※本記事は、AI inside 株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
AI inside は、AIテクノロジーを通じて人類の進化と人々の幸福に貢献することを目指す企業です。同社は、ディープラーニングによる手書き文字認識AIを開発し、AI-OCRサービス「DX Suite」として提供しています。また、企業内外の多様なデータと業務プロセスを横断的に活用するためのAIプラットフォーム「Leapnet」も開発・提供しています。
単体従業員数は130名です。同社のセグメントは人工知能事業の単一です。
AI inside は、自社で開発製造したエッジコンピューティング用ハードウェア「AI inside Cube」を、クラウド版「DX Suite」と合わせて提供しています。これにより、プライバシー保護が重視される官公庁などへの導入も実現しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
AI inside は、AIテクノロジーの社会実装をリードする企業として、高度な専門性と創造性を発揮できる人材の育成と、AIとの協働による新しい働き方を推進しています。従業員一人ひとりの能力拡張と非連続な成長を重視し、市場競争力のある報酬体系と多様な働き方を支援する環境づくりに注力している会社です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均年齢は30代後半であり、平均勤続年数は比較的短めとなっています。これは、事業の成長フェーズやAI技術という専門性の高い分野における人材の流動性を示唆している可能性があります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,321,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.04年 |
| 平均年齢 | 39.4歳 |
| 単体従業員数 | 130人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
AI inside は、「AIで、人類の進化と人々の幸福に貢献する」というパーパスのもと、「AI inside X」というビジョンの実現に向けた人材戦略「AI inside Work Value Shift」を掲げています。これは、同社自身がAI共存組織のロールモデルとなり、そのノウハウを社会全体へ波及させることを目指すものです。高度な専門性と創造性を発揮できる人材の継続的な確保に加え、環境変化に適応し、非連続成長(10x)を志向する自律型人材の創出と組織風土の変化を不可欠と考えています。
同社は「AIと人の協働・進化モデル」を推進しており、社員がAIを「相棒(Buddy)」として共に働き、互いの力を高め合う「Work with Buddy」の環境を整えています。AIの進化を人間の能力拡張と捉え、これまで到達し得なかった知的創造・インキュベーション領域を含め、非連続成長を実現することを目指しています。
従業員給与の決定においては、市場競争力のある給与水準と報酬体系を維持し、事業成長と人的資本への投資の観点から、役割・能力・成果に応じた処遇を提供しています。給与体系は、管理職におけるマネジメントコースとスペシャリストコースの複線型等級制度、および一般社員の能力等級制度に基づく基本給と、会社業績および個人の業績評価結果を踏まえた業績連動型の賞与で構成されています。外部の報酬調査データも参照し、同業他社や成長企業の水準を踏まえた競争力のある給与水準の維持・向上に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。各指標は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 29.7% |
| 男性育児休業取得率 | 83.3% |
| 男女間賃金差異(正規雇用労働者) | 75.0% |
多様性
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 年齢構成比率(20代) | 8.5% |
| 年齢構成比率(30代) | 46.9% |
| 年齢構成比率(40代) | 27.7% |
| 年齢構成比率(50代) | 16.9% |
| 年齢構成比率(60代) | 0% |
継続性
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 離職率 | 16.67% |
| エンゲージメント | 6.92点/10点 |
| 年次有給休暇取得率 | 79.4% |
| 全社平均残業時間 | 18.0時間/月 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
AI inside は、「AIで、人類の進化と人々の幸福に貢献する」というパーパスのもと、様々な環境に溶け込むAIが実装され、誰もが意識することなくAIの恩恵を受けられる社会を目指しています。AIテクノロジーの追求により、非常識を常識に変え続ける事業に取り組んでいます。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、企業の業務プロセスにおいて、人の手で行われているものをAIでサポートすることを目指しています。特に、データ入力業務をAIでサポートするAI-OCRサービス「DX Suite」を主力製品として提供しています。このサービスは、ディープラーニングによる手書き文字認識AIを基盤としており、98億回を超える読み取り実績を通じて企業の生産性向上に貢献しています。
「DX Suite」は、クラウド版だけでなく、エッジコンピューティング用ハードウェア「AI inside Cube」としても提供されており、官公庁や地方公共団体などプライバシー保護が重視される業界への導入も進んでいます。また、同社は画像・物体等の認識AIおよび予測AI技術に加え、これらの技術やサービスを統合したLLMネイティブなAIプラットフォーム「Leapnet」も開発・提供しています。このプラットフォームは、企業が保有する業務知見や各種データを活用し、AIエージェントの構築および運用を可能にするものです。
同社の収益モデルは、継続的に収益が計上されるリカーリング型モデルと、取引ごとに収益が発生するセリング型モデルで構成されています。当事業年度においては、リカーリング型モデルが売上高の大部分を占めており、セリング型モデルも前年同期から増加しています。販売実績においては、株式会社NTTデータへの販売が総販売実績の1割強を占める状況となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の当事業年度の売上高は、前年同期から増加となりました。主力製品である「DX Suite」の利用ライセンス数が増加し、新規契約の獲得が進んだことが売上高の積み上げに寄与しています。また、マルチモーダルAI統合基盤「AnyData」や教育プログラム「AI Growth Program」の収益も計上されています。
売上総利益も前年同期から増加しましたが、販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は前年同期から減少となりました。これは、人件費、研究開発費、新オフィスの賃借料、広告宣伝費、業務に利用するWEBサービスの利用料等が増加したことによるものです。一方で、補助金収入や受取利息の発生により営業外収益が増加した結果、経常利益は前年同期から増加となりました。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来の成長に向けた積極的な投資を行っている段階にあります。財務基盤は堅固であり、事業拡大のための投資を継続しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が高く、安定した状態を示しています。手元資金も一定水準を維持しており、事業運営に必要な流動性を確保している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 45.2億円 | 49.4億円 |
| 自己資本比率 | 65.2% | 72.6% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 7.4% |
| 現金及び預金 | 50.9億円 | 35.7億円 |
同社の自己資本比率は、前期の65.2%から当期は72.6%へと増加しています。これはプライム市場の製造業平均46.8%、非製造業平均24.2%と比較しても高い水準を示しています。当期のROE(自己資本利益率)は7.4%となっています。
現金及び預金は前期の50.9億円から当期は35.7億円へと減少しました。しかし、引き続き事業運営に必要な手元資金は確保されている状況です。
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出しながら、将来の成長に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは増加しており、本業の稼ぎが堅調に推移しています。一方で、投資活動によるキャッシュフローは大幅な資金減少となっており、事業拡大のための投資が活発に行われていることがうかがえます。
具体的には、定期預金の預入や本社移転に伴う内装設備工事、自社利用サーバー購入、無形固定資産の取得など、多岐にわたる投資が行われています。財務活動によるキャッシュフローは短期借入金の返済により減少しています。結果として、自由に使える資金を示すフリーキャッシュフローは、前期のプラスから当期はマイナスに転じており、成長投資フェーズにあることが示されています。このような資金の流れは、事業の成長と拡大を目指す同社の姿勢を反映しており、将来的な雇用や給与の安定性、成長性につながる可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 7.8億円 | 8.2億円 |
| 投資CF | △2.0億円 | △17.5億円 |
| 財務CF | △0.5億円 | △6.0億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 5.8億円 | △9.3億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、主力サービスである「DX Suite」に関する売上高が大半を占めています。そのため、市場環境の変化により「DX Suite」に関連する売上高が著しく減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来の成長が期待される市場であるため、国内外の事業者がこの分野に参入し、競争が激化した場合には、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、今後更なる成長を成し遂げていくためには、優秀な人材の確保と育成を重要課題の一つと位置づけています。これらの要員を十分に採用できない場合や、採用後の育成が十分に進まなかった場合、あるいは在職中の従業員が退職するなどした場合には、事業拡大の制約となり、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
AI inside は、「AIで、人類の進化と人々の幸福に貢献する」というパーパスを掲げています。誰もが意識することなくAIの恩恵を受けられる豊かな社会の実現を目指し、事業に取り組んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
AI inside は、「AIで、人類の進化と人々の幸福に貢献する」というパーパスを掲げています。同社のビジョンは「AI inside X」であり、これは「様々な環境」にAIが溶け込むように実装され、誰もが意識することなくAIの恩恵を受けられる豊かな社会を目指すことを意味しています。このビジョンの実現のため、AIテクノロジーの妥協なき追求により、非常識を常識に変え続けていくことを経営の基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
AI inside は、AIテクノロジーの妥協なき追求を通じて、非常識を常識に変え続けていくことを重視しています。同社は、事業活動そのものが社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の構築につながると考えています。
サステナビリティ経営を加速させるため、「デジタルトランスフォーメーションを支援する」「パートナーシップで目標を達成する」「働く環境のダイバーシティ(多様性)を推進する」「環境配慮」「利益を社会に還元する」という5つのマテリアリティを特定し、これらを中心とした経営戦略及び取組施策を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
AI inside が対処すべき課題として認識しているのは、研究開発の強化、情報管理体制の強化、そして優秀な人材の確保です。同社は、本質的な次世代技術を開発するため、応用研究だけでなく基礎研究も継続して行っています。
また、顧客企業の機密情報や個人情報等の保護体制構築に向けて、社内規程の厳格な運用や定期的な社内教育、情報セキュリティマネジメントシステムの構築・維持向上に努めています。さらに、今後の事業拡大に伴い、企業理念に共感する優秀な人材の継続的な採用と、業務環境や福利厚生の改善による離職率の低減にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
AI inside の取締役会は、監査等委員会設置会社として構成されています。監査等委員である社外取締役が取締役会の議決権を有し、監督機能を強化していることが特徴です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
AI inside の株主構成を見ると、代表取締役社長CEOである渡久地択氏が筆頭株主となっています。これは創業者が大株主として経営に深く関与していることを示しています。上位株主には、金融機関や個人株主が名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 渡久地 択 | 47.26% |
| 上田八木短資 | 4.51% |
| 中沖 勝明 | 2.82% |
| 大日本印刷 | 2.51% |
| 楽天証券 | 1.79% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性6名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOは渡久地択氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 渡久地 択 | 代表取締役社長CEO | 2010年にsocialwave株式会社を設立し代表取締役に就任。その後も複数の企業設立に携わり、2015年にはToguchi Estate株式会社(現Toguchi Estate合同会社)代表社員に就任。同社設立時より代表取締役社長CEOを務め、現在に至ります。 |
| 岩松 秀樹 | 取締役COO | 1998年にBMW Group JAPAN TOHO Motors株式会社に入社後、複数の企業で営業・マーケティング職を経験。2018年には日本オラクル株式会社CX西日本本部部長、2021年には株式会社プリマジェストDX事業統括部長を務めました。2023年に同社に入社し、2025年より取締役COOとして現職です。 |
| 烏野 裕明 | 取締役CFO | 1997年に三菱自動車工業株式会社に入社。その後、日産自動車株式会社、東京海上日動リスクコンサルティング株式会社などを経て、シーバイエス株式会社で執行役員経営管理本部本部長を務めました。2024年に同社に入社し、2025年より取締役CFOとして現職です。 |
社外取締役は、佐藤孝幸氏(佐藤経営法律事務所代表・監査等委員)、加川亘氏(元NTTドコモ取締役常務執行役員・監査等委員)、蔵元左近氏(蔵元国際法律事務所代表・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である社外取締役が取締役会の議決権を有することで、取締役の職務執行に対する監督機能を強化しています。社外取締役は、高い独立性と専門的な知見に基づき、客観的かつ適切な監視・監督を通じて企業統治の有効性を高める役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
AI inside の取締役(監査等委員である取締役を除く)の報酬は、金銭報酬と株式報酬で構成されています。株式報酬の割合が原則50%以上となるよう設定されており、企業価値向上へのインセンティブを重視する方針です。一方、監査等委員である取締役の報酬は、経営からの独立性と客観性を重視し、金銭報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 1.2億円 | 20.8百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 28百万円 | 7.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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