※本記事は、株式会社ゼネテック の有価証券報告書(第40期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ゼネテックってどんな会社?
組込みシステムの受託開発と製造業向けエンジニアリングソリューションを主軸に、GPS防災アプリなども展開する企業です。
■(1) 会社概要
1985年に設立し、組込みシステム受託開発事業を開始しました。1990年には3次元CAD/CAMソフトウェア「Mastercam」の販売を開始し、現在の事業基盤を築いています。2015年に防災サポートアプリ『ココダヨ』のサービスを開始し、2020年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)へ上場しました。2024年には株式会社フラッシュシステムズを子会社化し、PLM事業の拡大を図っています。
同社グループの従業員数は連結で619名、単体で403名です。大株主については、筆頭株主は株式会社KEN&パートナーズ、第2位は社長の上野憲二氏、第3位は個人株主の山田陽國氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| KEN&パートナーズ | 36.26% |
| 上野 憲二 | 9.84% |
| 山田 陽國 | 5.32% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長 社長執行役員は上野憲二氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 上野 憲二 | 代表取締役社長社長執行役員 | 1977年4月朝日ビジネスコンサルタント入社。1985年7月同社代表取締役社長。2022年6月より現職。 |
| 鈴木 章浩 | 取締役専務執行役員経営管理統括部長 | 1986年4月日本債券信用銀行入行。セコニック取締役などを経て、2021年2月同社入社。2025年4月より現職。 |
| 松野 知愛 | 取締役常務執行役員システム事業部長 | 1993年4月富士通入社。Mywayプラス執行役員などを経て、2022年9月同社入社。2025年4月より現職。 |
| 角淵 弘一 | 取締役常務執行役員エンジニアリングソリューション事業部長 | 1986年1月リード電機入社。日本電産、オフィスエフエイ・コムなどを経て、2023年9月同社入社。2025年4月より現職。 |
| 八戸 雅利 | 取締役(常勤監査等委員) | 1983年4月岩崎通信機入社。1991年9月同社入社。システム本部長などを経て、2021年6月より現職。 |
社外取締役は、田中俊平(弁護士)、水谷翠(公認会計士・税理士)、白上博能(元三菱ケミカル常務執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「システムソリューション事業」「エンジニアリングソリューション事業」および「GPS事業」を展開しています。
■(1) システムソリューション事業
自動車関連(カーナビ、インフォテインメント、自動運転システム等)やデジタル情報家電、半導体製造装置などの組込みシステムに係るソフトウェアおよびハードウェアの受託開発を行っています。また、製造業DX関連のエッジコンピュータ開発やERP導入支援も手掛けています。
主な収益は顧客からのシステム受託開発費用やコンサルティング費用です。運営は主に同社が行っていますが、連結子会社の株式会社モアソンジャパンなども事業を担っています。
■(2) エンジニアリングソリューション事業
3次元CAD/CAMソフトウェア「Mastercam」や3次元シミュレーションソフトウェア「FlexSim」、製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアなどのライセンス販売および導入・技術支援を行っています。また、製造業向けIoTソリューション「GCモニター」等の自社開発・販売も行っています。
収益源はソフトウェアのライセンス販売料、保守・サポート料、教育・研修費用などです。運営は同社に加え、株式会社フラッシュシステムズや株式会社モアソンジャパンなどの連結子会社が行っています。
■(3) GPS事業
スマートフォン用防災サポートアプリ『ココダヨ』を提供しています。緊急地震速報と連動して家族の居場所を自動共有する機能を持ち、高齢者や子供の見守りサービスとしても展開しています。
主な収益は、アプリ利用者からのサブスクリプション利用料や、NTTドコモが提供する「スゴ得コンテンツ」からの収益です。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は第36期から第40期にかけて一貫して増加しており、順調な事業拡大が続いています。利益面では第38期に一度利益率が低下しましたが、第39期以降は経常利益率8%台まで回復・向上し、高い収益性を維持しています。特に直近の第40期は売上高、利益ともに過去最高水準となっています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 41億円 | 47億円 | 59億円 | 71億円 | 81億円 |
| 経常利益 | 2.8億円 | 2.5億円 | 1.1億円 | 6.4億円 | 6.8億円 |
| 利益率(%) | 6.8% | 5.4% | 1.9% | 8.9% | 8.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.7億円 | 0.7億円 | 0.9億円 | 4.3億円 | 5.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は約10億円増加し、それに伴い売上総利益も増加しています。営業利益率は8.5%と前期比でわずかに低下しましたが、営業利益額自体は増加しており、事業規模の拡大に合わせた利益成長を実現しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 71億円 | 81億円 |
| 売上総利益 | 29億円 | 33億円 |
| 売上総利益率(%) | 40.7% | 40.3% |
| 営業利益 | 6.3億円 | 6.9億円 |
| 営業利益率(%) | 8.8% | 8.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が6億円(構成比25%)、広告宣伝費が3億円(同13%)を占めています。売上原価においては、労務費や外注費が主な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
システムソリューション事業は車載系案件の増加等により増収増益となりました。エンジニアリングソリューション事業は3次元シミュレーションソフトの好調や子会社化の影響で大幅な増収増益を達成しています。GPS事業も利用者増により増収増益となり、全セグメントで成長が見られました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| システムソリューション事業 | 43億円 | 45億円 | 10億円 | 12億円 | 25.4% |
| エンジニアリングソリューション事業 | 24億円 | 31億円 | 4億円 | 5億円 | 17.4% |
| GPS事業 | 5億円 | 5億円 | 1億円 | 1億円 | 22.0% |
| 連結(合計) | 71億円 | 81億円 | 6億円 | 7億円 | 8.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6.0億円 | 4.5億円 |
| 投資CF | -0.6億円 | -3.9億円 |
| 財務CF | -4.1億円 | 6.6億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.6%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は、「想像力・創造力・技術力を駆使して、安心・安全な社会づくりに寄与すると共に、社会の継続的発展と成長に貢献する」という経営理念を掲げています。この理念のもと、技術と創造力を通じて社会課題の解決と発展に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、「顧客満足度の継続的な向上に日々努める」こと、および「社員の健全で豊かな生活の実現に努める」ことを経営方針として掲げています。顧客への価値提供だけでなく、社員の生活の質向上も重視する企業文化の醸成に努めています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、2023年度から2025年度までの3ヵ年を対象とした中期経営計画において、以下の指標を重要な経営目標として設定しています。
* 売上高
* 営業利益
* 営業利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
「ソリューションパートナーとしての真価の発揮」を全体方針とし、事業領域のシフトおよび拡大、ものづくり領域でのソリューション強化、プラットフォーム上へのサービス拡充に取り組んでいます。また、事業戦略遂行の核となる人材の拡充・高度化や、機動的・積極的なM&A・アライアンスの実施を推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業戦略遂行の核となる人材の拡充および高度化を目指し、新卒・中途採用を強化しています。また、技術教育研修制度の充実や管理職のマネジメントスキル向上を図るとともに、適材適所の人材配置を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 39.9歳 | 7.1年 | 6,128,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 25.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 81.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) | 81.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規) | 75.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性エンジニア比率(14%)、労働者の産休取得率(100%)、年次有給休暇取得率(75%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定領域への依存度に関するリスク
システムソリューション事業において、組込みシステム受託開発が売上高の過半を占めるなど特定領域への依存度が高くなっています。発注元企業の開発体制見直しや事業戦略変更等があった場合、同社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の確保、育成に関するリスク
専門的な技術や知識を有する優秀な人材の確保が事業遂行上重要です。計画通りの採用・育成ができない場合や、エンジニア等の退職者が一時的に多数発生した場合は、十分な開発体制を確保できなくなり、財政状態および経営成績に影響が出る可能性があります。
■(3) 協力会社への外部委託に関するリスク
システムソリューション事業では受託開発の一部を協力会社へ委託しています。外注先から十分な人員を確保できない場合や、外注先に起因する品質低下、開発遅延等が生じた場合、プロジェクトの品質や進行に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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