※本記事は、Delta-Fly Pharma 株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
Delta-Fly Pharmaは、がん患者に安心して勧められる治療法を提供することを企業理念とする創薬ベンチャー企業です。既存の抗がん活性物質を「モジュール」として活用し、臨床上の有効性と安全性のバランスを向上させた新規抗がん剤を創製する「モジュール創薬」を強みとしています。
同社の単体従業員数は12名です。事業セグメントは医薬品事業の単一セグメントとなっています。
Delta-Fly Pharmaは、研究開発のマネジメント業務に集中し、具体的な業務は外部の研究開発受託会社や製造受託会社に委託する形で事業を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
Delta-Fly Pharmaは、専門性の高い人材が少数精鋭で働く環境が特徴です。平均年齢が高めで勤続年数も比較的長く、落ち着いて業務に取り組める傾向が見られます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、経験豊富な人材が長く活躍している傾向があります。平均年齢が高く、勤続年数も一定の水準を保っており、専門性を活かしてキャリアを築きやすい環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,948,000円 |
| 平均勤続年数 | 9.6年 |
| 平均年齢 | 51.9歳 |
| 単体従業員数 | 12人 |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
Delta-Fly Pharmaは、イノベーションの源泉である「人財」を重要な経営基盤と位置付け、持続的な企業価値向上を目指しています。従業員一人ひとりが能力を最大限発揮し、自律的に挑戦できる組織の構築が不可欠であると認識しています。
同社は、従業員の役割および成果に応じた公正な評価と処遇の実現を基本方針としています。特定の職務に限定せず、多様な経験機会の提供を通じて従業員の能力開発を図り、幅広い領域で活躍できる人材の育成を推進しています。これにより、組織としての柔軟性を高め、中長期的な企業価値の向上につなげていく方針です。
また、経営方針を共有できる有能な人材確保のため、即戦力となる中途採用を中心に行い、多様性のある小規模な組織集団を目指しています。国内外問わず、製薬企業での研究開発や事業開発経験者、薬剤師等の専門能力を有する多様な人材を積極的に採用しています。勤務開始時間の選択制度やインセンティブ制度などの各種制度整備、社内外の機会を捉えた社員教育も実施し、働きやすい環境の実現や社内制度の改善に取り組んでいます。従業員の健康を重要な経営資源と捉え、ストレスチェックの実施やテレワーク環境の提供などを通じて、健康管理と安全管理にも重点を置いています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は女性活躍推進法および育児介護休業法の公表義務の対象ではないため、法定開示データは開示されていません。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
Delta-Fly Pharmaは、がん患者の全体を診ることを企業理念とし、安心して家族のがん患者に勧められる治療法を提供することを目指しています。独自の「モジュール創薬」という手法を用いて、新規抗がん剤の研究開発に特化している会社です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、医薬品事業のみの単一セグメントで事業を展開しています。既存の抗がん活性物質などを「モジュール」として利用し、創意工夫を加えて「アセンブリ」することで、臨床上の有効性と安全性のバランスを向上させた新規抗がん剤を創製する「モジュール創薬」を特徴としています。この創薬方法は、一般的な抗がん剤開発と比較して、研究開発の効率が高く、期間も短く、開発リスクが低減される傾向があります。
同社の開発パイプラインには、急性骨髄性白血病を対象とするDFP-10917、肺がんなどを対象とするDFP-14323、消化器がんを対象とするDFP-11207、固形がんを対象とするDFP-14927、膵がんなどの固形がんを対象とするDFP-17729、卵巣がんや胃がんの腹膜播種転移を対象とするDFP-10825といった抗がん剤候補化合物があります。これらの開発品は、それぞれ異なる作用機序と対象疾患を持ち、臨床試験を進めています。
事業戦略としては、抗がん剤開発に特化し、組織の効率的運営のため外部機関と積極的に連携しています。研究開発のマネジメント業務に集中し、具体的な業務は外部の研究開発受託会社や製造受託会社に委託する形で進めています。同社が得る収入は、提携製薬会社からの契約一時金、マイルストーン、開発協力金が主であり、将来的に製品が上市に至った場合には、売上高に応じたロイヤリティ収入を得るビジネスモデルです。当事業年度においては、マイルストーン収入等はなく、事業収益は発生していません。日本国内では複数の開発品でライセンス契約を締結していますが、グローバルでのライセンス提携先確保に向けて活動を継続しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
当事業年度は、マイルストーン収入等がなく、事業収益は発生していません。事業費用は前期から減少したものの、営業損失、経常損失、当期純損失が継続しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純損失の計上が主な要因となり、資金を使用する状況となっています。損失は継続しているものの、前期と比較して損失額は縮小する傾向が見られます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
Delta-Fly Pharmaは、医薬品の研究開発に先行投資を行うフェーズにあり、財務基盤や資金の流れにはその事業特性が反映されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
Delta-Fly Pharmaの財務基盤を見ると、当期の自己資本比率は13.4%となっています。これは前期の63.7%から減少しており、プライム市場平均(製造業46.8%・非製造業24.2%)と比較すると低い水準です。
手元資金を示す現金及び預金等は、当期末で145百万円となっており、前期から減少しています。医薬品の研究開発には多額の先行投資が必要であり、財務状況は事業の進捗に大きく影響を受ける傾向があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 63.7% | 13.4% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 338百万円 | 145百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
Delta-Fly Pharmaのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に1,557百万円の支出となりました。これは主に、税引前当期純損失の計上によるものです。
投資活動によるキャッシュフローは、当期に支出がありませんでした。この結果、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、当期に1,557百万円のマイナスとなっています。
財務活動によるキャッシュフローは、当期に1,363百万円の収入となり、主に新株予約権の行使による株式の発行によるものです。同社は医薬品の研究開発に先行投資を行う事業特性があり、営業活動によるキャッシュフローがマイナスとなる傾向が続いています。これは、将来の成長に向けた投資が継続している状況を示しており、資金調達によって事業を推進していることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △1,834百万円 | △1,557百万円 |
| 投資CF | 0百万円 | 0百万円 |
| 財務CF | 756百万円 | 1,363百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1,834百万円 | △1,557百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は医薬品の研究開発を行っており、新薬開発には長い期間と多額の研究開発費を要し、全ての開発が成功するとは限らない不確実性があります。また、特定の提携契約への依存があり、提携先の経営方針の変更などにより開発が中断・中止された場合、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、人材確保及び育成が順調に進まない場合や人材の流出が生じた場合には、事業活動に支障が生じる可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
Delta-Fly Pharmaは、がん患者のQOL向上を目指し、独自のモジュール創薬を通じて新しい治療法を提供することを使命とする企業です。患者さんの全体を診る視点を大切にし、安心して家族に勧められる治療法の創出に注力しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は、「『がん』だけを見ることなく、『がん患者』の全体を診ることにより、安心して家族のがん患者に勧められる治療法を提供すること」を企業理念としています。この理念を実現するため、独自の「モジュール創薬」に基づく抗がん剤の研究開発を行っています。
モジュール創薬とは、既存の抗がん剤などを「モジュール」(構成単位)として利用し、創意工夫を加えて「アセンブリ」(組み立て)することで、臨床上の有効性と安全性のバランスを向上させた新規抗がん剤を創製する方法です。同社は、このモジュール創薬に基づき創製した新規抗がん剤の上市により、がん患者のQOL(Quality Of Life)向上に寄与することを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、全ての従業員が持てる力を発揮し、多様な人材が活躍できる会社を目指しています。経営方針を共有できる有能な人材確保のため、国内外を問わず研究開発のマネジメントなど様々な経験・スキルを持つ即戦力となる中途採用を中心に行い、多様性のある小規模な組織集団を形成しています。
国籍、年齢、性別等の多様性を確保し、全ての従業員が持つ能力・知識を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。勤務開始時間の選択制度やインセンティブ制度などの整備を進め、従業員がワークライフバランスを実現しやすい環境を提供しています。また、従業員の健康を重要な経営資源と捉え、健康管理や安全管理にも重点を置いています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、新規抗がん剤の研究開発を着実に推進するとともに、提携パートナーを開拓してライセンス契約を締結し、製品販売による安定的な収益源を確保することを中長期における最重要課題としています。開発パイプラインの充実に向けた探索研究も継続的に実施しています。
多額の研究開発費用が先行して必要となるため、財務体質の強化も重要な課題です。ライセンス契約の締結や資金調達により、財務基盤の強化に努める方針です。また、開発品の増加が見込まれることから、研究開発体制の強化と適切な人材確保を図っていくことも今後の重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
Delta-Fly Pharmaは、取締役会と監査役会を設置する会社です。取締役会は社内取締役と社外取締役が同数で構成されており、外部からの経営監視機能を重視した体制となっています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
Delta-Fly Pharmaの株主構成を見ると、筆頭株主は個人の江島淸氏です。上位には複数の個人株主が名を連ねており、特定の事業会社や機関投資家も主要な株主として同社を支えています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 江島 淸 | 6.32% |
| BNYM SA/NV FOR BNYM FOR BNY GCM CLIENT ACCOUNTS M LSCB RD | 3.46% |
| 日本ケミファ | 3.27% |
なお、発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点第3位を四捨五入しています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は江島淸氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 江島 淸 | 代表取締役社長 | 1976年大鵬薬品工業入社、取締役開発センター長、徳島大学産学官連携推進部客員教授を経て、2010年12月同社代表取締役社長就任より現職。 |
| 飯塚 健蔵 | 取締役研究開発部門担当 | 1988年大鵬薬品工業入社、開発三部部長、同社臨床開発部長兼東京事務所長、代表取締役専務を経て、2020年6月同社取締役研究開発部門担当就任より現職。 |
| 黒滝 健一 | 取締役管理部門担当 | 1989年日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社、引受部副部長、企業推進第二部ディレクターを経て、2020年6月同社取締役管理部門担当就任より現職。 |
社外取締役は、岸井幸生氏(岸井幸生公認会計士事務所代表)、小南欽一郎氏(テック&フィンストラテジー代表取締役)、谷口明史氏(北浜法律事務所・外国法共同事業パートナー弁護士)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役3名と社内取締役3名で構成される取締役会が経営上の意思決定と監督を担っています。これにより、外部からの客観的な経営監視機能が確保されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
Delta-Fly Pharmaの役員報酬は、企業価値の持続的な向上と株主利益に連動する体系を基本方針としています。業務執行取締役には固定報酬としての基本報酬と業績連動報酬が支給され、社外取締役には基本報酬のみが支払われる仕組みです。業績連動報酬は、事業計画や各役員の担当計画の達成度合いに応じて算出されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 54百万円 | 18.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 4百万円 | 3.6百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 11百万円 | 3.6百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 5百万円 | 2.7百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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