アクセスグループ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アクセスグループ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アクセスグループ・ホールディングスは、東京証券取引所スタンダード市場および福岡証券取引所本則市場に上場する企業です。人財ソリューション事業、教育機関支援事業、プロモーション支援事業の3つを主力としています。直近の業績トレンドは増収減益となっており、売上高は増加したものの利益面では減少しています。


※本記事は、株式会社アクセスグループ・ホールディングス の有価証券報告書(第37期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アクセスグループ・ホールディングスってどんな会社?


人と社会を繋ぐコミュニケーションの場を提供し、採用、教育機関、プロモーションの総合支援を行います。

(1) 会社概要


1982年にアクセス通信として創業し、1990年に設立されました。2009年に持株会社制へ移行し、採用や教育機関の広報支援へと事業を拡大しました。2018年に東京証券取引所(現スタンダード市場)へ上場し、2024年には福岡証券取引所本則市場にも上場を果たし、資本業務提携等で基盤を強化しています。

従業員数は連結で130名、単体で13名となっています。筆頭株主は資本業務提携先である事業会社のプロネクサスで、第2位は関連会社のアクセスグループ・プランニング、第3位は代表取締役社長の木村勇也氏が名を連ねており、事業パートナーや経営陣による安定した資本構成となっています。

氏名 持株比率
プロネクサス 16.44%
アクセスグループ・プランニング 11.87%
木村勇也 10.43%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は木村勇也氏が務めています。また、取締役12名のうち2名が社外取締役であり、社外取締役比率は16.7%となっています。

氏名 役職 主な経歴
木村勇也 代表取締役社長 2004年入社。2009年取締役、2014年代表取締役専務を経て、2015年より現職。アクセスプログレスの取締役も兼任。
木村春樹 取締役会長 1972年入社。1982年アクセス通信設立時に代表取締役社長に就任。2009年代表取締役社長兼会長を経て、2020年より現職。
増田智夫 取締役副社長(非常勤) 2005年入社。2020年アクセスネクステージ代表取締役社長に就任し、2021年より現職。
土田俊行 専務取締役事業統括部長 1989年入社。2014年常務取締役を経て、2020年より現職。グループ各社の取締役も兼任。
保谷尚寛 専務取締役財務企画部長 1997年入社。グループ各社の監査役や取締役を歴任し、2020年常務取締役を経て、2024年より現職。
古川伊織 常務取締役 2009年入社。アクセスネクステージ取締役などを経て、2026年より現職。
浜野竹志 取締役管理部長 1997年フォーカスシステムズ入社。2001年入社。2009年転籍し、2017年より現職。


社外取締役は、伊藤俊哉(有限責任あずさ監査法人常務執行理事)、マッカイ里菜(千鳥ヶ淵総合事務所設立)です。

2. 事業内容


同社グループは、「人財ソリューション事業」「教育機関支援事業」「プロモーション支援事業」を展開しています。

人財ソリューション事業


新卒学生や転職希望者に対し、合同企業説明会やセミナー等を開催して採用情報を提供しています。また、採用活動全般のコンサルティングとして、会社案内の企画制作、採用業務代行、新卒紹介などのサービスも展開しています。

クライアント企業から広告・出展収入、業務代行手数料を受け取る収益モデルです。事業の運営はアクセスネクステージが行っています。

教育機関支援事業


教育機関の広報や運営を総合的にサポートし、進学説明会の開催やWebサイトでの情報提供を行っています。また、学校案内の企画制作やオープンキャンパス等の事務局運営代行、寄付・募金プロモーションなど幅広い業務を提供しています。

クライアントである教育機関などから出展・広告収入や制作請負収入を受け取る収益モデルです。事業の運営はアクセスネクステージが行っています。

プロモーション支援事業


クライアントの販売促進活動を支援するため、キャンペーンやイベント等の事務局代行、ダイレクトメール等の制作・発送、デジタルプロモーションなどを一括で代行するサービスを提供しています。

広告代理店や民間企業などのクライアントから業務委託費や制作費を受け取る収益モデルです。事業の運営はアクセスプログレスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近3期の業績を見ると、売上高は着実に増加傾向にあります。特に直近の事業年度では全ての事業セグメントで増収を達成し、売上高の拡大を牽引しました。経常利益も黒字基調を維持しており、一時的な当期純損失から回復するなど、収益基盤の強化が進められています。

項目 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 35億円 36億円 40億円
経常利益 0.7億円 2.2億円 2.2億円
利益率(%) 2.1% 6.0% 5.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.3億円 -0.3億円 0.8億円

(2) 損益計算書


直近2期の損益状況を見ると、増収に伴い売上総利益が増加しています。一方で、事業拡大や人員強化に向けた投資により販売費及び一般管理費も増加し、営業利益率は横ばいで推移しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 36億円 40億円
売上総利益 17億円 18億円
売上総利益率(%) 47.6% 46.4%
営業利益 2.3億円 2.3億円
営業利益率(%) 6.4% 5.8%

(3) セグメント収益


各セグメントの動向を見ると、人財ソリューション事業や教育機関支援事業はサービス需要を捉えて売上が堅調に推移しました。一方、プロモーション支援事業も業務代行分野の受託拡大により大幅な増収を達成しており、グループ全体の売上を押し上げています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
人財ソリューション事業 14億円 15億円
教育機関支援事業 11億円 11億円
プロモーション支援事業 11億円 13億円
連結(合計) 36億円 40億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動で生み出した資金を用いて借入金の返済を進めつつ、必要な設備等への投資も手元資金で賄っている健全な財務状態にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 1.9億円 1.5億円
投資CF 0.4億円 -0.3億円
財務CF -1.5億円 -1.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.3%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、パーパス(存在意義)として「人と社会をつなぎ、豊かな未来を創る。」を掲げています。また、創業以来の経営理念として「人と社会をベストな未来に導くために、心の通うメディアとコミュニケーションの場を創造します」を礎とし、一人ひとりのライフスタイルに寄り添う情報と仕組みの構築を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、「多様性を尊重し、挑戦できるエンゲージメントを醸成する」という価値観を重視しています。また、グループ行動指針として「倫理観を持って信頼を醸成し、永続的な成長と社会的責任を全うします」と定め、法令遵守と透明性の高いガバナンス体制を敷き、社員が挑戦できる働きがいのある環境整備を進めています。

(3) 経営計画・目標


2032年の創業50周年に向けた中長期ビジョン「Diversity Link 2032―挑戦で未来を拓き、共に成長する社会を実現する。」を策定し、事業展開を進めています。企業価値向上を示す客観的な経営指標として、売上高、売上総利益、営業利益を最重要KPIに位置づけ、持続的な成長を目標としています。

(4) 成長戦略と重点施策


顧客生涯価値(LTV)を重視したストック収益型ビジネスの拡大を成長戦略の中核に据えています。また、新たな注力領域への事業拡大や資本アライアンスを推進するとともに、AI等の先端技術へのシステム投資を通じてクライアントへの提案力強化や業務の効率化を図り、グループ全体のシナジー最大化を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資本を経営の重要資本と位置づけ、グローバル人材やAI活用人材など多様な専門性を持つ人材の獲得と育成に注力しています。柔軟な勤務体系の整備や、AI活用による生産性向上、適材適所に基づく人員配置を推進し、多様な社員が十分に能力を発揮し自律的に挑戦できるオープンな組織づくりを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 45.3歳 19.3年 6,135,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 各種法規制の改正や業界ルールの変更

同社の事業は、個人情報保護法、景品表示法、労働者派遣法などの多岐にわたる法規制のほか、就職活動スケジュール等の業界特有の自主規制ルールに従う必要があります。これらの法規制や自主規制が事業活動を制限する内容で新設または改正された場合、同社の業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 業績の季節変動と売上の偏重

人財ソリューション事業は新卒学生の就職活動時期に、教育機関支援事業は進学説明会等のプロモーション時期に売上が集中する傾向があります。就職活動時期の早期化などによるスケジュールの変更や、これらの集中時期に計画通りの売上が確保できなかった場合、同社グループの業績に影響が生じるリスクがあります。

(3) 個人情報の管理と情報漏洩

同社グループのサービスでは、個人情報を多数取り扱っています。プライバシーマークの取得や厳格なコンプライアンスプログラムの運用など情報セキュリティ対策に細心の注意を払っていますが、万一、サイバー攻撃や人為的ミスによって個人情報の漏洩事故が発生した場合、社会的信用の失墜や損害賠償による業績悪化のリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。