※本記事は、ランサーズ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは「個のエンパワーメント」をミッションに掲げ、企業にはAX(AIトランスフォーメーション)の統合ソリューションを、個人にはマッチングプラットフォームを通じた仕事機会やリスキリング機会を提供しています。
単体従業員数は126名、連結従業員数は150名です。セグメントはプラットフォーム事業の1つです。
主な国内グループ会社は、MENTA、ランサーズ・ストラテジック・コンサルティング、ランサーズ・ワンズソリューションなどです。
同社グループは2025年5月にランサーズ・ストラテジック・コンサルティングを設立し、同年8月には株式会社ワンズパワーをグループ化しランサーズ・ワンズソリューションに商号変更しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ランサーズは、テクノロジーを活用して個人の働き方を支援するプラットフォーム事業を展開しています。この事業特性から、多様な働き方を尊重し、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出す環境づくりに力を入れていることがうかがえます。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社グループの職場環境を詳しく見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の定着と成長を重視する姿勢が見られます。平均勤続年数や平均年齢からは、比較的若い層が中心となりながらも、一定のキャリアを築ける環境があることが示唆されます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,414,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.2年 |
| 平均年齢 | 36.0歳 |
| 単体従業員数 | 126人 |
| 連結従業員数 | 150人 |
| 単体のグループ内比率 | 84.0% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「個のエンパワーメント」をミッション、「人と経済の可能性をテクノロジーで解き放つ」をビジョンに掲げ、人材戦略を推進しています。次世代の働き方の変革者として、経営理念や行動指針に共感し、事業を牽引できる優秀な人材の確保・育成に注力しています。全従業員が共有すべき行動指針「Lancers Way」を策定し、組織全体への浸透と一体感の醸成を図っています。
報酬制度については、個人と組織の持続的な成長を促し、創出された成果を適切に還元する仕組みの構築を目指しています。経営環境の変化や目指すべき組織像に合わせ、評価制度および等級制度を定期的に見直し、同社グループの成長に直結する行動や成果が公正に評価される制度設計へのアップデートを継続的に実施しています。人材への投資およびエンゲージメント向上を目的として、2025年度より定期的なベースアップを実施しており、福利厚生制度の拡充を含めた実質的な処遇改善を計画的に進めています。
また、近年のAI技術の急速な進展に対応するため、社内にAI活用専門部署を設置し、全社的なAIリテラシーの向上と業務変革を推進しています。これにより、生産性の向上ならびに収益性の改善を主導し、人員規模の拡大のみに依存しない持続的な利益成長を目指しています。少数精鋭の社員とフリーランスが有機的に協働し、付加価値を最大化する独自の利益拡大モデルを構築・推進しています。
従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できるよう、多様な働き方を実現する制度を設けています。具体的には、育児や介護などのライフステージにおいてもキャリアを継続するための時短勤務制度、ベビーシッター利用補助、リモートワーク制度、フレックスタイム制度、キャリア開発のための副業制度などがあります。従業員のエンゲージメントを把握するため、eNPS(Employee Net Promoter Score)調査を定期的に実施し、職場環境の改善に継続的に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、本記事では数値を取得できていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 20.0% |
| 男性育児休業取得率 | 75.0% |
グループ全体(連結)
連結会社全体の集計値です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 23.1% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 75.0% |
従業員に対する取り組み
年次有給休暇取得率と所定外労働時間は、正社員(一般職)を対象とした従業員1人当たりの年間平均を12ヶ月で除したものです。
| 指標 | 2026年3月期 | 目標 |
|---|---|---|
| 年次有給休暇取得率 | 73.0% | - |
| 所定外労働時間 | 15.79時間 | - |
| 女性比率 (連結従業員) | 37.3% | - |
| 女性管理職比率 (女性/全管理職) | 23.1% | 2030年3月までに30%以上を目指す |
| 女性労働者の産休・育休取得率 | 100.0% | 今後も100%を維持する |
ランサー(個人)に対する取り組み
AIエキスパートとは、同社サービスにご登録いただいているユーザーのうち、AIに関する資格またはスキルを保有している人材を指します。
| 指標 | 2026年3月期 | 目標 |
|---|---|---|
| AIエキスパート数(延べ人数) | 13,651人 | 継続的な増加を目指す |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ランサーズは、「個のエンパワーメント」をミッションに掲げ、企業と個人双方にテクノロジーを活用したソリューションを提供しています。企業に対してはAX(AIトランスフォーメーション)の戦略策定から実装、人材提供までを一貫して支援しています。個人に対しては、マッチングプラットフォームを通じた仕事機会や、AI時代に対応するためのリスキリング機会を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、企業と個人の双方を支援する事業を展開しており、主に「マッチングプラットフォーム」「エージェント」「コンサルティング&ソリューション」の3つの事業モデルが存在します。主力サービスである「ランサーズ」は、オンラインで企業が直接利用するマッチングプラットフォームです。クライアントからの依頼に対してランサーが見積もりを提案するプロジェクト方式や、複数のランサーが提案しクライアントが選ぶコンペ・タスク方式、個人のスキルをパッケージとして出品する方式などがあります。
「エージェント」事業では、同社グループが介在し、プロフェッショナル人材を紹介しています。「ランサーズ テックエージェント」ではIT人材を、「ランサーズ プロフェッショナルエージェント」ではフリーコンサルタントをマッチングしています。これにより、クライアントの業務委託内容やランサーのスキルレベルを明確にした上で、精度の高いマッチングを実現しています。
「コンサルティング&ソリューション」事業は、社員コンサルタントやエンジニアが直接プロジェクトに従事するサービスモデルです。大企業の戦略策定から開発・実装までを一貫して支援し、外部フリーランスとのハイブリッドチームを編成することで、柔軟なソリューションを提供しています。収益モデルとしては、「マッチングプラットフォーム」は依頼金額に伴うシステム手数料やオプション利用料、「エージェント」は業務委託料とシステム手数料の総額、「コンサルティング&ソリューション」は受注金額を売上として計上しています。当連結会計年度の外部顧客への売上高は、マッチング事業が53.8億円、その他事業が54百万円となっています。同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が90%を超えており、国内事業が中心となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は直近の2期で増加傾向にあります。経常利益は、第14期および第15期に損失を計上していましたが、第16期以降は黒字を維持し、当期も増加しています。親会社株主に帰属する当期純利益は、第16期と第17期に黒字を計上しましたが、当期は前期から減少しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 40.7億円 | 48.1億円 | 45.7億円 | 45.9億円 | 54.4億円 |
| 経常利益 | △3.6億円 | △2.4億円 | 81百万円 | 1.2億円 | 2.1億円 |
| 経常利益率 | △8.8% | △5.1% | 1.8% | 2.5% | 3.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △6.7億円 | △2.4億円 | 1.1億円 | 1.8億円 | 91百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △42.86 | △15.14 | 7.00 | 10.89 | 5.61 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益(連結)も前期から当期にかけて増加しており、従業員あたりの収益創出力と利益創出力がともに向上している傾向が見られます。これは、組織全体の効率化や事業拡大が寄与していることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 32.5百万円 | 36.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 | 1.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、事業活動で資金を生み出し、投資活動も行いながら、財務基盤を強化している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を維持しています。これは、事業運営における安定性を示す一つの指標となります。
ROE(自己資本利益率)は前期から減少していますが、当期も一定の利益を確保している状況です。手元資金である現金及び預金は増加傾向にあり、事業活動を支える資金の厚みがあることがうかがえます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 13.6億円 | 14.1億円 |
| 自己資本比率 | 41.4% | 38.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 13.9% | 6.6% |
| 現金及び預金 | 17.3億円 | 20.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費、減損損失があった一方で、売上債権の増加額があったことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは支出となり、主に連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得や無形固定資産の取得による支出がありました。これは将来に向けた事業拡大のための投資が行われていることを示しています。
財務活動によるキャッシュフローは収入となり、長期借入れによる収入や短期借入れによる収入があった一方で、長期借入金の返済や自己株式の取得による支出がありました。当期は本業で得た資金と借入れにより、投資を賄いながら手元資金を増やしている状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △0.4億円 | 3.7億円 |
| 投資CF | △0.5億円 | △1.2億円 |
| 財務CF | △0.7億円 | 1.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △0.9億円 | 2.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
競争激化や差別化不足、事業領域の構造変化が同社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、新規事業の立ち上げにおいて、計画通りに進まない場合には投資資金を回収できず、事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループが求める人材が十分に確保・育成できない場合や人材流出が進んだ場合、事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ランサーズは、「個のエンパワーメント」をミッションに掲げ、テクノロジーを通じて人と経済の可能性を解き放つことを目指す企業です。
変化する社会環境に対応し、日本の産業をアップデートする新たな挑戦を続けています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ランサーズは「個のエンパワーメント」をミッションに掲げ、「人と経済の可能性をテクノロジーで解き放つ」ことをビジョンとしています。
同社グループは、オンライン上で個人と法人をマッチングするプラットフォーム事業を中核として、フリーランス人材の活用支援を通じて企業の課題解決を推進してきました。
近年では、生成AI等の革新的技術の普及を受け、企業のAX戦略策定から実装までを支援する「ハイブリッド型AXカンパニー」へと経営の方向性を転換しています。「日本の産業をAXでアップデートする」を経営コンセプトに掲げ、人材供給に留まらない包括的なAXサービスの提供を推進していく方針です。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、事業の継続的な成長のため、優秀な人材の採用と強い企業文化の醸成を重視しています。
「すべてはユーザーのために」「101をやり切る」「あるべきで考え、大胆に行動する」「アクション・アジャイル」「チームクリエイター」という5つの行動指針を掲げ、ユニークな企業文化をグループ全体で浸透・発展させることを目指しています。
また、性別・国籍・宗教・雇用形態に関係なく、誰もが自分らしく活躍し、お互いに称賛し、共創するカルチャーの浸透にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、事業の継続的な成長と安定的な収益創出のため、複数の重要な課題に取り組んでいます。
具体的には、AI時代に付加価値が高いフリーランス及びAIエキスパート人材の確保を重視し、人材ネットワークの拡充と定着を図っています。
また、ユーザーが安心してサービスを利用できるよう、サイトの安全性と健全性の確保、システムの安定性強化と運用管理体制の構築に努めています。
さらに、優秀な人材の採用と企業文化の醸成、経営管理と内部管理体制の強化も重要なテーマとして、新たな人事制度の構築やコンプライアンス体制の強化を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ランサーズは、2025年6月27日開催の定時株主総会において、監査等委員会設置会社へ移行しました。取締役会は取締役8名で構成され、毎月1回の定時取締役会を開催するほか、必要に応じて臨時取締役会を開催しています。
同社では2018年4月から執行役員制度を導入し、取締役会の意思決定・監督機能と業務執行機能を分離することで、それぞれの機能強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ランサーズの筆頭株主は代表取締役社長CEOである秋好陽介氏であり、同氏が経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。その他、パーソルホールディングスや丸井グループといった事業会社が上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 秋好 陽介 | 45.96% |
| パーソルホールディングス | 4.66% |
| 丸井グループ | 2.40% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性8名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOは秋好陽介氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 秋好 陽介 | 代表取締役社長 CEO | 2005年4月ニフティ株式会社入社。2008年4月株式会社リート(現同社)設立、同社代表取締役社長。2023年3月より同社代表取締役社長CEO現職。 |
| 後藤 信彦 | 取締役 兼 執行役員 | 1996年4月富士フイルム株式会社入社。2001年4月ニフティ株式会社入社。2018年4月同社入社・執行役員。2024年6月より同社取締役兼執行役員現職。 |
| 上野 諒一 | 取締役 兼 執行役員 | 2014年1月同社入社。2020年5月同社オンラインマッチング事業部部長兼執行役員。2024年6月より同社取締役兼執行役員現職。 |
社外取締役は、加藤丈幸氏(パーソルベンチャーパートナーズ合同会社代表パートナー)、村上臣氏(Shin&Co.代表取締役)、村上未来氏(株式会社somebuddy代表取締役・監査等委員)、永沢徹氏(永沢総合法律事務所代表弁護士・監査等委員)、古川徳厚氏(グロースパートナーズ代表取締役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である社外取締役が取締役の職務執行を監査することで、経営の透明性と健全性を確保しています。社外取締役は独立した立場から客観的な経営判断と助言を行う役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの役員報酬は、企業価値の持続的な向上を動機づけることを基本方針としています。社外取締役を除く取締役の報酬は、基本報酬と業績連動報酬、そして株式報酬(ストック・オプション)で構成されています。一方、社外取締役の報酬は基本報酬のみで構成されており、独立した立場からの客観的な経営判断を促す設計となっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 5名 | 76百万円 | 15.1百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 23百万円 | 2.9百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。また、非金銭報酬等には、ストック・オプション及び譲渡制限付株式報酬制度に基づく当事業年度における費用計上額が記載されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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