ブランディングテクノロジー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ブランディングテクノロジー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場する、中堅・中小企業向けのブランド事業とデジタルマーケティング事業を展開する企業です。直近の業績は、売上高50億円(前期比9.2%増)、経常利益1.2億円(同266.4%増)と増収増益を達成しています。顧客のブランドを起点とした経営支援を強みとしています。


※本記事は、ブランディングテクノロジー株式会社 の有価証券報告書(第24期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ブランディングテクノロジーってどんな会社?


中堅・中小企業や医療機関に対し、ブランディングとデジタルマーケティングを統合的に支援する企業です。

(1) 会社概要


同社は2001年に歯科医院専門ポータルサイトの販売を目的に有限会社フリーセルとして設立されました。その後、Webコンサルティングやインターネット広告代理事業へと領域を拡大し、2018年に現在の社名へ変更しました。2019年に東証マザーズ(現グロース)へ上場を果たし、現在は沖縄やベトナムにも拠点を構え、制作・運用の効率化を図っています。

同社グループの従業員数は連結で209名、単体で105名です。筆頭株主は代表取締役社長が代表を務めるアズーロで、第2位は代表取締役社長の木村裕紀氏、第3位は個人株主の榊原暢宏氏です。経営陣およびその関連会社が多くの株式を保有しており、オーナーシップの強い経営体制となっています。

氏名 持株比率
アズーロ 37.51%
木村 裕紀 11.94%
榊原 暢宏 7.12%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は木村裕紀氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
木村 裕紀 代表取締役社長 1999年テレウェイヴ(現アイフラッグ)入社。2005年同社入社。取締役営業本部長、常務等を経て、2009年より現職。アズーロ代表取締役、アザナ代表取締役会長等を兼任。
松岡 雄司 取締役 2002年ミップス入社。2006年同社入社。執行役員マーケティングソリューション本部長等を経て、2020年より現職。ファングリー代表取締役社長を兼任。
野口 章 取締役 2000年ユニコ入社。2007年同社入社。取締役エリア統括本部長、常務取締役ブランドファースト事業本部長等を経て、2023年より現職。
仲松 佑弥 取締役 2014年同社入社。デジタルマーケティング本部営業部長、執行役員デジタルマーケティング本部長等を経て、2024年より現職。


社外取締役は、吉田恵佑(ディープインパクトマネージャー・公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ブランド事業」および「デジタルマーケティング事業」を展開しています。

(1) ブランド事業


顧客企業のブランドを明確にし、オウンドメディア構築、コンテンツ制作、経営サポート、自社メディア運用などを提供しています。独自のフレームワーク「ブランドファースト」を活用し、集客や採用などの課題解決を支援します。

収益は、Webサイトやコンテンツの制作費、運用保守費、自社メディア(歯科タウン等)の掲載費などとして顧客企業から受け取ります。運営は主にブランディングテクノロジー、子会社のアザナ、ファングリー、VIETRYが行っています。

(2) デジタルマーケティング事業


中堅・中小企業に対し、インターネット広告運用、SEOコンサルティング、マーケティングツール支援などをワンストップで提供しています。専門ノウハウが不足している顧客に対し、戦略立案から実行、効果測定までを支援します。

収益は、広告出稿の代理手数料、コンサルティングフィー、ツール販売手数料などとして顧客企業から受け取ります。運営は主にブランディングテクノロジー、子会社のアザナ、シンフォニカルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は40億円台後半から50億円前後で推移しています。2024年3月期は一時的に利益が減少しましたが、2025年3月期には売上高が過去最高の50億円を超え、経常利益も1.2億円まで回復しました。利益率は変動があるものの、黒字基調を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 44.2億円 49.4億円 51.6億円 46.1億円 50.3億円
経常利益 -1.2億円 1.1億円 1.2億円 0.3億円 1.2億円
利益率(%) -2.6% 2.2% 2.4% 0.7% 2.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -0.4億円 0.8億円 0.8億円 0.0億円 0.8億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しています。営業利益率は前期の0.8%から2.2%へと改善しており、収益性が向上しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 46.1億円 50.3億円
売上総利益 11.1億円 11.9億円
売上総利益率(%) 24.1% 23.7%
営業利益 0.4億円 1.1億円
営業利益率(%) 0.8% 2.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.9億円(構成比46%)、支払手数料が2.0億円(同18%)を占めています。人件費と外部委託等の手数料が主なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


デジタルマーケティング事業が増収増益となり、全体の業績を牽引しました。ブランド事業は、短納期・高利益率商材への注力により減収ながらも増益を達成し、収益性が改善しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ブランド事業 14.5億円 14.2億円 2.4億円 3.0億円 21.1%
デジタルマーケティング事業 31.6億円 36.1億円 2.2億円 2.7億円 7.6%
連結(合計) 46.1億円 50.3億円 0.4億円 1.1億円 2.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -0.5億円 0.5億円
投資CF -0.1億円 -0.0億円
財務CF -1.3億円 0.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「共存共栄の精神で世の中に新たな価値と笑顔を創出します」を企業理念として掲げています。中堅・中小企業の経営者に真摯に向き合う事業推進パートナーとして、顧客と共に事業を推進し、ブランドの可能性や事業拡大のアイデアを提供する存在になることを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「ブランドファースト」という独自のフレームワークを重視しています。これは、企業の存在意義や強みといった「ブランド」を経営の起点に置くことで、一貫した企業経営を行う考え方です。インナーブランディングによる組織力強化と、アウターブランディングによる営業力強化の両輪で、中長期的な成長を導くことを行動の指針としています。

(3) 経営計画・目標


同社は、事業を継続的に発展させるために収益力を高め、適正な利益を確保することを重要視しています。中期的な経営指標として、以下の数値を目標に掲げています。

* 連結売上高営業利益率:5%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「日本を代表する中堅・中小企業・開業医向けブランディング・マーケティング伴走支援会社」を戦略コンセプトとしています。テクノロジーの進化に対応した最適なソリューション提供、顧客サポート体制の強化による基盤構築、および人的資本への投資を重点施策として推進する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人材」を重要な経営資源と位置づけ、年齢や性別を問わず採用し、優秀な人材を積極的に管理職へ登用する方針です。特に、顧客の課題に合わせて最適なチームを組成・マネジメントできる「フロント人材」の育成に注力しています。また、健康経営の推進や社内外の研修制度の充実により、従業員がいきいきと働ける環境づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 35.1歳 6.4年 5,034,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.1%
男性育児休業取得率 40.0%
男女賃金差異(正規) 78.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(非正規) -


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、フロント人材(90名)、女性従業員比率(41.9%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 検索エンジンへの依存


同社の主力サービスであるネット広告やSEO、コンテンツマーケティング等は、Google等の検索エンジンの仕様や検索結果に強く依存しています。検索アルゴリズムの変更やプラットフォーム事業者の規約変更があった場合、サービスの効果が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 外注業者の活用


同社は制作や広告運用の一部で外部パートナー企業を活用しています。パートナー企業の経営不振や市場環境の変化による外注費の高騰、または納品物の品質問題や納期遅延などが発生した場合、同社のサービス品質や利益率に悪影響を与える可能性があります。

(3) 競合について


デジタルマーケティング市場には多数の競合が存在し、競争が激化しています。同社は独自のフレームワークやワンストップ体制で差別化を図っていますが、価格競争の進行や顧客ニーズの変化に対応できず競争力が低下した場合、収益性の悪化を招く可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。