ランディックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ランディックス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場する同社は、富裕層向け不動産売買や注文住宅マッチングプラットフォーム「sumuzu」の運営を主力事業としています。直近の業績は、売上高203億円(前期比18.9%増)、経常利益21億円(同78.3%増)と大幅な増収増益を達成し、過去最高益を更新しました。


※本記事は、株式会社ランディックス の有価証券報告書(第25期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ランディックスってどんな会社?


不動産情報プラットフォーム「sumuzu」運営による土地売買と建築請負紹介を主力とする企業です。

(1) 会社概要


2001年に前身となる会社を設立し、翌年より不動産事業を開始しました。2018年に「sumuzu」をリリースし、2019年に東証マザーズ(現グロース)へ上場しました。2021年には収益用不動産販売を本格化し、2024年に不動産テックベンチャーのリンネを完全子会社化するなど事業拡大を進めています。

連結従業員数は112名、単体では83名です。筆頭株主は代表取締役社長の岡田和也氏で、第2位は資産管理会社のエムジェイ・アール合同会社です。第3位には岡田英利子氏が名を連ねており、創業家が主要株主となっています。

氏名 持株比率
岡田 和也 41.01%
エムジェイ・アール合同会社 17.84%
岡田 英利子 4.23%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は岡田和也氏が務めています。社外取締役比率は14.3%です。

氏名 役職 主な経歴
岡田 和也 代表取締役社長 1991年協立広告入社。城南リハウス等を経て2001年同社入社。2002年6月より現職。グランデ、LDXデザインクラウド取締役等を兼任。
古室 健 専務取締役 1988年住友不動産販売入社。2013年同社入社。取締役桜新町センター長を経て2020年6月より現職。グランデ代表取締役等を兼任。
松村 隆平 取締役 2011年住友電気工業入社。2015年同社入社。経営企画室長、執行役員を経て2023年6月より現職。LDXデザインクラウド取締役等を兼任。


社外取締役は、西村弘之(元アクセンチュア パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「sumuzu」事業および「賃貸」事業を展開しています。

(1) 「sumuzu」事業


東京城南エリアを中心とした富裕層顧客に対し、戸建住宅用地の仕入れ・分譲、不動産売買仲介、注文住宅の建築請負マッチング、収益用不動産の開発・販売を行っています。情報プラットフォーム「sumuzu」を通じ、土地探しから建築までをワンストップでサポートする点が特徴です。

収益は、不動産の売買代金、仲介手数料、建築業者からの紹介手数料などから得ています。運営は主にランディックスが行い、子会社のグランデが仲介業務等を、リンネやLDXデザインクラウドがテック活用や施工関連を担っています。

(2) 「賃貸」事業


グループが保有するビル・マンション等の収益用不動産を運営し、安定的な収益基盤を形成する事業です。

収益は、保有物件の入居者から受領する賃料収入です。運営はランディックスグループが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実な右肩上がりを続けており、直近5期で約2.5倍の規模に拡大しています。経常利益も増加傾向にあり、特に当期は前期比で大幅な増益となりました。当期純利益も過去最高水準を記録しており、成長性と収益性の両面で好調な推移を示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 82億円 111億円 150億円 170億円 203億円
経常利益 6億円 14億円 16億円 12億円 21億円
利益率(%) 7.8% 12.8% 10.7% 7.0% 10.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 9億円 4億円 0.5億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益、営業利益ともに大きく伸長しました。売上総利益率は前年の18.7%から21.6%へと改善し、営業利益率は7.5%から11.1%へと上昇しています。増収効果に加え、利益率の改善が顕著に見られ、収益性が高まっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 170億円 203億円
売上総利益 32億円 44億円
売上総利益率(%) 18.7% 21.6%
営業利益 13億円 23億円
営業利益率(%) 7.5% 11.1%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6.3億円(構成比29.7%)、租税公課が4.7億円(同22.2%)を占めています。売上原価については、商品評価損を含む物件原価等が主な内訳となります。

(3) セグメント収益


主力のsumuzu事業が売上高・利益ともに大きく伸長し、全社の成長を牽引しました。賃貸事業は売上高が増加したものの、修繕等の影響により減益となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
sumuzu 169億円 202億円 16億円 26億円 13.0%
賃貸 1億円 1億円 0.5億円 0.4億円 31.4%
その他 0.0億円 0.0億円 0.0億円 0.0億円 100.0%
調整額 - - -4億円 -4億円 -
連結(合計) 170億円 203億円 13億円 23億円 11.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業の営業キャッシュ・フローはマイナスですが、これは将来の売上の源泉となる販売用不動産(棚卸資産)を大きく積み増したためです。不足資金は借入金等の財務活動で調達しており、成長に向けた積極的な投資姿勢(勝負型)を示しています。

なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -8億円 -34億円
投資CF -3億円 -5億円
財務CF 11億円 45億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は38.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「唯一無二の豊かさを創造する」を企業理念としています。富裕層顧客を対象としたサービス展開を行い、戸建住宅の売買および仲介を主力事業としつつ、富裕層顧客ニーズを確実に捉える周辺領域への事業展開を通じて、顧客からの高い信頼獲得を目指しています。

(2) 企業文化


多様性ある人材の育成を重要視し、従業員のチャレンジ精神を大切にする文化があります。異なる考え方や価値観を否定せず、フラットな目線で評価できる環境を確保し、成果を出した従業員がさらなる挑戦ができるような体制構築を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は重要な経営指標として以下の数値を掲げています。
* グループ社員1人あたりの売上高(実績:1億8,096万円)
* グループ社員1人あたりの営業利益(実績:2,017万円)
* 土地成約案件に占める建物請負紹介成約比率(実績:20.5%)

(4) 成長戦略と重点施策


東京エリアにおける富裕層向け不動産のトッププレイヤーを目指し、優秀な人材獲得と教育による強い営業組織の構築、DX推進による営業オペレーションの効率化、収益用不動産や別荘等のクロスセル戦略の強化を掲げています。また、文京区等の新たな富裕層エリアへの進出や、既存事業とのシナジーを重視したM&Aにも積極的に取り組む方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


持続的な企業価値向上のため、多様性ある人材の育成を重要事項と位置づけています。教育研修の提供、キャリア形成と能力開発の支援を行うとともに、成果主義に基づいた評価制度の運用や労務環境の整備により従業員満足度向上を図り、優秀な営業人員の確保と定着を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 32.1歳 3.4年 6,251,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.5%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


※男性育児休業取得率、男女賃金差異については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、内部登用率(75.0%)、グループ社員1人当たり営業利益(20,168千円)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業を取り巻く経営環境について


景気動向、金利水準、地価などのマクロ経済要因や、不動産に係る税制改正、住宅取得希望者の心理動向等が業績に影響を与える可能性があります。経済情勢の変化による土地購入代金や建築費の変動も、経営成績に影響を及ぼす要因となります。

(2) 棚卸資産について


販売用不動産等の棚卸資産を多く保有しており、販売価格の値引きが必要となった場合や、販売不振により滞留在庫の評価損が発生した場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 瑕疵担保責任又は契約不適合責任について


売主として販売した物件に重大な瑕疵等があった場合、補償工事費の増加や信用力の低下を招く可能性があります。新築住宅では10年間、中古住宅では2年間の責任を負うため、予期せぬコスト発生のリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。