ミンカブ・ジ・インフォノイド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミンカブ・ジ・インフォノイド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース上場のミンカブ・ジ・インフォノイドは、メディア事業とソリューション事業を展開しています。2025年3月期は、売上高が前期比6.3%増の105億円となる一方、営業損失19億円、当期純損失55億円を計上し、増収ながら赤字幅が拡大する結果となりました。


※本記事は、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド の有価証券報告書(第19期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミンカブ・ジ・インフォノイドってどんな会社?


金融・資産形成メディア「MINKABU」や「ライブドア」等の運営、および金融機関向けソリューション提供を行う企業です。

(1) 会社概要


2006年にマスチューンとして設立され、翌年「みんなの株式」を開始しました。2019年に東証マザーズへ上場し、2022年にはライブドアを完全子会社化しました。2023年に持株会社体制へ移行しましたが、2025年3月期にはコンテンツ事業からの撤退を含む事業整理を実施しています。

連結および単体の従業員数は241名です。筆頭株主は創業者で代表取締役会長の瓜生憲氏、第2位は資本業務提携先のSBIホールディングス、第3位は同じく提携関係にあるソニーネットワークコミュニケーションズです。

氏名 持株比率
瓜生 憲 8.31%
SBIホールディングス 8.23%
ソニーネットワークコミュニケーションズ 6.54%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は伴 将行氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
瓜生 憲 代表取締役会長 2006年同社設立代表取締役社長。ゴールドマン・サックス証券等を経て、ライブドア代表取締役会長等を歴任。2025年2月より現職。
伴 将行 代表取締役社長 2015年同社入社。子会社代表取締役等を経て、ミンカブソリューションサービシーズ代表取締役社長等を歴任。2025年2月より現職。
宮本 直人 取締役 ヤフー、GYAO代表取締役社長、LINE執行役員等を経て、2022年ライブドア代表取締役社長兼COOに就任。2024年6月より現職。
矢口 順子 取締役 メリルリンチ証券、ドワンゴ等を経て、2013年同社入社。上級執行役員、子会社監査役等を歴任。2024年6月より現職。
髙田 隆太郎 取締役 スクウェア・エニックス等を経て、2012年同社入社。取締役副社長兼CFO、子会社取締役等を歴任。2022年6月より現職。


社外取締役は、澄田 誠(元イノテック代表取締役社長)、槇 徳子(エムシーストラテジー代表取締役)、濱野 信也(元三井物産戦略研究所取締役副社長)、石橋 省三(一般財団法人石橋湛山記念財団代表理事)、吉村 貞彦(元監査法人太田哲三事務所副理事長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「メディア事業」および「ソリューション事業」を展開しています。

**(1) メディア事業**
ライブドア事業を核に、ブログサービスやニュースサイト等のUGC/PGCメディアに加え、スポーツ、資産形成、美容等の専門メディアを運営しています。幅広いユーザー層に対し、生活情報やエンターテインメント情報を提供しています。

収益は主に広告主からの広告料、ユーザーからの月額課金、提携先からの手数料等で構成されます。運営は主にライブドアが行っていますが、事業再編に伴い同社グループ内での統合が進められています。

**(2) ソリューション事業**
金融機関向けに情報コンテンツやアプリケーションを提供する情報ソリューションや、システム構築を支援するSI・パッケージソリューションを展開しています。また、投資家向け株式情報メディア「Kabutan(株探)」の運営も行っています。

収益は、金融機関等からの初期導入費や月額利用料(ストック収入)、システム開発の受託費、および「Kabutan」ユーザーからの月額課金等が柱です。運営は主にミンカブソリューションサービシーズ等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間では、売上高は増加傾向にあるものの、利益面では2023年3月期以降損失を計上しており、赤字幅が拡大しています。特に2025年3月期は多額の特別損失計上により大幅な赤字となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 42億円 55億円 68億円 99億円 105億円
経常利益 7億円 8億円 -2億円 -8億円 -20億円
利益率(%) 17.7% 15.1% -3.0% -8.0% -18.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 7億円 8億円 -12億円 -55億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価の増加等により売上総利益率は低下しています。販管費も高水準で推移しており、営業損失が拡大しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 99億円 105億円
売上総利益 42億円 29億円
売上総利益率(%) 42.4% 27.4%
営業利益 -7億円 -19億円
営業利益率(%) -7.1% -18.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が13億円(構成比27%)、業務委託費が9億円(同19%)、支払手数料が7億円(同15%)を占めています。

(3) セグメント収益


メディア事業は増収ながら赤字が拡大し、ソリューション事業は増収で黒字を維持していますが利益は横ばいです。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
メディア事業 63億円 68億円 -7億円 -22億円 -32.0%
ソリューション事業 36億円 37億円 1億円 1億円 2.7%
調整額 - - -1億円 2億円 -
連結(合計) 99億円 105億円 -7億円 -19億円 -18.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、成長投資に伴う減損損失や事業整理損等により、営業活動によるキャッシュ・フローは支出となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、ソフトウエア開発投資等により支出となりましたが、前期よりは支出額が減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加等により収入となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1億円 -7億円
投資CF -17億円 -12億円
財務CF -8億円 3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「情報の価値を具現化する仕組みを提供する」を企業理念として掲げています。テクノロジーを活用して情報の付加価値拡大を追求し、社会課題に対する役割を進化させることを目指しています。

(2) 企業文化


理念に基づき、メディア事業とソリューション事業を展開する中で、持続可能な社会・経済環境構築への関心や社会的多様性を尊重する意識を重視しています。また、安定収益化に向けたガバナンス体制の高度化や、リスク管理を通じた健全かつ安定的な経営の維持に取り組む姿勢が見られます。

(3) 経営計画・目標


これまでの売上成長率重視から「選択と集中」へ方針を転換し、安定収益体質への回帰を目指しています。2026年3月期の連結業績目標として、以下の数値を掲げています。
* 売上高:87億円
* 営業利益:3億円
* EBITDA:12億円

(4) 成長戦略と重点施策


安定収益化に向け、不採算事業からの撤退やコスト削減を断行しています。メディア事業は収益性の改善に重点を置き、ソリューション事業を改めて成長ドライバーと位置付け、リソースを集中させます。また、ガバナンス体制の再整備や財務体質の強化を優先課題として取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的成長のため、理念に共感し高い意欲を持つ優秀な人材の確保と育成を重視しています。ダイバーシティ&インクルージョンを推進し、多様な働き方の整備や福利厚生の充実を図るとともに、自律的成長を促す教育制度や公正な評価制度の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.1歳 6.7年 6,267,396円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 27.4%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 82.6%
男女賃金差異(正規) 75.5%
男女賃金差異(非正規) 113.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性の産休・育休後復帰率(100%)、e-learning 受講時間数(1時間04分)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 広告市場の動向


メディア事業の売上における広告収入の割合が高く、景気減速や広告市況の悪化、広告単価の下落等が業績に悪影響を及ぼす可能性があります。収益モデルの多様化を進めていますが、アドネットワーク広告市況の低迷長期化などがリスク要因となります。

(2) 金融市場の動向


ソリューション事業は金融機関等を主要顧客としているため、市況変動により金融機関の事業活動が減退した場合、受注減少等につながる可能性があります。個人投資家の活動低下による課金サービス利用の減少なども含め、業績への影響が懸念されます。

(3) 継続企業の前提に関する事象


連続した損失計上や、手元資金に対し借入金返済額が多額であることなどから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在しています。事業整理やコスト削減、金融機関とのリスケジュール合意などの対策を講じていますが、重要な不確実性が認められます。

(4) システム及びサービスの不具合


事業の多くがコンピュータシステムやインターネットに依存しているため、自然災害や不正アクセス、機器の不具合等によるシステム障害が発生した場合、機会損失や信用の低下を招き、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。