※本記事は、株式会社インフォネット の有価証券報告書(第23期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. インフォネットってどんな会社?
同社は、Webサイト構築から運用までを一気通貫で支援する企業です。自社開発CMS「infoCMS」等を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は2002年に福井県で設立され、2011年に主力製品となるWebサイト構築・管理システム「infoCMS」の販売を開始しました。2019年には東京証券取引所マザーズへ上場を果たします。その後、2021年にアイアクトを完全子会社化しAI領域へ展開、2024年には新CMS「LENSAhub」の提供を開始するなど、事業拡大を進めています。
2025年3月31日時点の従業員数は連結132名、単体89名です。筆頭株主は同社取締役が代表を務めるフォーカスキャピタルで、第2位は資産管理を行うパスファインダー、第3位は個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| フォーカスキャピタル | 42.69% |
| パスファインダー | 3.77% |
| 佐野 史和 | 2.40% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長執行役員は日下部拓也氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 日下部 拓也 | 代表取締役社長執行役員 | 公認会計士。オルトプラス、フォーカスを経て2017年同社入社。2021年10月より現職。 |
| 南嶋 将人 | 取締役執行役員 | 広告制作会社等を経て2011年同社入社。デザイン部長、開発本部長等を歴任し2025年4月より現職。 |
| 古宿 智 | 取締役執行役員 | リリカラ、日本ワムネット等を経て2020年同社執行役員。カスタマーサクセス等を管掌し2025年4月より現職。 |
| 西原 中也 | 取締役 | 毎日コミュニケーションズ等を経てアイアクト入社。同社取締役CTO等を歴任し2023年6月より現職。 |
| 江村 真人 | 取締役 | 公認会計士。リプラス等を経てフォーカス設立。2017年6月より現職。 |
社外取締役は、小尾一介(Link Asia Capital代表取締役パートナー)、八谷賢治(余白代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「Web受託開発・ASPサービス事業」を展開しています。
■(1) CMS事業(infoCMS・LENSAhub)
専門知識がなくてもWebサイトの更新・管理が可能なCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を提供しています。主力製品の「infoCMS」に加え、2024年にはセキュリティと操作性を強化した次世代ノーコードCMS「LENSAhub」をリリースし、企業のWebマーケティングを支援しています。
収益は、Webサイト構築時の構築代金と、納品後のシステム利用期間中に発生する月額利用料(運用保守・維持管理費)から構成されています。運営は主にインフォネットが行っています。
■(2) AI・業務支援ツール事業
Webサイト運用を補助する周辺ソリューションを提供しています。Google Analytics 4連携のアクセス分析ツール「MEGLASS finder」や、AIライティングサービス「LENSAwriter」、AIチャットボット「Cogmo Attend」などを展開しています。
収益は、各サービスの利用料や導入費用からなります。運営はインフォネットおよび子会社のアイアクトが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は第20期に大きく伸長した後、緩やかな増加傾向にあります。利益面では第20期に赤字となりましたが、翌期以降は黒字回復し、安定的に推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 10億円 | 17億円 | 17億円 | 18億円 | 20億円 |
| 経常利益 | 0.9億円 | -0.6億円 | 1億円 | 2億円 | 2億円 |
| 利益率(%) | 9.3% | -3.3% | 8.2% | 9.5% | 8.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.6億円 | -0.9億円 | 0.9億円 | 1億円 | 1億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しましたが、売上原価および販管費の増加により、営業利益は減少しました。売上総利益率は維持または微増傾向にありますが、営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 18億円 | 20億円 |
| 売上総利益 | 8億円 | 9億円 |
| 売上総利益率(%) | 43.7% | 42.9% |
| 営業利益 | 2億円 | 2億円 |
| 営業利益率(%) | 10.7% | 8.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1.9億円(構成比27%)、役員報酬が1.0億円(同15%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントですが、サービス別の売上状況を見ると、受託開発サービスとAIサービスが伸長し全体の増収を牽引しました。月額利用料サービスも堅調に推移しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 受託開発サービス | 7億円 | 9億円 |
| 月額利用料サービス | 8億円 | 8億円 |
| AIサービス | 2億円 | 2億円 |
| SES・その他 | 0.3億円 | 0.4億円 |
| 連結(合計) | 18億円 | 20億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
インフォネットは、営業活動により資金を獲得し、事業拡大のための投資を行い、財務活動で資金調達を行うことで、総資産を増加させています。営業活動では、主に利益の創出によって資金を獲得しました。投資活動では、無形固定資産への投資が主な支出となりました。財務活動では、長期借入による収入が資金獲得の要因となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1億円 | 2億円 |
| 投資CF | -1億円 | -4億円 |
| 財務CF | -1億円 | 3億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「Change to Value, Chain the Value(価値をつくり、その価値は、社会全体へ連鎖する)」をPURPOSEとして掲げています。技術と創造力で企業のWebコミュニケーションを進化させ、成長を加速させることをMISSIONとし、「そのビジネスに、伝える力を。」というVISIONの実現を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は大切にする価値観と行動指針として「Do Fast(スピード・プロフェッショナル)」「Be First(挑戦・リーダーシップ)」「In Humor(遊び心・創造性)」の3つのVALUEを定めています。新しい技術を素早く取り入れ、当事者意識を持ち、周囲を驚かせ笑顔にする創造性を重視する文化です。
■(3) 経営計画・目標
同社は、より高い成長性および収益性を確保する観点から、以下の指標を重要な経営指標と捉えています。
* 売上高成長率
* 営業利益率
* 月額利用料サービスに係る売上高成長率
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、新CMS「LENSAhub」によるシェア拡大や周辺製品との連携、AI活用型プロダクトの開発、他社ツールとのアライアンス強化を進めています。また、内部管理体制や営業・開発体制の強化、システム安定性の確保にも注力し、事業領域の拡大と顧客基盤の強化を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、優れたプロダクト開発と販売のためには、柔軟な思考力や実行力を備えた多様な人材の採用と育成が不可欠であると考えています。優秀な人材を積極的に採用するとともに、開発プロセスの見直しや社内ノウハウの共有、教育訓練等を通じて、より強固な開発体制の構築に努める方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.3歳 | 6.1年 | 4,825,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 35.7% |
| 男性育児休業取得率 | -% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 91.7% |
| 男女賃金差異(正規) | 91.7% |
| 男女賃金差異(非正規) | -% |
※男性育児休業取得率について、取得対象となる該当者がありませんでした。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、男性の育児目的休暇取得率(100%)、従業員に対するエンゲージメントサーベイ(50%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定の製品への高い依存
同社の事業は主力製品である「infoCMS」に依存しています。競合会社の新規参入や競争激化等により同製品の優位性が失われた場合、同社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 業績の季節変動性
Webサイト受託開発は顧客の会計年度の関係上、3月に検収が集中する傾向があります。そのため第4四半期の業績比重が高く、特定の四半期のみで通期業績を判断することは困難です。また、3月に不測の事態が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 技術革新への対応
事業領域において日々新たな技術が開発される中、同社は積極的な技術開発を行っています。しかし、急激な技術革新に適時に対応できない場合や、市場動向の把握に遅れをとった場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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