フレアス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フレアス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所グロース市場に上場。在宅医療を支えるマッサージ直営事業、フランチャイズ事業、施設系介護サービス事業を展開しています。直近決算では、療養費改定や施設拠点の増加により売上高は前期比32.8%増と伸長しましたが、先行投資や人材確保の遅れ等が響き、経常損失を計上し減益となりました。


#記事タイトル:フレアス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、株式会社フレアス の有価証券報告書(第23期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フレアスってどんな会社?


高齢者向け在宅マッサージサービスのリーディングカンパニーとして、全国で直営・フランチャイズを展開する企業です。

(1) 会社概要


2000年に山梨県で創業しマッサージ事業を開始、2002年に有限会社として法人化しました。2011年に現商号へ変更し、翌年には訪問看護事業を開始して在宅医療分野へ領域を拡大しています。2019年に東京証券取引所マザーズ市場へ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行しました。

連結従業員数は801名、単体では779名です。筆頭株主は株式会社優美で33.34%を保有し、第2位は代表取締役社長の澤登拓氏で28.72%、第3位は資産管理等を行うMSIP CLIENT SECURITIES(常任代理人:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)となっています。創業社長とその関連会社が過半数を保有するオーナー系企業です。

氏名 持株比率
優美 33.34%
澤登 拓 28.72%
MSIP CLIENT SECURITIES(常任代理人:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社) 3.38%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表者は代表取締役社長CEOの澤登拓氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
澤登 拓 代表取締役社長CEO 2000年ふれあい在宅マッサージ開業。2002年有限会社ふれあい在宅マッサージ(現同社)設立、社長就任。2024年5月より現職。
関根 竜哉 取締役副社長CFO セントケア・ホールディング株式会社常務取締役などを経て、2020年同社取締役副社長就任。2022年社長就任を経て、2024年5月より現職。
川久保 次朗 取締役 2013年長谷川興産株式会社(HITOWAライフパートナー株式会社)入社。2019年同社入社、執行役員などを経て2024年6月より現職。
中村 和徳 取締役 株式会社みずほコーポレート銀行などを経て、2021年株式会社ALiNKインターネット取締役CFO。2025年6月より現職。


社外取締役は、長田大徳(弁護士法人ForPEACE法律事務所代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マッサージ直営事業」「マッサージフランチャイズ事業」「施設系介護サービス事業」および「その他」事業を展開しています。

マッサージ直営事業


主治医から歩行困難等により通院が難しいと判断された高齢者等の利用者に対し、自宅や介護施設を訪問してマッサージサービスを提供しています。医療保険制度の適用対象となるサービスが中心であり、疼痛緩和や関節拘縮の改善などを目的とした施術を行っています。

収益は、国民健康保険法等に基づき、健康保険組合等の保険者および利用者から受領する施術料や往療料から構成されています。運営は主にフレアスが行っています。

マッサージフランチャイズ事業


「フレアス在宅マッサージ」等のブランドでフランチャイズチェーンを展開し、加盟店に対して開業支援や運営指導、施術研修などを提供しています。利用者に提供されるサービス内容は直営事業と同様ですが、サービス提供主体は各フランチャイズ加盟店となります。

収益は、加盟店オーナーから受け取るフランチャイズロイヤルティや初期研修費用、システム利用料などで構成されています。運営はフレアスおよび子会社のオルテンシアハーモニーが行っています。

施設系介護サービス事業


看護小規模多機能型居宅介護事業および医療対応型療養施設(ホスピス)事業を行っています。通い、泊まり、訪問看護などを柔軟に組み合わせたサービスや、医療依存度の高い利用者向けの住居とケアを提供しています。

収益は、医療保険および介護保険制度に基づき保険者や利用者から受け取るサービス提供料や、入居者からの家賃・食費等で構成されています。運営はフレアスおよび子会社のスカイハートが行っています。

その他事業


主に訪問看護事業を行っており、自宅療養を必要とする高齢者等に対して、主治医の指示に基づき看護師等が訪問して療養上の世話や診療の補助を行っています。

収益は、医療保険および介護保険制度に基づき、保険者および利用者から受け取る訪問看護サービス提供料で構成されています。運営はフレアスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は5期間連続で増加しており、直近の2025年3月期には76億円に達するなど成長が続いています。一方、利益面では変動が見られ、2025年3月期は経常損失および当期純損失を計上し、赤字転落となりました。売上拡大に伴う先行投資負担が利益を圧迫している状況が見て取れます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 37億円 42億円 46億円 57億円 76億円
経常利益 1億円 2億円 0.7億円 1億円 -2億円
利益率(%) 2.8% 5.3% 1.5% 2.2% -2.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.6億円 2億円 0.8億円 0.6億円 -4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で大幅に増加しましたが、売上総利益率および営業利益率は低下しました。売上高の伸びに対し、売上原価および販売費及び一般管理費の増加率が高く、営業損益は赤字に転じました。事業拡大に伴うコストコントロールが課題となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 57億円 76億円
売上総利益 27億円 32億円
売上総利益率(%) 47.2% 42.7%
営業利益 1億円 -1億円
営業利益率(%) 1.9% -1.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が13億円(構成比38%)、減価償却費が0.6億円(同2%)を占めています。

(3) セグメント収益


マッサージ直営事業とマッサージフランチャイズ事業は、療養費改定効果や拠点数増加により増収増益となりました。一方、施設系介護サービス事業は新規拠点開設により大幅な増収となりましたが、開設費用や人材採用の遅れ等が響き、セグメント損失が拡大しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
マッサージ直営事業 35億円 40億円 10億円 12億円 31.0%
マッサージフランチャイズ事業 9億円 10億円 2億円 3億円 26.5%
施設系介護サービス事業 9億円 22億円 -3億円 -6億円 -27.8%
その他 4億円 4億円 0.2億円 0.3億円 7.3%
調整額 - -1億円 -8億円 -10億円 -
連結(合計) 57億円 76億円 1億円 -1億円 -1.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の収益性が一時的に低下し営業CFがマイナスとなる中、事業拡大のための設備投資を継続し、その資金を借入等の財務活動で調達している「勝負型」の状況です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 2億円 -3億円
投資CF -2億円 -4億円
財務CF 2億円 4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-14.9%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は17.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人と人とのふれあいを大切にし社会貢献すると共に、社員の物心の幸せを追求する」という会社理念を掲げています。また、「全国津々浦々に一人でも多くの方に速やかにフレアスのサービスを提供し、日本の在宅事情を明るくする。」という経営ビジョンに基づき、超高齢社会における社会問題の解決に貢献する企業を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「ふれあい」を大切にする精神を重視しています。遵法精神の醸成にも力を入れており、会社理念や経営ビジョン、行動規範の浸透を図ることで、利用者や地域社会、医療・介護関係者からの信頼構築に努めています。また、従業員満足度調査やコンプライアンス委員会の開催などを通じて、働きがいのある職場環境づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、「超高齢社会」における社会問題の解決に資する企業となることを目指しており、具体的な数値目標として、2026年3月期のES調査(従業員満足度調査)回答率95.0%を掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、あん摩マッサージ指圧師等の専門職人材の定着と採用強化を最優先課題とし、待遇改善や教育研修の充実に注力しています。また、保険制度への依存度を下げるため、フランチャイズ展開や保険適用外サービスの拡充による収益構造の多様化を推進しています。なお、施設系介護サービス事業の一部(ホスピス等)については事業譲渡を決定し、今後は祖業であるマッサージ事業へ経営資源を集中させる方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業拡大には専門職人材の確保が不可欠であるとし、待遇改善やコンプライアンス遵守、メンタルヘルスケア等の環境整備を通じて定着率向上を図っています。また、人材採用の専門部署設置や専門学校での説明会等により採用力を強化するとともに、サービス品質向上のための高度な教育研修体制の構築に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.3歳 3.6年 4,154,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 40.0%
男性育児休業取得率 57.1%
男女賃金差異(全労働者) 87.0%
男女賃金差異(正規雇用) 90.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 99.4%


※男性育児休業取得率は正規雇用労働者の数値です。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ES調査回答率(88.0%)、障がい者雇用率(14.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制に関するリスク


主力のマッサージ直営事業は「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」等の規制下にあり、施術所の開設届出や療養費の請求手続き等が厳格に定められています。法令違反が生じた場合、業務停止処分や療養費の回収不能等により、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 訪問看護事業に係るリスク


訪問看護事業は介護保険法等の指定基準(人員・設備・運営基準)を遵守する必要があります。万一、基準を満たせなくなった場合、指定取消や業務停止処分を受ける可能性があり、その場合、サービス提供料の回収ができなくなるなど、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 療養費及び介護報酬の改定に伴うリスク


売上の多くを占める医療保険の療養費や介護保険の介護報酬は、定期的に改定されます。高齢化に伴う社会保障費抑制の方針により、報酬単価が引き下げられた場合、売上高が減少し、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 主治医の同意及び指示等に係るリスク


マッサージや訪問看護サービスの提供には、主治医の同意書や指示書が必須となります。何らかの理由で同意や指示が得られない場合、または同意があっても保険者から療養費が支給されない場合、サービス提供や代金回収ができなくなり、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。