コンピューターマネージメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コンピューターマネージメント 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東証スタンダード市場に上場する独立系ITトータルソリューションプロバイダーです。システム開発、インフラ構築、ERP導入支援を柱に事業を展開しています。当期の業績は、企業の堅調なIT投資を背景に全サービスラインで伸長し、売上高79億円、経常利益5.3億円、当期純利益4.0億円の増収増益となりました。


※本記事は、コンピューターマネージメント株式会社 の有価証券報告書(第44期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コンピューターマネージメントってどんな会社?


独立系IT企業として、特定のメーカーに縛られず柔軟なシステム提案やインフラ構築、ERP導入支援を行っています。

(1) 会社概要


同社は1981年に大阪市西区で設立され、事務処理用ソフト開発(現在のゼネラルソリューションサービス)を開始しました。その後、2003年にERP事業、2011年にインフラ事業を開始し、現在の3本柱を確立しています。2020年にJASDAQ(スタンダード)へ上場し、2022年の市場区分見直しに伴い東証スタンダード市場へ移行しました。

現在の従業員数は連結で731名、単体で712名です。大株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役会長の資産管理会社で、第2位はコンピューターマネージメント社員持株会です。第3位には投資会社等の法人が名を連ねており、創業家と従業員が株式の過半数を保有する安定した資本構成となっています。

氏名 持株比率
有限会社シー・エム・ケー 37.40%
コンピューターマネージメント社員持株会 14.00%
株式会社UH Partners 2 7.49%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長兼社長執行役員は竹中英之氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
竹中 英之 代表取締役社長兼社長執行役員インフラソリューション本部長 トランスコスモス等を経て同社入社。インフラ事業部長、副社長執行役員等を歴任し、2024年10月より現職。
竹中 勝昭 代表取締役会長 SCSKの前身企業を経て1981年に同社を設立し代表取締役社長に就任。2024年10月より現職。
吉田 徹 取締役兼専務執行役員経営管理本部長経営企画室長新技術基盤開発室長 福徳相互銀行(現りそな銀行グループ)を経て同社入社。管理部長、経営企画室長等を歴任し、2024年4月より現職。
辻下 知充 取締役兼執行役員技術支援本部長キャリア採用室長 1981年同社入社。システム統括部長、ヒューマン・リソース調達室長等を歴任し、2024年4月より現職。
常深 雅稔 取締役兼執行役員ERPソリューション本部長 CSK(現SCSK)等を経て同社入社。西日本システム統括部長、ERPシステム部長等を歴任し、2024年4月より現職。
靏田 勉 取締役兼執行役員ゼネラルソリューション本部長 富士通等を経て同社入社。第一営業部長、東日本システム統括部長等を歴任し、2024年4月より現職。


社外取締役は、西宏章(公認会計士・税理士、北斗税理士法人代表社員)、水島幸子(弁護士、水島綜合法律事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「システムソリューションサービス」の単一セグメントですが、事業領域を3つのサービスラインに区分して展開しています。

ゼネラルソリューションサービス


金融、産業・流通、公共、医療、教育など幅広い分野に対し、システム開発や運用保守を提供しています。顧客はエンドユーザー企業のほか、国内ITメーカーや大手SIerからの受託開発も行っています。

主な収益源は、システム開発や運用保守業務、BPOサービス等の対価としての受託料です。システムの企画から設計、構築、運用保守までを一括して請け負うほか、ノーコード・ローコードツールやBIツールのソリューションも提供しています。運営は主にコンピューターマネージメントが行っています。

インフラソリューションサービス


業種を問わず、顧客のITシステム基盤となるサーバーやネットワーク、データベース等の設計・構築・運用保守を提供しています。特にAWSなどのクラウドサービス導入支援や、仮想化・コンテナ技術に対応したインフラ構築に注力しています。

主な収益源は、インフラ基盤の設計・構築費や、その後の運用・保守費用です。顧客の情報システム部門の立ち上げ支援やセキュリティ化支援などのコンサルティングサービスも提供しています。運営は主にコンピューターマネージメントが行っています。

ERPソリューションサービス


SAPジャパンが提供する「SAP S/4HANA」や、ビジネスエンジニアリングの製造業向けERP「mcframe」などを中核とした導入支援、開発、保守運用を提供しています。

主な収益源は、ERPパッケージの導入支援、カスタマイズ、アドオン開発、保守運用等のサービス料です。運営はコンピューターマネージメントが行うほか、子会社のノックスが「奉行シリーズ」の製品販売や導入支援を手掛けています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は着実に右肩上がりで推移しており、規模の拡大が続いています。利益面でも、経常利益率は6〜7%台で安定的に推移しており、当期は増益となりました。全体として、企業のIT投資需要を背景に成長トレンドを維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 62.3億円 64.9億円 69.3億円 71.9億円 79.0億円
経常利益 4.0億円 5.0億円 4.8億円 4.3億円 5.3億円
利益率(%) 6.4% 7.7% 6.9% 6.0% 6.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 2.8億円 3.5億円 3.4億円 3.3億円 4.0億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しています。売上総利益率は約25%前後で推移しており、安定した収益性を保っています。営業利益率も前期の5.9%から当期は6.5%へと改善しており、増収効果が利益増につながっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 72億円 79億円
売上総利益 18億円 20億円
売上総利益率(%) 24.5% 25.5%
営業利益 4.3億円 5.1億円
営業利益率(%) 5.9% 6.5%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が5.4億円(構成比36%)、地代家賃が1.9億円(同13%)を占めています。売上原価については、労務費の構成比が約65%を占めており、人件費がコストの主要部分となっています。

(3) セグメント収益


各サービスラインともに増収となりました。主力のゼネラルソリューションはエンドユーザーやBPO案件が拡大し、インフラソリューションはクラウド関連が好調、ERPソリューションはSAPやmcframeの導入支援が伸長しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
ゼネラルソリューションサービス 47億円 52億円
インフラソリューションサービス 14億円 15億円
ERPソリューションサービス 10億円 11億円
連結(合計) 72億円 79億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、その範囲内で投資や財務活動(配当支払い等)を行っており、健全型のキャッシュ・フローと言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 4.3億円 4.8億円
投資CF -0.3億円 -0.1億円
財務CF -0.7億円 -0.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は社是として「人間性の追求」を掲げ、自ら行動を起こし本質を追求する姿勢でソリューションビジネスを展開し、社会やステークホルダーに貢献することを使命としています。これを具現化するため、「現状打破の経営」「率先垂範の経営」「誠心誠意の経営」の3つの経営理念を定めています。

(2) 企業文化


ソフトウエアを無形の財産と捉え、真に社会に役立つ結果を導くのは「豊かな人間性」であるという価値観を重視しています。従業員一人ひとりがこの想いを胸に人格を高め、現状に甘えずチャレンジする精神を持つことで、社会に必要とされる企業への成長を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、動員力の強化による業容拡大と高い成長性・収益性の確保を目指しており、その達成状況を判断する重要な経営指標として、以下の3点を掲げています。

* 期末人員数
* BP(ビジネスパートナー)平均人員数
* 非稼働人員の労務費額

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「人間性の追求」の社是の下、事業収益の拡大と経営基盤の確立を目指し、以下の課題に重点的に取り組んでいます。

* 既存事業分野の強化:高い専門性に基づく付加価値の創出、地域リソースの活用、ワンストップ型ソリューションの開発。
* 新たな成長分野への展開:デジタル分野を成長の柱と位置づけ、先進技術の研究開発やアライアンス強化による高付加価値ソリューションの創出。
* 優秀な人材の確保と育成:リスキリング支援やマネジメント層強化、健康経営の実践による定着率向上。
* プロジェクトマネジメント力の強化と品質向上。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員を資本と捉える「人への投資」を掲げ、人材育成による企業価値向上を目指しています。階層別研修、ITスキル研修、選抜研修の3つの教育体系を整備し、リスキリングや資格取得を支援しています。また、健康経営やワークライフバランスの充実を通じて、働きがいのある環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.5歳 7.4年 5,073,985円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.3%
男性育児休業取得率 83.3%
男女賃金差異(全労働者) 75.4%
男女賃金差異(正規雇用) 77.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 50.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、月間平均残業時間(16.6時間)、有給休暇平均取得日数(12.2日)、有給休暇平均取得率(71.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気変動の影響


同社のシステムソリューションサービスは景気の影響を受けやすく、経済情勢悪化による顧客のシステム投資縮小が業績に影響する可能性があります。ただし、独立系としての柔軟性や、長期取引顧客が売上の約7割を占める顧客基盤により、安定性の確保に努めています。

(2) 技術革新への対応遅れ


AIやクラウド技術などの急速な技術革新に対し、的確な予測や対応ができない場合、競争力低下や受注機会の損失を招く恐れがあります。これに対し、成長分野への投資や新技術基盤開発室での研究、新たなソリューション領域の開拓を進めています。

(3) 人材獲得競争の激化


同社の成長は人材に依存しており、優秀な技術者や管理者の確保が重要です。競合他社との人材獲得競争で必要人材を採用・育成できない場合、業績に影響する可能性があります。これに対し、従業員満足度の向上や教育研修の充実などの施策を実施しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。