サン・ライフホールディング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

サン・ライフホールディング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場上場。神奈川県・東京都多摩地域を中心に、ホテル・ブライダル、葬祭、介護事業等を展開。当連結会計年度は、葬儀件数の増加や介護サービスの利用増により増収、営業増益を達成しましたが、前期の固定資産売却益の剥落等により親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社サン・ライフホールディング の有価証券報告書(第7期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. サン・ライフホールディングってどんな会社?

神奈川・西東京エリアで冠婚葬祭・介護事業を展開。地域密着型のライフステージサポート企業グループです。

(1) 会社概要

1970年に前身となる神奈川県冠婚葬祭サービスセンターを設立し、1972年に互助会事業を開始しました。2004年にジャスダック証券取引所に上場。2018年に単独株式移転により持株会社である同社を設立し、上場しました。その後、清掃業や霊園管理会社の子会社化など事業領域を拡大しています。

連結従業員数は483名、単体従業員数は46名です。筆頭株主は創業家資産管理会社のサカエヤで、第2位は学校法人鶴嶺学園、第3位は創業家出身の竹内恵司氏です。安定株主比率が高い構成となっています。

氏名 持株比率
サカエヤ 45.65%
学校法人鶴嶺学園 3.43%
竹内 恵司 3.33%

(2) 経営陣

同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は比企武氏です。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
比企 武 代表取締役社長 1979年入社。総務部長、営業部長、業務本部長等を歴任し、2009年事業会社サン・ライフ社長。2018年より現職。現在は事業会社や関連会社の会長も兼務。
竹内 圭介 取締役会長 1999年学校法人鶴嶺学園入職。2014年サン・ライフ取締役。2022年同社代表取締役副社長を経て、2024年6月より現職。
海老塚 大介 取締役事業推進本部長 1998年入社。式典部長、業務本部副本部長等を歴任。2018年事業推進本部長。2024年6月より現職。事業会社サン・ライフ社長等を兼務。
黒崎 寿雄 取締役業務支援本部長 1995年入社。介護部長等を歴任。2014年クローバー代表取締役。2024年6月より現職兼総務部長。各グループ会社の取締役を兼務。
笹尾 茂樹 取締役ホテル・営業担当 1996年入社。ホテル部長、営業部長等を歴任。2024年6月より現職。サン・ライフサービス代表取締役社長等を兼務。
竹内 伸枝 取締役相談役 1981年サン・ライフ取締役。専務取締役、取締役副社長を経て2005年取締役相談役。2018年より現職。


社外取締役は、酒井美重子(ルミエール代表取締役)、小峰雄一(公認会計士・税理士)、加藤伸樹(弁護士)です。

2. 事業内容

同社グループは、「ホテル事業」「式典事業」「介護事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) ホテル事業

神奈川県平塚市および海老名市において、ホテルおよび総合結婚式場の運営を行っています。また、EC事業やフォトスタジオの運営も手掛けており、地域に根差したサービスを提供しています。

収益は、顧客から受け取る挙式・披露宴代金、宴会・宿泊代金、商品販売代金等が主な源泉です。運営は主にサン・ライフサービスが行っています。

(2) 式典事業

神奈川県・東京都多摩地域を中心に、葬儀会館、法要会館、仏壇店を運営しています。また、エンバーミング(ご遺体衛生保全)サービス、ペット葬祭、霊園の管理・運営も行っています。

収益は、顧客から受け取る葬儀・法要施行代金、仏壇・仏具等の販売代金、霊園管理料等が主な源泉です。運営は主にサン・ライフ、SEC、高尾山観光開発等が行っています。

(3) 介護事業

神奈川県および東京都の一部において、居宅介護支援、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)等のサービス提供や、介護付き・住宅型有料老人ホームの運営を行っています。

収益は、利用者および介護保険制度に基づく介護報酬、有料老人ホームの入居金・月額利用料等が主な源泉です。運営は主にサン・ライフ、ザ・サンパワー、クローバーが行っています。

(4) その他

冠婚葬祭互助会事業の運営、少額短期保険業務、ハウスクリーニング・業務用清掃、冠婚葬祭事業に関する調査研究などを行っています。

収益は、互助会会員からの月掛金(前受金として管理され施行時に売上計上)、保険料収入、清掃料等が主な源泉です。運営は主にサン・ライフメンバーズ、もしあん少額短期保険、スキル等が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで推移しています。経常利益も第3期から第7期にかけて大幅に増加しており、利益率も改善傾向にあります。特に直近2期は利益率10%前後を維持しており、安定した収益基盤を確立しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 103億円 111億円 126億円 135億円 139億円
経常利益 2億円 5億円 10億円 13億円 14億円
利益率(%) 2.4% 4.1% 7.7% 9.9% 10.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.3億円 0.2億円 3億円 4億円 2億円

(2) 損益計算書

売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費も増加傾向にあります。営業利益率は同水準を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 135億円 139億円
売上総利益 34億円 35億円
売上総利益率(%) 25.3% 25.5%
営業利益 12億円 13億円
営業利益率(%) 9.1% 9.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が7億円(構成比33%)、支払手数料が2億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益

主力である式典事業と介護事業が増収増益となり、全体を牽引しました。ホテル事業は減収となり営業損失を計上しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ホテル事業 12億円 10億円 0.3億円 -0.1億円 -1.3%
式典事業 98億円 102億円 21億円 23億円 22.2%
介護事業 21億円 22億円 0.7億円 1億円 5.2%
その他 5億円 5億円 -0.2億円 -0.3億円 -6.1%
調整額 -2億円 -2億円 -10億円 -10億円 -
連結(合計) 135億円 139億円 12億円 13億円 9.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

サン・ライフホールディングのキャッシュ・フローの状況についてご説明します。

同社は、営業活動により資金を生み出し、投資活動で事業拡大や将来への投資を行い、財務活動で株主への還元を行っています。営業活動では、事業活動から得られた利益が主な収入源となり、一方で前払式特定取引前受金の減少や税金の支払いなどが支出要因となりました。投資活動では、設備投資や有価証券への投資を行ったものの、供託金の回収により支出を相殺しました。財務活動では、株主への配当金の支払いが主な支出となりました。これらの活動の結果、期末の資金残高は増加しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 17億円 14億円
投資CF 2億円 -11億円
財務CF -5億円 -2億円

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、「お客様のために役立つ」「お客様に信頼される」「お客様のために常に力強く発展する」企業グループであることを社訓に掲げています。お客様や地域社会の人々が、生涯を通じて豊かで充実した生活を送れるよう手伝う事業者となることを経営理念としています。

(2) 企業文化

顧客第一主義の原則のもと、事業の収益性を高め、持続的成長と企業価値の向上を追求しています。また、2033年の創業100周年に向けたコーポレートステートメント『Sustain100~持続可能な明日へ』を掲げ、環境・社会課題への取り組みや多様な人材が活躍できる職場づくりを重視する姿勢を示しています。

(3) 経営計画・目標

「上場持株会社」として企業グループ経営の再構築を進め、事業ポートフォリオの機動的な見直しを実施することで、グループ全体の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しています。また、監査等委員会設置会社としてガバナンス体制の強化も図っています。

(4) 成長戦略と重点施策

ビジネスモデルの再構築として、ホテル事業の付加価値向上と黒字化、式典事業のブランド戦略再構築、介護事業のサービス強化を掲げています。また、互助会事業ではデジタル化による顧客基盤拡大やシニアライフ支援への展開を進めるほか、M&AやDX推進など積極的な事業投資を継続する方針です。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「働き手の減少」を重要課題と捉え、人材の確保と育成を最重要課題の一つとしています。ジョブ型志向の制度導入による業務効率化、専門性の高い人材の採用・登用、人事制度改革を進めています。また、研修費用の増加目標や女性管理職比率向上などのKPIを設定し、人的資本経営を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.9歳 8.1年 5,206,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 22.2%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 78.2%
男女賃金差異(正規雇用) 73.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 72.3%


※提出会社において、育児休業取得事由に該当する労働者はおりませんでした。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、研修費用/人(23万円)、年間研修受講率(90.6%)、年間有給休暇消化率(29.2%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 互助会事業に関わる規制

冠婚葬祭互助会事業は割賦販売法に基づく許可制であり、前受金の保全義務や財産・収支に関する規制を受けています。法的規制の強化や運用変更があった場合、対応コストの発生や事業許可の停止・取消等の可能性があり、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人口動態による業績への影響

少子高齢化の進行や総人口の減少、伝統的な価値観の変容は、ターゲット層の減少やニーズの変化をもたらします。ビジネスモデルの再構築や多様性への対応が遅れた場合、成長機会を逸失し、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 顧客情報の管理

冠婚葬祭および互助会事業の特性上、多数の顧客情報を取り扱っています。プライバシーマーク取得やセキュリティ教育等で管理に努めていますが、万が一情報漏洩等の問題が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償等により、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。