※本記事は、株式会社QDレーザ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
QDレーザは、半導体レーザ技術を用いた製品の開発・製造・販売を手掛けています。レーザデバイス事業とレーザ・オプティカルソリューション事業を展開し、光通信やバイオ系検査装置、精密加工、各種センサなど幅広い分野に貢献しています。
単体従業員数は50名です。同社の事業セグメントは、レーザデバイス事業とレーザ・オプティカルソリューション事業の2つです。
同社は、半導体レーザの特性を決める活性層成長を自社で実施し、半導体レーザチップ加工やモジュール実装は社外協力会社に委託するファブレス製造体制を採っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
QDレーザは、少数精鋭体制のもと、高い専門性を持つ人材が自律的に活躍する環境が特徴です。特に技術・開発・営業の各領域を横断して価値を創造できる人材を重視しており、個々の能力を最大限に引き出すことを目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、専門性の高い人材が長く活躍している傾向が見られます。平均年齢は比較的高く、勤続年数も一定の水準を保っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,307,267円 |
| 平均勤続年数 | 7.72年 |
| 平均年齢 | 51.08歳 |
| 単体従業員数 | 50人 |
同社は国内の従業員を対象に企業型確定拠出年金制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する制度)を導入しています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
QDレーザは、人的資本を価値創造の源泉と位置づけ、事業環境の変化に対応しながら継続的に人材力を強化し、組織の人的資本を最適化することを人材戦略の基本方針としています。少数精鋭体制のもと、各メンバーが自律的に専門性を発揮し、製品の価値向上と顧客満足の実現に貢献することを目指しています。特に、技術・開発・営業の領域を横断しながら価値創出を担う人材を重要な経営資源と認識しています。
従業員の給与は、各従業員に期待される役割や専門性を踏まえたコンピテンシー評価および成果評価に基づき決定されます。固定報酬である給与は、コンピテンシー評価に基づくグレードと給与テーブルが適用され、賞与は各従業員の成果評価と会社業績等を踏まえて支給額が決定されます。報酬水準については、市場水準や事業環境も勘案しながら、従業員の成長と中長期的な企業価値向上への貢献を促進する制度運用に努めています。
同社は、単なる採用・研修施策にとどまらず、「どのような人材が、どのような場面で価値を発揮しているのか」「今後の事業成長に向けて、どういった人材基盤を強化していく必要があるか」といった観点から、人的資本の戦略的な整備を進めています。具体的には、優秀な人材を採用するための求職者との良好な関係構築、トレーニングやコーチング、メンタリング、キャリア開発支援を通じた従業員の知識・スキル向上を支援しています。
また、業績評価制度や1on1面談を通じて目標設定、成長支援、フィードバックを行う体制を整備し、市場水準や各人材の役割・貢献等を踏まえた報酬制度を整備しています。従業員満足度の向上や柔軟な働き方を通じて人材の定着率向上に努め、共通のビジョンのもとで協働できる環境づくりを進め、価値観の共有と組織としての一体感の醸成に努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
多様性・登用
| 指標 | 2025年度実績 | 2026年度目標 |
|---|---|---|
| 女性人材率 | 19.0% | 19.7% |
人材育成・エンゲージメント
スキルポイントは個人別スキルマップに基づき算出されています。
| 指標 | 2025年度実績 | 2026年度目標 |
|---|---|---|
| 人材数 | 58名 | 59名 |
| スキルポイント | 93点 | 101点 |
| 離職率 | 4.2% | 4.0% |
| 従業員の平均在籍期間 | 7.7年 | 8.0年 |
| 従業員の平均年齢 | 51.1歳 | 52.0歳 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
QDレーザは、半導体レーザ技術を核に、レーザデバイス事業とレーザ・オプティカルソリューション事業を展開しています。独自の技術力で幅広い産業分野に貢献し、革新的な製品とソリューションを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
QDレーザは半導体レーザ技術を基盤とし、製品の開発、製造、販売を行っています。同社グループは、日本、ドイツ、米国に拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。
収益は主にレーザデバイスとレーザ・オプティカルソリューションの二つの事業セグメントから得ています。特に、独自の結晶成長技術や量子ドットレーザ技術を強みとしています。
レーザデバイス事業
この事業では、半導体レーザの特性を決定する活性層の結晶成長を自社で行い、半導体レーザチップの加工やモジュール実装は外部協力会社に委託するファブレス体制で製造しています。光通信、バイオ系検査装置、精密加工、各種センサーなどの幅広い分野に製品を提供しています。
収益は、高出力レーザや量子ドットレーザなどの製品販売、および研究機関やメーカーからの開発受託業務から得ています。運営は、QDレーザが行っています。
レーザ・オプティカルソリューション事業
この事業は、網膜投影技術を活用したXRグラス用の光学ディスプレイユニットの開発、および半導体レーザ・光学技術を応用した産業機器用光学モジュール・光学ユニットの製造・販売を行っています。製品の企画・設計を自社で行い、製造・組み立ては協力会社に委託するファブレス形態を採用しています。
収益は、法人顧客からの開発受託、直販、代理店経由での販売、および一般顧客向け販売パートナーを通じた製品提供から得ています。運営は、QDレーザ、QD Laser Deutschland GmbH、QD Laser America,Inc.が行っています。
同社の売上高は、日本が最も大きく、次いで中国、タイ、北米、欧州と続いており、海外市場にも広く展開しています。特定の顧客への収益集中については、日本電計株式会社が当事業年度の総販売実績の17.75%を占めています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| レーザデバイス事業 | 11.2億円 | 11.7億円 |
| レーザ・オプティカルソリューション事業 | 1.9億円 | 2.0億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が増加傾向にあるものの、営業損失、経常損失、当期純損失が継続しています。前事業年度と比較すると、各損失額は縮小しており、改善の兆しが見られます。
売上高総利益率は前期から向上しており、収益性の改善に向けた取り組みが進められていることがうかがえます。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社の従業員1人あたり売上高(連結)は、JSONデータに値がないため、現状では確認できません。従業員1人あたりの稼ぐ力は、企業の効率性や生産性を示す重要な指標の一つです。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | - |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は現在、事業拡大と成長に向けた投資を積極的に行っている段階にあります。財務の安定性を確認することは、将来の働きやすさを判断する上で重要です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率が高水準で推移しており、安定した状態を示しています。手元資金も潤沢に確保されているため、事業運営における資金繰りの安定性がうかがえます。このような財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にも良い影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 52.2億円 | 49.0億円 |
| 自己資本比率 | 94.8% | 88.0% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 37.5億円 | 27.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社のキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが前期に引き続き減少しています。これは主に税引前当期純損失の計上や棚卸資産の増加などが要因となっています。投資活動によるキャッシュフローも、有形固定資産の取得や長期貸付けによる支出により、前期よりも減少幅が拡大しています。これは事業拡大に向けた積極的な投資が行われていることを示しています。
一方で、財務活動によるキャッシュフローは、長期借入れによる収入により前期の減少から増加に転じています。フリーキャッシュフローはマイナスとなっており、本業の資金創出力だけでは投資を賄いきれていない状況です。これは成長投資フェーズにある同社が、外部からの資金調達も活用しながら事業拡大を進めていることを示しています。このような資金の流れは、将来的な成長への期待がある一方で、現時点では収益化が課題であり、雇用や給与の安定性には今後の事業進捗が影響すると考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △5.1億円 | △4.8億円 |
| 投資CF | △5.7億円 | △8.9億円 |
| 財務CF | △95百万円 | 3.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △10.8億円 | △13.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社が参入するレーザ関連市場は、今後の成長が見込まれる一方で、技術革新による代替品の市場投入や市場縮小のリスクがあります。また、開発受託業務においては、受託先の経営方針変更や経営状態の悪化により、受注が減少する可能性も指摘されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、労働人口の減少や人件費の高騰といった日本経済全体の人手不足の問題に直面しています。要望にかなう人材の安定的な確保が困難になった場合、業務効率や事業拡大に支障をきたす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
QDレーザは、半導体レーザ技術を核に「人の可能性を照らせ。」という経営理念を掲げ、社会課題の解決と持続的な成長を目指しています。少数精鋭の体制で、従業員一人ひとりの専門性と自律性を重視する企業文化があります。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社の経営理念は「人の可能性を照らせ。」です。AIの進化や製造業での高精度な自動化技術の進歩により、産業の基幹電子部材である半導体レーザ技術の有用性が高まっている状況です。
同社は「半導体レーザ」および「半導体レーザ応用製品」の業界において、アプリケーションの拡大と市場ニーズの高まりに対応しています。バイオメディカル、精密加工、半導体製造などの領域でグローバルに顧客の支持を得ており、量子ドットなどの独自製品の性能向上と新製品開発を通じて新しい市場への参入を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
QDレーザは「人の可能性を照らせ。」という経営理念のもと、従業員の継続的スキル向上を重点施策の一つとして掲げています。少数精鋭体制のもと、各メンバーが自律的に専門性を発揮し、製品の価値向上と顧客満足の実現に貢献することを重視しています。
特に、技術・開発・営業の現場を横断できる人材を同社の競争力の中核と位置づけ、人的資本を戦略的に整備しています。共通のビジョンに向かって協働できる環境づくりを進め、価値観の共有と一体感の醸成に努める組織文化を目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は「人の可能性を照らせ。」を念頭に、事業強化のための課題に取り組んでいます。スマートグラス実現に向けた取り組みの継続・拡大では、共同事業パートナー企業とともにアイトラッキング機能の開発、低消費電力化、小型化、高精細化といった要素技術の成熟に取り組んでいます。
また、これまで蓄積した知財・ノウハウの収益化を目指しています。レーザ・オプティカルソリューション事業のビジョンサポート領域では、新規スマートフォン装着型網膜投影機器の上市を目指し、テストマーケティングを開始しています。適切なコーポレートガバナンスとIR体制強化も課題としており、開示書類の早期作成、業務プロセスの改善、内部管理体制の強化を継続的に推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
QDレーザは監査等委員会設置会社であり、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能の分離を図るため執行役員制度を導入しています。取締役会は監査等委員でない取締役と監査等委員である取締役で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
QDレーザの株主構成を見ると、筆頭株主は海外の金融機関であるJP JPMSE LUX RE UBS AG LONDON BRANCH EQ COです。その他、モルガン・スタンレーMUFG証券などの金融機関や個人株主が上位に名を連ねています。特定の株主グループが経営に強い影響力を持つような特徴は確認できません。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| JP JPMSE LUX RE UBS AG LONDON BRANCH EQ CO(常任代理人 三菱UFJ銀行) | 1.31% |
| モルガン・スタンレーMUFG証券 | 0.98% |
| 石井 良明 | 0.94% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は大久保潔氏が務めています。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大久保 潔 | 代表取締役社長 | 1992年三井物産入社、2006年QDレーザ取締役。三井物産金融市場本部企業投資開発部投資事業室長、Mitsui & Co Global Investment, Inc. President & CEOなどを経て、2025年6月より同社代表取締役社長。 |
| 長尾 收 | 取締役 | 1982年三井物産入社、2005年MVC代表取締役社長。三井物産金融・新事業推進本部企業投資部長、米国三井物産上席副社長などを経て、2025年6月より同社取締役。 |
社外取締役は、波多野薫氏(BioLumina代表取締役)、内田悟氏(元JXアイティソリューション社長・監査等委員)、森大輝氏(光和総合法律事務所パートナー・監査等委員)、松下修氏(松下修公認会計士事務所代表・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、過半数の社外取締役で構成される監査等委員会を設置することで、取締役会の監督機能強化と経営の透明性・効率性向上を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
QDレーザの役員報酬は、業務執行取締役と非業務執行取締役で異なる構成を採用しています。業務執行取締役の報酬は、基本報酬、短期インセンティブとしての単年度賞与、中長期インセンティブとしての業績連動型譲渡制限付株式報酬で構成され、持続的な業績向上を促す設計です。非業務執行取締役および監査等委員である取締役の報酬は、基本報酬と中長期インセンティブとしての事前交付型譲渡制限付株式報酬で構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 40百万円 | 20.1百万円 |
| 社外取締役 | 6名 | 19百万円 | 3.2百万円 |
同社の役員報酬等の総額は59.3百万円であり、対象となる役員の合計は8名です。なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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