ベルテクスコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベルテクスコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベルテクスコーポレーションは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、コンクリート二次製品や防災製品、トンネルセグメント等の製造・販売を展開しています。業績は好調で、直近の売上高は465億円、営業利益は71億円と増収増益を達成しました。企業買収に伴う利益も寄与し、大幅な最終増益を記録しています。


※本記事は、株式会社ベルテクスコーポレーションの有価証券報告書(第8期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ベルテクスコーポレーションってどんな会社?


同社はコンクリート製品や防災製品などの社会インフラ資材を製造・販売するメーカーです。

(1) 会社概要


2018年10月にゼニス羽田ホールディングスとホクコンの共同株式移転により設立・上場しました。2021年4月に事業会社を合併しベルテクスに商号変更しています。2025年10月にIKKを完全子会社化し、セグメント事業を新たに開始しました。

従業員数は連結で1,167名、単体で34名です。筆頭株主は事業会社である太平洋セメントで、第2位および第3位は金融機関の常任代理人である証券会社が名を連ねています。

氏名 持株比率
太平洋セメント 9.74%
GOLDMAN SACHS & CO. REG(常任代理人ゴールドマン・サックス証券) 5.91%
GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL(常任代理人ゴールドマン・サックス証券) 4.96%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は山本譲氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
土屋明秀 代表取締役会長CEO 1984年スズキ入社。2005年日本ゼニスパイプ入社。ゼニス羽田社長を経て2018年同社社長。2026年より現職。
山本譲 代表取締役社長 1987年日本ゼニスパイプ入社。ゼニス羽田大阪支店長、取締役等を経て2018年同社取締役。2026年より現職。
田中義人 取締役 1981年北陸コンクリート工業入社。ホクコン社長等を経て2020年同社会長。2026年より現職。
髙根総 取締役監査等委員 1982年協和銀行入行。2002年ハネックス管理本部長。ゼニス羽田会長、同社副会長等を経て2024年より現職。


社外取締役は、曽小川久貴(元日本下水道事業団理事長)、森裕(元会計検査院第5局長)、松阿彌初美(総合法律事務所なみはや弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンクリート事業」「パイル事業」「斜面防災事業」「セグメント事業」および「その他」の事業を展開しています。

コンクリート事業
マンホールやヒューム管、ボックスカルバート等のコンクリート二次製品の製造・販売および据付工事、コンクリートの調査・試験を提供しています。主に公共インフラ工事を行う建設業者などを顧客としています。
これらの製品販売や工事代金を主な収益源としています。事業の運営は主にベルテクス、ベルテクス建設、ホクコンプロダクト、九州ベルテクス、IKKが担っています。

パイル事業
遠心力プレストレストコンクリートパイルの製造・販売および杭打工事を提供しています。建設業者などを主要な顧客とし、インフラや建築物の基礎部分を支える部材を供給しています。
製品の販売および杭打工事の代金から収益を得ています。本事業の運営は主にホクコンマテリアルが担当しています。

斜面防災事業
落石や土砂を防ぐ防護柵などの防災製品の製造・販売および設置工事を提供しています。防災・減災対策を進める官公庁や建設業者を主要な顧客としています。
防災製品の販売代金や設置工事の対価を主な収益源としています。事業の運営はベルテクス、ベルテクス建設、九州ベルテクスが行っています。

セグメント事業
地下トンネル工事などに使用されるトンネルセグメント製品の製造・販売を提供しています。大規模なインフラ整備を手掛ける企業などを顧客としています。
製品の販売代金を収益源としています。この事業は主にIKKが運営を行っています。

その他
セラミックス製品の製造・販売、油圧関連ホースの企画・販売、不動産の賃貸、システム開発・販売、機器レンタル、資材や非接触ICタグの販売などを提供しています。
製品販売、賃貸料、システム開発やレンタル代金から収益を得ています。運営はベルテクス、ウイセラ、プロフレックス、エヌエクスなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間において、売上高は368億円から465億円へ拡大し、利益水準も着実に向上しています。特に直近の業績では、企業買収に伴う特別利益の計上などもあり、最終利益が大きく伸長しました。利益率も15%前後から17%台を維持しており、安定した収益力を示しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 375億円 391億円 368億円 389億円 465億円
経常利益 64億円 58億円 58億円 64億円 71億円
利益率(%) 17.2% 14.9% 15.9% 16.6% 15.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 12億円 19億円 29億円 103億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに順調に拡大しています。売上総利益率は30%台を維持し、営業利益率も向上するなど、本業の稼ぐ力が高まっていることがわかります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 389億円 465億円
売上総利益 132億円 149億円
売上総利益率(%) 34.0% 32.1%
営業利益 63億円 71億円
営業利益率(%) 16.2% 15.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が26億円(構成比33%)、賞与が8億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のコンクリート事業は、大型の浸水対策案件などが好調で売上規模が伸長しました。一方、パイル事業は民間建設需要の減少などで減収となり、斜面防災事業も期初の計画遅延により売上が減少しました。新たに加わったセグメント事業も収益に貢献しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
コンクリート事業 269億円 300億円
パイル事業 37億円 28億円
斜面防災事業 49億円 46億円
セグメント事業 - 56億円
その他 34億円 34億円
連結(合計) 389億円 465億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は営業で稼いだ資金を元手に、投資と借入金の返済を同時に進める健全型のキャッシュ・フロー状況にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 64億円 54億円
投資CF 2億円 -31億円
財務CF -32億円 -15億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は25.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も66.8%で市場平均を上回っています。いずれも良好な水準を維持しています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


2024年4月に社会的な存在意義となるVERTEX Purpose(ベルテクス・パーパス)を制定しました。多様な従業員一人ひとりと共に成長し、パーパスの実現と持続可能な社会への貢献を目指すことを方針として掲げています。

(2) 企業文化


全社員が共有する価値観と進むべき方向性を明確化したVERTEX POLICY(ベルテクス・ポリシー)を体系的にまとめています。多様な能力や個性を持った人が集まり融合する、多様性のある職場環境の構築を重視しています。

(3) 経営計画・目標


2034年に目指す姿を描いた長期ビジョン「VERTEX Vision 2034」を策定し、バックキャスティングの手法で2025年3月期から2027年3月期を第3次中期経営計画期間と定めています。

* 売上高:520億円(2027年3月期予想)
* 営業利益:71億円(2027年3月期予想)
* 経常利益:73億円(2027年3月期予想)
* 親会社株主に帰属する当期純利益:47億円(2027年3月期予想)

(4) 成長戦略と重点施策


第3次中期経営計画期間において、事業ポートフォリオの強化やコア事業であるコンクリート事業・斜面防災事業の再成長、および新規事業の育成に注力します。また、人的資本の強化や研究開発、デジタルトランスフォーメーションの推進、サステナビリティの推進を重点施策として掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


社員一人ひとりの能力アップとキャリア自立を支援し、人的資本の価値向上を図ることを基本方針としています。社内教育制度の拡充やオープンイノベーションの推進を通じ、自律協働型人材の育成に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 50.8歳 1.9年 6,987,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.2%
男性育児休業取得率 11.1%
男女賃金差異(全労働者) 78.9%
男女賃金差異(正規雇用) 77.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 68.8%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新規採用者の女性比率の目標(50.0%)、2030年までの女性管理職比率目標(3.0%)、指導的立場に占める女性比率目標(5.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法令遵守・コンプライアンスに関するリスク
事業運営上で建設業法や製造物責任法などの様々な法的規制や認定を受けており、これらの法令への理解不足や対応不備が発生した場合、行政処分や事業停止などにつながる可能性があります。

(2) 事業ポートフォリオ・需要構造に関するリスク
コンクリート事業や斜面防災事業などにおいて売上の相当部分を公共事業に依存しているため、今後の公共事業の規模や予算の配分内容によっては業績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

(3) 競争環境・価格動向に関するリスク
建設需要の構造変化などを背景に競争環境が厳しいなか、製品の機能や施工品質等による差別化が難しく、想定以上の激しい価格競争に晒された場合には収益に影響が及ぶ可能性があります。

(4) 原材料価格・物流コストに関するリスク
セメントや鋼材などの主要原材料および燃料の価格が市況や国際情勢により変動し、原価低減や売価改定の取り組みを行っても原価上昇分のすべてを価格転嫁しきれない場合、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。