※本記事は、ミクリードの有価証券報告書(第14期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ミクリードってどんな会社?
同社は、中小規模の飲食店が抱える仕入や調理の手間を削減する業務用食材の通信販売事業を展開しています。
■(1) 会社概要
同社の事業は、1995年にミスミの多角化事業の一環として開始されたフード事業が起源です。その後、カクヤス(現ひとまいる)への吸収合併などを経て、2012年に現在のミクリードが設立されました。2013年にフード事業を承継し、2020年には東京証券取引所マザーズへの上場を果たしています。
従業員数は単体34名です。大株主については、筆頭株主は事業会社のひとまいるで、第2位は食品卸売業を展開する事業会社の国分グループ本社です。第3位も事業会社のトーホーとなっており、事業シナジーを見据えた安定的な資本関係が構築されています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ひとまいる | 23.59% |
| 国分グループ本社 | 18.04% |
| トーホー | 9.07% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は片山礼子氏が務め、社外取締役比率は71.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 片山礼子 | 代表取締役社長 | 1988年日興証券入社。1992年ミスミ入社、同社フード事業部長等を経て、2007年カクヤス(現ひとまいる)執行役員に就任。2012年11月より現職。 |
| 長島忠則 | 取締役 新規事業部門担当 | 2000年ミスミ、2007年カクヤス、2010年アスクル入社を経て、2017年同社インフラ管理部長に就任。2019年6月に同社取締役へ就任し、2026年4月より現職。 |
社外取締役は、西谷浩司(CBグループマネジメント社長)、浅井成朗(元朝日監査法人)、藤田浩司(光和総合法律事務所パートナー弁護士)、引間多美(引間司法書士事務所代表)、井筒廣之(元マンパワーグループ社長)です。
2. 事業内容
同社は、「業務用食材通販事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■業務用食材の通信販売
同社は、個人経営の居酒屋を中心とした中小規模の飲食店向けに、肉・魚・野菜・串・揚物・デザートなど約4千点にのぼる業務用食材の通信販売を行っています。短時間で簡単に調理できる冷凍食品や、中小飲食店で使用する量に合わせた小パック、バラ凍結などを提供し、飲食店における仕入や調理の手間削減に貢献しています。
収益源は、飲食店顧客に対する業務用食材の販売代金です。同社は全国のメーカーから商品を仕入れ、自社のECサイトや電話、FAXを通じて飲食店からの注文を直接受け付けています。一部代理店経由の取引においても、注文受付と配送は同社が直接行い、代金回収のみを代理店経由で行う事業モデルで運営されています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた期初は営業制限による影響でマイナスとなりましたが、その後は行動制限の緩和や飲食業界の回復基調に合わせ、売上高は右肩上がりの成長を遂げています。利便性の高いサービスの提供により顧客基盤を拡大し、収益性も安定した水準で推移しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 30億円 | 47億円 | 59億円 | 68億円 | 77億円 |
| 経常利益 | -0.6億円 | 2億円 | 3億円 | 4億円 | 4億円 |
| 利益率(%) | -1.9% | 4.2% | 5.4% | 5.5% | 5.3% |
| 当期純利益 | -0.4億円 | 1億円 | 2億円 | 3億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期の68億円から当期は77億円へと約13%の増収を達成しています。売上総利益率も約34%と安定した水準を維持しており、販売費及び一般管理費の増加を吸収して営業利益も着実に増加しました。顧客数の拡大と継続的な利用が業績の伸びを力強く牽引していることが分かります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 68億円 | 77億円 |
| 売上総利益 | 23億円 | 26億円 |
| 売上総利益率(%) | 34.3% | 34.0% |
| 営業利益 | 4億円 | 4億円 |
| 営業利益率(%) | 5.5% | 5.3% |
販売費及び一般管理費のうち、荷造運賃が7億円(構成比34%)、業務委託費が4億円(同20%)、給与手当が2億円(同10%)を占めています。売上原価は51億円であり、商品の当期仕入高がその大部分を占めるため、売上原価合計に対する構成比はほぼ100%となっています。
■(3) セグメント収益
主力事業である業務用食材通販事業では、飲食店の手間削減ニーズに応える商品の拡充や、利便性の高いWEBシステムの改修などに注力しました。その結果、顧客店舗数が過去最高を更新するなど顧客基盤の維持・拡大に成功し、当セグメントの売上高は前年を上回る力強い成長を示しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 業務用食材通販事業 | 68億円 | 77億円 |
| 連結(合計) | 68億円 | 77億円 |
営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 3億円 | 4億円 |
| 投資CF | -1億円 | -1億円 |
| 財務CF | -0.5億円 | -1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.5%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も58.5%で市場平均を上回っています。いずれも市場水準を超える良好な財務基盤と高い資本効率を維持しています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「日常生活の笑顔あふれる食事シーンに貢献する」という経営理念を掲げています。個人経営の居酒屋を中心とした中小飲食店が抱える多様な課題に対し、通信販売を通じたソリューションを提供することで、経営者や従業員、そして店舗を訪れる来店客など、飲食店に関わるすべての人の笑顔に貢献することを使命としています。
■(2) 企業文化
同社は、小規模経営や個人経営の飲食店の事業発展に貢献するという強い使命感を持ち、顧客である飲食店の利便性向上を追求する文化を大切にしています。現場のニーズに直結したサービスを提供するため、365日の受注・出荷体制や深夜対応など、顧客の視点に立った細やかなサポートを全社一丸となって実践しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、安定的かつ持続的な事業成長と企業価値向上のため、収益力の向上と経営の効率化を目指しています。経営目標の達成状況をモニタリングする重要な経営指標として、売上高、売上高営業利益率、顧客店舗数、新規顧客店舗数、WEB受注率を位置づけ、各課題に取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、安定的かつ持続的な成長を実現するため、「魅力的なECサイトによる集客力向上」「利便性の高い商品・サービスの提供」「安心・安全な商品の供給保証」の3本柱を成長戦略として掲げています。具体的には以下の施策を推進しています。
・認知度向上のためのECサイト強化と代理店連携による潜在顧客へのアプローチ
・簡単調理の冷凍食品など顧客満足につながる新商品の開発
・将来の事業を担う人材の積極的な採用と教育・研修の実施
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社が長期的に事業を成長させ続けるためには、人材の確保と育成が不可欠であると考えています。将来を担う人材を積極的に採用するとともに、社内外での教育・研修を通じて社員の育成を図る方針です。また、社員満足度の向上に資する多様な人材が活躍できる風土と仕組みづくりに継続して取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.2歳 | 5.2年 | 7,862,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済状況や競合環境による影響
飲食業界における人手不足に起因する売上機会のロスや、食材価格・エネルギーコストの高騰など、マクロ経済の変動が顧客の経営を圧迫するリスクがあります。また、BtoC向けECを展開する大手競合が同社のターゲットとする小規模飲食店向け市場へ参入した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) システムやセキュリティに関する障害
同社のサービスは通信ネットワークに大きく依存しており、サイバー攻撃や不正アクセスによる情報漏洩、大規模なシステム障害が発生した場合、業務停止に追い込まれるリスクがあります。定期的なデータバックアップや非常時切替訓練等で対策を講じていますが、被害を完全に防ぐことは困難です。
■(3) 特定の仕入先への依存
同社は多数のメーカーから食材を仕入れていますが、総仕入金額の約45%を主要株主でもある国分グループ本社に依存しています。相見積もりによる価格交渉や代替品の確保など、有利な取引条件となるよう対策を講じていますが、同社との取引に何らかの支障が生じた場合、業務オペレーションに影響を及ぼす可能性があります。



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