ミクリード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミクリード 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所グロース市場に上場しており、中小飲食店向けの業務用食材通販事業を主力としています。直近の決算では売上高68億円(前期比14.2%増)、経常利益4億円(同15.6%増)、当期純利益3億円(同16.0%増)となり、顧客店舗数の拡大を背景に増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ミクリード の有価証券報告書(第13期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミクリードってどんな会社?


中小飲食店向けに業務用食材の通信販売を展開し、即日出荷体制や小口販売で個店経営を支援する企業です。

(1) 会社概要


1995年にミスミのフード事業として開始され、2006年に旧ミクリードが設立されました。その後カクヤスグループを経て、2013年に現在のミクリードとして事業を承継し、国分(現国分グループ本社)と業務提携を行いました。2020年にマザーズへ上場し、2022年の市場区分見直しに伴いグロース市場へ移行しています。

同社は連結子会社を持たず、従業員数は28名という少数精鋭の体制をとっています。大株主の構成は、筆頭株主が資産管理会社のSKYグループホールディングス、第2位が酒類・食品卸売大手の国分グループ本社、第3位が業務用食品卸のトーホーとなっており、事業上の提携関係にある企業が上位を占めています。

氏名 持株比率
SKYグループホールディングス 23.67%
国分グループ本社 18.10%
トーホー 9.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は片山礼子氏が務めています。社外取締役比率は71.4%です。

氏名 役職 主な経歴
片山 礼子 代表取締役社長 日興証券、ミスミを経て、カクヤス執行役員を務めた後、2012年より現職。
長島 忠則 取締役 事業部門担当 ミスミ、カクヤス、アスクルを経て、2017年に同社入社。インフラ管理部長等を経て2019年より現職。


社外取締役は、西谷浩司(元本間ゴルフ代表取締役)、浅井成朗(公認会計士)、藤田浩司(弁護士)、引間多美(司法書士)、井筒廣之(元マンパワーグループ代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「業務用食材通販事業」および「その他」事業を展開しています。

業務用食材通販事業


個人経営の居酒屋をはじめとする中小飲食店を主な顧客とし、肉・魚・野菜・串・揚物・デザートなど約4,000点の業務用食材を提供しています。見積り不要の統一価格設定や、小パック・バラ凍結といった使いやすい形態、365日即日出荷・翌日配送体制を敷くことで、人手不足に悩む飲食店の仕入や調理の手間削減を支援しています。

収益は、飲食店等の顧客からの商品販売代金によって構成されています。運営は主にミクリードが行っており、受注センターや出荷センターなどの物流・バックオフィス機能については外部委託を活用することで、効率的な事業運営を実現しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は28億円から68億円へと大幅に拡大しており、成長基調が鮮明です。利益面でも、2022年3月期までは損失を計上していましたが、2023年3月期以降は黒字化し、利益率も4〜5%台で安定的に推移しています。特に直近3期は増収増益トレンドを維持しており、事業規模の拡大とともに収益性も確立されつつあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 28億円 30億円 47億円 59億円 68億円
経常利益 -1億円 -1億円 2億円 3億円 4億円
利益率(%) -4.3% -1.9% 4.2% 5.4% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -1億円 -0億円 1億円 2億円 3億円

(2) 損益計算書


直近2期間を見ると、売上高の増加に伴い売上総利益、営業利益ともに順調に伸長しています。売上総利益率は34%台で安定しており、営業利益率も5.5%前後を維持しています。事業規模拡大に伴うコスト増を売上増で吸収し、効率的な利益創出ができていることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 59億円 68億円
売上総利益 20億円 23億円
売上総利益率(%) 34.4% 34.3%
営業利益 3億円 4億円
営業利益率(%) 5.4% 5.5%


販売費及び一般管理費のうち、荷造運賃が6億円(構成比32%)、業務委託費が4億円(同20%)を占めています。物流費や外部委託費が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、業務用食材通販事業における売上は前期比で増加しました。これは顧客店舗数および顧客単価の伸びによるものです。特に顧客数は過去最高を更新するなど、事業基盤の拡大が続いています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
業務用食材通販事業 59億円 68億円
連結(合計) 59億円 68億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ミクリードは、業務用食材通販事業において、堅調な事業成長を続けています。

当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前当期純利益や仕入債務の増加があった一方で、法人税等の支払いなどにより、前事業年度と比較して収入額は減少しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、テストキッチン設置やシステム改修への投資により、支出が増加しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いにより、支出となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 4億円 3億円
投資CF -1億円 -1億円
財務CF -0億円 -0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「日常生活の笑顔あふれる食事シーンに貢献する」を経営理念として掲げています。個人経営の居酒屋を中心とした中小飲食店が抱える課題に対し、通信販売を通じたソリューションを提供することで、経営者や従業員、来店客など飲食店に関わる全ての人々を笑顔にすることを目指しています。

(2) 企業文化


中小飲食店の人手不足や多様な業務負担という「お困りごと」に寄り添う姿勢を重視しています。大手卸売企業がカバーしきれない小規模店舗のニーズに応えるため、手間削減につながる商品・サービスの提供に注力しています。顧客の利便性を最優先し、365日受注・出荷体制や深夜対応など、飲食店の現場に即した支援を行う文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


安定的かつ持続的な事業成長と企業価値向上を目指し、収益力の向上と経営効率化に取り組んでいます。その達成状況を測る指標として、以下の数値を重要な経営指標(KPI)に位置づけてモニタリングを行っています。

* 売上高
* 売上高営業利益率
* 顧客店舗数
* 新規顧客店舗数
* WEB受注率

(4) 成長戦略と重点施策


「集客力の向上」「商品・サービスの強化」を重点課題とし、以下の3つの柱で成長を目指しています。特にWEBサービスの拡大・向上に優先的にリソースを配分し、競争力を強化する方針です。

1. 魅力的なECサイトによる集客力向上
2. 顧客にとって利便性の高い商品・サービスの提供
3. 安心・安全な商品の供給保証

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


長期的な成長には人材の確保と育成が不可欠であると考え、将来を担う人材の積極的な採用を行っています。また、社内外での教育・研修を実施し、社員の育成を図っています。多様な人材が活躍できる風土と仕組みづくりに取り組み、社員満足度の向上に資する施策を展開していく方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.3歳 5.3年 8,324,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況・競合に関するリスク


主要顧客である外食業界は、人手不足や原材料価格高騰などの影響を受けています。同社は利便性向上により業績を伸ばしていますが、経済状況の悪化や、BtoC向けECを運営する大手競合が小規模飲食店向け市場に参入した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) システムに関するリスク


事業運営においてITシステムと通信ネットワークに依存しています。セキュリティ対策や冗長化を行っていますが、サイバー攻撃による情報漏洩や大規模なシステム障害が発生した場合、業務停止等の事態が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 特定人物への依存に関するリスク


現在の運営は、代表取締役社長をはじめとする主要な経営陣に大きく依存しています。過度な依存を避ける体制構築を進めていますが、現時点で主要経営陣の業務遂行が困難となった場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。

(4) 特定の仕入先への依存に関するリスク


食材仕入総額の約44%(2025年3月期)を主要株主である国分グループ本社に依存しています。価格交渉や代替品の確保などの対策を講じていますが、同社との取引に支障が生じた場合、業務オペレーションや業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。