アクセスグループ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アクセスグループ・ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アクセスグループ・ホールディングスは、東京証券取引所スタンダード市場および福岡証券取引所本則市場に上場する企業です。人財採用支援、教育機関支援、プロモーション支援の3事業を展開しています。直近の業績は、売上高が前期比4.1%増、営業利益が同160.2%増となり、増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社アクセスグループ・ホールディングス の有価証券報告書(第36期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アクセスグループ・ホールディングスってどんな会社?


アクセスグループ・ホールディングスは、新卒採用支援や教育機関向け広報、プロモーション支援を軸に事業を展開する企業グループです。

(1) 会社概要


同社は、1982年に前身となるアクセス通信を設立し、就職広報事業を開始しました。1990年に現法人の前身となる有限会社エーシーエスを設立後、2009年に持株会社制へ移行しました。2018年にはJASDAQ(スタンダード)へ上場を果たし、2025年にはプロネクサスと資本業務提携を行っています。

2025年3月31日時点の従業員数は連結117名、単体12名です。筆頭株主は資産管理業務を行うとみられる合同会社A・G・Sで、第2位は代表取締役社長の木村勇也氏、第3位は資本業務提携先の事業会社であるプロネクサスとなっています。

氏名 持株比率
合同会社A・G・S 12.78%
木村 勇也 11.07%
プロネクサス 10.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性0名の計10名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は木村勇也氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。

氏名 役職 主な経歴
木村 勇也 代表取締役社長 2004年アクセスコーポレーション(現アクセスプログレス)入社。2009年同社取締役、2014年同社代表取締役専務を経て、2015年より現職。2024年よりアクセスプログレス社長を兼務。
木村 春樹 取締役会長 1972年大学インフォメーションサービス入社。1982年アクセス通信(現アクセスプログレス)設立し社長就任。2009年同社社長兼会長を経て、2020年より現職。
増田 智夫 取締役副社長(非常勤) 2005年アクセスコーポレーション(現アクセスプログレス)入社。2019年アクセスリード(現アクセスネクステージ)社長。2020年アクセスネクステージ社長(現任)。2021年より現職。
土田 俊行 専務取締役事業統括部長 1989年アクセス通信(現アクセスプログレス)入社。2009年同社取締役。2014年同社常務取締役。2020年より現職。グループ会社の取締役を兼務。
保谷 尚寛 専務取締役財務企画部長 1997年アクセス通信(現アクセスプログレス)入社。2009年同社転籍。グループ会社の監査役・取締役を経て、2020年同社常務取締役。現在は専務取締役を務める。
浜野 竹志 取締役管理部長 1997年フォーカスシステムズ入社。2001年アクセス通信(現アクセスプログレス)入社。2009年同社転籍。2017年より現職。
鈴置 修一郎 取締役 1976年朝日新聞社入社。同社東京広告局長を経て、2011年静岡朝日テレビ常務取締役。2018年より現職。


社外取締役は、鈴置修一郎(元静岡朝日テレビ常務取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「人財ソリューション事業」「教育機関支援事業」「プロモーション支援事業」を展開しています。

人財ソリューション事業


新卒学生や若年層社会人に対し、合同企業説明会「アクセス就活」やセミナーを通じて企業の採用情報を提供しています。また、採用アウトソーシング、アセスメントツール提供、新卒紹介、ダイレクトリクルーティングなどのサービスも手掛け、企業の採用活動を総合的に支援しています。

収益は、クライアント企業からの広告掲載料、イベント出展料、業務代行手数料、および人材紹介手数料などから得ています。運営は主に株式会社アクセスネクステージが行っています。

教育機関支援事業


大学や専門学校などの教育機関に対し、学生募集のための合同進学説明会「アクセス進学」「アクセス日本留学フェア」の開催や、Webサイト運営、パンフレット制作、オープンキャンパス運営代行などを提供しています。また、外国人留学生向けの進学支援にも注力しています。

収益は、クライアントとなる教育機関からのイベント出展料、広告掲載料、制作費、業務委託費などから得ています。運営は主に株式会社アクセスネクステージが行っています。

プロモーション支援事業


企業の販売促進活動を支援するため、キャンペーンやイベントの事務局代行、DM・パンフレット等の制作・発送、コールセンター運営、デジタルプロモーションなどを一括して提供しています。特に、個人情報を取り扱うキャンペーン事務局業務に強みを持ちます。

収益は、クライアント企業や広告代理店からの業務代行手数料、制作費、印刷・発送費、広告運用費などから得ています。運営は主に株式会社アクセスプログレスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は30億円台半ばで推移してきましたが、一時的な落ち込みを経て回復傾向にあります。利益面では、経常利益が黒字基調で推移しており、直近では利益率が向上しています。当期利益に関しては変動が見られます。

項目 2021年9月期 2022年9月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 33億円 37億円 19億円 35億円 36億円
経常利益 -2.5億円 0.4億円 0.5億円 0.7億円 2.2億円
利益率(%) -7.5% 1.0% 2.4% 2.1% 6.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -4.3億円 -0.3億円 0.2億円 1.3億円 -0.3億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益が増加し、利益率も改善しています。販管費のコントロールが進んだことで、営業利益率が大きく向上しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 35億円 36億円
売上総利益 16億円 17億円
売上総利益率(%) 45.6% 47.6%
営業利益 0.9億円 2.3億円
営業利益率(%) 2.6% 6.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が7億円(構成比46%)、役員報酬が2億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


人財ソリューション事業と教育機関支援事業が増収増益となり、全社の利益成長を牽引しています。一方、プロモーション支援事業は売上が横ばいですが、赤字幅は縮小しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
人財ソリューション事業 14億円 14億円 1.7億円 2.3億円 16.1%
教育機関支援事業 10億円 11億円 0.1億円 0.2億円 2.0%
プロモーション支援事業 11億円 11億円 -0.9億円 -0.1億円 -0.5%
調整額 -1億円 -2億円 -0.0億円 -0.2億円 -
連結(合計) 35億円 36億円 0.9億円 2.3億円 6.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 2.4億円 1.9億円
投資CF 0.2億円 0.4億円
財務CF -0.5億円 -1.5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同グループは、「人や社会をベストな未来に導くために、心の通うメディアとコミュニケーションの場を創造」することを経営理念として掲げています。この使命を全うするため、人財ソリューション、教育機関支援、プロモーション支援の各事業に専門特化し、広告広報を含めた総合支援を推進しています。

(2) 企業文化


同社は、社員のために「社員の資質と挑戦心、創意工夫を発揮できる働きがいと活力に満ちた職場環境を提供する」ことを基本方針の一つとしています。また、クライアントやユーザー、株主・社会に対しても、専門力と創造力の発揮、ライフスタイルへの寄り添い、倫理観を持った信頼の醸成を重視する姿勢を示しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、企業理念及び経営戦略等の実現性と企業価値向上を示す客観的指標として、「売上高」「売上総利益」「営業利益」を経営上の重要な指標として位置付けています。具体的な数値目標については有価証券報告書内に記載はありません。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、連合企画と個別案件の複合的アプローチによる顧客開拓や、アナログ・デジタル・モノを融合した提案力の拡大、BPO需要に対応した業務代行・事務局機能の強化を戦略として掲げています。また、プロネクサスとの資本業務提携による取引先の拡大や、外国人留学生関連ビジネスの強化、大学との連携深化にも注力し、収益の最大化を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、社員一人ひとりが能力を発揮できるよう適材適所の人員配置を行い、フレックス制度などで働きやすい環境を整備しています。また、多様化するニーズに対応するため、女性や外国籍社員を含む多様性の確保を推進しています。育成面では、継続的な教育や明確な目標設定、マネジメント層の強化を通じて、組織全体のパフォーマンス向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.6歳 19.2年 6,056,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は常時雇用する労働者が300人以下のため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境の変化


景気の急激な変動や地政学リスク、人口減少による市場構造の変化などが生じた場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、人財ソリューション事業等における有効求人倍率の動向や、教育機関支援事業における少子化の影響なども重要な要因となります。

(2) 当社グループの事業に関するリスク


人財ソリューション事業や教育機関支援事業は、就職活動や進学説明会の時期に合わせて売上が特定の期間に集中する季節変動性があります。集中期に十分な成果が得られなかった場合や、就活スケジュールの変更等があった場合、業績に影響が生じる可能性があります。また、取引基本契約書を取り交わさない商慣習によるリスクもあります。

(3) コンプライアンスに関するリスク


業務における人的ミスや不正、個人情報の漏洩、システム障害などが発生した場合、損害賠償や社会的信用の毀損につながる可能性があります。特に個人情報を扱うサービスにおいては、厳格な管理が求められます。また、法令改正や業界規制の変化に対応できない場合もリスク要因となります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。