ログリー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ログリー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社はグロース市場に上場し、ネイティブ広告プラットフォーム事業を主力とする企業です。直近の決算では、インターネット広告市場の競争激化や単価下落の影響を受け、売上高は16.1億円に減少しました。利益面でも経常損失1.6億円、当期純損失1.9億円となり、減収かつ赤字幅が拡大する厳しい業績トレンドにあります。


※本記事は、ログリー株式会社 の有価証券報告書(第19期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ログリーってどんな会社?


同社は、ネイティブ広告プラットフォーム「LOGLY lift」を主力とし、独自の文脈解析技術強みとするテクノロジー企業です。

(1) 会社概要


2006年に栃木県で設立され、2012年に主力となるネイティブ広告配信サービス「LOGLY lift(現LOGLY Ads Context)」の提供を開始しました。2018年に東証マザーズへ上場を果たし、2019年にはデータマーケティング事業「Juicer」の運用を開始して事業領域を拡大しています。2025年3月には統合マーケティングプラットフォーム「LOGLY Marketing Nexus」を発表し、サービスの統合とブランド統一を進めています。

現在の従業員数は連結・単体ともに40名です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の吉永浩和氏で、第2位はネット広告事業等を展開し、同社と資本業務提携を結んでいるマイクロアドです。第3位には取締役CFOの岸本雅久氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
吉永 浩和 24.01%
マイクロアド 10.00%
岸本 雅久 6.61%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性0名の計5名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は吉永浩和氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。

氏名 役職 主な経歴
吉永 浩和 代表取締役社長 2000年ソフトウエアマネジメント入社。2006年同社設立、代表取締役就任。2011年早大大学院にて博士(工学)取得。2025年より事業統括執行役員を兼任し現職。
岸本 雅久 取締役CFO 1984年ソフトウエアマネジメント入社。2007年同社取締役管理部長、2018年取締役CFO就任。2024年より現職。


社外取締役は、橋本訓幸(弁護士)、笹部秀樹(元監査法人公認会計士)、川口幸作(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ネイティブ広告プラットフォーム事業」を展開しています。

ネイティブ広告プラットフォーム事業


同社は、デザインや内容が媒体のコンテンツと一体化した「ネイティブ広告」を配信するプラットフォーム「LOGLY lift(現LOGLY Ads Context)」を主軸に展開しています。主な顧客は広告主(代理店含む)と媒体社であり、独自の文脈解析技術を用いて記事内容を解析し、最適な広告を配信することで、ユーザー体験を損なわない広告表示を実現しています。また、周辺領域としてデータ分析ツール「Juicer」やSNS広告配信「lift Plus」などを統合した「LOGLY Marketing Nexus」や、BtoB向けサービス「ウルテク」も提供しています。

収益は主に広告主から広告掲載料を受け取るモデルとなっており、その一部を媒体社へ支払います。また、BtoBサービスでは企業のWebサイト訪問者の可視化や分析に基づくマーケティング支援を行い、サービス利用料などを得ています。運営は主に同社が行っていますが、2025年1月に子会社化したEGGもSNSマーケティング領域などで事業に関与しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2021年3月期の39.6億円をピークに減少傾向が続いており、2025年3月期には16.1億円まで縮小しています。利益面でも、2021年3月期や2023年3月期には経常黒字を確保していましたが、直近2期は連続して経常損失を計上しており、2025年3月期は1.6億円の赤字となりました。競争環境の激化や広告単価の下落などが影響し、収益性の改善が課題となっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 39.6億円 26.8億円 26.9億円 20.5億円 16.1億円
経常利益 2.1億円 0.2億円 1.3億円 -0.0億円 -1.6億円
利益率(%) 5.2% 0.9% 4.9% -0.1% -10.3%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.2億円 -6.8億円 1.3億円 -0.5億円 -1.9億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高が20.5億円から16.1億円へと約22%減少しました。これに伴い売上総利益も4.6億円から2.8億円へと大幅に縮小し、売上総利益率も低下しています。販売費及び一般管理費は若干減少しましたが、売上総利益の減少をカバーできず、営業損失が0.0億円から1.6億円へと拡大しました。コスト構造の見直しや収益力の回復が急務となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 20.5億円 16.1億円
売上総利益 4.6億円 2.8億円
売上総利益率(%) 22.4% 17.7%
営業利益 -0.0億円 -1.6億円
営業利益率(%) -0.1% -10.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が1.3億円(構成比30%)、支払報酬が0.8億円(同18%)、地代家賃が0.7億円(同16%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は「ネイティブ広告プラットフォーム事業」の単一セグメントです。主力サービスである「LOGLY lift」において、広告単価の下落やインプレッション数の低下が生じ、売上が減少しました。市場環境の変化やCookie規制への対応などが影響しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
ネイティブ広告プラットフォーム事業 20.5億円 16.1億円
連結(合計) 20.5億円 16.1億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -1.1億円 -1.3億円
投資CF -0.1億円 0.3億円
財務CF -1.9億円 -1.6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出されていませんが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.8%で、グロース市場の非製造業平均(43.3%)とほぼ同等の水準です。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「イノベーションで世界中の人々にワクワクを」というミッションを掲げています。テクノロジーがパラダイムシフトを起こし生活を豊かにする力を持っていると考え、独自の技術でイノベーションを生み出し、世界中の人々がワクワクするようなサービスの提供を目指しています。

(2) 企業文化


同社はバリューとして「自律し成長する」「謙虚に学び続ける」「チャレンジし続ける」「ワクワクを発見する」「顧客視点で感動を提供する」「スピーディーに対応する」「仲間と共に築く」を掲げています。メンバーが自らの意志で能力を向上させ、失敗を恐れずに挑戦し、楽しみながら働き、チームで目標に向かう姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、より高い成長性および収益性を確保する視点から、「売上高成長率」および「売上高総利益率」を重要な経営指標として位置づけています。具体的な数値目標については、有価証券報告書内での明記はありません。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、既存事業の収益拡大と新規事業への取り組みを軸に戦略を展開しています。既存のネイティブ広告では、AIを活用した広告効果の向上や営業体制の見直し、Cookieレス技術の強化を進めています。また、各種サービスを統合した「LOGLY Marketing Nexus」によりソリューション価値を高めています。新規事業では、BtoB向けデータプラットフォーム「ウルテク」やSNSマーケティングなどへ領域を広げ、多角的な収益基盤の構築を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、AIやビッグデータを活用できる高度な知識と技術を持つ人材の確保を不可欠と考えています。エンジニアやデータ解析の専門家の採用競争が激化する中、採用手段の多様化や教育制度の整備、働きやすい職場環境づくりを進めることで、優れた人材の採用と定着を実現し、長期的に力を発揮できる体制の構築を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 35.9歳 5.6年 5,407,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 28.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 81.1%
男女賃金差異(正規雇用) 82.5%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


※男女賃金差異(非正規雇用)については、対象者がいないため記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット広告市場について


インターネット広告市場は拡大傾向にありますが、環境整備や新たな法的規制の導入等により市場発展が阻害された場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、広告配信手法や販売メニューの多様化により競争が激化しており、革新的な技術が出現した場合、ネイティブ広告への需要が縮小するリスクがあります。

(2) 競合サービスについて


同社が主戦場とするネイティブ広告市場は成長速度が鈍化傾向にあります。今後、同社サービスが十分な差別化や機能向上を図れない場合や、新規参入によって競争がさらに激化した場合には、同社の財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

(3) 技術革新への対応


同社はビッグデータ解析技術を基盤としていますが、技術革新のスピードが速い業界であるため、新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合や、競合他社が革新的な技術を開発した場合、同社の競争力が低下し、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 特定事業への依存


同社の収益は、ネイティブ広告プラットフォーム「LOGLY Ads Context(旧LOGLY lift)」による広告配信サービスに大きく依存しています。そのため、同サービスの成長に何らかの問題が生じた場合、同社の財政状態および経営成績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。