【平均年収627万円】日本インシュレーション 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収627万円】日本インシュレーション 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

日本インシュレーションは、高層建築物やプラント向けの保温材や防耐火建材の製造・販売・設計・施工を手がけています。国内で生産・販売を一手に担い、海外子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。直近期は増収増益となりました。


目次

※本記事は、日本インシュレーション株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


日本インシュレーションは、ゾノトライト系けい酸カルシウムを基材とした保温材や防耐火建材の製造・販売・設計・施工を手がけています。高層建築物やプラント向けに、耐火材、不燃材、保温材などを提供しています。

単体従業員数は299名、連結従業員数は352名です。セグメントは建築関連、プラント関連の2つです。

主な国内グループ会社は、鉄骨耐火被覆材などです。

国内においては日本インシュレーションが生産・販売を一手に担い、海外1社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


日本インシュレーションは、従業員の安定したキャリア形成と働きがいを重視する企業文化を持つ同社グループです。事業特性から見ても、長期的な視点での人材育成と働きやすい環境づくりに注力している傾向が見られます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員が長く安心して働ける環境づくりに力を入れています。平均勤続年数や平均年齢からは、一定の経験を積んだ人材が定着し、安定的にキャリアを築いている様子がうかがえます。

項目 数値
平均年間給与 6,270,000円
平均勤続年数 13.9年
平均年齢 42.1歳
単体従業員数 299人
連結従業員数 352人
単体のグループ内比率 85.0%


同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。この制度は国内の従業員を対象としています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社は「企業の成長は人」を基軸とし、経営戦略と連動した人材戦略を推進しています。必要とする人材要件を明確にし、採用力の強化を図るとともに、階層別教育やリスキリングを通じて、成長し続ける人材と組織の育成を目指しています。

従業員の基本給および賞与は、年1回の定期昇給と年2回の人事評価に基づき、職務内容、役割、業務遂行能力、業務目標の達成度を公正に評価して決定されます。福利厚生としては、確定拠出年金制度、社員持株会、奨学金返還支援制度、福利厚生サービスなどを導入し、従業員が安心して能力を発揮できる労働環境を整備しています。

人的資本経営については、「JIC版働きがい改革実現のための提言」を受け、従業員との双方向の対話、人材育成、働き方改革、健康経営の推進に注力しています。具体的には、エンゲージメント調査に基づく「個人の機会の活用と創出」「経営方針の効果的な伝達」「評価制度と組織運営の改善」といった取り組みを進めています。また、新入社員から幹部社員まで階層別の研修カリキュラムを整備し、社員自らがスキルを選び学べる環境を支援しています。働き方改革としてノー残業デーの実施や計画的な有給休暇取得を推進し、育児休業後の育児短時間勤務や子の看護等休暇は小学校卒業まで取得可能です。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データを示します。管理職は課長心得以上を対象としています。海外子会社は法定開示の公表義務対象外のため、含めていません。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 3.9%
男性労働者の育児休業取得率 75.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 76.0%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) 80.0%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) 57.0%

健康経営の推進


健康経営に関する指標と目標、実績を示します。海外子会社は含めていません。

指標 目標 実績(当連結会計年度)
健康診断受診率 100% 100%
特定保健指導受診率 100% 93%
ストレスチェック受検率 100% 96%
有給休暇取得率 80%以上 72%

人材育成


提出会社における研修時間と研修費用を示します。海外子会社は含めていません。

指標 研修時間 研修費用
社内研修 414時間 6,053千円
外部研修 319時間 1,969千円
合計 733時間 8,023千円

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


同社グループは、主に建築関連とプラント関連の二つの事業セグメントを通じて、保温材や防耐火建材の製造、販売、そして設計・施工を手掛けています。これらの事業は、建物の安全性やプラントの効率的な運用を支える重要な役割を担っています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、ゾノトライト系けい酸カルシウムを基材とした製品を核に事業を展開しています。これらの製品は、高い耐火性や断熱性、軽量性、加工のしやすさといった特性を持ち、高層建築物から石油化学プラント、発電所まで幅広い分野で活用されています。収益は、製品の販売と工事の請負から得られています。

同社グループの売上高は国内の外部顧客が大部分を占めており、特定の主要顧客への収益集中は見られません。

建築関連

建築関連セグメントでは、熱に弱い鉄骨構造部材を火災から護る耐火被覆材や、火災時の延焼を抑制する不燃の内装建材などを提供しています。また、非常用発電機の煙突用断熱材や文化財保管用の調湿建材、さらにはCFRP用型材や工芸用ボードといった多機能材も手掛けています。

収益は、これらの建材の製造・販売に加え、耐火被覆工事やアスベスト除去工事の請負から得ています。運営は、主に日本インシュレーションが行っています。当期の売上高は前期から増加しています。

プラント関連

プラント関連セグメントでは、ボイラーや反応器、高圧蒸気用の配管などに使用されるプラント用保温材や工業炉の断熱材などを提供しています。特に、1000℃に耐える高い耐熱性を持つけい酸カルシウム保温材は、熱設備に適した製品として採用されています。

収益は、保温材や断熱材の製造・販売、および保温・保冷・断熱・耐火工事の請負から得ています。運営は、主に日本インシュレーションが行っており、連結子会社のJICベトナムがバイオマスを原燃料としたけい酸カルシウム保温材の製造・供給を担っています。当期の売上高は前期から増加しています。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
プラント関連 77.6億円 92.8億円
建築関連 44.6億円 51.1億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの売上高は、直近の当連結会計年度において前期から増加しました。これに伴い、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益も前期から大幅に増加しています。過去5期で見ると、売上高は変動しながらも当期は最も高い水準となりました。利益についても、当期は前期から大きく伸び、過去5期の中でも高い水準を示しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 141億円 123億円 125億円 122億円 144億円
経常利益 18.9億円 11.4億円 14.6億円 10.3億円 16.0億円
経常利益率 13.4% 9.3% 11.7% 8.4% 11.1%
親会社株主に帰属する当期純利益 11.5億円 7.2億円 9.8億円 7.8億円 11.8億円
1株当たり当期純利益(円) 131.84 83.68 112.71 89.86 135.95

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、組織全体の生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたり営業利益も前期から増加しており、収益性の改善がうかがえます。これらの指標の向上は、事業活動の効率化が進んでいることを示しています。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり売上高(連結) 34.0百万円 40.9百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 2.9百万円 4.6百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


同社グループは、事業活動を通じて安定的に資金を生み出し、将来に向けた投資も行いながら、手元資金を確保しています。強固な財務基盤を維持しつつ、事業の成長も図っている状況です。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回る水準で推移しており、強固な財務基盤を構築しています。ROE(自己資本利益率)は前期から改善し、収益性の向上が見られます。手元資金である現金及び預金も増加傾向にあり、不測の事態への耐性も備えていると言えます。このような財務の安定性は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素です。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 137億円 148億円
自己資本比率 76.9% 78.6%
ROE(自己資本利益率) 5.8% 8.3%
現金及び預金 60.3億円 60.7億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループの営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費により資金を獲得したものの、売上債権及び契約資産の増加額、仕入債務の減少額、法人税等の支払額により、前期と比較して減少しました。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出や定期預金の預入による支出により、前期よりも支出が増加しています。財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金による収入や短期借入金の純増額があったものの、長期借入金の返済や配当金の支払額により、前期と比較して支出が減少しました。

結果として、フリーキャッシュフローはプラスを維持しており、本業で得た資金で投資活動を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。これは、同社グループが安定した事業運営を行いながら、将来に向けた投資も継続できる財務的な健全性を示しており、入社後の安定性や成長性にも期待が持てる状況と言えます。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 9.0億円 6.4億円
投資CF △2.5億円 △4.3億円
財務CF △4.0億円 △3.0億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 6.5億円 2.1億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループの主要製品の需要は、石油・石油化学、電力・ガス、鉄鋼等の設備投資動向や、オフィスビル・物流施設等の建設需要に依存しています。内外の景気動向や経済情勢の影響を受ける可能性があります。また、原材料やエネルギー価格の変動、地政学リスクによる調達困難、物流コストの上昇が製造コストを押し上げ、経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。

同社グループはベトナムをはじめとする東南アジア地域で事業を展開しており、テロ、戦争、疫病等の社会的混乱や社会インフラの未整備、商慣習の違いによるリスクが存在します。また、現地の法令改正、貿易障壁、反日デモ、移転価格税制等に基づく課税も事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、従業員一般での人材確保が困難となるリスクを認識しています。特に建設事業においては、有資格者の確保が事業継続の基盤であり、今後の業容拡大のためには専門知識を持った人材の確保・育成が重要な経営課題です。必要な人材の確保が追いつかない場合や採用コストが上昇した場合には、事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


日本インシュレーションは、1914年の創業以来、保温・断熱分野で事業を展開し、独自の技術開発を通じて耐火・耐熱分野へと進出してきた企業です。サステナブルな社会の実現への貢献を存在意義とし、社是に掲げる「信頼を高め 付加価値を創造し 人間を豊かにする」を追求しています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


日本インシュレーションは、サステナブルな社会の実現に貢献することを自社の存在意義としています。1977年に定めた社是「信頼を高め 付加価値を創造し 人間を豊かにする」を基盤とし、すべてのステークホルダーから信頼される企業を目指しています。

同社グループは、独自の技術で新たな付加価値を持つ製品を提供し、広く社会に貢献することを目標としています。経営方針の基本テーマには「サステナビリティ経営の推進」を掲げ、持続的な成長を目指しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


日本インシュレーションは、社是である「信頼を高め 付加価値を創造し 人間を豊かにする」を企業活動の軸としています。社員には、新たな創意工夫を施した事業や方策への挑戦を促す「チャレンジ戦略枠」を設けることで、挑戦する姿勢を重視しています。

また、2024年6月に策定されたサステナビリティ基本方針では、脱炭素社会やレジリエントな社会への貢献、持続可能な研究・生産活動の確保、ステークホルダーとのエンゲージメント深化、信頼あるガバナンス構築を掲げています。特にステークホルダーとのエンゲージメント深化においては、人権の尊重、ダイバーシティの重視、健やかに働くことのできる職場実現などを重視しています。同社は人材を「人財」と捉え、「成長意欲にあふれる自立した人材の育成」に取り組むとともに、社員の個性を尊重し、お互いが支え合う風土の醸成を目指しています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


日本インシュレーションは、サステナビリティ経営の推進を重点課題の一つとしています。環境分野での事業拡大や自社工場におけるCO2削減、製品材のリサイクル利用促進、防災まちづくりへの貢献に取り組んでいます。

また、人的資本経営の推進として、「JIC版働きがい改革」を進め、社員教育の強化や多様な人材の育成、健康経営の推進に努めています。コンプライアンスの徹底、ガバナンス体制の強化、危機管理への対応も重要なテーマです。DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進により、業務の合理化と高度化を図り、労働災害・品質クレームゼロを目指す取り組みも行っています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


日本インシュレーションは、監査役会設置会社として取締役会と監査役会を中心とした統治機構を整備しています。経営の効率性と監視・監督の実効性向上を目指し、ガバナンス改革や執行役員制度の導入を進めています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


日本インシュレーションは、大阪中小企業投資育成株式会社を筆頭株主とし、複数の機関投資家や金融機関に支えられています。また、大橋姓の個人株主が上位に複数名を占めており、安定的な資本構成を形成していることがうかがえます。

株主名 持株比率
大阪中小企業投資育成 10.07%
大橋 ゆふみ 7.85%
日本政策投資銀行 5.77%
大橋 健一 5.28%
大垣共立銀行 4.03%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長執行役員は中野強氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
吉井 智彦 代表取締役会長執行役員 1979年4月 同社入社、2017年4月 代表取締役社長、2026年4月 代表取締役会長執行役員より現職。
中野 強 代表取締役社長執行役員 1987年4月 住友化学工業株式会社入社、2020年2月 同社出向、2026年4月 代表取締役社長執行役員より現職。
小野寺 一也 取締役執行役員建築事業部事業部長 1983年4月 同社入社、2017年4月 建築事業部事業部長、2022年6月 取締役執行役員建築事業部事業部長より現職。
岡 秀幸 取締役執行役員管理本部長 1991年4月 同社入社、2020年3月 参事生産技術研究所部長、2025年10月 取締役執行役員管理本部本部長より現職。


社外取締役は、村中俊哉氏(大阪大学特任教授(名誉教授))、内村涼子氏(日比谷晴海通り法律事務所代表弁護士)、横井悟氏(元東京大学社会連携本部エグゼクティブアドバイザ)です。

同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営の監視・監督を担っています。独立性の高い社外取締役と社外監査役を選任し、客観的・中立的な立場から監督・監査の実効性向上を図っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


日本インシュレーションは、企業価値の持続的な向上と優秀な人材確保のため、役員の職責に見合った報酬体系を採用しています。独立社外取締役が過半数を占める指名・報酬等検討委員会の答申に基づき、報酬額を決定しています。社外取締役を除く取締役の報酬は、固定報酬、業績連動報酬、株式報酬、退職慰労金で構成され、社外取締役と監査役は固定報酬と退職慰労金が支給されます。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 6名 1.0億円 17.1百万円
監査役(社外除く) 1名 5百万円 4.8百万円
社外役員 7名 24百万円 3.4百万円


なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。