※本記事は、株式会社リビングプラットフォームの有価証券報告書(第15期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. リビングプラットフォームってどんな会社?
同社は介護、障がい者支援、保育の3領域を中核とするライフケア事業を全国で展開しています。
■(1) 会社概要
同社は2011年に設立され、同年から介護施設の運営を開始しました。2014年には障がい者支援事業へ、2016年には保育事業へ参入し、三位一体のサービス基盤を構築しました。2020年に東京証券取引所マザーズへ上場し、直近では2024年にメディカル事業、2025年に農業事業へ参入するなど領域を拡大しています。
従業員数は連結で1,326名、単体で60名です。大株主については、筆頭株主が代表取締役の資産管理会社であるHCAで、第2位は創業者の金子洋文氏、第3位は金融商品取引業者のSBI証券となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| HCA | 54.32% |
| 金子洋文 | 19.48% |
| SBI証券 | 2.72% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役は金子洋文氏が務めています。社外取締役は3名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 金子洋文 | 代表取締役 | 2000年アンダーセンコンサルティング入社。2011年同社設立、代表取締役就任。以後グループ各社の代表を歴任し、2025年より同社第1運営本部長を兼務。 |
| 林隆祐 | 専務取締役コーポレート本部長 兼財務経理本部長 | 1998年船井総合研究所入社。2015年同社入社。取締役、戦略企画本部長等を経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、田中宏明(元ジーオーエフ代表取締役)、平尾喜昭(サイカ代表取締役)、小原正憲(MOCパートナーズ代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ライフケア事業」の単一セグメントのもと、複数の事業領域を展開しています。
■(1) 介護事業
介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、グループホームなどの高齢者向け居住施設の運営を中心に、訪問介護や訪問看護、デイサービスなどの各種介護サービスを提供しています。
主に介護保険法に基づく介護報酬や、利用者からの施設利用料・サービス料を収益源としています。事業は同社およびリビングプラットフォームケアなどの連結子会社が運営しています。
■(2) 障がい者支援事業
障がい者の自立した生活を実現するためのトータルサポートとして、就労継続支援B型事業所や障がい者向けグループホームを展開し、就労訓練や生活援助を行っています。
障害者総合支援法に基づく公的な給付費や利用者からの利用料を収益源としています。運営はチャレンジプラットフォームが担っており、同社グループ内での就労機会の提供も推進しています。
■(3) 保育事業
待機児童問題の解決や女性の活躍支援を目指し、0歳から小学校就学前の児童を対象とした認可保育所および企業主導型保育所を運営し、英語やITなどの教育プログラムも提供しています。
児童福祉法や内閣府の制度に基づく公的給付金、および保護者からの保育料を収益源としています。事業の運営はナーサリープラットフォームおよびID・アーマンが行っています。
■(4) その他事業
介護・障がい者支援・保育施設への給食サービスや、保育士に特化した求人広告サイト「ほいくみー」の運営、グループ内施設の不動産保有・賃貸、メディカル・農業事業などを手掛けています。
施設利用者からの給食費や共同購買代金、求人広告における成功報酬などを収益源としています。運営はOSプラットフォーム、BSプラットフォーム、メディカルプラットフォームなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調に拡大しており、増収傾向が続いています。利益面でも、不採算施設の再生や稼働率の向上効果により、経常利益および当期利益ともに大幅な増益を達成し、収益性の改善が進んでいます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 167億円 | 192億円 | 221億円 |
| 経常利益 | 2億円 | 4億円 | 6億円 |
| 利益率(%) | 1.2% | 1.9% | 2.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1億円 | 0.3億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
増収に伴い売上総利益が増加しており、利益率も改善傾向にあります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 192億円 | 221億円 |
| 売上総利益 | 19億円 | 23億円 |
| 売上総利益率(%) | 10.1% | 10.5% |
| 営業利益 | 3億円 | 5億円 |
| 営業利益率(%) | 1.8% | 2.1% |
販売費及び一般管理費のうち、控除対象外消費税等が4億円(構成比23%)、給与手当が4億円(同22%)を占めています。
■(3) セグメント収益
単一セグメントですが、事業領域別の売上高では、主力の介護事業が順調に拡大しているほか、障がい者支援事業や保育事業も新規開設や稼働率の向上により増収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 介護事業 | 157億円 | 179億円 |
| 障がい者支援事業 | 15億円 | 19億円 |
| 保育事業 | 18億円 | 20億円 |
| その他事業 | 1億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 192億円 | 221億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態を示す「積極型」です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | 9億円 |
| 投資CF | -7億円 | -10億円 |
| 財務CF | 6億円 | 0億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は17.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は18.7%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
コーポレートビジョンに「持続可能な社会保障制度を構築する」、コーポレートミッションに「安心を育て、挑戦を創る」を掲げています。日本における根本的な問題を人口減少と捉え、介護、障がい者支援、保育を三位一体で進めることで、社会参画できる人や働き手を増やし、少子高齢化問題の解決を目指しています。
■(2) 企業文化
利用者や職員、地域社会へ貢献するために日々全力で尽くすことを旨としています。「まず自分が楽しもう」「誠実さで判断しよう」「家族と思って接しよう」「仲間と進もう」「疑問をもとう」「明日に向かって挑戦しよう」の6つを行動指針として掲げ、「安心」と「挑戦」のループによる価値創造を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
成長性を評価する指標として売上高増加率、収益性を評価する指標として売上高営業利益率および売上高税金等調整前当期純利益率、安定性を評価する指標として自己資本比率を重視しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
施設介護を自社開発と事業承継の両輪で成長させる方針です。首都圏を中心に有料老人ホームやグループホームの開設を進めるほか、事業再生モデルによる収益性向上を図ります。また、障がい者のグループ内就労拡充や、保育事業での教育や多世代交流の強化を通じて、各事業の有機的な連携と持続的成長を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
持続的な成長のためには多種多様な視点・価値観が必要と認識し、性別、年齢、国籍を問わず多様な人材の確保と定着を重視しています。競争力の高い給与体系や定年の70歳への引き上げ、外国人就労者の積極的な受け入れを進めるほか、無料の資格取得支援など社内環境の整備を通じて、誰もが活躍できる組織構築を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 48.3歳 | 4.5年 | 4,999,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 32.8% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 92.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 51.7% |
※育児休業取得の対象となる男性労働者がいないため、男性育児休業取得率は記載されていません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人労働者比率(19.6%)、離職率(入職1年以降)(21.4%)、有休消化率(64.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 風評被害等の影響
利用者や家族などによる施設に対する好ましくない風評や信用低下が発生した場合、入居率の低下やブランドイメージの毀損につながり、同社グループの事業展開や業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
■(2) 関連法規と介護報酬の改定
介護・保育・障がい者支援の各事業は様々な法規制の適用を受けており、制度改正や介護報酬の引き下げ等の不利な見直しが行われた場合、事業計画や収益性に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 介護・保育人材の確保難
慢性的な人材不足が続く介護および保育業界において、十分な人員確保ができない場合や既存人員の流出が生じた場合、事業の拡大に必要なサービスの提供や稼働率の低下を招くリスクがあります。
■(4) 施設内事故と感染症リスク
サービス提供中の転倒事故や食中毒、施設内での虐待、あるいは感染症の拡大などが発生し、責任が問われる事態となった場合、損害賠償や行政処分などにより事業運営や業績に悪影響を与える可能性があります。



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