エキサイトホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エキサイトホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エキサイトホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。同社は、メディカル事業やプラットフォーム事業、ブロードバンド事業、SaaS・DX事業を展開するIT企業です。直近の業績トレンドは、メディカル事業の急成長が売上を牽引し、増収および最終増益を達成するなど好調に推移しています。


※本記事は、エキサイトホールディングス株式会社の有価証券報告書(第8期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エキサイトホールディングスってどんな会社?


インターネット分野を中心に多様なITサービスやメディアを多角的に展開する企業グループです。

(1) 会社概要


同社グループの起源は1997年のエキサイト設立に遡り、同年にポータルサイトの提供を開始しました。2018年に現在のエキサイトホールディングス(設立時XTech HP)がエキサイトを子会社化し、2020年に純粋持株会社へ移行しました。2023年に東京証券取引所スタンダード市場に上場を果たし、2024年にはONE MEDICALを子会社化してメディカル事業の拡大を図っています。

同社グループの従業員数は連結で173名、単体で17名体制です。大株主については、筆頭株主は代表取締役社長CEOの西條晋一氏の資産管理会社であるCASKで、第2位は同氏、第3位はユナイテッドとなっています。

氏名 持株比率
CASK 43.72%
西條 晋一 16.65%
ユナイテッド 9.94%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長CEOは西條晋一氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
西條 晋一 代表取締役社長CEO 伊藤忠商事入社、サイバーエージェント専務取締役等を経て、XTech、XTech Ventures等を設立。同社代表取締役社長CEO等より現職。
石井 雅也 専務取締役CFO 三井造船入社、サイバーエージェント財務経理責任者等を経て、エキサイト執行役員CFOに就任。同社専務取締役CFO等より現職。


社外取締役は、加藤道子(元ABEJA取締役CFO)、乗松美緒(元サイバーエージェント子会社CFO)、澤田直彦(弁護士)、浅利圭佑(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メディカル事業」「プラットフォーム事業」「ブロードバンド事業」「SaaS・DX事業」を展開しています。

メディカル事業


美容や健康を中心としたオンライン診療サービスを提供しています。顧客の利便性を高めるために、提携クリニックや医薬品の配送エリアの拡大、美容関連企業とのアライアンスによる送客チャネルの開拓を進めています。

主にオンライン診療サービスの利用に伴う課金が収益源です。運営は、同社の連結子会社であるONE MEDICALおよびエキサイトが担当しています。

プラットフォーム事業


個人向けに「エキサイト電話占い」や「エキサイトお悩み相談室」などのカウンセリングサービスを提供しています。あわせて、「ウーマンエキサイト」などの各種メディア運営や、M&Aアドバイザリーおよび仲介サービスも展開しています。

カウンセリングサービスの従量課金収入や、メディアの広告枠販売に伴う広告収入、M&A仲介手数料が主な収益源です。運営はエキサイトおよびM&A BASEが担当しています。

ブロードバンド事業


個人および法人向けに、インターネット接続サービスや格安SIMなどの通信サービスを提供しています。光回線サービス「BBエキサイト」やMVNOサービス「エキサイトモバイル」などを展開しています。

顧客からの通信サービスの定額利用料が安定した収益源となっています。運営はエキサイトが担当しています。

SaaS・DX事業


法人向けに、ウェビナープラットフォーム「FanGrowth」や株主総会総合支援サービス「Sharely」などのSaaSサービスを提供しています。また、企業の業務効率化を支援するシステム開発や運用などのDX支援も行っています。

SaaSサービスの利用期間を通じた月額・年額の利用料や、システム開発の業務委託費が主な収益源です。運営はエキサイト、iXIT、およびSharelyが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、5期間で約1.5倍に拡大して成長を続けています。経常利益は安定して利益を計上していますが、当期利益については直近でマイナスに転じています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 71億円 75億円 77億円 91億円 108億円
経常利益 4億円 6億円 6億円 4億円 4億円
利益率(%) 5.7% 7.9% 8.1% 3.9% 3.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.1億円 - 0.1億円 15億円 -0.4億円

(2) 損益計算書


売上高および売上総利益は順調に拡大しており、売上総利益率も向上しています。一方で、メディカル事業等における成長投資によりコストが増加したため、営業利益は横ばい、営業利益率はやや低下しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 91億円 108億円
売上総利益 49億円 62億円
売上総利益率(%) 53.7% 57.7%
営業利益 5億円 5億円
営業利益率(%) 5.1% 4.2%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が23億円(構成比40.0%)、従業員給料及び手当が12億円(同20.4%)を占めています。売上原価の多くはメディカル事業の成長に伴う仕入高などに起因しています。

(3) セグメント収益


メディカル事業が診療科目の拡大により売上高を大きく伸ばしましたが、積極的なプロモーション投資を実施したことで営業損失となりました。一方、プラットフォーム事業とブロードバンド事業は安定して高収益を創出しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
メディカル事業 10億円 29億円 0.1億円 -2億円 -
プラットフォーム事業 35億円 34億円 5億円 5億円 16.2%
ブロードバンド事業 37億円 36億円 6億円 5億円 15.0%
SaaS・DX事業 9億円 9億円 -1億円 -1億円 -
連結(合計) 91億円 108億円 5億円 5億円 4.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -2億円 4億円
投資CF -35億円 -8億円
財務CF 39億円 0.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.2%で市場平均と同水準ですが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「デジタルネイティブ発想で心躍る未来を創る。」をミッションに掲げています。インターネット関連事業を創造し続けることを通じて、中長期的な企業価値の向上を図り、持続的な成長の実現に向けて積極的な事業活動を推進しています。

(2) 企業文化


同社グループは、5つのバリューを定めています。「好奇心を起点にする。」「当事者意識でやりぬく。」「世の中に寄り添う。」「素直さとリスペクトで学ぶ。」「得意なことで繋がり合うチームワークで。」という価値観を基盤とし、多様な人材が活躍できる組織風土を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は「中期経営計画 EXCITE300」を策定し、既存事業の深化と新規事業の探索を図る両利きの経営を実践しています。2028年3月期における目標の達成を目指しています。

* 売上高:155億円
* 営業利益:16億円
* EBITDA:23億円
* 時価総額:300億円

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業であるプラットフォーム事業とブロードバンド事業の収益基盤を活用し、メディカル事業とSaaS・DX事業への積極投資を行っています。美容・健康を中心としたオンライン診療の拡大や、M&Aによる事業ポートフォリオの強化により、新たな事業の柱の構築を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、優秀な人材の採用と育成、組織体制の強化を重要な経営課題と位置付けています。テクノロジー活用による業務効率化や、エンジニア等の専門人材の育成を図っています。多様な採用方法の実施や抜擢人事等の機会提供を通じて、挑戦を促す環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.9歳 6.8年 7,080,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 40.0%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 69.7%
男女賃金差異(正規雇用) 69.7%
男女賃金差異(非正規雇用) -


※男性育児休業取得率および非正規雇用の男女賃金差異については有価証券報告書に数値の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の産休・育休後の復帰率(100%)、全社員に占める女性割合(41.0%)、管理職に占める新卒採用者の割合(3.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 内部管理体制に係るリスク


同社グループはコーポレート・ガバナンスの有効機能が不可欠と考え、内部管理体制の充実に努めています。しかし、事業の急速な拡大等により内部管理体制の構築の十分性が確保できない状況が生じた場合、適切な業務運営が困難となり、事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定経営者への依存と人材確保


同社グループは人材採用と育成を重要課題としています。代表取締役社長CEOを含む経営幹部など、専門知識を持つ役職員が退職し後任の採用が困難になった場合や、十分な人材確保ができずグループ連携の維持が難しくなった場合、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 情報セキュリティと不正利用


通信ネットワークを前提とした事業のため、セキュリティ対策を重視しています。しかし、サイバー攻撃や不正アクセス等による重要情報の漏洩、システムダウン、なりすましやクレジットカードの不正利用などを完全に回避することは困難であり、これらが発生した場合は信用下落等により業績に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。