コンピューターマネージメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コンピューターマネージメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コンピューターマネージメントは、東京証券取引所スタンダード市場に上場する独立系ITトータルソリューションプロバイダーです。ゼネラル、インフラ、ERPの3つのソリューションサービスを展開し、システム開発からインフラ構築まで幅広く提供しています。直近の業績は増収増益で推移しており、堅調な成長を続けています。


※本記事は、コンピューターマネージメント株式会社の有価証券報告書(第45期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コンピューターマネージメントってどんな会社?


システム開発からインフラ構築まで幅広いITソリューションを提供する独立系プロバイダーです。

(1) 会社概要


同社は1981年に設立され、事務処理用ソフトウェアの開発を開始しました。2001年にシステムインテグレーター登録企業となり、2003年にERPソリューション、2011年にインフラソリューションの提供を始めました。2020年にはジャスダック(現スタンダード市場)への上場を果たしています。

現在の従業員数は連結で754名、単体で734名です。筆頭株主は創業者の資産管理会社であるシー・エム・ケーで、第2位はコンピューターマネージメント社員持株会となっています。

氏名 持株比率
シー・エム・ケー 35.90%
コンピューターマネージメント社員持株会 13.90%
UH Partners 2投資事業有限責任組合 6.96%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は竹中英之氏が務めています。取締役8名のうち、社外取締役は2名です。

氏名 役職 主な経歴
竹中 英之 代表取締役社長兼社長執行役員インフラソリューション本部長 2001年トランスコスモス入社。2006年KDDI Deutschland GmbH入社を経て、2008年に同社入社。2024年10月より現職。
竹中 勝昭 代表取締役会長 1969年コンピューターサービス入社。1981年に同社を設立し代表取締役社長に就任。2024年10月より現職。
吉田 徹 取締役兼専務執行役員経営管理本部長経営企画室長新技術基盤開発室長 1982年福徳相互銀行入行。2000年に同社入社。2020年に取締役兼専務執行役員に就任。2024年4月より現職。
辻下 知充 取締役兼執行役員技術支援本部長キャリア採用室長 1981年に同社入社。2010年に取締役兼執行役員に就任。2024年4月より現職。
常深 雅稔 取締役兼執行役員ERPソリューション本部長 1976年CSK入社。芙優ビジネスソリューションズ設立を経て、2012年に同社入社。2014年取締役兼執行役員に就任。2024年4月より現職。
靏田 勉 取締役兼執行役員ゼネラルソリューション本部長 1987年富士通入社。2003年に同社入社。2017年取締役兼執行役員に就任。2024年4月より現職。


社外取締役は、西宏章(北斗税理士法人代表社員)、水島幸子(水島綜合法律事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ゼネラルソリューションサービス」、「インフラソリューションサービス」、「ERPソリューションサービス」を展開しています。

(1) ゼネラルソリューションサービス


金融業、産業・流通業、公共分野、医療・教育等の幅広い分野において、顧客であるエンドユーザーや国内ITメーカー、大手SIerからの受託開発や運用保守を中心に提供しています。情報システムの企画から設計、構築、運用保守業務、BPOサービスまでの一連の工程を一貫して手掛けています。

顧客の業務課題に応じた最適な提案から実行までの伴走型支援や、受託開発および運用保守業務の対価として収益を得ています。また、AIを活用した開発プロセスの効率化を通じた生産性向上にも取り組んでいます。運営は同社が行っています。

(2) インフラソリューションサービス


ITシステム基盤となるサーバー等のハードウェア導入をはじめ、ネットワークやデータベース等といったシステムインフラ全体の設計、構築、運用、保守サービスを提供しています。クラウドサービスの導入支援や、仮想化・コンテナ技術に対応した先進的なインフラ構築を展開しています。

顧客の情報システム部門の立ち上げ支援やセキュリティ化支援などのコンサルティングから、システムの運用支援までをワンストップで提供し、そのサービスの対価として収益を得ています。運営は同社が行っています。

(3) ERPソリューションサービス


大企業向けのSAP S/4HANAや中小企業向けのSAP Cloud ERP、さらに製造業向けERPであるmcframeを中核とした導入支援、カスタマイズ、アドオン開発、保守、運用、BPOサービスなどをワンストップで提供しています。

各種ERPパッケージの導入支援やアドオン開発、運用保守などのサービス提供を通じて収益を得ています。運営は同社およびノックスが行っており、ノックスでは奉行シリーズの製品販売や導入支援も手掛けています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績は、売上高が連続して増加しており、順調な事業拡大が続いています。利益面も一時的な足踏みはあったものの、直近では増益に転じており、売上高経常利益率も7%台後半まで回復するなど、収益性の向上が見られます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 64.9億円 69.3億円 71.9億円 79.0億円 82.4億円
経常利益 5.0億円 4.8億円 4.3億円 5.3億円 6.5億円
利益率(%) 7.7% 6.9% 6.0% 6.7% 7.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.4億円 3.3億円 3.1億円 3.9億円 5.1億円

(2) 損益計算書


売上高の成長に伴い、売上総利益と営業利益も順調に増加しています。売上総利益率および営業利益率も前期と比較して改善しており、本業における稼ぐ力が強化されています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 79.0億円 82.4億円
売上総利益 20.1億円 21.7億円
売上総利益率(%) 25.5% 26.4%
営業利益 5.1億円 6.3億円
営業利益率(%) 6.5% 7.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.5億円(構成比36%)、地代家賃が2.0億円(同13%)、募集費が0.6億円(同4%)を占めています。人件費を中心とした人材投資が大きな割合を占めています。

(3) セグメント収益


全サービスラインにおいて前期比で売上を伸ばしています。中核となるゼネラルソリューションサービスが全体の約66%を占め、堅調に推移しています。インフラソリューションサービスやERPソリューションサービスも、クラウド環境構築案件やSAP関連案件の受注増により着実に拡大しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ゼネラルソリューションサービス 52.2億円 54.4億円
インフラソリューションサービス 15.4億円 16.2億円
ERPソリューションサービス 11.5億円 11.8億円
連結(合計) 79.0億円 82.4億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 4.8億円 4.1億円
投資CF -0.1億円 -0.7億円
財務CF -0.8億円 -1.0億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.2%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は72.5%でこちらも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、社是として「人間性の追求」を掲げています。ソフトウェアという無形の財産を世に送り出す上で、豊かな人間性こそが真に社会に役立つ結果を導き出すと考え、従業員一人ひとりが人格を高めることで社会に必要とされる企業に成長することを目指しています。また、「現状打破」「率先垂範」「誠心誠意」の3つの経営理念を定めています。

(2) 企業文化


同社は、自ら行動を起こし、常に本質を追求する姿勢を持つことを重視しています。ステークホルダーおよび社会に貢献することを使命とし、豊かな人間性を育む文化が根付いています。また、特定産業の好況や技術トレンドの変遷に左右されにくい、長期的かつ安定的な顧客基盤を背景に、堅実な事業運営を行う企業文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は、第七次中期経営計画(2024年〜2026年)を策定しています。動員力の強化に基づくさらなる業容拡大を図り、高い成長性と収益性を確保する視点から、期末人員数、ビジネスパートナー平均人員数、非稼働人員の労務費額を重要な経営指標と捉え、事業の持続的な成長を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、デジタル技術やAIの進展に伴う顧客ニーズの変化に対応するため、従来の開発中心のビジネスモデルを基盤としつつ、AIやデータ活用を含めた課題解決型のサービス提供への転換を進めています。

* 提供価値の拡張と進化
* 新たな成長分野への展開(AIやクラウドサービスなど)
* 人材およびパートナー戦略の強化
* プロジェクトマネジメント力の強化と品質の向上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、従業員をコストではなく資本と捉える「人への投資」を重視し、人材育成を通じて企業価値や生産性を向上させる方針です。専門性の高い人材の育成やリスキリングを推進し、階層別研修、ITスキル研修、選抜研修などの教育プログラムを提供しています。また、多様な人材が能力を最大限に発揮できるよう、ウェルビーイング経営を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.9歳 7.9年 5,387,271円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.5%
男性育児休業取得率 92.9%
男女賃金差異(全労働者) 80.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 82.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 54.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇平均取得日数(12.6日)、有給休暇平均取得率(73.0%)、月間平均残業時間(16.8時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気変動によるリスク


同社のシステムソリューションサービスは景気の影響を受けやすく、経済情勢の悪化によるシステム投資の縮小や内製化が進んだ場合、既存顧客からの受注減少や新規顧客開拓の低迷を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 技術革新によるリスク


情報サービス産業では、AIやクラウドネイティブ技術等の革新が急速に進んでいます。同社がこれらの技術革新の方向性を的確に認識できず、適時適切な対応が取れなかった場合、競争力の低下や受注機会の損失を招く恐れがあります。

(3) 品質や納期遅延の問題に関するリスク


システム開発の高度化と複雑化が進む中、納期厳守と高い品質が要求されます。品質や納期遅延の問題が生じた場合、不採算プロジェクトとなるだけでなく、顧客の信頼を失い、訴訟や商流の喪失等に発展する可能性があります。

(4) 人材の確保及び育成に関するリスク


同社の成長は人材に大きく依存しており、優秀な技術者やシステムエンジニア等の確保・育成が重要です。競合他社との人材獲得競争において、必要な人材を採用または育成できない場合、事業遂行に支障を来すリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。