フレアス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フレアス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所グロース市場に上場するフレアスは、歩行困難な高齢者等を対象とした訪問マッサージの直営およびフランチャイズ展開を主力事業としています。さらに訪問看護などのメディカルケア事業も手掛けます。直近の業績は、事業譲渡などを経て経営資源を集中させた結果、増収および大幅な増益を達成しています。


※本記事は、株式会社フレアスの有価証券報告書(第24期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フレアスってどんな会社?


同社は、訪問マッサージや訪問看護など、高齢者向けの在宅医療・介護をサポートするサービスを全国で展開しています。

(1) 会社概要


同社は2000年にふれあい在宅マッサージとして創業し、2002年に法人化されました。2019年に東京証券取引所マザーズへ上場を果たしています。2020年にはオルテンシアハーモニーを子会社化してフランチャイズ事業を強化し、2025年には一部の介護施設事業をリベルケアへ譲渡しています。

同社グループの従業員数は連結で761名、単体で728名体制です。筆頭株主は事業会社の優美で、第2位は創業者の澤登拓氏、第3位は金融商品取引業を行うSBI証券となっています。

氏名 持株比率
優美 30.67%
澤登拓 27.18%
SBI証券 4.83%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOは澤登拓氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
澤登拓 代表取締役社長CEO 1999年東洋医学会館入社。2000年ふれあい在宅マッサージを開業し、2002年に同社設立・代表取締役社長就任。オルテンシアハーモニー社長等を経て、2024年より現職。
長田大徳 取締役副社長 2011年弁護士登録。法律事務所横濱アカデミア代表弁護士、ForPEACE法律事務所代表社員などを経て、2024年に同社社外取締役へ就任。2026年より現職。
髙階陽介 取締役CFO 1996年東京三菱銀行入行。三菱東京UFJ銀行にて米州投資銀行部や中近東総支配人(理事)などを歴任。東京海上ホールディングスを経て、2026年より現職。
中村和徳 取締役監査等委員 1984年富士銀行(現みずほ銀行)入行。みずほキャピタル経営企画部長、はせがわ執行役員、ALiNKインターネット取締役CFO等を経て、2026年より現職。


社外取締役は、吉田雄三(元三菱自動車工業理事)、三好昌武(元社会保険診療報酬支払基金専務理事)です。

2. 事業内容


同社グループは、マッサージ直営事業、マッサージフランチャイズ事業、メディカルケア事業およびその他事業を展開しています。

マッサージ直営事業


同社は、歩行困難などの理由により通院が難しく、自宅や介護施設で療養生活を送る高齢者等に対して、国家資格を持つあん摩マッサージ指圧師による訪問マッサージ施術サービスを提供しています。医師の同意に基づき、疼痛緩和や関節可動域の拡大等を目的とした施術を行います。

収益源は、マッサージ施術サービスの提供による対価です。主に医療保険制度を利用するため、療養費の支給申請を行い、健康保険組合等の保険者から報酬を受け取るほか、利用者から自己負担分を受け取ります。運営は同社が行っています。

マッサージフランチャイズ事業


同社グループは、直営店に加えてフランチャイズチェーンによる訪問マッサージ事業の展開を行っています。新規開業時の商圏調査や運営ノウハウの提供、開業後の経営指導、施術者に対する研修やレセプト管理システムの貸与など、包括的な経営支援サービスを提供しています。

収益源は、フランチャイズ加盟店オーナーからの加盟金、および月間総売上高に一定割合を乗じたロイヤルティ収入、情報端末の利用料等です。運営は同社および子会社のオルテンシアハーモニーが行っています。

メディカルケア事業


同社グループは、自宅で療養する高齢者等に対して訪問看護サービスを提供するほか、看護小規模多機能型居宅介護施設において、訪問看護、デイサービス、宿泊サービスを組み合わせて提供しています。なお、一部の施設事業は2025年に事業譲渡しています。

収益源は、医療および介護保険制度を利用したサービスの提供対価です。健康保険組合等の保険者、国民健康保険団体連合会、および利用者本人からサービス提供料を受け取ります。運営は同社および子会社のフレアスカインドケアが行っています。

その他事業


同社グループは、上記の報告セグメントに含まれない事業として、高齢者が自立した生活を送れるようサポートする訪問介護事業や居宅介護支援事業、および研修事業などを展開しています。

収益源は、入浴や排泄等の身体介護、掃除や洗濯等の生活援助、通院時の乗降介助等の各種介護サービスの提供に対する対価です。運営は同社および子会社のフレアスミライワークス等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあります。利益面では投資の先行等により赤字となる期もありましたが、直近では事業譲渡益の計上や事業の集中により、経常利益・当期利益ともに大幅な黒字へと改善し、利益率も大きく回復しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 42億円 46億円 57億円 76億円 76億円
経常利益 2億円 0.7億円 1億円 -2億円 3億円
利益率(%) 5.3% 1.5% 2.2% -2.2% 4.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 0.8億円 -0.3億円 -4億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高は微増にとどまりましたが、売上原価の減少により売上総利益が増加し、売上総利益率は上昇しました。さらに販売費及び一般管理費が減少した結果、営業利益は前期の赤字から黒字へと大きく転換しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 76億円 76億円
売上総利益 32億円 35億円
売上総利益率(%) 42.7% 45.7%
営業利益 -1億円 3億円
営業利益率(%) -1.4% 3.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が12億円(構成比39%)、賞与引当金繰入額が0.3億円(同1%)を占めています。売上原価の内訳データは有価証券報告書に記載がありません。

(3) セグメント収益


主力となるマッサージ直営事業は初療数の増加などにより増収となりましたが、人的投資を進めたことで減益となりました。マッサージフランチャイズ事業は加盟店数の拡大により増収増益を達成しました。メディカルケア事業は事業譲渡の影響により減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
マッサージ直営事業 40億円 41億円 12億円 12億円 27.9%
マッサージフランチャイズ事業 10億円 11億円 3億円 3億円 25.3%
メディカルケア事業 26億円 23億円 -6億円 -2億円 -7.9%
その他 0.4億円 0.2億円 - -0.2億円 -131.7%
調整額 - - -10億円 -9億円 -
連結(合計) 76億円 76億円 -1億円 3億円 3.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


改善型:営業利益+資産売却で借入返済を進める改善局面

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -3億円 6億円
投資CF -4億円 8億円
財務CF 4億円 -6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は27.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人と人とのふれあいを大切にし社会貢献すると共に、社員の物心の幸せを追求する」を会社理念として掲げています。また、「全国津々浦々に一人でも多くの方に速やかにフレアスのサービスを提供し、日本の在宅事情を明るくする。」という経営ビジョンを持ち、超高齢社会における医療難民や介護難民の課題解決に資する企業を目指しています。

(2) 企業文化


同社は創業時より会社理念や経営ビジョン、および行動規範を定め、従業員への浸透を図りながら遵法精神を培うことを重視しています。従業員がやりがいを持てる企業文化を醸成するため、定期的な従業員満足度調査(ES調査)を実施し、教育研修の充実や表彰制度の導入などを通じて働きがいのある職場づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、経営のスピードを高めるために単年度の計画だけでなく中期経営計画を策定し、将来の経営目標とビジョンに基づいた中期的な経営戦略と施策を明確にしています。経営指標としては、人的資本に関連する目標として「ES調査の回答率」を指標として掲げています。具体的な財務目標数値の記載はありません。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、さらなる事業拡大に向けて、あん摩マッサージ指圧師や看護師等の専門職の定着と採用強化を最優先課題としています。また、高品質なサービス提供を継続するための高度な教育研修体制の構築や、フランチャイズ加盟店からのロイヤルティ収入の拡大、保険適用外サービスの展開による収益構造の多様化を図り、安定的な事業基盤の確立を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は従業員一人ひとりの能力発揮とエンゲージメント向上が企業価値の向上に不可欠と考え、「公平・適正な処遇」と「公正・納得性のある評価」を軸とした人事制度を運用しています。労働環境や待遇面の改善、教育研修の充実化、および専門部署を通じた採用力の強化を図ることで、優秀な人材の確保、育成、定着を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 44.4歳 5.7年 4,200,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 31.8%
男性育児休業取得率 71.4%
男女賃金差異(全労働者) 83.3%
男女賃金差異(正規雇用) 83.0%
男女賃金差異(パート・有期) 98.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、ES調査回答率(88.3%)、障がい者雇用率(22.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制や制度改定に関するリスク


主力事業の多くは医療保険や介護保険制度を利用しており、関連法令により各種基準が定められています。法令違反による指定取消等の処分のほか、数年ごとの制度改定によって施術料金等の報酬が引き下げられた場合、同社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の確保に関するリスク


訪問マッサージや訪問看護の提供には、国家資格を持つあん摩マッサージ指圧師や看護師等の専門人材が不可欠です。労働環境の改善や研修の充実で定着を図っていますが、必要な人材を十分に確保できない場合や大量の離職が生じた場合、事業の維持と拡大に影響を及ぼす恐れがあります。

(3) 個人情報の保護と風評に関するリスク


高齢の利用者の自宅等を訪問するため、病歴などの個人情報を取り扱います。情報漏洩が発生した場合は損害賠償請求を受ける可能性があります。また、従業員やフランチャイズ加盟店における不祥事などで社会的信頼を失墜した場合、事業の継続に悪影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。