ランディックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ランディックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ランディックスは東京証券取引所グロース市場に上場し、東京城南エリアを中心に富裕層向けの不動産売買・仲介や注文住宅マッチングを行う「sumuzu」事業と賃貸事業を展開しています。直近の業績は、主力事業での大型住宅用地や収益用不動産の販売が好調に推移し、増収増益と過去最高益を更新しています。


※本記事は、株式会社ランディックスの有価証券報告書(第26期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ランディックスってどんな会社?


富裕層向けの総合不動産サービスと注文住宅マッチング事業を主力とし、東京エリアで成長を続ける企業です。

(1) 会社概要


同社は2001年に新規事業の検討を目的にアーバン・ライフとして設立され、2003年に現在のランディックスに商号を変更しました。2018年にオーダーメイド住宅の建築請負紹介サイト「sumuzu」をリリースし、2019年に東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。2024年にはLDXデザインクラウドを設立し、施工体制の構築も進めています。

従業員数は連結で104名、単体で79名です。筆頭株主は創業者で代表取締役社長の岡田和也氏であり、第2位は資産管理業務等を行うとみられるエムジェイ・アール合同会社、第3位は岡田英利子氏となっています。

氏名 持株比率
岡田和也 40.82%
エムジェイ・アール合同会社 17.75%
岡田英利子 4.21%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は岡田和也氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。

氏名 役職 主な経歴
岡田和也 代表取締役社長 1991年協立広告入社。城南リハウス等を経て、1995年ランディックス(旧会社)入社。2001年同社に入社し、2002年より現職。
古室健 専務取締役 1988年住友不動産販売入社。2013年同社に入社し、2017年取締役に就任。流通営業部本部長などを経て2020年より現職。
松村隆平 取締役 2011年住友電気工業入社。総合環境計画を経て、2015年同社に入社。経営企画室長、執行役員等を経て2023年より現職。


社外取締役は、西村弘之氏(元アーサー・アンダーセン・アンド・カンパニー パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「sumuzu事業」および「賃貸事業」の2つの報告セグメントと「その他」事業を展開しています。

sumuzu事業


住宅用地の仕入れ・分譲、不動産仲介、注文住宅の建築請負マッチング、収益用不動産の開発・販売を行っています。主な顧客は東京城南エリア(世田谷・目黒・大田・品川・渋谷・港)などの富裕層であり、1級建築士によるコンサルティングを通じて高いデザイン性とコストパフォーマンスを両立する住宅を提供しています。

収益源は、住宅用地や収益用不動産の販売による売買収入、不動産売買における仲介手数料、および注文住宅建築に伴う建築業者からの紹介手数料です。設計段階から自社コーディネーターがサポートし、質の高いサービスで顧客との関係を構築しています。事業の運営は主にランディックスおよびグランデが行っています。

賃貸事業


ビルやマンションなどの収益用不動産を購入・保有し、継続的に賃貸運営を行う事業です。

収益源は、保有する収益用不動産から毎月得られる賃料収入であり、グループの安定的な収益基盤の形成に寄与しています。事業の運営は主にランディックスおよびグランデが行っています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、賃貸物件管理事業および保険代理店事業などを展開しています。

収益源は、物件管理に伴う管理手数料や保険契約に関連する手数料などです。これらの事業は主にランディックスが運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は右肩上がりの成長を続けており、直近5年間で約2倍に拡大しています。経常利益も一時的な踊り場はあったものの、直近2期は連続して大幅な増益を達成しており、利益率も10%を超える高い水準を安定して維持しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 111億円 150億円 170億円 203億円 235億円
経常利益 14億円 16億円 12億円 21億円 28億円
利益率(%) 12.8% 10.7% 7.0% 10.4% 11.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 9億円 11億円 8億円 14億円 19億円

(2) 損益計算書


売上高の成長に伴い、売上総利益および営業利益ともに順調に拡大しています。高額物件の取り扱いや1戸あたりの利益水準が向上したことで、売上総利益率と営業利益率もともに改善傾向にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 203億円 235億円
売上総利益 44億円 54億円
売上総利益率(%) 21.6% 23.1%
営業利益 23億円 30億円
営業利益率(%) 11.1% 12.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7億円(構成比28%)、租税公課が5億円(同21%)、支払手数料が4億円(同17%)を占めています。売上原価の大部分は、不動産販売に伴う仕入原価や建築に関する費用等で構成されています。

(3) セグメント収益


主力のsumuzu事業では、富裕層顧客からの紹介・リピートや自社メディアを活用した集客が奏功し、大型住宅用地や収益用不動産の販売が好調で大幅な増収増益となりました。賃貸事業は物件振替等でわずかに減収となったものの、賃料の適正化により増益を確保しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
sumuzu事業 202億円 234億円 26億円 34億円 14.6%
賃貸事業 1.2億円 1.1億円 0.4億円 0.5億円 45.5%
その他 - - - - 100.0%
調整額 - - -3.9億円 -4.7億円 -
連結(合計) 203億円 235億円 23億円 30億円 12.8%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業は赤字ですが、将来成長のため借入で投資を継続(事業拡大に伴う資産増加)している勝負型のキャッシュ・フロー状況です。営業CFのマイナスは、主に事業拡大に伴う棚卸資産(販売用不動産等)の増加によるものです。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -34億円 -4億円
投資CF -5億円 -3億円
財務CF 45億円 14億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は20.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.1%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「唯一無二の豊かさを創造する」を企業理念に掲げています。日本における従来型の「大量型住宅生産」では得られない顧客体験を創造し、家が本来持つ本質的価値を追求することで、東京エリアにおける富裕層向け不動産のトッププレイヤーを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、富裕層顧客との長期的な信頼関係の構築を重視しています。顧客の自宅購入や売却後も、収益物件の追加購入や買い替え、家族の不動産購入などで複数回の取引を行う傾向に合わせ、質の高いサービスをワンストップで提供し、紹介やリピートを獲得する文化を形成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、継続的かつ安定的な利益水準の向上を目指し、以下の数値を重要な経営指標として掲げて経営を行っています。

・グループ社員1人あたりの売上高
・グループ社員1人あたりの営業利益
・土地成約案件に占める建物請負紹介成約比率

(4) 成長戦略と重点施策


個人向け1棟収益事業やサードプレイス事業の成長を通じ、既存顧客へのクロスセルアプローチを強化します。また、東京城南エリアに加え、文京区・杉並区などのエリアへの横展開によるシェア拡大を推進し、DX推進による営業の効率化を図ることで事業基盤をさらに強化します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な企業価値向上のため、多様性ある人材の育成と社内環境の整備を重要事項としています。自律的なキャリア形成を支援する教育研修の提供やチャレンジ精神の評価を行う一方、従業員一人ひとりに寄り添いライフステージに応じた働き方が選択できる健全な職場環境の確保に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 32.6歳 3.8年 6,844,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用労働者) -
男女賃金差異(非正規雇用労働者) -


同社は男性育児休業取得率および男女賃金差異について、公表義務の対象ではない等の理由により有報には記載がありません。

また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、グループ社員1人当たり営業利益(28,861千円)、内部登用率(77.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産市況や金利動向等のマクロ経済変動

不動産業界は景気動向や金利水準等と密接に関係しており、市場金利の上昇や消費税増税、建築資材の高騰等が不動産需要や仕入原価に影響を与え、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 棚卸資産の在庫・評価リスク

同社は多額の棚卸資産(販売用不動産等)を保有しています。見込んでいた価格での販売が困難になり値引き販売を行った場合や、販売不振により滞留在庫に対し評価損が発生した場合、収益性の低下につながるリスクがあります。

(3) 関連法規の法的規制・許認可要件

宅地建物取引業法や建築基準法など多くの法的規制を受けて事業を運営しています。これらの法規制の改廃、新たな規制の導入、あるいは重大な法令違反等による許認可の取り消し等が発生した場合、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。