サン・ライフホールディング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サン・ライフホールディング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するサン・ライフホールディングは、ホテル・ブライダル、式典(葬祭)、介護、互助会事業を展開する持株会社です。直近の業績は、ホテル事業や介護事業が好調に推移し売上高は141億円と増収を確保しましたが、人件費や新規出店費用の増加などにより営業利益は11億円と減益になりました。


※本記事は、株式会社サン・ライフホールディングの有価証券報告書(第8期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サン・ライフホールディングってどんな会社?


同社は、冠婚葬祭から介護まで、人生の様々な節目をサポートする総合生活支援企業です。

(1) 会社概要


1970年に神奈川県で冠婚葬祭サービス業として設立され、1972年に互助会事業を開始しました。事業の多角化や各種施設展開を進め、2004年にジャスダック市場に上場を果たしました。2018年には単独株式移転により持株会社のサン・ライフホールディングを設立して上場し、現在の体制へと移行しています。

従業員数は連結で478名、単体で47名体制です。大株主の状況は、過去に式典事業の営業譲渡等で関係のあるサカエヤが約45.65%を保有する筆頭株主となっています。第2位は学校法人鶴嶺学園、第3位は創業家の竹内氏となっており、地域や関係者を中心とした安定的な資本構成が見られます。

氏名 持株比率
サカエヤ 45.65%
学校法人鶴嶺学園 3.43%
竹内恵司 3.33%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は比企武氏が務めており、社外取締役比率は36.4%となっています。

氏名 役職 主な経歴
比企武 代表取締役社長 サン・ライフに入社し、総務部長や営業・総務担当の専務取締役を歴任。サン・ライフメンバーズ代表取締役社長を経て、2018年より現職。
竹内圭介 取締役会長 学校法人鶴嶺学園常勤職員を経て、サン・ライフ取締役やサン・ライフメンバーズ専務取締役に就任。同社代表取締役副社長を経て、2024年より現職。
竹内伸枝 取締役相談役 サン・ライフ取締役、専務取締役、式典部担当の取締役副社長を歴任。同社取締役相談役を経て、2018年より現職。
海老塚大介 取締役 サン・ライフに入社後、執行役員式典部長や常務執行役員業務本部長を歴任。サン・ライフ代表取締役社長を務め、2024年より現職。
黒崎寿雄 取締役 サン・ライフに入社し、執行役員介護部長やザ・サンパワー代表取締役を歴任。サン・ライフ取締役などを務め、2024年より現職。
笹尾茂樹 取締役 サン・ライフに入社し、執行役員ホテル部長や常務取締役営業部長を歴任。サン・ライフサービス代表取締役社長などを務め、2024年より現職。


社外取締役は、酒井美重子(ルミエール代表取締役)、熊谷聖一(日本印刷代表取締役社長)、小峰雄一(税理士法人綜合税務会計代表社員)、加藤伸樹(和田倉門法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホテル事業」「式典事業」「介護事業」および「その他」事業を展開しています。

ホテル事業


主にご婚礼、ご宴会、ご宿泊のサービス提供や、多様化する顧客ニーズに合わせたECサイト、フォトスタジオの運営を行っています。

利用者からの宿泊料や飲食代金、各種サービスの利用料が主な収益源となっています。運営は主にサン・ライフサービスが行っています。

式典事業


ご葬儀、ご法要、エンバーミング(ご遺体衛生保全)のサービスのほか、ペットのご葬儀、霊園の管理および仏壇仏具の販売を行っています。

利用者からの葬儀代金や関連商品・サービスの提供料が収益源となっています。運営は主にサン・ライフ、SEC、ペットセレモニーウェイビー等が担っています。

介護事業


在宅介護サービスとして居宅介護支援やデイサービス、ショートステイを提供するほか、介護付き・住宅型有料老人ホームの運営を行っています。

利用者からの介護サービス利用料や各種施設の入居費用が収益源です。運営は主にサン・ライフ、ザ・サンパワー、クローバー等が担っています。

その他事業


報告セグメントに含まれない事業として、冠婚葬祭に関する互助会事業の運営、少額短期保険業務、ハウスクリーニング業などを展開しています。

会員からの互助会掛金や保険料、各種手数料が収益源となっています。運営は主にサン・ライフメンバーズ、サン・セレモニー、もしあん少額短期保険等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は堅調に拡大を続け、直近5年間で着実な成長トレンドを描いています。一方で、経常利益や当期利益は一時的なコスト増などの影響もあり、直近ではやや減益傾向が見られますが、安定した利益水準を維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 111億円 126億円 135億円 139億円 141億円
経常利益 5億円 10億円 13億円 14億円 13億円
利益率(%) 4.1% 7.7% 9.9% 10.2% 9.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.2億円 3億円 11億円 8億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高は着実に推移しているものの、物価高騰等によるコスト上昇の影響を受け、売上総利益および営業利益は前年を下回っています。結果として利益率も低下しており、継続的なコストコントロールが課題となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 139億円 141億円
売上総利益 35億円 34億円
売上総利益率(%) 25.5% 24.2%
営業利益 13億円 11億円
営業利益率(%) 9.4% 7.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が7.3億円(構成比31.5%)、支払手数料が3.1億円(同13.5%)と大きな割合を占めています。また、売上原価は人件費や新規出店費用の増加等により107億円に達しており、コストの増加が利益を圧迫する要因となっています。

(3) セグメント収益


主力である式典事業は堅調な推移を見せており、グループ全体の売上の大部分を占めています。ホテル事業や介護事業も前年から増収を達成しており、各セグメントが着実に売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ホテル事業 10億円 11億円
式典事業 102億円 102億円
介護事業 22億円 23億円
その他 5億円 5億円
連結(合計) 139億円 141億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金を、設備投資や借入金の返済・配当等に充てる「健全型」のキャッシュ・フローを描いています。直近の投資活動による大幅なマイナスは、主に定期預金の預入や新規施設建設のための設備投資によるものです。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 14億円 12億円
投資CF -11億円 -76億円
財務CF -2億円 -2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は19.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「恵愛・感謝・真心の想いとともに あなたのそばにいつも」をミッションに掲げています。グループ全体の総合力を活かし、全てのステークホルダーに対して「最高の満足と全幅の信頼」を確立することをビジョンとして追求し、多様なニーズに応える付加価値の高いサービスの提供に努めています。

(2) 企業文化


「"お役に立つ" "ご信頼いただく" "常に力強く発展する"」を社訓としています。「未来に向けてしあわせの枝を伸ばし続けていこう!」「奉仕のこころで豊かな社会の実現に進もう!」というコミットメントのもと、トータルライフサポート企業としての進化を図る文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


コスト管理の徹底および既存施設の稼働率向上に継続的に取り組むことで、次期(2027年3月期)の連結業績予想として以下の目標数値を掲げています。

* 売上高:146億円
* 営業利益:11.4億円
* 経常利益:13.2億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:7.9億円

(4) 成長戦略と重点施策


持株会社として事業ポートフォリオの機動的な見直しを図り、ビジネスモデルの再構築を進めています。社会課題の解決を新たな事業機会に転換するため、以下の各領域に注力しています。

* ホテル事業:ご婚礼・ご宴会需要の拡充、EC事業の推進による黒字化
* 式典事業:終活総合支援事業の拡充、戦略的な新規斎場の出店
* 介護事業:M&Aによる事業領域の拡大、海外人材の活用
* 互助会事業:幅広い顧客基盤の拡大

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人財を「最も重要な経営資本」と位置づけ、従業員一人ひとりが能力を発揮できる環境整備を進めています。ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進や教育研修制度を通じたキャリアアップ支援に加え、全従業員のデジタルスキル習得、柔軟な働き方の導入によるワークライフバランスの実現を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。給与体系は年齢や勤続年数にのみ依存しない「役割および職務」を基本としており、賞与は会社業績に連動する部分と個人の目標達成度を評価する部分を組み合わせて支給される仕組みとなっています。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.6歳 8.6年 5,240,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.2%
男性育休取得率 -%
男女賃金差異(全労働者) 76.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 74.7%
男女賃金差異(非正規雇用労働者) 66.1%


※提出会社において、育児休業取得事由に該当する労働者はおりませんでした。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年間研修受講率(93.0%)、平均離職率(7.8%)、年間有給休暇消化率(35.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 互助会事業の法的規制の強化・変更


同社の互助会事業は割賦販売法によって前受金の保全義務など各種規制を受けています。将来的な法規制の強化や変更、それに伴う新たな費用負担の発生があった場合、グループの事業展開や業績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 少子高齢化等の人口動態の変化


総人口の減少や少子高齢化の進展、伝統的な価値観の変容は、冠婚葬祭などの需要動向に直結します。社会構造の急速な変化に対してビジネスモデルの再構築が遅れた場合、成長機会を逸失し業績に影響を与える懸念があります。

(3) 顧客のライフスタイル・ニーズの多様化


主力のホテル事業や式典事業は、家族葬の増加など消費者のライフスタイルや価値観の変化による影響を強く受けます。多様化するニーズに的確に対応し、魅力的な企画やサービスを適時に提供できない場合、収益の低下を招くリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。