています。IT人材の獲得競争が激しい中で、採用活動の強化と社員の能力向上を支援する教育・育成体制の充実に力を入れています。
給与やその他の給付については、各部門の業績や個人の評価を基礎とし、最低賃金や物価の上昇も考慮して決定する方針です。また、「人権の尊重・働きやすい職場環境・女性活躍の推進」を重点テーマに掲げています。
社員一人ひとりがライフステージに応じて多様で柔軟な働き方を選択し、安心して働き続けられる職場環境を目指しており、具体的にはフレックスタイム制度や在宅勤務制度の整備を進めています。これらの取り組みを通じて、人材の定着と組織力の強化を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。連結子会社は、女性活躍推進法および育児介護休業法の公表義務対象外のため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 20.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 64.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 69.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 35.5% |
女性活躍の推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員の女性比率 | 38.3% |
| 管理職の女性比率 | 20.0% |
子育て支援の推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 過去1年間の育児休業制度の利用者数(男性) | 1名 |
| 過去1年間の育児休業制度の利用者数(合計) | 2名 |
働き方改革の推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 過去1年間の月平均残業時間 | 11.7時間 |
| 過去1年間の平均有給消化率 | 83.0% |
| 在宅勤務実施者割合 | 82.6% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
エーアイグループは、音声合成・音声認識技術を核とした「音声事業」を主軸に、顧客データ活用を支援する「CRM事業」、ライブ配信者の育成・マネジメントを行う「ライバーマネジメント事業」、そしてデジタル教材開発の「その他事業」と、多角的な事業を展開しています。同社グループは、合併や子会社化を通じて事業領域を拡大し、多様なニーズに応えるソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、設立以来培ってきた音声合成技術を基盤とし、近年では音声認識技術やCRMソリューション、さらにはライバーマネジメントといった新たな領域にも進出しています。これらの事業を通じて、法人から個人まで幅広い顧客層に対し、多様な製品やサービスを提供しています。
音声事業
同社グループの主力事業であり、高品質な音声合成エンジン「AITalk®」シリーズや、騒音下でも高精度な音声認識システム「vGate®」シリーズを提供しています。利用シーンや顧客ニーズに応じて最適な技術と提供形態を選択できる柔軟性が特徴です。
収益は、音声合成エンジンのライセンス供与、受託開発、クラウドサービス、パッケージソフトウェアの販売、コンシューマー向け製品の販売などから得ています。
CRM事業
顧客中心ビジネスを推進するための統合マーケティングプラットフォーム「Visionary®」を提供しています。顧客データの連携・活用機能を強化したCDP(Customer Data Platform)ツールとしてリニューアルし、顧客理解に基づくマーケティング施策の実行と効果検証を支援しています。
収益は、CRMサービスの販売や、導入企業独自の要望に応じたオーダーメイドのシステム構築から得ています。
ライバーマネジメント事業
ライブ配信者やタレントの育成、マネジメント、プロモート、関連イベントの企画・運営を行っています。運営は、完全子会社である株式会社Lapis Liveが行っています。
収益は、ライブ配信者やタレントのマネジメント、プロモート業務、各種イベントの企画・運営・管理から得ています。
その他事業
デジタル教科書や教材に関連するアプリ等の受託開発を行っています。運営は、連結子会社である株式会社スーパーワンが行っています。
収益は、デジタル教科書や教材に関連するアプリ等の受託開発から得ています。
同社グループの売上高は、当連結会計年度において株式会社NTTドコモが11.3%、前連結会計年度において国立研究開発法人情報通信研究機構が14.9%を占めており、特定の顧客への売上集中が見られます。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 音声事業 | 11.6億円 | 11.3億円 |
| CRM事業 | 2.9億円 | 5.7億円 |
| その他事業 | 37百万円 | 84百万円 |
| ライバーマネジメント事業 | - | 68百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近の業績は、売上高が前連結会計年度から増加傾向にあります。一方で、営業利益は減少傾向を示しています。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の損失から当連結会計年度は黒字に転換しました。
これらの変動には、株式会社フュートレックとの合併や株式会社Lapis Liveの完全子会社化、東証スタンダード市場への市場変更に伴う上場関連費用、そして政策保有株式の見直しによる投資有価証券売却益などが影響しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | 14.9億円 | 18.5億円 |
| 経常利益 | - | - | - | 1.3億円 | 79百万円 |
| 経常利益率 | - | - | - | 8.8% | 4.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | △16百万円 | 1.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | △2.68 | 17.77 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前連結会計年度と比較して増加しています。これは、同社グループ全体の事業規模が拡大していることを示しています。一方、従業員1人あたりの営業利益は、前連結会計年度から減少しています。
これらの指標は、同社グループの生産性や収益体質の変化を反映しており、事業拡大に伴う組織効率化の動向を読み取ることができます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 13.5百万円 | 16.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.0百万円 | 0.9百万円
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
エーアイは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている段階です。手元資金を使いながら事業拡大を進めている状況がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
エーアイの財務基盤は、自己資本比率が高く、安定性が高い状態を示しています。自己資本比率はプライム市場の平均と比較しても高い水準にあります。一方で、ROE(自己資本利益率)はプライム市場の平均を下回る水準となっています。手元資金である現金及び預金は前期から減少しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 25.2億円 | 22.2億円 |
| 自己資本比率 | 79.6% | 87.0% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 4.9% |
| 現金及び預金 | 15.9億円 | 14.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持しており、本業で資金を生み出している状況です。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加、のれんの償却額、減価償却費の増加が要因となっています。
一方で、投資活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっており、主に定期預金の預入による支出が影響しています。財務活動によるキャッシュ・フローもマイナスであり、自己株式の取得による支出や非支配株主への配当金の支払額が主な要因です。
結果として、フリーキャッシュ・フローはマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている成長投資のフェーズにあることが示されています。この状況は、将来の成長に向けた積極的な取り組みが続いていることを示唆しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.0億円 | 0.8億円 |
| 投資CF | △2.5億円 | △4.2億円 |
| 財務CF | △3.8億円 | △2.7億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.4億円 | △3.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、AIの実用化が活発な音声事業やマイクロサービスアーキテクチャによるCRM事業において、画期的な技術やサービスが急速に拡大した場合に事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外に競合する有力な事業者が存在しており、既存事業者や新規参入事業者との競合によって事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループの事業戦略を達成するためには、事業の立案・進捗を担う役員を含む管理職と高度なスキルを有する技術者が必要です。求める人材の採用が進まなかった場合、同社グループの事業に支障をきたす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
株式会社エーアイは、先進的なAI音声技術とCRMサービスを軸に、社会に新たな価値を創造することを目指しています。技術を通じて人々の幸せに貢献する企業文化を大切にしています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
エーアイの経営の基本方針は、先進的で高品質な技術を安定的に提供することです。企業理念として「テクノロジーで皆が幸せな社会を創り出す」を掲げており、独自の技術を駆使して様々な分野に新たな価値を提案し、挑戦することを重視しています。
音声事業では、音声合成技術と音声認識技術の統合による新たな音声ソリューションの創出を目指しています。また、CRM事業では、顧客データの連携・活用機能を強化した「Visionary®」を通じて、法人顧客の多様なニーズに対応するサービス提供体制の強化を図っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、企業理念と行動規範に基づき、全てのステークホルダーとの対話を尊重する企業風土を大切にしています。SDGsを含めた持続可能な社会の実現に積極的に取り組み、信頼される企業を目指しています。
具体的には、「音声技術で新しい社会価値の創造」「人権の尊重・働きやすい職場環境・女性活躍の推進」「社会からの信頼の獲得」を掲げています。社員一人ひとりがライフステージに応じて多様で柔軟な働き方を選択し、能力を最大限発揮できる職場環境の整備に努めており、フレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的な成長を実現するため、複数の経営課題に取り組んでいます。資本効率を意識した経営の推進により、経営効率の向上を図っています。
また、AI音声技術やデジタルマーケティング等に関する専門知識を持つ人材の確保と育成を重要な課題と認識し、採用活動の強化や教育・育成体制の充実に努めています。多様な働き方に対応した就業環境の整備や、働きがいの向上に資する制度運用を通じて、組織力の強化を図っています。さらに、事業規模に応じた内部管理体制の整備と、技術力やサービス価値の訴求によるブランド認知の向上も重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
エーアイの取締役会は社外取締役を含む体制で構成されており、監査等委員会設置会社としてガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
エーアイの筆頭株主は廣飯伸一氏であり、個人株主が上位を占める構成となっています。また、事業会社であるソルクシーズや、複数の個人株主が上位に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 廣飯 伸一 | 14.42% |
| ソルクシーズ | 4.10% |
| 吉田 大介 | 3.39% |
| 吉田 大志 | 2.47% |
| 亀井 佳代 | 2.38% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長は廣飯伸一氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 廣飯 伸一 | 代表取締役社長 | 1989年4月株式会社リクルート入社、2001年6月べスコムシステムズ株式会社代表取締役就任。2004年6月同社取締役就任、2022年6月同社代表取締役社長就任。2025年4月株式会社Lapis Live代表取締役より現職。 |
| 小川 遼 | 取締役 | 2007年4月国会議員秘書。2019年3月同社入社、2024年6月同社取締役就任。2025年4月株式会社Lapis Live取締役社長、2026年4月同社取締役経営企画室室長より現職。 |
| 井上 将志 | 取締役 | 1996年4月三菱電機株式会社入社。2008年3月株式会社フュートレック入社、2019年6月同社取締役就任。2024年10月合併により同社取締役CRMビジネスグループ統括、2025年7月同社取締役経営管理グループ統括より現職。 |
| 深田 俊明 | 取締役 | 1990年4月キヤノン株式会社入社。1999年2月東京工業大学より博士(工学)授与。2014年5月株式会社ATR-Trek代表取締役就任。2024年10月合併により同社取締役音声ビジネスグループ技術統括、2025年4月同社音声ビジネスグループ統括より現職。 |
社外取締役は、栗原学氏(栗原公認会計士事務所所長・監査等委員)、長尾章氏(ソルクシーズ取締役会長・監査等委員)、金丸祐子氏(外苑法律事務所パートナー・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が経営の監査・監督機能の強化を通じて、経営の健全性と透明性を高める役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
エーアイの役員報酬は、基本報酬と譲渡制限付株式報酬制度を組み合わせた体系となっています。業績連動報酬は現時点では導入されていません。報酬の決定プロセスにおいては、社外取締役が過半数を占める指名報酬委員会が諮問機関として機能しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 57百万円 | 14.3百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 17百万円 | 3.4百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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