リビングプラットフォーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リビングプラットフォーム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所グロース市場に上場し、介護、障がい者支援、保育等のライフケア事業を展開しています。2025年3月期の連結業績は、施設数の拡大や価格転嫁の進展等により、売上高は192億円と前期比増収となり、営業利益も黒字転換するなど増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社リビングプラットフォーム の有価証券報告書(第14期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リビングプラットフォームってどんな会社?


介護、障がい者支援、保育事業を三位一体で展開し、「持続可能な社会保障制度を構築する」ことを目指す企業です。

(1) 会社概要


2011年に設立され、札幌市で介護施設「ライブラリ円山」を開設しました。その後、2014年に障がい者支援事業、2016年に保育事業を開始し、事業領域を拡大しています。2020年3月に東京証券取引所マザーズ(現グロース)へ上場を果たしました。同年10月には持株会社体制へ移行し、各事業を子会社へ承継しています。

連結従業員数は1,212名、単体では52名です。筆頭株主は代表取締役の資産管理会社であるHCAで、第2位は代表取締役の金子洋文氏です。第3位にはカストディ業務を行う信託銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
HCA 54.50%
金子 洋文 19.54%
BNY GCM CLIENT ACCOUNT JPRD AC ISG (FE-AC)(三菱UFJ銀行) 2.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役は金子洋文氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
金子 洋文 代表取締役 2000年アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。2011年同社を設立し代表取締役。2024年メディカルプラットフォーム代表取締役を兼務し、現職。
林 隆祐 取締役コーポレート本部長 1998年船井総合研究所入社。クオール等を経て、2015年同社入社。2024年よりコーポレート本部本部長。


社外取締役は、田中宏明(弁護士法人瓜生・糸賀法律事務所パートナー)、平尾喜昭(サイカ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ライフケア事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 介護事業


有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)等の施設介護を中心に、訪問介護・看護等の在宅サービスも提供しています。食事や入浴等の生活援助からリハビリ、レクリエーションまで、高齢者が安心して暮らせる環境を整備しています。

利用者からの介護サービス利用料や介護保険法に基づく介護給付費が主な収益源です。運営は主にリビングプラットフォームケア、シルバーハイツ札幌、ブルー・ケア、トゥルースなどが行っています。

(2) 障がい者支援事業


就労継続支援B型事業所、共同生活援助(グループホーム)、自立訓練(生活訓練)などを運営しています。PC作業や軽食喫茶運営などを通じた就労機会の提供や、地域で自立した生活を送るための住まいの提供、生活能力向上のための訓練などを行っています。

利用者からの利用料や障害者総合支援法に基づく給付費が収益源です。運営は主にチャレンジプラットフォームが行っています。

(3) 保育事業


認可保育所を中心に、企業主導型保育所や認可外保育所を運営しています。延長保育や一時保育、障がい児保育、病児保育など多様化するニーズに対応したサービスを提供するとともに、英語やリトミックなどの教育プログラムにも力を入れています。

自治体からの委託費や運営費補助金、利用者からの保育料が主な収益源です。運営は主にナーサリープラットフォーム、ID・アーマンが行っています。

(4) その他事業


グループ施設利用者への給食サービス、保育士特化型求人広告サービス「ほいくみー」、不動産保有・賃貸、障がい者雇用の特例子会社、医療保険対応訪問看護、調剤薬局などを展開しています。

グループ施設への給食提供による対価や求人広告の掲載料・成功報酬等が収益源です。運営はOSプラットフォーム、BSプラットフォーム、メディカルプラットフォームなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は施設数の増加や事業承継等により、5期間を通じて一貫して増加傾向にあります。利益面では変動が見られ、第11期と第13期には当期純損失を計上しましたが、直近の第14期は増収効果や価格転嫁等により大幅な増益となり、黒字転換を果たしています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 91億円 116億円 137億円 167億円 192億円
経常利益 2.4億円 5.8億円 0.4億円 2.0億円 3.7億円
利益率(%) 2.7% 5.0% 0.3% 1.2% 1.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.6億円 4.1億円 0.9億円 1.9億円 3.7億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善しています。これにより、前期は赤字だった営業利益が黒字に転換しました。販管費も増加していますが、売上の伸びがそれを上回っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 167億円 192億円
売上総利益 14億円 19億円
売上総利益率(%) 8.7% 10.1%
営業利益 -0.8億円 3.4億円
営業利益率(%) -0.5% 1.8%


販売費及び一般管理費のうち、控除対象外消費税等が3.7億円(構成比23%)、給与手当が3.5億円(同22%)を占めています。

(3) セグメント収益


介護事業が売上高の大半を占めており、新規開設や事業承継により前期比で増収となりました。障がい者支援事業、その他事業も大幅な増収を達成し、保育事業も堅調に推移しています。全体として全事業領域で売上規模が拡大しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
介護事業 137億円 157億円
障がい者支援事業 11億円 15億円
保育事業 17億円 18億円
その他事業 0.7億円 1.2億円
連結(合計) 167億円 192億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 15億円 6.1億円
投資CF -13億円 -7.2億円
財務CF -10億円 5.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は19.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は16.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「安心を育て、挑戦を創る」をコーポレートミッションに掲げ、「持続可能な社会保障制度を構築する」ことをビジョンとしています。介護、障がい者支援、保育の3事業を三位一体で展開し、人口減少社会における課題解決と社会保障費の財源確保を目指しています。

(2) 企業文化


利用者、職員、地域社会へ貢献するために、「まず自分が楽しもう」「誠実さで判断しよう」「家族と思って接しよう」「仲間と進もう」「疑問をもとう」「明日に向かって挑戦しよう」という6つの行動指針を定めています。これらを旨として日々の業務に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


経営戦略等の目標達成を判断する客観的な指標(KPI)として、成長性の指標である「売上高増加率」、収益性の指標である「売上高営業利益率」及び「売上高税金等調整前当期純利益率」、安定性の指標である「自己資本比率」を重視しています。

(4) 成長戦略と重点施策


介護事業では、施設介護(有料老人ホーム、グループホーム等)を中心としたドミナント戦略による事業拡大と、不採算施設の再生モデルを推進します。障がい者支援事業では、就労継続支援B型とグループホームの複合出店やグループ内就職の拡充を進めます。保育事業では、認可保育所を中心に、教育型保育や多世代交流の導入で質の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を成長の源泉と位置づけ、競合比高水準の給与や連休取得可能な休暇制度、定年の70歳への引き上げ等により人材確保と定着を図っています。また、特定技能外国人を中心とした外国人採用を積極的に進めるほか、自社研修施設での資格取得支援や独自の社内資格制度を通じて、多様な人材が活躍できる環境整備と育成を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 47.1歳 3.9年 5,855,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 32.4%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 55.8%
男女賃金差異(正規雇用) 75.3%
男女賃金差異(非正規) 46.7%


※男性育児休業取得率の「-」は、育児休業取得の対象となる男性労働者がいないことを示しています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理者比率(42.3%)、外国人労働者比率(19.6%)、離職率(入職1年以降)(21.4%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制について


同社グループの事業は介護保険法や障害者総合支援法等の法的規制を受けており、これら法令の遵守が必須です。法令違反による行政処分や、制度改正による介護報酬の引き下げ等は、事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 人材の確保について


サービス提供には人材が不可欠ですが、介護・保育業界は慢性的な人材不足にあります。事業拡大に必要な人員の確保が困難な場合や、既存職員の流出が生じた場合、事業展開や業績に影響が出る可能性があります。

(3) 事業所の新規開設について


事業拡大のため新規施設の開設を進めていますが、好立地の物件確保ができない場合や、建築コストの上昇、行政の総量規制等の要因により、計画通りの開設ができない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 設備稼働率・入居率について


収益は利用者数に依存するため、計画通りの利用者数を獲得できない場合、業績に影響します。特に人材不足により利用者の受け入れが困難となり、稼働率や入居率が低下するリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。