こちらがご指定のデータに基づいて作成した企業分析記事です。
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ベルテクスコーポレーション転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社ベルテクスコーポレーション の有価証券報告書(第7期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ベルテクスコーポレーションってどんな会社?
社会インフラを支えるコンクリート製品や防災製品の製造・施工を手掛け、防災・減災や国土強靭化に貢献する企業です。
■(1) 会社概要
2018年、ゼニス羽田ホールディングスとホクコンの経営統合により設立され、東証二部に上場しました。2021年には主要子会社を吸収合併し、商号をベルテクスへ変更する組織再編を実施しました。2022年、東証スタンダード市場へ移行するとともに、プロフレックスを連結子会社化し事業領域を拡大しています。
2025年3月31日時点で、連結従業員数は1,031名、単体では30名です。大株主構成を見ると、筆頭株主は原材料等の仕入先である事業会社で、第2位および第3位は金融機関の常任代理人が名を連ねています。特定のオーナー一族による支配色は薄く、事業パートナーや機関投資家が上位を占める構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 太平洋セメント | 9.54% |
| GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL | 6.59% |
| GOLDMAN SACHS & CO. REG | 6.54% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は土屋 明秀氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 土屋 明秀 | 代表取締役社長 | 1984年スズキ入社。2005年日本ゼニスパイプ入社。同社営業本部長等を経て、2017年ゼニス羽田社長。2018年より現職。 |
| 田中 義人 | 代表取締役会長 | 1981年北陸コンクリート工業入社。ホクコン技術本部長等を経て、2019年同社社長。2020年より現職。 |
| 山本 譲 | 取締役 | 1987年日本ゼニスパイプ入社。ベルテクス大阪支店長、同社常務取締役等を経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、小池 邦吉(弁護士)、曽小川 久貴(元日本下水道事業団理事長)、森 裕(元会計検査院第5局長)、松阿彌 初美(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コンクリート事業」、「パイル事業」、「斜面防災事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) コンクリート事業
マンホール、ヒューム管、ボックスカルバートなどのコンクリート二次製品の製造・販売および据付工事を行っています。主な顧客は官公庁や建設会社であり、下水道や道路などの社会インフラ整備に使用されます。
収益は、これらの製品の販売代金および据付工事の請負代金から得ています。製品の提供だけでなく、施工まで一貫して手掛ける体制を構築しています。運営は主にベルテクス、ベルテクス建設、ホクコンプロダクト、北関コンクリート工業、九州ベルテクスが行っています。
■(2) パイル事業
遠心力プレストレスコンクリートパイル(PHCパイル等)の製造・販売および杭打工事を行っています。建築物や土木構造物の基礎として使用される製品を提供しています。
収益は、パイル製品の販売および杭打工事の施工による対価から得ています。高支持力杭工法などの技術力を活かした提案営業を行っています。運営は主にホクコンマテリアルが行っています。
■(3) 斜面防災事業
落石防護柵などの防災製品の製造・販売および設置工事を行っています。自然災害から道路や集落を守るための製品を提供しており、国土強靭化に資する事業です。
収益は、防災製品の販売および設置工事代金から得ています。近年激甚化する自然災害への対策として需要が高まっています。運営は主にベルテクス、ベルテクス建設、九州ベルテクスが行っています。
■(4) その他
セラミックス製品の製造・販売、油圧関連ホースの販売、不動産の賃貸、コンクリートの調査・試験、システム開発・販売、機器レンタルおよび資材販売、RFIDの販売等を行っています。
収益は、各製品の販売代金、不動産賃貸料、サービス提供の対価など多岐にわたります。セラミックス事業では自動車や半導体関連向けの製品も扱っています。運営はベルテクス、ウイセラ、アイビーソリューション、九州ベルテクス、プロフレックス、エヌエクスが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は300億円台後半で安定的に推移しています。利益面では、経常利益率が14%~17%程度の高い水準を維持しており、収益性の高さがうかがえます。当期は増収増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益も増加傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 378億円 | 375億円 | 391億円 | 368億円 | 389億円 |
| 経常利益 | 56億円 | 64億円 | 58億円 | 58億円 | 64億円 |
| 利益率(%) | 14.9% | 17.2% | 14.9% | 15.9% | 16.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 12億円 | 9億円 | 12億円 | 19億円 | 29億円 |
■(2) 損益計算書
2期間の傾向を分析すると、売上高の増加に伴い売上総利益が増加しています。営業利益率も16.2%と高い水準を維持しており、効率的な事業運営が行われていることが分かります。販管費の増加を吸収し、営業増益を達成しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 368億円 | 389億円 |
| 売上総利益 | 122億円 | 132億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.1% | 34.0% |
| 営業利益 | 57億円 | 63億円 |
| 営業利益率(%) | 15.5% | 16.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が24億円(構成比35%)、役員報酬が4億円(同5%)を占めています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の状況を見ると、主力であるコンクリート事業は収益性の高い大型案件や価格改定効果により増収となりました。パイル事業は大幅な増収を達成し、斜面防災事業も工事受注の増加により堅調に推移しました。その他事業は一部で低調な動きが見られ減収となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| コンクリート事業 | 257億円 | 269億円 |
| パイル事業 | 28億円 | 37億円 |
| 斜面防災事業 | 48億円 | 49億円 |
| その他 | 36億円 | 34億円 |
| 調整額 | -億円 | -億円 |
| 連結(合計) | 368億円 | 389億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
ベルテクスコーポレーションは、事業活動を通じて資金を生み出し、それを成長投資や株主還元に充てる健全な財務基盤を構築しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは増加しており、本業で稼ぐ力が向上しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡や保険積立金の解約による収入が、設備投資を上回ったことでプラスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払いなど、株主還元を意識した資金使途が見られます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 56億円 | 64億円 |
| 投資CF | -5億円 | 2億円 |
| 財務CF | -22億円 | -32億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「VERTEX Purpose(ベルテクス・パーパス)」を制定し、社会的な存在意義を明確にしています。これは、全社員が共有する価値観と進むべき方向性を示す「VERTEX POLICY」として体系化されており、社会インフラの整備を通じて安心・安全な社会の実現に貢献することを使命としています。
■(2) 企業文化
多様な従業員一人ひとりと共に成長し、パーパスの実現と持続可能な社会への貢献を目指す姿勢を重視しています。これまでに培った技術力やノウハウを結集し、革新的な発想と新技術の開発に挑戦することで、時代の変化や新たな社会的要請に応えていく風土があります。
■(3) 経営計画・目標
長期ビジョン「VERTEX Vision 2034」の実現に向け、2025年3月期から2027年3月期を第3次中期経営計画期間と定めています。最終年度となる2027年3月期には以下の数値目標を掲げています。
* 売上高:430億円
* 営業利益:65億円
* ROE:14.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
「VERTEX Vision 2034」に基づく第3次中期経営計画では、事業ポートフォリオの強化を主軸に据えています。既存のコア事業であるコンクリート・斜面防災事業の再成長を図るとともに、インフラメンテナンスや鉄道、防衛などの新規事業育成に注力します。また、人的資本の強化やR&D、DXの推進も積極的に進める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
社員一人ひとりの能力向上とキャリア自立を支援し、多様な個性を持つ人材が活躍できる職場環境の構築を目指しています。自律協働型人材の育成に向けた公募制度や教育プログラム「ベルテクスアカデミー」を整備するとともに、株式報酬制度の導入やフレックスタイム制の拡充など、エンゲージメント向上と働き方改革を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 52.4歳 | 2.3年 | 6,678,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 37.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 71.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 70.5% |
| 男女賃金差異(非正規) | 84.0% |
※女性管理職比率については、現在同社グループ(主要な連結会社含む)において女性管理職が存在しないため記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員における女性比率(2.2%)、指導的立場に占める女性比率(5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 売上高の公共事業比率が高いことについて
同社の主要事業であるコンクリート事業や斜面防災事業は、政府や地方自治体の公共事業予算に大きく依存しています。国土強靭化等の政策により需要は底堅いものの、今後の公共事業予算の規模縮小や配分方針の変更があった場合、同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 価格競争について
コンクリート事業およびパイル事業において、全体的な需要量は減少傾向にあり、競争環境が厳しさを増しています。同社は高付加価値製品への注力や営業エリアの絞り込み等で対策を講じていますが、製品の差別化が困難な分野で想定以上の価格競争が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(3) 原材料価格及び製品輸送費用の変動について
主要原材料であるセメントや鋼材、燃料価格は市況により大きく変動するリスクがあります。また、物流業界の人手不足等を背景に製品輸送費も上昇傾向にあります。生産性向上や価格転嫁に取り組んでいますが、コスト上昇分を十分に吸収または転嫁できない場合、利益を圧迫する可能性があります。



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