エキサイトホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エキサイトホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のエキサイトホールディングスグループは、プラットフォーム事業、ブロードバンド事業、SaaS・DX事業を展開しています。当連結会計年度は、積極的な先行投資やM&Aの実施により売上高は大幅に増加しましたが、広告宣伝費や一時費用の増加等により各段階利益は減益となりました。


※本記事は、エキサイトホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第7期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エキサイトホールディングスってどんな会社?


インターネット関連事業を中心に、メディア、ブロードバンド、SaaS・DXなど多角的に事業を展開する企業グループです。

(1) 会社概要


同社グループの源流は1997年に設立されたエキサイトですが、現在の体制は2018年にXTech HPが同社株式を取得し子会社化したことに始まります。2020年に純粋持株会社へ移行し現商号へ変更した後、2023年4月に東京証券取引所スタンダード市場へ上場しました。2024年にはONE MEDICALを子会社化し、オンライン診療領域を強化しています。

連結従業員数は181名、単体では14名の組織体制です。筆頭株主は代表取締役の資産管理会社であるCASK、第2位は創業者の西條晋一氏、第3位はインターネット事業を展開するユナイテッドです。

氏名 持株比率
CASK 43.22%
西條 晋一 18.52%
ユナイテッド 11.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性2名、計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長CEOは西條晋一氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。

氏名 役職 主な経歴
西條 晋一 代表取締役社長CEO 伊藤忠商事、サイバーエージェント専務取締役等を経てXTech設立、現職。
石井 雅也 専務取締役CFO サイバーエージェント財務経理責任者等を経てエキサイト入社、現職。


社外取締役は、加藤道子(HENNGE取締役)、乗松美緒(元ZENKIGEN)、澤田直彦(弁護士法人直法律事務所代表)、浅利圭佑(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プラットフォーム事業」、「ブロードバンド事業」および「SaaS・DX事業」を展開しています。

(1) プラットフォーム事業


「エキサイト電話占い」や「エキサイトお悩み相談室」等のカウンセリングサービス、メディアサービス「ウーマンエキサイト」、およびオンライン診療サービス等を提供しています。心の悩みを持つ個人や、美容・健康に関心のある一般消費者が主な顧客です。

収益は、ユーザーからの鑑定料・相談料、診療サービス利用料、および広告主からの広告掲載料等が主な源泉です。運営は主にエキサイト、ONE MEDICAL、NAPBIZ、M&A BASEが行っています。

(2) ブロードバンド事業


インターネット接続サービス「BBエキサイト」等のISPサービスや、格安SIM「エキサイトモバイル」等のMVNOサービスを提供しています。安価で安定した通信環境を求める個人および法人が主な顧客です。

収益は、契約者からのインターネット接続料や通信料が中心となります。運営は主にエキサイトが行っています。

(3) SaaS・DX事業


ウェビナーPDCAクラウド「FanGrowth」や株主総会支援「Sharely」等のSaaSプロダクトのほか、企業のDX支援やシステム開発・運用を行っています。業務効率化やデジタル化を推進する企業が主な顧客です。

収益は、導入企業からのサービス利用料(サブスクリプション等)やシステム開発・運用の受託費等が源泉です。運営はエキサイト、iXIT、Sharelyが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実に拡大しており、特に直近ではM&Aの効果等により大幅な増収を達成しています。利益面では、積極的な成長投資や一時的な費用の計上により変動が見られますが、売上規模の拡大基調は継続しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 68億円 71億円 75億円 77億円 91億円
経常利益 4.2億円 4.1億円 6.0億円 6.2億円 3.5億円
利益率(%) 6.2% 5.7% 7.9% 8.1% 3.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 4.9億円 3.5億円 4.5億円 4.0億円 1.8億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加しましたが、積極的な事業拡大に伴うコスト増により、各利益率は低下しました。売上総利益率は上昇しており、事業の本質的な収益性は向上していることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 77億円 91億円
売上総利益 37億円 49億円
売上総利益率(%) 48.6% 53.7%
営業利益 6.4億円 4.7億円
営業利益率(%) 8.3% 5.1%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が13億円(構成比29%)、従業員給料及び手当が11億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


プラットフォーム事業とSaaS・DX事業が大幅な増収となり、全社の成長を牽引しました。一方、ブロードバンド事業は市場環境の影響もあり横ばいで推移しています。利益面では、先行投資の影響等により各セグメントで変動が見られます。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
プラットフォーム事業 33億円 44億円 6.6億円 5.5億円 12.4%
ブロードバンド事業 37億円 37億円 6.4億円 5.6億円 15.1%
SaaS・DX事業 6.9億円 9.3億円 -1.1億円 -0.8億円 -8.1%
調整額 - -0億円 -5.6億円 -5.7億円 -
連結(合計) 77億円 91億円 6.4億円 4.7億円 5.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

エキサイトホールディングスは、長期借入れによる資金調達を積極的に行い、財務活動で資金を獲得しています。営業活動では、税金等調整前当期純利益を計上したものの、法人税等の支払いが先行し、使用超過となりました。一方、投資活動では、子会社株式の取得により多額の資金を使用しました。これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は増加しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 8.6億円 -2.4億円
投資CF -5.5億円 -35億円
財務CF 10億円 39億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「デジタルネイティブ発想で心躍る未来を創る。」をミッションに掲げています。インターネット関連事業を創造し続けることを通じて、中長期的な企業価値の向上を図り、持続的な成長の実現に向けて積極的な事業活動を推進していく方針です。

(2) 企業文化


同社グループは、5つのバリューを定めています。「好奇心を起点にする。」「当事者意識でやりぬく。」「世の中に寄り添う。」「素直さとリスペクトで学ぶ。」「得意なことで繋がり合うチームワークで。」という価値観に基づき、一人ひとりが主体的に行動し、チームワークを発揮して成果につなげる文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、2025年2月に「中期経営計画 EXCITE300」を公表しています。2028年3月期に向けた数値目標として、以下の指標を掲げています。

* 売上高:155億円
* EBITDA:23億円
* 営業利益:16億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:10億円
* 時価総額:300億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社グループは、「既存事業の成長」と「新たな事業の柱の構築」を両立させる「両利きの経営」を推進しています。既存のプラットフォーム事業とブロードバンド事業で収益基盤を固めつつ、SaaS・DX事業への積極投資やM&Aによる事業ポートフォリオの強化を図っています。

* オンライン診療サービスの成長:美容・健康を中心とした診療科目の拡大やアライアンス強化。
* 新規事業への先行投資:SaaS事業等の立ち上げと規律ある投資。
* M&Aによる事業領域の強化・拡大。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、持続的な成長のために優秀な人材の採用と育成を最重要課題の一つと位置付けています。5つのバリューに基づいた人材育成を行い、抜擢人事による権限移譲、インターンシップ、OJT制度などを通じて多様な人材の活躍を推進しています。また、テレワークやコミュニケーションスペースの設置など、柔軟で働きやすい環境整備にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.9歳 7.2年 6,837,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 25.0%
男性労働者の育児休業取得率 -
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 66.5%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 66.5%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期) -


※提出会社の男性労働者の育児休業取得率は、配偶者が出産した労働者がいなかった等の理由により記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全社員に占める女性割合(38.7%)、全社員に占める新卒採用者の割合(24.3%)、女性の産休・育休後の復帰率(100%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) インターネット関連事業について


同社グループはインターネットを媒体としたサービスを展開しているため、通信環境の悪化やスマートデバイス普及の鈍化、新たな法規制の導入などにより事業拡大が阻害される可能性があります。また、広告収入を主体とするメディアサービスは景気変動の影響を受けやすく、景況感の悪化が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 規制リスクについて


個人情報保護法、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律、景品表示法、医療法・薬機法など、多岐にわたる法令の規制を受けます。これら法令の改正や新たな規制の導入により、対応費用の増大や事業運営の制限が生じる可能性があり、法令違反が発生した場合は社会的信用の失墜や行政処分等により業績に影響を与える可能性があります。

(3) 内部管理体制に係るリスク


同社グループは事業拡大に伴い内部管理体制の充実を図っていますが、事業の急速な拡大等により体制構築が追いつかない場合、適切な業務運営が困難となり、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、人材の確保や育成が計画通り進まない場合や、情報セキュリティ事故が発生した場合も、事業運営に支障をきたすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。