※本記事は、ログリー株式会社の有価証券報告書(第20期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ログリーってどんな会社?
同社は、独自のデータ解析技術を軸に、インターネット広告プラットフォームやSNSマーケティングを展開しています。
■(1) 会社概要
2006年に設立され、2012年にネイティブ広告配信サービスを開始しました。2018年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2024年にはデータプラットフォームを開発して新規領域へ参入しています。2025年にはEGGを完全子会社化し、SNSマーケティング事業を拡大しています。
現在の従業員数は連結・単体ともに34名体制で事業運営を行っています。筆頭株主は創業者の吉永浩和氏で、第2位には資本業務提携を締結している事業会社のマイクロアドが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 吉永浩和 | 24.01% |
| マイクロアド | 10.00% |
| 岸本雅久 | 6.61% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性4名、女性0名の計4名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は吉永浩和氏が務めており、社外取締役比率は75.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉永浩和 | 代表取締役社長 | 2000年ソフトウエアマネジメント入社。2006年同社設立、代表取締役就任。2011年早稲田大学大学院博士課程修了。2025年EGG取締役就任。現在に至る。 |
社外取締役は、橋本訓幸(弁護士)、笹部秀樹(公認会計士)、川口幸作(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ネイティブ広告プラットフォーム事業」の単一セグメントですが、主に以下の3つの事業領域を展開しています。
■アドプラットフォーム事業
ネイティブ広告を中心とし、独自の文脈解析技術を用いて広告主と媒体社をマッチングするサービスを提供しています。広告主の課題解決を多角的に支援するマルチチャネル広告配信なども展開しています。
収益源は、広告主からの広告費および媒体社への広告配信対価などです。本事業の運営は主にログリーが主体となって行い、既存クライアントとの関係深化や高品質な媒体ネットワークの維持により、安定的な収益確保を目指しています。
■データプラットフォーム事業
BtoBマーケティング領域において、サイト訪問企業の可視化やAIによる行動データ分析を通じ、顧客企業のマーケティングから営業戦略の立案・実行までを一気通貫で支援するプロダクト群を提供しています。
収益源は、顧客企業から受け取るSaaS型の月額課金と、商談化や成約に連動する成功報酬型課金です。本事業の運営はログリーが行っており、独自のAIエージェント構築による差別化を図っています。
■SNSマーケティング事業
メガインフルエンサーとの専属契約を基盤としたインフルエンサーマーケティングや、SNSキャンペーンにおけるキャスティング、コンテンツ制作、SNSの運用代行などを提供しています。
収益源は、インフルエンサーマーケティングやSNSキャンペーンの発注企業からの各種支援費や制作費です。本事業の運営は完全子会社であるEGGが行い、国内最大手広告代理店との連携を軸にストック型の受注構造を構築しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は直近5期間において減少傾向が続いており、2024年3月期以降は経常赤字が連続しています。しかし、直近の2026年3月期は、構造改革等による原価や販売管理費の削減が進んだことで、利益面での赤字幅は縮小へと向かっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 27億円 | 27億円 | 21億円 | 16億円 | 14億円 |
| 経常利益 | 0.2億円 | 1.3億円 | -0.0億円 | -1.6億円 | -0.5億円 |
| 利益率(%) | 0.9% | 4.9% | -0.1% | -10.3% | -3.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -6.7億円 | 1.3億円 | -1.0億円 | -1.9億円 | -0.4億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高は減少したものの、売上総利益および同利益率は改善しています。営業利益についても、コストコントロール等の徹底によりマイナス幅を大幅に圧縮しており、収益体質の改善が見受けられます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 16億円 | 14億円 |
| 売上総利益 | 2.8億円 | 3.5億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.7% | 24.3% |
| 営業利益 | -1.6億円 | -0.5億円 |
| 営業利益率(%) | -10.1% | -3.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が1.1億円(構成比28.2%)、支払報酬が0.6億円(同16.4%)を占めています。また、売上原価は広告配信に対応する広告枠の仕入等が大半を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントであるため、事業全体の売上高推移となります。生成AI検索の普及によるオープンウェブメディア全体のトラフィック減少を背景に、売上高は前年を下回りましたが、販売体制の再編等により減収幅の抑制に努めています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ネイティブ広告プラットフォーム事業 | 16億円 | 14億円 |
| 連結(合計) | 16億円 | 14億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
当期のキャッシュ・フローは、本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的な状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1.3億円 | -1.1億円 |
| 投資CF | 0.3億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | -1.6億円 | -1.6億円 |
財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は45.5%で、市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「イノベーションで世界中の人々にワクワクを」というミッションを掲げています。独自のテクノロジーでイノベーションを生み出し、テクノロジーが生活を豊かにする力を秘めているという考えのもと、世界中の人々がワクワクするようなサービスを提供することを目指しています。
■(2) 企業文化
「自律し成長する」「謙虚に学び続ける」「チャレンジし続ける」「ワクワクを発見する」「顧客視点で感動を提供する」「スピーディーに対応する」「仲間と共に築く」というバリューを重視し、失敗を恐れずに挑戦し、協力し合いながら目標へ進む組織文化を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
より高い成長性および収益性を確保する視点から、売上高成長率および売上総利益率を重要な経営指標と捉え、既存市場の課題を解決し付加価値の高いプロダクトを生み出し続けることで、中長期的な企業価値の最大化を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
広告市況の影響を抑制した「安定収益型事業ポートフォリオ」への転換を戦略的に進めています。既存ネイティブ広告事業の構造改革と黒字化、生成AIの全社活用による広告運用の革新、新規領域であるデータプラットフォームやSNSマーケティング事業の成長・収益化の加速に注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な企業価値向上のため、人材を重要な「資本」と位置づけています。次世代の経営・マネジメント人材の育成、市場変化に即応するリスキリングの推進、独自の競争力を生み出す高度技術人材の育成に注力するとともに、心理的安全性と多様性に富んだ組織づくりや柔軟な働き方を追求しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 36.2歳 | 6.7年 | 5,433,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 20.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 69.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 70.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | - |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) インターネット広告市場の競争激化
同社が主力とするネイティブ広告市場において成長速度が鈍化する傾向にあり、市場の多様化や革新的な販売メニュー、新たな広告配信技術が出現した場合、既存サービスへの需要が縮小し業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 技術革新への対応遅れ
ビッグデータ解析技術を基盤とした事業展開において、新しい技術習得への投資を継続していますが、新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合や、競合他社が革新的な技術を開発した場合、競争力が低下するリスクがあります。
■(3) 法的規制やプラットフォームの動向
個人情報保護の高まりやcookie規制などインターネット広告業界のコンプライアンス意識が求められる中、新たな法令や行政指導が制定された場合や、大手プラットフォーマーによるトラッキング制限が強化された場合、事業展開に影響を及ぼす可能性があります。



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